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ドアの向こう

日々のメモ書き 

エネルギー

2010-10-30 | こころ模様

  

  寂れてきた庭に 淡いスカーフのような花びら
  今朝も寒い 冷たい雨だ。 

 

 

  応援ばかりで全く運動をしなかったのが、 ジムに通いだして2か月。 文字どおり いままで蹲踞の姿勢ばかりだった。 
  すこしは筋力をつけ骨を丈夫にしたいと目標は低い。 ランニングマシンで坂をのぼり、 歩いたり。 傍から見ればゲージに飼われたハツカネズミが、 回し車を走るようなのだと 可笑しくなった。 窓の方を見つめ、ずらっと並んで中年男女が走る絵の壮観さ、 ひたむきさ、 そこに混じる愉しさ。


  負荷をつけ自転車をこいで、 ただひたすら何も考えない時間が心をやすめる。 シャワーで汗をながせば気分爽快、 こころよい疲労感だけが残った。 
 エネルギーをどれだけ使ったか 即座に示される。 自転車に30分のると シシャモ3本、 ご飯軽く一膳とでている。 負荷をあげれば消費カロリーも増える仕組みだ。

 台風14号が近づいている。
 巨大エネルギーは計り知れないが、 どうぞほどほどにして

   野分のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ…

   情趣だけを吹き入れて欲しいですね。

 

 

 

 

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秋霖

2010-10-28 | こころ模様

  
     秋霖の音のをりをり白く降る       素逝

   しとしとと つめたい時雨
    昼のラジオが8℃を告げて
   暖房の試運転をした  

      まだ 10月なのに 

     卒然と冬がきて 
   秋は もう戻らないつもりか          

     野山の錦は どんなだろうか  

        -☆- 

 

   皀莢が気になって 公園までいった

    ある ある  すごい棘だ

      こころに刺さるような 大きな棘だった   
     

    

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絵を読む

2010-10-26 | アートな時間

アンドリュー・ワイエス展 
 オルソン・ハウスの物語 
  埼玉県立近代美術館

 丸沼芸術の森が所蔵する約200点の水彩・素描によるオルソン・シリーズ 

  ワイエスは姉クリスティーナと弟アルヴァロが住むオルソン家を30年に亘って描き続けた。 しずかで地味な色彩。だが、 素朴で質実 あるがままの光景が 深くこころに沁みる。

 これこそ 「用の美」 をさがすような楽しみであった。 暮らすための道具の美しさに気づく。

                    Weather  Side.  1965 Tempera

 オルソン家の納屋の穀物袋やオイルランプ、 ブルーベリーを摘みとるための熊手、 収穫した実を入れるバスケット、 馬を繋ぐための柱、 愛用の椅子、 柄の長い草刈鎌、 雨や雪解け水、湧き水をたいせつに運ぶためのバケツ・・

 愛着をもって使い込まれたもののあたたかさ、 画家の繊細で純粋な表現、 その眼はいつもやさしく注がれる。 足が不自由なクリスティーナが家に戻るところ、 家の前のアルヴァロと刈り取り機 オルソン家の台所・・ 

  階段と玄関のドア、 ジャガイモ袋、 トウモロコシをのせた手押し車、 納屋の柵、 雨樋、 薪ストーブ、 納屋のツバメ、 (ブルーベリーの収穫もカモメに食べ尽くされて)見せしめのために捕らえたカモメの案山子。 

 青い計量器…  こびりついた粉、 お碗のように丸くて青い計るための器、 木製の桶と布袋  水彩の色調 ドライブラッシュ、 ざっくりとした布目、刻印の文字、繊維のほつれ、 さまざまな技法、 紙の上に布を再現、 まるで織るように描かれている。 絵を読めばもっと愉しくなる。
 絵葉書を買ったが印象にほど遠かった。 

 海からの風(習作)… テンペラ画を描くまでには 何点もの習作がある。 鉛筆や水彩などで習作として描かれたものは傑作ばかり、 作品になっている。 <Weather  Side(さらされた場所)>の習作、 <クリスティーナの世界>習作 (手の位置 傾き)  <海からの風>習作など 238点を観た。

