ドアの向こう

日々のメモ書き 

小晦日コツゴモリ

2009-12-30 | こころ模様

  黒侘助

   去年のいまごろ おせちの用意にこころは重く
  退院したばかりの人と 除夜の鐘を聴いた

     漱石が来て虚子が来て大三十日      

   子規の句が胸にせまる

   健康っていいな   ありがたいな
       感謝しながら 存命の喜びを味わいたい
       

  

    新しい九谷の絵柄は 椿に鳥   Yのすきな翡翠だよ
    お皿のために 料理も張りきった

    

      

         

    小さな鉢植え… 管理人が選んだ
     空いた日は  シクラメンの絵を描いて  
        闘病中の妹と 寄り添う弟に とどけたい

               -☆-
   
    皆さまも どうぞ良いお年をお迎えください
     一年間 お立ち寄りくださいましてありがとうございました

 

 

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とみこうみ

2009-12-28 | こころ模様
   小鳥のさえずりは朝の音楽
   クラリネットやピッコロで…  メシアンの曲が流れてくる
 
         

      見えかくれ居て花こぼす眼白かな     風生
  
   
サザンカの葉も動く


 

  こんなに膨れて  水浴びしたばかり 
           日向でのんびり乾かして   キョロキョロしたり  

  

     行水やら うがいやら どちらも あわただしく暮れる  

           -☆-

   ゆうべ一雨あったらしい。 けさは空気がしっとりしている。 
  
  
野末から野末へと林を越え、杜を越え田を横ぎり、
   また林を越えて、しのびやかに通りゆく…   「武蔵野」

   なにも知らず寝入った。 
   陰で黒侘助が二つ三つ咲き出した  これはちょっと早い。 
   歳末だけどあたたかな日。

              

    カレンダーを変えて いよいよ大詰め。 来年も 左見右見して

     楽しいことが たくさんみつかりますように…        

          

   

 

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数え日

2009-12-26 | こころ模様
ケーキの名前は「クリスマスプレゼント」

  あと幾日とかぞえてはあわただしく  
  かたちばかりのクリスマス

  イブの前日  病院に伯母を見舞った  
  老いが 身近になった
故郷で守られていたと  ありがたく思った

      

少しずつ  おせちの用意
    丹波黒豆300g  

  

   6時間かけて煮含めた  

 

瓶詰めにして贈ろう

伊達巻 松風もつくる

 

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かすかな情感

2009-12-25 | アートな時間

 埼玉県立近代美術館 小村雪岱とその時代   
          2009年12月15日(火)~2010年2月14日(日)

  以前、常設展でご紹介した郷土ゆかりの画家 小村雪岱です
   (1887明治20年川越市~1940昭和15年、東京都千代田区)。 
  彼のモダンで繊細な作品が好きだ。  今回は、 雪岱を中心に橋口五葉の装幀など。 雪岱が夢幻的で清らかな美しさに魅せられたという鏑木清方の「註文帖」(全13点 泉鏡花の小説をもとに制作)と 雪岱の註文帖模写も並んでいる。 紗をかけた贅沢な空間でゆっくり鑑賞できる。
 ほか、 同時代の竹久夢二  岩田専太郎、 志村立美、 小林秀垣らの挿絵など比較しながらみせる。 
  

 私は個性のない表情のなかにかすかな情感を表わしたいのです 
  かすかな趣を浮かび出させたい… 

  これぞ雪岱  雪岱が描く粋で細緻なせかい、 かすかな情感を読み取りたい  

第1章  粋でモダンな東京で-資生堂意匠部時代

マッチラベルの展示はありません

  東京美術学校在学中の習作 「秋海棠図」
  「唐津くんち」 「春昼」 蝶が舞う幻想的な光景

  「香水 菊」 ガラスの香水瓶、瓶のラベルと菊の図案、 デザインは雪岱と確定されている。 アールヌーヴォーやピアズリの影響がみられる。
  「資生堂関係者の集合写真」 
  雪岱は、その絵のように涼やかな顔立ちでうつっていた。

 

  

 

