ドアの向こう

日々のメモ書き 

暮の秋

2010-11-29 | こころ模様

 

 

名残りの薔薇 は 

 はかなくて 寂しげ

    

 

 

 

 

 

 

  
  薔薇の想いをよそに 野鳥は賑やか




  棕櫚の木で 日向ぼこ
    


        

             -☆-

 
   冬近し草にかくれし榻一つ   万太郎

 榻は トウと読むのでしょうか  枯草のかげに忘れ去られた椅子ひとつ、 そこはかとない秋の終わりの情趣をかさねているのでしょう。 
 そういえば 切手趣味週間の記念切手に山口蓬春の「榻上(トウジョウ)の花」がありましたね。 上品でモダンな作品。
  
 また 榻はシジ゛ともいって、牛をはずしたときに、牛車の轅ナガエの軛クビキをのせたり、また、乗り降りするときの台にもした。 
 となれば、 この句は やはり 「とう」と詠んだのでしょう。

 榻の字に見覚えがあって、 どこかに写したはず… ノートをめくると 「榻上の花」 がありました。 さらに
 
  榻(シジ)の端書き(ハシガキ)  昔、男が女に思いをかけ、百夜続けて通ったら承知すると女に言われ、九十九夜通って、そのしるしを榻に書きつけたが、百夜目に支障があって通えず、思いを遂げられなかったという故事。 深草少将と小野小町の伝説などとして流布。 熱烈な恋のたとえ、 また思いどおりにならない恋のたとえとされる。
  能 通小町(雨夜之伝)ですね。 
 榻一つから とうとう 残酷な恋の試練 「百夜通い」まで転がってしまいました。           

       

         山口蓬春「榻上の花」

    能すみし面(メン)の衰へ暮の秋    虚子

   
秋の夜は更けて… 

 

 

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カイノキ

2010-11-27 | 自然や花など

 近くの公園に自慢したい木があります。 
 名は 楷樹(カイノキ)  (とねりこばはぜのき)
ごくまれにしか見られない珍しい樹木です。

 目通り幹まわり1.69m。 根まわり1.85m 高さ約16m 中国原産
ウルシ科の落葉高木。 雌雄異株。  ご案内によれば

 浦和市指定天然記念物。 北浦和公園のこの場所にあった 旧制浦和高等学校の漢文科教授が 大正14年に中国出向の折、 曲阜の孔子廟を訪れ、墓上を覆っている大楷樹の種子を数個拾い、 帰国後に種を播いて育ててきたものです。 
 
 カイノキは 大正4年白沢保美林学博士が中国の孔子廟から種を持ち帰ったのが最初で、 岡山の閑谷学校などに現存する。
 

  調べてみると、 湯島聖堂 乃木神社 井の頭公園 多摩森林化学園など 他にもありそうです。

   カイノキとモミジの競演にうっとり 

  カイノキの細葉がハラハラと舞った
    

  散らねども かねてぞをしき もみぢ葉は 今は限りの色と見つれば
                         (古今集 よみ人しらず)

  これ以上はない 極限の色   どうか散らないで…


 
 紅葉襲を こころゆくまで堪能して 
  濃紅 濃黄  赤朽葉  黄朽葉  蘇芳スオウ 濃蘇芳
  落栗色 淡紅 淡朽葉  青  緑青  薄紫  檜皮色
  濃二藍


 今日の主役はこちら…  
  カイノキの葉が揺れて軽い音をたてた  

   眼つむれば今日の錦の野山かな   虚子

  季節を変えて この方のところに大きな写真が載っています

 

 

 

 

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晩秋の風情

2010-11-25 | こころ模様

   近場でも今はもみじが見ごろ。 森や林の名もしらぬ雑木も草も、 紅葉、黄葉の彩りで歓声を上げてむかえてくれる。 車は桜紅葉を追うように土手をしばらく走った。 やがて並木が途切れ

  秋の野のおしなべたるをかしさは、薄こそあれ… (枕草子)

 
畑中の薄は老いて 白いゆらゆら髪で立っている。


 



  きのうの午後、 母の見舞いに行った。 
  ノートに体調のこと、 連絡事項などみなが残していて 
  きょうの会話も記録しておく。

  「わたし いくつだっけ…」 (105歳)
  「へぇ、ずいぶん長生きねぇ  運命だね…」 
  
   「山茶花は品のよい花ね」 (家の庭に咲いてる花は)  
      
