ドアの向こう

日々のメモ書き 

Ripersのこと 

2005-03-31 | こころ模様

 少年時代からの知り合い浜野君が、コミュニティマガジンを(創刊2001・季刊)発行している。君付けで呼べるのは、かれは弟の(私と一歳違い!ここは強調したい)同級生で、昔彼等と私のグループでいっしょにキャンプしたこともあるからだ。
 途中会わなかったが、その間、池袋モンパルナスに出没し、フランスで絵の修行もしたらしい。武勇伝も数々のこっている。かれの自由ないきかたに共感をおぼえた。豪放磊落なところも井の中の蛙の(わたしのこと)あこがれだった。

 「時間も金もムダづかいした人生」とおっしゃるが、むだな時間などあるだろうか。ながき流れを振りむけば、人生に無駄などありません。そのとき意義を見いだせない時間も、何かしら得ているはず。そのことは、あとで必ず花ひらく。彼の人脈、毎回登場される方々を見ても圧巻です。すてきな彼に共感する人がこれだけいる。蛙には高らかな応援歌がきこえる。

 ライパーズとは… 熟した・Ripeからの造語で、熟達、熟練、熟年のアクティブな円熟の人たちという意味だという。彼はつづける「Ripe熟するとは 単なる肉体の老化ではなく、いろいろなことが見えてくる、分かってくる、味わえてくるなど内なる心のプロセスが高まってくること」

 これはそのまま清川先生の教えにもかさなる。
 ほんとにそうだ。たとえば以前読んだ本も、読み返してみると、こちらの興味のエリアもふえ、経験もふえ、なにより深く味わえるようになっている。いまの自分を確認できる。なんと、うれしいことか。
 
 Ripersは、(以下巻頭より引く)さまざまな分野で活躍中のかたがたが芸に生き、匠に生き、商いに生き、趣味に生きる円熟の人生を語る。知らなかったことを教えてもらう。人生を教えてもらえる。
 最新16号に芳賀徹氏も登場された。 蛙が目覚めた一冊 「詩歌の森へ」はなんども読み返す。そのたびに新しい発見がある。日々、こころときめく。

 ここまで書いて、改めて人との出会いの不思議さを思った。みんなどこかでつながっている。どこか似ている。 …蛙があこがれる方たち。
 
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モリゾと赤い花

2005-03-28 | イーゼルのうた

 マネのまねして「すみれの花束を持つベルト・モリゾ」を描いた。つまり模写をした。
 ベルト・モリゾは印象派の女流画家である。のちにマネの弟と結婚する。

 芸術家がえらんだ個性的でおしゃれな帽子。ターバン風のそれは、モリゾそのひとの心の動き、表情をあらわすようで、たのしく描いた。小さなすみれの花束は、黒いドレスの胸元に、とけるように、ひかえめに咲いていた。持つというよりコサージュふうに留めてある。下地のいろを部分ごとに変え、さらに赤を掛けて、上質な黒を出すのに苦心した。
 対するマネの気持ちを、なぞる思い。とてもいい時間でした。描きあげて部屋に飾りました。

 ある日、キッチンから居間の絵を見ると、まぶしく赤い花が、モリゾのまえに浮かんでいるのでした。黒い瞳にマッチして、はっとする美しさ。思わず立ちどまって眺めました。いきいきと、花は輝く朱色で、存在を主張します。…ちょっと考えました。
 
 それは、日射しのかげんで外の鉢物が、部屋にかけた額の、ガラスに映り込んでいるのです。小さな驚きは、私をとても幸せにしました。遠出もできないけれど、なんていい日。赤いゼラニュウムに元気をもらいました。
 マネを見つめる信頼の瞳は、まいにち私を見ています。
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小さな絵

2005-03-24 | イーゼルのうた

 先週描けなかった絵をかいた
 あたらしく用意した枝には つぼみがふたつ
 花びらに話しかけ、蘂や花粉の、葉の、枝の
 それぞれの想い、きもちを込めよう、
 そのうち
  おのずとできあがる筈なんだけれど
 