表紙

第2章 「日本橋」
-装丁家・小村雪岱の誕生


  雪岱が憧憬する泉鏡花の小説「日本橋」、 この装丁に始まり鏡花本の殆どの装幀を手がけた。 書籍がたくさん展示されていてうれしい。 

 細緻なること春信に過ぎてゐる     鏑木清方 
 袖の中に入るほどの小形の本… 袖珍本シュウチンボン
  表紙は絹の裏打 木版多色摺りの装幀。 細かいところまで凝っていて 工芸美術のようだった。  念入りに見ておきたい。 
 表紙は 並び蔵に出舟入舟、 乱舞するのは…

 

 

 

 

見返し(表

 駒下駄ならして路地の細道に立ちあらわれる芸者が仰ぐ星空と、 中天にかかる白い月。 蔵の窓から そっと覗いた隣家の青柳、 座敷に置かれた三味線と鼓。
 雪岱のえがく絵は 鏡花えがく小説同様に、すべて羅曼主義の色彩を深く帯びていうにいわれぬ哀愁のはかなさが底に流れ、見るひとの心をうち、他面、
絢爛として華やぎ、美しさは比類もなかった。 「星川清司著 小村雪岱」

見返し(裏   

   
第3章 白と黒の美学-「雪岱調」、挿絵界に新風

  春告鳥  雪岱の美人画 「春告鳥」 

   「見立寒山拾得」 
 ふつうは隠者がふたり ここでは 女性ふたり 落ち葉に筆で 詩でも書いているのだろうか 

  邦枝完二作「おせん」 挿絵 小村雪岱。  昭和8年朝日新聞に連載された時代小説。

  舞台は江戸の明和期、主人公は笠森稲荷境内にある水茶屋の看板娘 おせん。往来で彼女に言い寄る若旦那の徳太郎を振り切っておせんがにげる場面。 頭巾を被っているのがおせん。 桐油合羽トウユガッパ(桐の実の油を引いた紙で作った雨コート)を纏っているのが徳太郎。(美術館絵葉書 解説から)  

 強い雨が降りしきるなかの 緊迫した光景、 雨音は臨場感をさらに盛り上げ、おせんの動悸に重なってくる。  徳太郎 すぐ近くにいるよ
 蛇の目の渦巻 ランダムな配置  強い雨脚… 黒い線描き  余白の美。 モダンなアート。


   青柳 「青柳」  彩色 絹
  これは新派の舞台をみるような心地がする。 
  座敷の奧を俯瞰する、 三味線や鼓が置かれ今しがたまで人がいたに違いない。 春の柳がそよそよ吹かれ、 まもなく主は戻ってくるのでしょう。 留守模様。 どことない寂寥感。

   「雪の朝」


第4章 檜舞台の立役者-名優の信頼を集めて

 「河庄」      
  
    舞台装置原画  「源氏物語 葵の巻」 「すみだ川」


                            

     「一本刀土俵入り」 模型  

  雪岱の挿絵が小説を引き立てるように、 装置やセットが俳優を生かし芝居や映画の雰囲気を盛りたてた。 たとえば背景の松など役者を大きく見せるように構成され俳優の信頼もえた。

 装置考証書留帳… 雪岱は台本を精読し大道具、小道具、衣裳、鬘など内容やそれぞれの人物に合わせ考証をかさねた。  図入り、びっしりと書き込みあり。衣裳のデザイン画など。  

  装置は舞台に隠れてしまうのが最上のもの、 どこまでも背景にならなくてはなりません。それでいて充分に情景が点出しうる技巧が、 装置者の腕であり苦心でありましょう   雪岱

 新派の舞台はTVで。 祖母のかたわらでよく見たものだった。 花柳章太郎の女形に釘付けだった中学生の頃。  雪岱の舞台装置だったか。     

      -☆-

  買い物ついでにあわただしく見たので心のこりだ。  もっと静かに向き合いたい。 心にしみ入るような、 かすかな情趣をていねいに受けとめたい。 

  新春に もういちど。   

  (資料・画像は チラシ 絵葉書 など)  
 メモ  鏑木清方記念美術館    
      曲亭馬琴

  

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冬の詩

2009-12-21 | こころ模様

 ・ 寒い日が続いた
  北風がうなる夜更けに
  木々は衣をすっかり脱ぎ捨てて  
    まるで 箒のようだ

  ・ ふくらんだ封筒に
    奉書に包まれ
     花束のような野菜たち
    
  畑から採ったばかりの
  瑞々しい スズナ春菊サラダ菜
   土の匂いがした
   
   心溢れる手紙を読みかえす


  ・ 生姜のキャラメルティー
    胡桃と小さな女の子 
    マーブルパレット 
    好きな封筒とりどり 
    カエルのシール…
      まだある いろいろ