  手許にあるプレゼントの画集から  

    Wind form the Sea. 1947  Tempera

  

 どちらも 
  (FIRST IMPRESSIONS Andrew Wyeth 
                  RICHARD MERYMAN)より

   

  寂寥感ただよう オルソンの家 1969  
    姉弟は 前年に亡くなっている

         -☆-

  デューラーの素描「仔兎」、とくに「芝草」を激賞していたというワイエスの絵は、 大地の土の匂いがする、 テラ・ヴェルデ たぶんミルクをたっぷり混ぜた緑黄色やオークルや赤・・・ 繭のような灰色など つぶさに観ていくと色のハーモニーが何ともいえない、 ワクワクする。 引っ掻いたような線、 滲みや、 変化にとむ背景など 

  ワイエスはヘルガという女性を15年間描きつづけた。 1990年1月ワイエス展 静謐な生命の肖像(セゾン美術館)、 同年秋、ワイエス展 ’ヘルガ’(埼玉県立近代美術館)を鑑賞した。 

 

       

        アルヴァロとクリスティーナの家  1968

   深く静かに、 異国の もののあはれが 身にしみた 

 

 

 

  

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秋日和

2010-10-23 | こころ模様

  

 ことしも孫娘の文化祭に招かれた。 
 麻布十番から地上にでると 父母とおぼしきふたりが まえの方をゆく。 受験のための下見をかねるひとなど坂道に続いた。 40代の両親は後ろ姿が息子夫婦にとてもよく似ている。 
 振り向いたので 蝦蟇さんは 思わず おーーいと 
  手を振る ・・・   似てるけど  やっぱり違った。

  母親の髪型だって そのひとは長いし パーマもかけてるじゃないの  連れてる子の身長だって低いわ 

  おなじ年ごろの夫婦づれ、 孫に似た少女… 

 バザーや展示、 キャンプのようす
  多くの家族でにぎわった  もみくちゃになりながら 
   熱気のなか 元気を貰った。 

  帰り おとなばかりで街歩き  馴染みのかりんとうやさん 豆屋さんを覗く。 刺繍のオシャレなバッグを売る店など眼も愉しい。 
  息子たちと珈琲を飲んで別れる 
       きょうも老人  ふたり連れ…  

 

 

 

  

 

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角を曲がれば

2010-10-21 | こころ模様




  

  塀にレイアウトされた小皿  
    日本民藝館そば 

 

  駒場で…

  はじめての街で 角を曲がると小さな物語りが待っていた

 

  二丁目の 

   話しのつづきは あなたにお任せします

 

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105歳

2010-10-21 | 向き合う

      ことしの秋薔薇

   明治38年(1905)生まれの義母を見舞った。
 みなさん良くしてくれて ありがたい… と くり返した。 病気はないので痛みもなく、 穏やかである。 かわいらしい といいたいほどの105歳だ。

  たくさんお喋りした。

 10月 第4日曜日は  義母の日という。 ことしは10月24日

 

 

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辰砂丸文角瓶

2010-10-20 | アートな時間

  駒場東大前、 学生に混じって小雨の中を急いだ。 目指すは日本民藝館。  

   河井寛次郎 -生誕120年記念展-

 栄誉等に対して無欲であった河井寛次郎の卓抜した芸術性。 簡素で重厚な形をした筥、鉢、扁壺、壺、皿など(パンフレット参照) 

 

 ・辰砂丸文角瓶  辰砂釉の紅い色に惹かれる 
  モダンな丸文    陶芸を彫塑や絵画のようにみてしまう
   

  京都の記念館でたくさんの作品にであったばかりだ

柳邸で

  