 3時間、のびやかにしあげる
 今日はここまで
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落日

2005-03-20 | こころ模様

 墓参りをした。ふだん会うことのない従姉妹たちと、幼き日のおもいでにひたる。いなごとりや、川遊びのあとでよく見た、火のようで重たげな夕日は、いつも心に残っていた。

それを呼びもどすような文章にあった。
 小出楢重随筆集のなかで父のことが披露される。

「落日を見よ! 一年中で最も大、かつ美しい。 じっと見てるとキリキリ舞おうが…」
 父は息子に彼岸の中日、とくに大きく燃える落陽を、このようにとらえ話して聞かせる。
 
 父親と太陽が、偉大な存在としてかさなる。 私は、顔も思い出せないそのひとに会うような気がした。これを読んで、彼岸をたのしみに待った。

 「じっと見てるとキリキリ舞おうが……」  夕べの陽は心のなかで燃えつづけている。

 写真:TBされていたのでお邪魔しました。沈み往く夕陽には未来を感じます
落日を見ながら明日を望みます だから夕陽が好きです
 2月に写した落日ですがもしお好きなら 2005-03-22 23:24:40
  beru さんからいただいたものです。
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ごめんなさい

2005-03-18 | イーゼルのうた

 今週は椿を描くことになっていた。花は私が用意する。ヒヨドリが来るので、白い花びらは傷つき、茶色いすじが縁にも外側にもたくさんできている。なかなか美しいしろが探せない。白と言ってもあたたかみのある白。大きな花をみつけ、丈もみじかく切り、藍のもようが気にいりの大鉢に活けてみる。
 反りかえり、ひかる濃いみどり、革のような葉っぱ。ぽってりとあかるい花、直径10センチくらいあるだろうか。茶筅のような雄蘂の先につぶつぶが踊っている。はしゃぐ黄色がアクセント。その風情にわくわくした。いい絵になりそう。

 見ていると、花は重みでぐらり揺れ、じぶんで位置を決めた。ふいに胸を突かれる気がした。
 
 小雨のなか、いそいそと出かける。
 いつもの部屋、いつもの仲間、イーゼルを立て一式ひろげ描きはじめた。すると、ノックとともに男性が部屋を覗く。「あっ!まちがえました…」。しばらくして、また別の男性が、「おっと! 失礼しました」とおどろいたようす。つぎつぎと5人くらいの方がおなじことを繰り返した。
 
 「あのうー、す・い・ま・せん。下の掲示板では、この部屋は私たちが借りることになっていますよ。」
 びっくりした。そんなはずはない。「毎月、第2と第3木曜はこの部屋をとっています」と自信たっぷりで答える。「でも、念のため…」と言い置いて、階下のパソコンで確認すると、ほんとうに! 今週は予約されてない! 「ごめんなさい」「申し訳ありません」 ひたすら部屋をかたづけ退散となりました。

 会場取りもわたしの役目。それにしても、みつきまえの申込み。その時点で、ほんとうにとれたか、いつもなら確かめるはずなのに。なんという大失敗! ますます小さくなって、こんどは仲間におわびした。
 「ま、こういうこともある。たまには… 私も最近、おなじようなことやったばかり」「こんなことはじめてね。たまたま…」となぐさめられた。だいじな時間、愉しみに出てきたろうに…
 あいた時間、それぞれが失敗の自慢をする。こちらの非をなだめるような、やさしいことばだった。
 すてきな仲間がいて、洋画は30年も続いている。

 自信が大きく揺らいだ日、つくづく過信はいけない。
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いとしき同居人

2005-03-09 | 犬のブロンコ・ダン

 トイ・マンチェスター・テリア 
 Iさん宅から、上着のポケットに入ってやってきた。手のひらにのるあいらしきサイズ。一晩だけ鳴いたが、すぐなれた。生後1ヶ月で親犬と離れ、習わないのに厳然と犬の暮らしがある。かしこいなぁ。家族全員とりこになった。

 いっしょに暮らして17年、ひとで言えば100歳近い。人のまつげくらいの毛は、黒いビロードのような光沢、声も大きく立派なガードマンぶりは今も変わらない。
 走る姿はサラブレッドのよう。
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