    気の早いサンタだ
   楽しい手紙が微笑をさそう

         -☆-

  私の懸案…  スポーツ
   こちらはどちらも液状化… 脳もからだもよ
    ムクドリのお宿は 大楠の樹…   つきないお喋り
                   
         -☆-
  
  友だちはいつでも心にいて  近いけど  群れたりしない
    いい距離感だ  

       

             


  ・ 検診結果に一喜一憂   再検査… 
     何ごとも無けれど かれいなる言葉に動揺する冬  
    あぁ…   華麗なる人生よ

 ※ 漢字変換  かれい…  鰈 佳麗 鹿嶺 加齢 華麗 家令 家例 家隷
                   嘉礼 嘉例  餉  苛令

       

 

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思い出すのは

2009-12-18 | こころ模様
 自分でもとくに楽しかった記事、思いがけない出会いなど振り返ります
  テーブルの練習です

  
☆-楽しい写真-☆
<
<<<<<<<<<<
  ゴッホに出会う旅だった柳の眼と心 ロダンの彫刻抱くときは  沼のカルガモ 子だくさん rugのこと 尽きないネ
  書くのも楽しかったよ
弟が咲かせる薔薇のはな
 
泰山木 大山蓮華 朴の花… どれも大輪 
 香気ある色もすき
  これはやっぱりワイエスだよくぞ お出でくださった
 あれからどうしているのやら
トランプに 閉じこめておくプロバンスご本人から コメントが…
 夕刊を広げて二度ビックリ 
 blogのふしぎを うれしく楽しく受けとめる
<
<<


 
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無題

2009-12-16 | こころ模様

       さいたま新都心

  本の内容ではなく  「タイトルだけ大賞」 を決めるそうだ。
  あなたはタイトルに魅かれて本を買いますか
    タイトルは  中味を想像させ 
     作家と結びついたときに輝きを増す と。 (NHKラジオから)

  

   最近の本は やたらタイトルが長い  読んでいない本の数々…

  数字を見るとおなかが痛くなる社長のための決算書の読み方
  さおだけ屋はなぜ潰れないのか?  身近な疑問からはじめる会計学 
  なぜ、白ヤギの手紙は黒ヤギに読まれなかったのか?
  きみは白鳥の死体を踏んだことがあるか (下駄で)  
  なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?
  夫のハゲはなぜ癇にさわるのか?
   
            -☆-

暖・小野養豚ん(回遊美術館) 調べると過去にも 漢字二文字か四文字が多いなかで 長いのもあった 
  長いと言っても これくらいで

      坂の上の雲… 
      吾輩は猫である 
      桜の実の熟する時  
      猫と庄造と二人のおんな
      注文の多い料理店  

 今までタイトルに絵をむすび 詩情を感じていた
 一行が心をとらえ 深遠な思想もすけてみえるようだった

   blog  コメント 絵  写真  自分の作品にタイトルは不可欠
   タイトルは だいじ…  タイトルが決まれば あとはスラスラいく   

 (写真 さいたま新都心 12/15 16:33  
     回遊美術館 暖 小野養豚ん(ポリエステル樹脂 インスタレーション)     

  

 

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エス君の靴

2009-12-13 | 犬のブロンコ・ダン

  きのう公園であったきみは ブーツがよく似合ってて遠くでも目立ったよ。 
  いきいきした眼がかがやいて  幸せなんだね   一目みてそう思った

    

   肉球を保護するクツは カナダ 製、 くつ底まで革だって。 

  NPO団体が保健所から保護して 里親さんを捜してくださっているのは知っていた。 なんでも エス君は ありがたいその場所で ご主人と出あったらしい 
  ご主人がエス君にきめたわけを聞いて おばさん達は鼻の奧がツーンとしてきた
  
   君は 居ならぶ仲間のなかで いちばん傷んでいたから選ばれたんだ…

    ほんとうによかったね  優しい心に打たれて 涙を浮かべるおばさん
    
     

    愛情たっぷりに育てられ  こんないいお顔 
     穏やかな暮らしぶりが窺える
   
     よかったね   エス君! 