  ほか 柳宗悦が起こした民藝運動、 蒐集品を鑑賞。

1階 第1室 丹波の古陶 
     丹波焼  質素の美  模様に 流した線  用の器
     大甕

      第2室 西洋の陶器 
     花喰鳥文スリップウェア (1754 イギリス)
           オーブンから食卓へ

    第3室  日本の絣
  絣は、 模様を決め、 寸法を計り、絣の部分を一々糸でくくり、藍甕に漬ける。 捺染でやったら楽なものを、わざわざ絣に織るのは、織れあがったものが、まるで違う持味になるから
  二重三重の工程、 模様のズレ。 この不自由さが美しさを生む、工藝の神秘な法則がここにも読まれる… (織と染  柳宗悦)

 

  2階 朝鮮時代 (1392-1910)の諸工芸 
  柳が集めたもの
   李朝の陶磁器はじめ 木工品 金・石工品 民画など
   

  濱田庄司 バーナード・リーチの陶器。 棟方志功の板画作品。
  河井家に現れた若き日の棟方志功は、 家族に猫の「熊助」二代目と思われた。 寛次郎のユーモアと民藝の仲間、 お互いを尊重し切磋琢磨する交遊。   

   工芸的文字  -仏教絵画を中心に-
 書として書かれたものが繰り返し書かれ模様のようになる。
 画のような味わいになる文字  ゆっくりかみしめたい。 
  仏教絵画、 牛玉宝印ゴオウホウイン(神社や寺院が発行するお札、厄除けの護符のこと)など展示


 

 つづいて 西館  柳宗悦邸 見学

 愉しいエッセイも浮かんでくる。 浮世絵を贈ったお礼にロダンの彫刻が届いた日。 夢のようなできごとは、 当時21歳の柳が横浜まで迎えに行くようすから

  ここにいると 歓喜のさまが踊り出す。 書斎には白樺派の作品が並んでいる、 ほのぼのとなった。   

  撮影できなくて残念。 断ればできたのでしょうか。 
  ほかのblogに たくさん載っています。
     
            -☆-  
 

   河井寛次郎作品 パンフレットより

  上段 左から
  辰砂筒描角筥   シンシャツツガキカクバコ
  練上手鶉文角鉢  ネリアゲウズラモンカクバチ
  
  鉄呉須丸文隅切鉢  テツゴスマルモンスミキリバチ
  呉須筒描扁壺   ゴスツツガキヘンコ

  鉄釉白流蓋付壺 テツユウシロナガシフタツキツボ
                  鉛釉象嵌皿    ナマリユウゾウガンザラ

 

 

 

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才媛

2010-10-16 | 自然や花など


  遠くから花のように見えた 実紫
   畑中の紅紫が 大波でうねった

   近くでみると 宝石をちりばめたよう

   

  

   霧一過紫式部映えにけり     青畝

  心をとらえる 濃いむらさき
   才媛のなまえ…
    
            -☆-

     

   庭の実紫は枯れて ホトトギスばかりが増えた
    反り返る花被片が 橋のよう

     掌に乗る反橋や油点草 (ホトトギス)   風生

       油点草 漢名ユテンソウは誤用である とあった
     

 

 

 

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秋窓風雨夕

2010-10-13 | こころ模様

    ゆうべ にわかに空模様が変わった。 屋根にぶつかる大粒の雨。 烈しく降った。 けさは晩秋の気配だ。 
 
    秋花惨淡秋草黄 
     耿耿秋燈秋夜長… 

  紅楼夢の秋窓風雨夕だろうか 
  色づいた落葉が吹き寄せられている。
   ホトトギスも倒れている、 秋草のはかなさ。

     日あたりてけぶりそむなり露葎    青畝

 

   


    秋蝶の使者の如くに園よぎり     泰

  何を知らせに来たのだろう
  日が短くなった。 更新もままならない。

  火曜 万葉講座  清川先生の取材でNHKTVのカメラが入っていた。
  万葉集はひとりで読み続けていたが、 講座の原形は自宅で四〇年以上まえ、 PTA数人の集まりで読みはじめたこと。 
  これは 三つの約束を条件に引き受けられた。
 ・終わりまで続けること
 ・時間を守ること
 ・人の噂をしないこと

  人の噂をしない…  すてきな約束に、 とても感動した。  
  そして約束は守られ 全巻を読了したということ。
 現在も各地で多くの講座と講演をもっている。
  終わりまで続けること…  重く響いた。


