「夜明け」1944 (絵葉書 部分)
ポール・デルヴォー展で、 幻想世界を味わった。

埼玉県立近代美術館所蔵 「森」 1948年
ふしぎな絵。 鬱蒼とする森、 月明かりにうかぶ女、 緑に覆われる寝台、 天蓋の深紅が印象的。 遠ざかる列車の灯、 ほの白いレールのひかり、テールライトの小さな赤。 青い花や…
私は現実を ある種の夢として描き表そうとしてきました。
事物が本物らしい様相を保ちながらも 詩的な意味を帯びている、
そんな夢として。 ポール・デルヴォー (1897-1994)
現実を忘れ 作品のなかに入ってゆく。 しばらくここに隠れていよう。
展示の仕切りが心地よくなる。 観る者を隠し、 気兼ねなく美しさに陶酔できる。
第1章 写実主義と印象主義の影響

「グラン・マラドの水門(南側の眺望)」 1921 (28歳)(絵葉書 部分)
はじめは 印象派風の風景画など。
「森の小径」 1921年 (木洩れ日を描きたくなった)
第2章 表現主義の影響
「バラ色のブラウスの若い女性」 1932年

1930年代 シュルレアリスムに触れ独自の作風になった。
第3章 シュルレアリスムの影響
第4章 ポール・デルヴォーの世界
・ 汽車、トラム、駅 ・ 建築的要素 ・ 生命の象徴としての骸骨
・ 欲望の象徴としての女性 ・ 男性の居場所
・ ルーツとしての過去のオブジェ ・ フレスコ
第5章 旅の終わり
「トンネル」 1978

「バルコニー」 1948 「会話」 1944年
「夜の使者」 1980年
ランプ、鏡、骸骨、汽車やトラム 建築物 神殿や都市
エピソード
・夢見がちな子ども 7歳のときに見た骸骨の恐ろしさ
・10歳 ジュール・ベルヌの「地底旅行」
・13歳 ギリシア神話 ホメーロスの「オデュッセイア」「イーリアス」
・15歳 路面電車の模型造り 汽車の旅
・32歳 両親の反対で 最愛の女性タムと別れる
・35歳 博物館の蝋人形「眠れるヴィーナス」
・50歳 タムに再会し結婚 「森」を描く

墨で トレーシング-ペーパーに描いた グリーティング・カード 1958(絵葉書 部分)
61歳 繊細なタッチで ここにも列車が登場している
愛蔵し、たびたびモティーフにした鉄道模型など展示されている。 オイルランプ、鉄道の碍子(ガイシ)…電柱や鉄塔に取り付ける絶縁体の器具)。 姿見、手鏡など。
もう一度 詩的なものがたりを見にいこう…
ポール・デルヴォー展 夢をめぐる旅
埼玉県立近代美術館で 3月24日まで
(画像は 絵葉書と パンフレットよりお借りしました。