     

   これからも元気で みんなをはげましてね。   by rugby

               -☆-

     rugの散歩道も アスファルトばかり
      こんなクツがあったらよかったのに  爪もすり減って痛そうだったね
   
       急に 思い出してしまったよ・・・ ゴメンね rugby 

 

  

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ねこ

2009-12-11 | アートな時間

        

          <青とピンクの上の黒猫> グウェン・ジョン

  グウェン・ジョンの絵のなかで 猫はとても魅力的。 猫を深く愛していたから。

 冷たい雨だ   窓辺によると猫がいた 
 ガラス戸に身を寄せてうつらうつら  寒くないのかしら    
  こんな日には  猫を抱くと母が言ってた  
 
  「子どもの頃はたくさん飼っていて それぞれの猫が決まってた。
    かぞくに一匹ずつ湯たんぽがわりに抱いて一緒に寝たの あったかだった」

  あいにく今は、 家猫がいない。 庭をとおる近所の猫も、 こちらが犬好きなのをよく知っていて! こころを許さない。 カメラを向けると油断のないポーズ、 ちょっと怖い眼になるので 写真はボツ。 
    
                -☆-

      猫……多毛症の瞑想家
      猫……食えざる食肉類
      猫……灰に棲む老嬢
      猫……殺人事件の脇役
      猫……財産のない快楽主義者
      猫……唯一の政治的家畜
      猫……長靴をはかないときは子供の敵
      猫……真夜中のヴァイオリン弾き
      猫……舌の色事師        
                      寺山修司  「猫の航海日誌」

                -☆- 

   灰だらけの猫も今はむかし みんな竈のまわりで眠ってる 
   闇に浮かぶ猫の目 跡を追えば犯人が居る 
   くすり指のキャッツアイ 形見の品
   真夜中のヴァイオリン 朧月  猫の恋…

    賀状に 虎を描いたら  
    どこからみても >猫< になった。 猫が描きたければ虎を描くことだ。

                -☆-

          

              <猫> 

 グウェン・ジョンは パリの部屋に胸の白い三毛猫”タイガー”を飼っていた。
ロダンにこの美しさを伝えようと、 タイガーのデッサンや水彩画を描くことに何時間も費やした。 いくら魅力的な絵が描けても、 グウェンはこの猫の神秘的な性格を伝えることができたと感じることはなかった と。
 ひそやかな生涯を送ったグウェンの絵が 好きだ
  猫の背中も魅力的

   


 

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飛べない鳥

2009-12-10 | イーゼルのうた

         

   シークワーサー  ランプ   鳥の置物  
       来春もつづく

 

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世界でいちばん

2009-12-08 | こころ模様
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<yちゃんが小学生だった頃の作品カワセミ、工夫がいっぱい
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 忘れぬうちに…



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時雨駆けぬく

2009-12-05 | こころ模様
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     幾人かしぐれかけぬく瀬田の橋   丈草
   
  一句から 広重の浮世絵版画を思いますが
   写真は 11月の別所沼公園の橋です 
  しぐれは庭のベリーの葉を 色濃く染めていきました
  寒い一日 気持だけが忙しい
   みなさま お風邪に気をつけてくださいね 
                  (画像は二枚あります) 
   
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夜具やさん

2009-12-05 | こころ模様
      

  こどものころ 夜具屋さんがくるとウキウキしていた。

 白髪まじりのおじさんに一日中張りついて なりゆきを見守った。 
 それはお祭りにならんで楽しいことだった。 廊下に何十本もの綿の包みが並ぶとそわそわした。 巻いてある薄茶のハトロン紙、 触ると乾いた音がする。 それを、おじさんは気持ちよくベリベリとはがす。 綿は三つ折りがさらに輪にしてあった。 押したらふわふわ雲のよう、 小さな手形もゆっくり戻った。

  中表になったふとん皮、 畳のうえに伸された烏賊は、 あらかじめ祖母が縫っていたものだ。 朝はやくから座敷に陣取ったおじさんは、 新しい綿を幾枚か剥がしては、 おおざっぱな夜具の形にちぎって皮のうえへ置いておく。 繰り返して何枚も重ねられ、上へゆくほど小さくなって、 角は菱餅のような段々になる。 
  一番下のいちばん大きな綿で包みこむように、 上の綿は押さえながら外皮をくるりと返す。 綿は餡このように納まった。 ここが最大の見どころで。 やれやれ… おじさんは正確で間違えっこないのだけど うまくいくか 息を殺して眺めている。