  水曜 運動
  木曜 水彩を描く。
  金曜 健診  何ごともありませんように 
  
  

 

 

 

 

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野道をゆけば♪

2010-10-10 | 道すがら

  畑のトランポリン  楽しそうでしょ


  午後から晴れて彼岸花を見にいった。 (見沼代用水) 通船堀西縁は時すでに遅く、新しい花は日陰に少し、 ほとんどが色あせていた。 その代わりすてきなものをみつけた。

 冬瓜やたがひにかはる顔の形(ナリ)   芭蕉

  白粉つけて…
   

          

     
  あたり 一面  朱い花

  

   ぜんぶ マルバルコウソウでした。   


  丈高い  赤まんま? 


  鶏頭の栽培    ここだけ華やいで

       


  コスモスの向こうは  さいたま新都心

 
  街中のより色濃い 紫式部


  埼玉スタジアム2002  ザッケローニ監督の初采配で勝利した
   きのうの熱気がまだ残っている

 

      

 

 

 

 

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よしなしごと

2010-10-09 | こころ模様

      

  雨戸を開けるといい匂い…  
   なにしろ狭い庭に 二本もそびえている

 

  

  二年まえ隅に植えた彼岸花が ことし初めて開花
  球根は一塊になってキャベツほどの大きさだったが
   五本しか出ない
  ここは陽当たりも風通しもよくないからだ
  
          -☆-
  
  

  一雨ごとに涼しくなって 徒然の読書はたのしい。 

  無患子 と 茘枝… が繋がった。 なかなか読めないところも同じなら、  どちらも 
  無患子科の植物で 葉も実もお互いよく似ている(ほろにが菜時記 塚本邦雄)  
 ライチといえばピンとくる。 蔓がつくのはゴーヤ、 ニガウリになる。

 この本は漢字が多い。 読めない字がたくさん出てくる。読めても書けない字もある。 おもしろいので並べてみよう。 
  

  
慈姑 梔子 蕪菁 独活 野蜀葵  茴香   菠薐草   辣韮

  クワイ  クチナシ カブラ ウド  ミツバ   ウイキョウ  ホウレンソウ  ラッキョウ


  茘枝  薄荷  豌豆  石榴  梔子  木通  胡頽子  郁李

   レイシ  ハッカ  エンドウ  ザクロ  クチナシ アケビ   グミ    ニワウメ

 
  郁子は ムベ…  いくこさんにも教えてあげよう。 ムベは、あけびに似て ほのかに甘いジェリー 年中、緑の葉を茂らせている。 


  楊梅   臭橙   朱欒 

  ヤマモモ    カボス    ザボン! と きたので  蛙もドボン!

     由無し言ばかり言ひて・・

  

 

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さいかち

2010-10-07 | 自然や花など

  話しをしながら見あげる先に かなりな莢がぶらぶらしている。
  ずいぶん高いところだ。 
  

    さいかちと黄金色のユリノキ  

   楕円の小さな葉は やはり豆科。

  皀莢 サイカチ  さいかし  角子 サイカチ

  写真に撮して 上ばかり見て首が痛くなった。
 扁平で歪んだ莢のなかに 黒褐色の扁平な種があるそうだ。 下からいくら覗いてみても大樹に莢は数えるほど。 落ちてきたら絶対に拾う。   

    

 いつのまに黄なる火となりちりにけむ 青さいかちの小さき葉のゆめ   

 さいかちの青さいかちの実となりて 鳴りてさやげば雪ふりきたる    北原白秋


   皀莢 棘があるらしいが
 公園の木に見あたらなかった。
  実の写真
 石鹸の代用になる。
    
   

 

 

  石鹸の変わりはもう一種  ムクロジの実↑
  熟すと追い羽根の黒い玉になる 
        無患子と書くのもおもしろい

 

 

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ピコットさん

2010-10-06 | こころ模様

     

