ドアの向こう

日々のメモ書き 

石山寺・信楽・近江八幡・多賀大社

2007-07-23 | 道すがら

   石山寺 
   本堂・多宝塔・東大門・鐘楼  由来は幾重にもなった天然記念物の硅灰石による。下の写真
         
  白い石の 長い道と  楓のみどり。  お待たせしました。  
  7月19日(木) 蒸し暑い日だった。 風がまったくない。 苔のみどりも雫にぬれて、 涼しげだが汗がどっと流れる。 「さすがに、暑いですね…」 どの顔もそう言っている。 盆地の夏を体感した。
 噴きでるものをぬぐいながら、 シャッターチャンスをねらう。
 

硅灰石    芭蕉庵から瀬田川の眺め

 石山寺は 多くの文学作品に登場する。
 
蜻蛉日記に 「…たヾこのころは異事コトゴトなく、 明くれば言ひ 暮るれば嘆きて、さらばいと暑きほどなりとも、 げにさ言ひてのみやはと思ひたちて、 石山に十日ばかりと思ひ立つ。 …」
 
 心の晴れないときは寺に籠もる。 瀬田川の風情が心を慰め、 鎮めたに違いない。 思索にふけり 構想を練ることもある。

 源氏の間  紫式部は一週間ほど滞在、 この部屋から月明かりの河原を眺めたりして、 白砂青松の須磨 ・ 明石に思いを馳せたとか。 
  帰りにただひとつ お願いをしてきました。  どうか かないますように 

月見亭    源氏の間

  「石山の秋月」  芭蕉庵の 瀬田川を見下ろす月見亭 
  「瀬田の唐橋」 も ここからは、 現代の橋が邪魔してよくわからなかった。  

       石山の石にたばしる霰かな  芭蕉 

  石の上に霰が降りそそぐ 小さな粒があたりに飛び散って。 薄墨の石と霰の白さ、 冷たさ、 硬さ。



  信楽

  信楽とは 紫香楽シガラキの宮から。 ときどき 紫香楽…何某の看板が見える。  ゆるやかな傾斜を利用した登り窯が堂々としている。 信楽焼は狸だけではない。 陶板や花器、カップ、茶器、 浄水器など。 蛙の置物もある。  

  

 

  近江八幡市 資料館 旧西川家住宅  旧 伴家住宅

 郷土資料や民俗資料が見られた。 近江八幡開町の歴史  商人の暮らしぶりなど。 なかに

  着物も展示されている。 黄鐘オウジキ (志村ふくみ)
  淡い色のグラデーションが繊細、 薄いブルー、けしむらさき、寂しげな青がくりかえされ 仄かに揺らぐ、 鐘の音を聴くように、 余韻は静かにつづく。 色と織りの音色。 何気なく入れた経糸タテイトに 思いがけない効果が生まれる、 と。 

 絵を描くように。  ドキドキしながら。 絵の具のような糸、 その色が響きあう。 
 微妙な色の違いを  作家は
  音で言えば半音のピンク、 淡い影を帯びている。 甘い色ではない…  
 また 
  一綛ヒトカセの絹糸を掌にすればあたたかく 、そっとにぎりめると、 内からの力がかえってきます。 糸は生きていて、私に答えてくれます。いとしいとおもいます。 抱きしめたいほどいとしい…   と。 

  写真を撮ったが、 ショーケースの硝子が反射してうまくいかなかった。  筬オサをうつ手元が浮かびました。  

  湖の水が町の中を潤し、ひっそりと、その文化を守っていた頃の近江八幡で、私ははじめて織の道に入りました。今 この町は 生まれ変わったように生き生きと新しい文化を育みつつあります。それが表面だけのものでなく、湖水の浸透が緑の盆地を豊かにつちかってきたように、自然に、深く近江の地に根ざすものとなりますように、願っております  「近江を想う」 志村ふくみ

   

    

