別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

感謝をこめて

2007-12-29 | こころ模様

   

 

 

        

 

  

     

  

 

 

  



  Marc Chagall   "The Big Bouquet"

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七面鳥

2007-12-23 | こころ模様
 wさんからのカード


  少女の頃、 伯父が飼っていた七面鳥と暮らした。   私を見つけると、 尾羽を扇のように広げ、 翼を地面すれすれに下げて、 引きずりながらザーザーと音を立てて追いかけてきた。 大きな躯、 蜆色の羽で、 派手なディスプレーをする。  雄叫びを上げ猛スピードで突進した。  体長約120㎝、 重そうなからだを揺らし、 羽をふるわせ、 頑丈な足でタタラを踏む。 彼は短気で、 怒りっぽいのである。 
  とくに女性は、 近くを通っただけで追い回された。 母や伯母たちまで。  


  頭の飾りを膨らませて、 がらがら声を発しながら何年にもわたって踏み固めてきた求婚場を もったいぶった歩き方で行ったり来たりするのである。(平凡社 動物大百科7)


  百科事典も なかなか文学的だ。 
  七面鳥は頭には毛がなく凸凹していた。  彼の風貌について、 克明な描写がある。


  … 七面鳥の乳頭ニップルの色は ここに置かれた静物の光沢に似てゐる。 あの頭の疣イボは首から上が濃い皺ばんだ牛乳いろで不透明なところに、 碧ミドリが斑で真向から嘴のうへに下がってゐる朱の垂り肉が伸びたり縮んだりする。 けろけろと啼くときはその肉が長くなって激しく揺れる…   「風景は動く 白い家禽  北原白秋」 より 抜粋

  
  淡い虹色をしていたと思う。
 平福百穗 ヒラフク ヒャクスイの「七面鳥」もある。 もう一度見てみよう。


  農場には、 犬も、猫も、 蜜蜂も、 鶏も、 綿羊や駝鳥さえいた。 
  駝鳥は背が高く足も速く、 卵はにわとりの何倍か、 白味はこってり重くて、 お箸で掬ってもほどけない程で簡単にかき混ぜられやしない。 
  濃厚な味?  黄味も特大。 七人の子供たちは(従兄弟五人に私と弟) 固唾を呑んで見守った。  一個でもフライパン一杯分の大きさの、 もの凄い目玉焼きが出来たが、やはり大味だった。
 (調べると 重さ約1.2kg、ニワトリの卵の20~25個分に相当、おとなの手の平くらいの大きさだって) 殻も固かった。


  おかげで、 面白い子供時代を過ごせた。 クリスマスが近づくといつもおもいだす。 プレゼントなどなかったけれど、 無口なおじさんのあったかい大きな手と、 七面鳥の顔。 

 

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夢の図書館

2007-12-22 | こころ模様
  冷え込んでいる。 雨も降り出したがコムナーレ8階の、 市立中央図書館まで行った。  先月オープンしたばかりだ。

  延床面積 5,820.90平方メートル   まずは広いので驚く。   
  開館時間、平日…午前9時から午後9時まで 
  土 ・ 日 ・ 祝日 …午前9時から午後6時まで 
  休館日…毎月第一 ・ 第三の月曜。
        第二 ・ 第四の月曜は開館である。
 
  遅くまで開いているし 休館が少ないのはうれしいことだ。


 


  書斎席… 仕切られた部屋で静かに調べものや読書が出来る。 ほかに閲覧席は480席もある。  読書の合間に屋上庭園を眺めて 目を休めよう。


  自動貸出機に早速飛びついた。 利用者カードを差し込んで本を台に乗せ冊数を入力、 指示通りにOKを押すだけだ。 貸し出しの明細が出てくる。 早い! もちろん自動返却機もある。


  
開館時の蔵書数 約25万冊。  750誌を超える雑誌と85紙に及ぶ新聞、全国の主な新聞がほとんど揃っている  専門雑誌・専門新聞も多数。インターネットに接続できるパソコンは15台、 8本のオンラインデータベースがつかえる。

  オンラインで取り寄せも今まで利用していたが 蔵書がもっと充実して増えるといい。 
  ゆったりしたフロアで一日中過ごしても飽きないだろう。 大いに利用したい。
  理想の空間で これから沢山の本に出会える。  来年も楽しみがふえた。
  師走の街を片道30分ほど歩いてきた。 ツリーが気分を盛り上げる。 帰りも歩いていこう。



  


  右手の赤いのが自動貸出機     1F正面を左廻りに行くと返却ポストがあるらしい。 最寄りの図書館で返すのも可。

 

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冬の薔薇

2007-12-21 | 自然や花など

 

  色濃く咲いた冬の薔薇、 エミール・ガレの薔薇に似て、 夏の花とは明らかに違う。 花数も少ないが、 木枯らしに耐え、 葉も赤みをさして強さをみせる。 初夏の軽やかさにくらべ、  凝縮された芳香を放つ。  
  静かな風情だが  大いなるものを秘めているようだ。  薔薇の下で… 何かが起きる。 
  …偽善の花よ、 無言の花よ… (グールモン)

   薫りだけ残し… て。 


  旅先で買った薔薇のポプリは、 半分だけ容器にあける。 いつもの習わし。 のこりは何年も飾り棚の 上段に置かれ、いつまでも袋の中。  口をわざと緩くして、扉を開けるたびにふわり、 香りが飛ぶ。 古びた思い出の懐かしい雰囲気までたちのぼらせ、 袋の中で熟成し、 黴びるはずの風景も刺激も、 純度を増している。

  忙しい冬の日に、 なんども開け閉めをして、 風圧に流れ出るカオリをそっと愛でる。 乾燥しても失わない植物の匂い。 褪せた色のトウヒも混じって、 アンの物語りまで運んでくる。  

       

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よき日和

2007-12-18 | 犬のブロンコ・ダン

  
                   八方睨み…


 

     

    

   
    皆さん  お忙しそうです       来年の干支?  知りまへん ネ! 