  プレゼントの傘は 折りたたみ式  晴雨兼用 UV対応
   共ぎれのエコバッグまでついている 
     それらを畳んで 小袋に詰めるんだって
   なんて気が利いてるんだろう 

   とてもありがたくて たのしくて 
    晴れても降ってもさす有り様で 
     うれし涙も 受けとめる
 
    ピコットさんが 心地よい呼吸(イキ)をした
     ピンクのルピナス… 
    縁飾りは花の粒のような  ピコットだ
     

       


      

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杏子色の夕焼け

2010-10-05 | 道すがら

        

      完成すれば634m  東京スカイツリー   (隅田公園から)
   3分の2くらいが出来ている

 

   

   

  蝦蟇さんのお供で  アクアシティお台場

  

        
 

    
     空に真赤な雲のいろ
      玻璃に真赤な酒の色…
 
   
          美しさに息をのむ夕焼け
 

                                  

 

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思い

2010-10-03 | アートな時間

 1日 東京国立近代美術館 上村松園展 へ 
  (画像 パンフレットより)

  さすがの人気、 空いたところより垣間みる。 素養なしの浅い鑑賞をメモにします。 珠玉の作品を目のまえにとてもしあわせだ。 奥ゆかしい気品高い作品は、 試行錯誤の下絵やすさまじいデッサンから生まれた。 こめられた思いが伝わってくる。 女性のしぐさも香るような、立居振舞いにきっぱりとした爽やかさがあった。 凛としている。 男の画家が捉える美人画とはちょっとちがう。 

 下段右端 「砧」 

  能や古典に学び古典を超えた… 資料をあたり、模写をつづけ、つよい精神力で描いた。 想いはうちに秘めて。 京にのぼった夫のもとへとどける砧の音。 松園は

 地熱のごとき女の愛情を、一本の砧にたくしてタンタンタンと都に響けとそれを擣つところ、 そこに尊い日本女性の優しい姿を見ることが出来るのではないでしょうか…

  「砧」の絵は、いま正に座を起って、夕霧がしつらえてくれた砧の座へ着こうとする、 妻の端麗な姿をとらえたもの (青眉抄)

  画面にただよう詩情。 織って染めあげた布を台にのせ、横槌でコツコツと叩いてやわらかくした。 衣を打つ。 実際、 砧の音を聞いたことはないが想像はできる。 夜寒の侘びしさの感じ きせつの細やかな情感を いままで文学や歌のなかに少しずつみてきた。

 砧を打つ音が静かな夜空に響くのは、よほど人々の感傷を誘ったものらしく…  
  声澄みて北斗に響く砧かな   芭蕉  
  み吉野の山の秋風小夜ふけて故郷寒く衣うつなり  参議雅経
                      (金田一晴彦)
 などもある。 
   砧は 遠くへ思いをはせるような眼ざしでたつ女性像、 ひとり寂しさを抱える両手、 だいじなポーズ。 砧の音は小さくこだまして、 蝋燭の火が震え、 こころも揺らぐ。
 人物は描くひとにかならず似る、 画家自身も 凛として優美
 
真 善 美の極致に達した美人画 に反映しているのだと思う。
 
        -☆-

  
魅かれる作品はまだまだある

 

  晩秋 1943(昭和18年)         夕暮 1941(昭和16年)
       絵葉書から         

  膝をついて障子の切り貼りをする女性、 なつかしい光景だ。 見えないところも見えるように。 やわらかな着物の裾は踵や、つま先などふっくらと包むように隠している。 私には上体とのバランスも難しいところ。 髷をかざる鹿の子絞りや笄コウガイ、簪のサンゴ玉、 鼈甲の櫛

 上唇には薄紅く 下唇を濃く玉虫色にしたところに 何とも言えない床しい風情がある… (松園)

  
口元の紅の微妙なちがい、かすかな色が響きあう。 袖口のさらに淡い杏色も群青に対比している。 こころにくい彩色に溜息が出た。  

   

    
  さまざまな髪型   割れ葱   鴛鴦オシドリ  ふくら雀…・・

    など、  きりがないので この辺まで
  
   詳しくはこちら 

 

 

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