   日牟礼八幡宮  近江商人の守護神  

                
  多賀大社 

 もう、 ヒグラシが啼いている。 ひっそりとした森に精一杯、 それすら寂しく響いてきた。 
  琵琶湖周遊もこれにて終わり。  

    お伊勢参らば お多賀へ参れ お伊勢お多賀の子でござる
      お伊勢七たび 熊野へ三度 お多賀へは月詣り 

   「伊邪那岐大神は淡海の多賀に坐す」(古事記) と。
  

 多宝塔は切手にもなった。  名物  糸切り餅  みすじの色糸。 

万灯祭の準備中  莚命長寿の神様

多宝塔  太閤橋「気をつけて!」 

   米原より新幹線にて。
    

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竹生島・白鬚神社・延暦寺

2007-07-23 | 道すがら

湖西 竹生島 7月18日(水)
 緑樹の影は湖面に沈んで魚も木に登り、月の兎も波間を走る。面白の浦の気色や… 謡曲 「竹生島」  

 木に登る魚、 波間を走る月の兎、 幻想的だ。 島に案内したのが竜神と天女で…。  
 ここは信仰の島。  人は住まぬらしい。   

 宝厳寺ホウゴンジと都久夫須麻ツクブスマ神社があり、 双方を 重要文化財の「舟廊下」 で繋ぐ。

  この神聖な場所で、 鵜が殖えすぎて大問題になっている。 捕獲したり、 ネットを張ったり、 撃ったりした。  生き物は対策もむずかしい。 こちらは、 爽快な気分の一見の客。 舳先を、棹サオになり、かぎになりしてゆくさまは 面白の浦の景色であった。  島に近づくと、 天辺で木が枯れているのがみえた。 

    

 
   



 白鬚神社   近江最古の大社。

 白鬚神社は比良神社ともいう。 清楚で美しい。 背後に比良の連邦がひかえる。
 抜群の見晴らし。 歌が多いのもうなずける。  湖面に朱い大鳥居の影が揺れる。(②の写真) 
 鳰鳥(ニホトリ カイツブリの古名) がのどかに泳いでいた、 芭蕉の句にもある。
 
   ☆  与謝野寛・晶子 歌碑
 しらひげの 神のみまへに わくいづみ   これをむすべば ひとの清まる
                           
上の句を寛(鉄幹)、下の句を晶子

 揮毫は寛の手であり、全国に60余基ある与謝野の歌碑の中では最も古いものであるといわれる。
                      
 ☆  松尾芭蕉 句碑    四方より 花吹き入て 鳰の湖 
 ☆  紫式部 歌碑
       みおの海に 網引く民の てまもなく 立ちゐにつけて 都恋しも
 
   謡曲「白鬚」は、白鬚神社の縁起を語って祝言を述べる曲である。

   



 世界遺産 比叡山延暦寺

  鬱蒼とした森、、 緑が洪水のように押し寄せる。  無量のみどりと その匂い。 とうとう比叡の山に来た。  木霊を感じて仰ぎみる。  整然と立つ 樹木。 ウグイスの声がする。  いつまでも佇んだ。 

  根本中堂で講話あり。 1200年間  朝夕2回 灯心に菜種油を注いで、火を絶やさず。
  摂取不捨セッシュフシャ の教え

  

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水のへに

2007-07-23 | 道すがら
 

 海は 水うみ  寺は 石山…   
     一息いれて  これから琵琶湖づくし。
  7月18日 晴ときどき雨  彦根港より竹生島へ向かう船上から。 
 ゆたかな水、 湧き起こる浪、 散らばる波、 ささやく波、 転がるnami 波、 揺れる波 あふれつヽ
 広々と…  羽二重の風、 息をする水面、 海鵜のダンス、 青鷺と、 風の匂い…  
  小雨の竹生島から、 船は西の海津大崎港へ  車で 白鬚神社  比叡山延暦寺へと南下します。   

   気色のみ、
   風にのみ
   言づてむ、
   この匂を。

   水の上(ヘ)に
   ふる雨の
   しばしばも
   輪に点(ウ)ちつつ。
        -略-       北原白秋 

 