 夫婦とも自分の将来をかさねてみている。

             -☆-

   初冬(ハツフユ)や竹伐る山の鉈(ナタ)の音   漱石
   初冬や庭木にかわく藁の音          犀星

  遠く近く  音がする
   冷気が澄んで冴えている  
    乾いたこえは風に運ばれ 
    小犬の耳に


      

飼い主さんはワンちゃんをこちらに向けてくれたけど自然なこれが一番よかった

   
  水面に魚のはねる音  水浴びの鴨  噴水の飛沫 
   みつめる若い瞳…
    犬の背中に 赤い木の葉のしぐれ降る

 

 


  

 

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秋深し

2010-11-23 | 自然や花など

    

    
   雨の舗道を 華やかにしていたネリネ。 往来を楽しませる。
   
       彼岸花科 ネリネ属  
       ネリネは ギリシャ神話の水の神 
          別名 ダイヤモンドリリー
       花言葉   また逢う日を楽しみに




       

     錦木に寄りそひ立てば我ゆかし    虚子
     錦木や鳥語いよいよ滑らかに      耕二
 

  錦木は枝に翼があるのですぐに覚えた。 
    鮮やかな色はきっと目に留まる。 

           -☆-

   勤労感謝の日。 いいふみの日。 一葉忌。 手袋の日。   
  秋が深まってきた。

           -☆-

   友のプレゼントは来年のカレンダー。 絵は青木乃里子さん。 好きな画家だ。 器の素晴らしさも見逃せない。 Tさんとおなじカレンダーを捲りながら元気を貰う。 じつは 手帳もとうに揃えていて、 いつ来年になってもおかしくない。 準備万端ととのえて待つ気分は良い。   

   

  おせちは手づくりときめて、 きまりもののほかに、 ローストビーフや中華などつくる。 みんなが喜ぶ。 料理は写真にも写して、それを参考に今年のプランを練る。 自分のため、今年も と毎年気合いを入れている。  

  ビルトインタイプのオーブンレンジは近ごろ調子が悪い。 タイマーは設定を無視して勝手気ままに長かったり短すぎたり、ひとりでに変わってしまう。 20年もたてば 寿命なのかな…   


 

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2010-11-18 | こころ模様


     自分はそのとき
    唱歌室の前に立つて
    永い間やさしい唱歌をきいてゐた
    をさない新芽のやうな
    あどけない甘美なこゑは
    自分のむねをいち早く湿(ウル)ほし
    すみからすみを洗ひ清めた  
 
             秋の日の合唱   室生犀星  (抜粋)

 
 幼い新芽のような…  あどけない甘美な声が ほとんど聞こえなくなった。 どの子も静かでお行儀がよい。
  
  以前は 絵を描いていると、 小学校から揺れるようなオルガンの音と、 幼い歌声が思い出のように流れてきたものだ。 運動会の音量もずいぶん低くなったし、休みじかんの歓声さえ聞こえてこない。
  近隣への配慮だろうか  ちょっと寂しい。

         -☆-

    

  石膏を中心に秋の実を描いた   これから4回
  いつになっても上手くならなくて… 
  
   でも 描き始めれば楽しい  やっぱり好きなんだ

    心のこえは正直だ

     このじかんを いつまでも続けたい  

 

 

  

 

   

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海よ

2010-11-14 | こころ模様

  13日 墓参りをして  海岸にでる

    

  今日は凪いで 銀紙が顫えるような海だ

  おだやかな海に ヨットが何艘も遊んでいる

  埠頭では 立つひと しゃがむ人  魚を釣るひと・・
   逆光のなか 霞んでみえる


  

     ピーヒョロヒョロヒョロ

   風にのって 気持よさそうなトンビ

   時には水平に  また ゆっくりと羽ばたいた

    その翼に こころをあずけると

   どこへでも行けそうな気がして

      遠く もっともっと高く  翔ばした

 

      

 
   海よ、僕らの使ふ文字では、お前の中に母がゐる。 
  そして母よ、仏蘭西人の言葉では、あなたの中に海がある…   
               「郷愁」  三好達治
 