 手品師のように鮮やかだったおじさんの職人技。 

 はみ出たところを切りとるしぐさ…  皺だらけの左手で押さえながら、右掌を層になった綿のいちばん下にもぐらせて、 煽るように上下させて裁断していた。 左手はまっすぐ定規の役目をするんだ。  見物人はほっとしながら、 気持ちは綿のなかに残したまま、 包まれて温もりも感触も忘れない。

 手順はすっかり覚え、 きっと 次は返すんだ… そしたら新しい綿を補充して と、 あたまで先回りしながら、ほんとうにその通りになっていくのをドキドキして見ている。  髪も、 鼻の穴も、 眉毛まで白くなったおじさんが  「おもしろいかい?」 と聴くから 「うん…」 とだけ答える。
 張り番の少女を邪魔者にしなかったおじさんは無口で、 たまに笑うと睫毛の綿埃もいっしょにゆらゆらと嗤った。 襖の向こうで銅壺のたぎる音がして祖父の咳払いも聞こえる。 いとこ達はどうしたんだろう。 こんな面白いことがはじまっているのに、何でこないの。
  いまでも、 膝の抜けたズボンや別珍の黒足袋を白くさせたおじさんが見える。 
  学校から帰ると飽きもしない熱心さで、 思えば愉悦とはこういうことを言うのだろう。  こころから楽しみ、蒲団がふっくらとつぎつぎ仕上がっていくのを、 ひそかに喜んでいた。

  掻巻のていれは、 姉さんかぶりをして祖母もよくやっていたが大家族でたいへんだった。 季節になると夜具屋のセイさんが呼ばれ、 物静かにあがってきては黙々と仕事をこなし、 夕方になると座敷を掃いてかたづけて、 また明日もやって来て。 住み込みをいれて20人近かったからかなりな数になる。

 あったかな掻巻はいつの間にか消えて、冬支度の思い出だけがなつかしく残った。

 

 

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アルバムから

2009-12-04 | 道すがら
<
<■説明文1■
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 お試しのスライドショーは古い写真です。説明は無し 
  ただ 広いところ 雪景色が見たくてね…
  Sakura先生 ふくら雀さん ありがとうございました。
 テキスト形式でできました。
   もういちど考えてみます。

 とりあえず UPバンザイ!!

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千両役者

2009-12-01 | 自然や花など

     

  博物館の裏山を歩いた。 初冬の山林は冷えこんでいて湿っぽい。 枯葉をつけたままの樹の下にヤブコウジがひっそりとしていた。 ここにはたくさん生えている。 ほの暗いなかにひときわ赤い実。 ひかえめな姿だ。

 ヤブコウジ…  古くは山橘 
 
 この雪の消残る(ケノコル)時にいざ行かな山橘の実の照るも見む  大伴 家持

  タチバナは、田道間守タジマモリが常世の國から持ちかえった 「ときじくのかぐの木の実」で山に生えていて、 これに藪柑子が似ているところから山橘というのだそうだ。 ヤブコウジはミカンの原種 柑子コウジに由来する。

              -☆-

  覗き込むように腰をかがめ、ふたりの女性が話していた。

   「千両ね  ちょっとこれは 丈が低い…」

  通りがかって 黙ってはいられない。
   
   「これはヤブコウジといいます  千両よりずっと低い 十両です」

   「あら 良いことを教わって… 」 「ありがとう ございます…」
 
  弾んだ声が追っかけてきた。  
   低い十両だが、はじめに山橘ありき… 
      あまり見かけなくて 万両より値打ちがありそうだ。


     

   万両は ヤブコウジの仲間、 スラリとしている。
    しぜんに増えて何株か繁った。 
   実を葉の下につける。 

    万両や暦日めぐること速し     風三楼

  

      

  千両は センリョウ科、 草珊瑚とも。
  10月頃から生っていたような気がするが もっと前かも知れない。
  お正月まで持つだろうか


      

  千両には黄や白もあったような (こちらは庭園で) 
  実は葉の上である。  

   役者がそろって いよいよ押し詰まってきた。
    百両の写真が見つからない。
          
                    -☆-

  ぼやいていたら届きました。 百両の写真です。

ふくら雀さんの百両(別名、唐橘)

ふくら雀さんの唐橘

  ありがとうございました。

 

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