   ①  ②
  ③   ④

① 長浜市大島町 ホテル9階から望む琵琶湖 
② ③ 白鬚神社より望む琵琶湖    
④ 吉井勇があこがれ、 夢見ケ丘と呼ぶあたりからの眺め。
  
比叡山ドライブウェイ走行中に撮したもの  近江大橋と大津プリンスホテル(円柱形)がみえます。 手前は大津市
   
     
 
山もよし みつうみもよし うつゝなる 夢見の丘に たゝすむわれは     吉井勇 
   

                   -☆- 

  近江八景 どれもかなわぬが、 石山と瀬田には立ち寄る。 ただし、昼間である。 
  お月見も、 夕映えもない。
  三井の晩鐘、 石山の秋月、 堅田の落雁、 粟津の晴嵐、 唐崎の夜雨、 瀬田の夕照、 矢橋の帰帆、 比良の暮雪。 
  歌人が選んだ名勝を 季節をかえて訪ねたい 

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彦根城・玄宮園

2007-07-23 | 道すがら
  彦根城  玄宮園  7月17日(火)

 重要文化財  天秤櫓 

  廊下橋を中央に左右対称。 この櫓は、豊臣秀吉が創築した長浜城大手門を移築したといわれているもの、天秤の様な形。

  この形は、わが国城郭のうち彦根城ただ一つといわれている。

国宝・彦根城

井伊家35万石のシンボル

築城400年祭:11月25日迄

 天守の1階から3階まで、ぐるっと廻った。急な階段に驚く。 廊下壁面に鉄砲狭間や、弓狭間がある。 丸瓦、和釘、扉金具など江戸時代の建築資材など展示

 天守閣 北側からの眺め
 
  眼下の彦根市、 町外れの右手に、
 琵琶湖がようやく望める。 

 他 太鼓門櫓 ・ 彦根城博物館 ・ 埋木舎(ウモレギノヤ)は、井伊直弼が17歳から15年間過ごした家。 映画「蝉しぐれ」にも 映っていた。 表門南側、外堀沿いの「いろは松」のこと。

 

 玄宮園 

 4代藩主直興が造営。
 見上げると天守閣が見える

池泉回遊式庭園。

  別名八景園という。

琵琶湖を模して造られた池

 
  小雨が降っている
 お客を迎える大名の日常が窺える。 池には琵琶湖の水を引いて。 四季を彩る花々。     

  睡蓮が咲いていた。

 

 奥は鳳翔台  風流な茶室

  庭園をゆっくり鑑賞できる  

 

 


 お城の天井にも 歴史を感じる。
複雑に組まれた梁。 スローペースの旅のご案内は 初日のこと。
 琵琶湖はまだまだ  遠い…
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琵琶湖へ 伊吹山

2007-07-22 | 道すがら
     オオバギボウシ

  伊吹山  7月17日(火)
  岐阜羽島からバスに乗りかえ、山に向かう。 途中から雨。(標高1377メートル、日本武尊が山の神との戦いに敗れ傷を負った地。 源氏物語(関屋の巻にも出てくる)との予備知識。

 靄がかかってほとんど見えない。対向車があっても直前でやっと気づくくらいだ。不安になる。 それでも山につくころ雨があがった。 「奇跡的に」 を連発し、 ガイドが気勢をあげる。 旅の初日、 初めて出会うひとも こころをほぐした。

               

 霧のなかで高山植物が顔をのぞかせる、ニッコウキスゲ、 ミヤマコアザミ、 ハクサンフウロが微笑む。 赤まんまのようなイブキトラノオ。 カラスノエンドウによく似たクサフジの薄い藤色。 ホタルブクロの紫、白など。 古代人が繊維にしたと読んだ気がするアカソの群生。 シモツケソウ、 ヤマアジサイ。 黄色の小花が塔のようなメタカラコウ


 圧倒するグリーンの中で、 どれも落ちついた色を奏でている。 

    