 

 

 

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タネの秘密

2010-11-12 | 自然や花など

  繊毛のある茎にちいさな粒は  
 
    虫でもいるのかな…


 

  よくよくみれば 莢がはじけて

       のの字のかたちが見えてるよ

 

  ひだまりに まだ咲いていた風蝶花です

 

 

 

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小春日

2010-11-11 | こころ模様

   ポカポカ陽気の午後、 夢まつりの写真をとどけてきた。 
写真一枚がタウン誌「武州路」に掲載される。 毎月K先生のエッセイに寄り添うのだ。 うれしいことに ときどき反響もあるらしい。
 
 先日より色濃くなったメタセコイアの枯葉が、 ゆっくり流されていた。   夕方の沼に仲間の釣果をたたえるグループがいて
  
 「ヒラメを釣ったって   それはすごいや… 」 

 うしろの方から聞こえている。 みれば、 祝言に囲まれる初老さんがニコニコと誇らしげだ。
 
   沼にヒラメ?  よくわからない
              
           -☆-     

 

   県立美術館の大きなモミジバフウ

 

 

     

     小春日や鞄の蓋をあけて干す    秋を

  長く使わずにいたショルダーバッグが黴びて、 ポケットの中まで湿っぽい。 荷物が多くなった今は プレゼントのおしゃれなブランド品には納まらなくなった。 老眼鏡にカメラ、 携帯電話、 文庫本、 手帳、 防寒用のスカーフや手袋・・・ 小さなタオルやハンカチ。 カードのために妙にふくらんだ財布、 これでも化粧品や手鏡。 家の鍵、 もらい物のティッシュ…

 ハンドバッグの中味は雑然として秘密だらけ。 整理したつもりでも、 出先ではなぜかごちゃごちゃして、 かならずゴソゴソ探している。 
 
  印鑑、 持ってきたはずですけど… 
  猛暑の夏に、 ハンカチが一枚もはいっていないこともあった。 知らない町で汗を拭いながらスーパーを探した。

   かと思えば きょうは底のほうから二枚もでてきた。  

 

 

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花ある君

2010-11-09 | 自然や花など

  夕暮れのあわただしい散歩   花々が呼びとめる

 

       

      薄紅ウスクレナイの山茶花は  初恋のイメージ     

 朝顔の枯葉をひけば山茶花のつぼみぞ見ゆる秋の暮れ方  晶子
                   
  
  鉄幹の晶子は 白萩の君
    白百合の君や 白芙蓉の君もいた 

     

     花にたとえられたら うれしいと思う   
        

     

     私は ないけど…

         

   

 

  

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夕暮れに

2010-11-06 | 自然や花など

     
  静かな空を  憂愁に染めて

   
         
        

        
      赤々と  重そうな夕陽
   
    秋惜しみをれば遙かに町の音   憲吉


         季節は急ぎ足で  明日は 立冬

 

 

 

 

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さより

2010-11-01 | アートな時間

       

         小磯良平   (魚)さより 

  好きな絵だ。 魚なのに小磯のさよりは、 けっして生臭くない。 
  細くて銀色  美しい魚。   長い下あご 口の紅。

  さよりをうたう詩もある   

  サヨリはうすい サヨリはほそい 銀の魚サヨリ きらりと光れ
  月夜の川へ 誰々出てる 小波サザナミ小波コナミ ちらりと光れ
  サヨリのうちは 真水か潮シオか 冷たいサヨリ 水の玉吐けよ
  サヨリはうすい サヨリは細い 銀の魚サヨリ お姉さまに似てる

        -六つの子供の歌より- 「さより」
            作詞 北原白秋、 作曲 團伊玖磨

  

  けれどサヨリは 腹黒いそうだ
     捌いてみればすぐにわかる

  漢字で書くと 針魚  細魚。 
    一字では 鱵 … 魚偏に箴。 
   箴 シンは「針」  「いましめる」の意味もある
    蛙の腹が黒くなってはいけません

           -☆-

   木枯や目刺にのこる海のいろ   龍之介

  魚はみんな海の色を残している。
  きょうから11月  ほんとうに早い。 そして
        
  11月1日 わんわん ワン! で  犬の日だよ

 

 

  
 

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