  ミヤマトウキにも惹かれた。 ひときわ高く、乳白の花火か、それともレースの傘といったところで、 たくさん掲げていた。 香りがするのだろうか、 蕾には昆虫が群がっている。 写真は おなじ花だろうか。 蕾だと思うが ようすがおかしい…

  けむる緑と小さな花が彩なす山、 草木染めの布そのものだった。 やさしい色の濃淡が、 心から出迎えてくれている。  志村ふくみさんの 「伊吹の刈安」 は、 いまの時季どんな姿だろう。 すでに穂は出ているのだろうか。 すすきに似て、地味な細い線だ。 刈安で染め、 藍をかけると緑が生まれるという。 探したかった。  
  かくとだにえやはいぶきのさしも草 さしも知らじな燃ゆる思ひを  後拾遺集  藤原実方

 西側遊歩道より山頂へ、 山小屋も日本武尊像もよく見ないで降りた。 所要1時間余り。 霧につつまれ何も見えない。 琵琶湖は どこに…
 晴れていれば こんな具合。 詳しいサイトへご案内します。  

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六日の菖蒲

2007-07-21 | 道すがら

  長いことご無沙汰いたしました。 
 写真を撮りすぎまして、吟味し選ぶのも大変です。
 ご迷惑をおかけしますが、 もうしばらくお待ちください

  六日の菖蒲か、十日の菊か…  十八日京都入りのツアーです。 目的はただただ琵琶湖を見んがため、 伊吹山から、彦根城から、竹生島につくまで、延暦寺への道、石山に詣で、 琵琶湖、水うみ… 満足なのです。 水辺だいすき!

  祇園会にも いつか きっと…。 
   遙かに みずうみ  宵待草のやるせなさ…    開店準備中!

 

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わすれ草

2007-07-06 | 自然や花など

  桜並木の下、 斜面に花がいっぱいです。  どこまでも続いている。  思わず車を止めて。  
  花の時季に通ったことがなく、 今まで知りませんでした。 

  多分、 ずっとむかしから、 毎年忘れず、 黙って咲いていた藪萱草ヤブカンゾウです。  花は一日でしぼむので   day lily の名もある

 

     雨に濡れ、 鮮やかさも増している。  きれいね!

   萱草ワスレグサわが紐に付く香具山の古フりにし里を忘れむがため  大伴旅人   

  この花を身につければ憂いを忘れられると信じて…  異郷にあって、 哀しい努力をしたのですね。 

   花萱草青野の青をさそひだす       甲子雄  

    朱いろも みどりも 冴えざえとして 

           -☆-

  きょう 見たからって、 忘れ草のことは もう忘れません。 来年も真っ先に見に来ましょう

  と思ったら  側にこの立て札。 ナルコユリがあったのかも知れないけれど、 地味で小さいから見落としたか。 
              

  まちがいなく  ヤブカンゾウですよね。    右は おまけの琉球朝顔

            

     7月6日は フリーダ・カーロが生まれた日 たいせつな日を忘れていました。
 うしろの正面さん のおかげでわかりました。 ご本人の写真もありがとうございます。  

 

  

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ある時間

2007-07-04 | 道すがら

  民家園から北へ車で10分ほど移動した。  スロープを歩くと、 木の間隠れに 斜面林を背にして重厚な屋敷が見える。  絹糸のような雨と、 七夕飾りが出迎えた。

  ここは 旧坂東家住宅   ~昔の家・昔のくらし~ がわかる。
  木造平屋、 寄棟、 茅葺、 床面積87坪(約286㎡)。 解体時に発見された墨書銘から、 安政4年(1857)に建てられたことがわかる。  この地、加田屋新田を開発し、 見沼代用水の見回り役や名主役などをつとめた。 式台(玄関)をもつ格式の高い住宅である。 
  土間、上がり框、 襖変わりの板戸、 欄間のかざり、 長持、 タンス。 長い廊下。 奥座敷。  住宅解体後の発掘調査で、 三島手象嵌土瓶 に入った一分銀400枚(百両相当)が座敷押入下の土中より見つかった。 それらも公開している。 写真はこちら  

 囲炉裏に火が入り、 煙がたちのぼる。 つられて天井を見あげる。  屋根裏に煤竹ススダケがみえ、 古い家を解体するときけば、 骨董屋や竿師や指物屋さんがやってきたことなど思い出した。  永いこと煤にあぶられて堅くしまる、 弾力もあるので釣り竿に適している。  強度を増した竹の、 飴いろの艶も、 得も言われぬ彩りなど魅力的で、 篠笛や花入れとしても利用される。  たのしき話が延々尽きない。 とんでもない方向にとんでいる。 

  我が足裏もはっきりと、 土間のタタキを覚えている。 凸凹が土踏まずを刺激して気持ちよかったこと、 夏のヒンヤリした感じ。  いとこ達と裸足で駆けぬけた日々を懐かしむ…  青いアーモンドのような榧の実も、 雨にぬれて光っている。 屋敷の周りをめぐった。  厠、 湯殿、 勝手、 味噌部屋、 厩、 薪小屋  …

  それにしても、 みごとな笹飾り、 真菰を編んで
つくる一対の馬も、 くす玉も、 折り紙も…… 

  ☆ ☆ ☆

  7月13日から8月15日まで
  「坂東家の盆棚飾り」
 (併設の 見沼くらしっく館)

   あの、 精霊棚だろうか 
  楽しみにしている

 

                     カヤの実  

   

 

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蓮華

2007-07-04 | 道すがら

  
  雨で、 衝突しそうなふたりが民家園にいく。 江戸時代の建物など7棟、 移築復元した野外博物館である。  寄棟茅葺屋根の長屋門など郷愁を誘った。 
 そして、 池一面に古代蓮が咲いている。  

 

              

    
  初夏のころ、 蓮はその宿根から若葉を出して、 うすい緑色の葉を水面に張りつけたように浮かべる。 銭葉ゼニハともいう。  やがて、 水面から茎が立ちあがり、 巻葉(細く巻いている) となり、 のちにひらくそうだ。  知らなかった蓮の手順を、 リプレーするように味わった。  
   

        浮葉巻葉立葉折葉とはちすらし         素堂
        波なりにゆらるゝ蓮の浮葉哉          子規

 
(季語… 蓮、 蓮華、 はちす、 蓮の花、 白蓮ビャクレン、 紅蓮ベニバス、 蓮見、 蓮見船、 蓮池 

 

           

 

   黎明の雨はらはらと蓮の花        虚子

  匂うような花びら…  なんとふさわしい微雨。  やわらかく煙るようだ。  蓮華座に微笑む。 
  ここに 来てよかった。
  雨は、 葉のうえで 休むと水晶珠になった。  風がそよいで、 扁平な楕円になり、 不安気なレンズができた。  そこに、 梅雨空も、 今朝の気持ちも、 写している。 
  
  こぼれ落ちる花を拾いたいが、 足場がぬかるんで。  見渡すと、 小さな種が青い蜂巣に、 できかかっているのもある。  秋になれば黒い実をとって食べたね。  遙かむかしに。 
  民家園と蓮の花。  こころもいつしか解けている。 ここから 坂東家は遠くない。

 メモ ・旧浦和市農業協同組合三室支所倉庫 大谷石と漆喰の土蔵造りの石蔵。 大正8年   ・旧高野家住宅  煎餅店 江戸末期  合理的な型抜き器、 転がすだけで何十枚も一度に型が取れる、すごい! 焼き網。  ・旧綿貫家住宅  雑貨や砂糖など扱う店 江戸末期~明治初期  虫籠窓が特徴。 母もここで砂糖を買っていた。  ・旧野口家住宅  田の字型四間取り。 ・旧武笠家表門 天明3年(1783)、今から224年まえに建立。 ・旧中島家穀櫃  内部を3等分に仕切り、 落とし板をスライドさせて収納する仕組み 江戸後期  見たことがある。 ・旧蓮見家住宅 約250年前に建てられた、さいたま市内で一番古い民家。 江戸中期。 「ししまど」という格子窓は 猪などが入らぬように。

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