   写真 別所沼公園で

 

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命の耀き

2007-12-17 | こころ模様

                        

                                    鹿             村野四郎


                       鹿は 森のはずれの
                       夕日の中に じっと立っていた
                       彼は知っていた
                       小さい額が狙われているのを
                       けれども 彼に
                       どうすることが出来ただろう
                       彼は すんなり立って
                       村の方を見ていた
                       生きる時間が黄金のように光る
                       彼の棲家である
                       大きい森の夜を背景にして

 
                      -☆-

     
       ニュースを聴いて  涙が止まらない

         そして   この詩が浮かんだ

     
         はじめて読んだ日     今生きているということ

           命の一瞬  一瞬の耀き    鹿も  ひとも…

            
              人生は たった一度 ……    

           

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冬の彩り

2007-12-15 | 別所沼だより

 

            ある人は        立原道造

 
          ある人はうつくしい窓を持ち
          椅子に凭れて眺めるといふが
          僕の窓には黒ずんだ埃ばかり


             高い空を流れる雲の せめてあのあたりの
           青い色をと思ふのだが
           いつかの日にはそれさへ曇天の灰色だった  

           
           いつそ潮風でも吹いて来て
           海がひろがつてくれればいい
           この窓から  ヨツトに乗るんだ


 

   


   葉を落とし 枝ばかりなるメタセコイアの、 鳥の羽か  魚の骨か… 
      いとほそやかに聳え…  寒ざむし。  向こうの空、 奔る雲。

  晴れ 気温10度。 風もなく穏やかな日和。 窓を開け日射しをうけると、 部屋は暖かい。 来訪者18名。  様々な出会いがあった。  

   とくに熱心な方が多い日。  30分以上は滞在された。 切れ目ないお客様、 ガイドはひとりで面白く、 一日中しゃべり通した。  感性の豊かなひとに囲まれ、 響くものがある。


    ニットやジュエリーのデザイナーさん スケッチをしにいらした。 女性と意気投合し、 道造の、 ちょっと甘えたような手紙を、 しゃがれ声で読ませていただく。


  広告デザインの方たち。  ガイドは名ばかり  頂くものが多い。 猫が好き!

  近くの現場に来ているのでと建築家、 「浦和は良いところですね」 なんども褒めて頂く。 うれしきこと。 専門家の眼でこまやかだ。

  これからは 風雅に目を向けたいと 世代もおなじ女性の決意。 はじめて、高橋千劒破チハヤ氏の講演 「花鳥風月の日本」 を聴いたばかり、感動さめやらぬ面持ちだ。   これまでは かなわぬことだったので。  

  歌詞を依頼されて思索中のかたに、 道造の詩集をすすめ、 手紙を読んでさし上げた。 押しつけかも知れないが 黙って聴いてくださった。 詩情を育てる故郷のこと。 5歳のお嬢さんと遊んだ。

 
 窓越しに 声を掛けて下さいました やまもと先生 ありがとうございました。       
  中央図書館へ これから行ってみます。  
                 


 水面を埋め尽くす枯葉の 隙間をブルーが染めている。 思い出したように鴨が過ぎる。  
  厄介者と言われるけれど  この枯色がとても好き。   

  ふと見れば、 目のまえの柵に…  翡翠が2羽もいるじゃない。  カメラをゴソゴソやるうちに見失った。 くやしくて 4時まで粘るも、撮れなくて塞いでいる。 

 

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いい尽くされず

2007-12-08 | 自然や花など

  クヌギ、ケヤキ、コナラ、ムク、シデ、シラカシ、スギ、ホオ、ヒノキ、エゴ…・・・ 
 義姉を誘って 雑木林を歩く。  武蔵野の風情をとどめる平林寺(新座市)は、 禅の厳しい修行道場である。  樹齢五百年の高野槙が出迎える。
  紹介のページ (季節を変えて沢山の写真が見られます)

 

  


  なかば黄いろくなかば緑な林の中… 澄みわたった大空が梢々コズエコズエの隙間からのぞかれて日の光は風に動く葉末葉末に砕け、その美しさいいつくされず… (國木田独歩 武蔵野)



  

 
 下草は、 青々とした竜の鬚、蛇の鬚とも。   晩秋から冬の間、 碧黒い珠実をつける。  根元を分けるとひっそりと光って。 弾むこの実を、 鞠つきのようにして遊んだ思い出がある。


      日当りの土うきうきと竜の玉       みづえ
      鵯ヒヨドリや手にして淡き竜の玉      瓶子

 

 

  

  青い耀きは 瑪瑙やラピスラズリ、  黒真珠か翡翠もある。 ふたりとも  夢中になって集めた。    万葉集にある 山菅ヤマスゲ は 竜の鬚とも言われるらしい。

    
   ぬばたまの黒髪山の山菅に小雨降りしきしくしく思ほゆ    柿本人麻呂

 

  紅葉の種類により、 かたちや彩りに微妙な違いがあること。 散り敷いた絨毯の模様に目を奪われる。 木の実を拾ったり 囀りを聴いた。 
 折しも 木の葉時雨に遇う。 金の蝶がくるくると舞い、 裏返り、 陽に照らされかがやく。 向かいの翳を横切り、 降りしきる。
  ああ なんて美しい光景、 しっかり心に焼きつけておくんだ。

  足裏の落ち葉もカサコソ快く、 枝付きを踏むと幽かな響きを伝える。 ドングリが砕ける乾いた震動や感触など小さな喜びとなってゆく。 落ち葉はベンチも隠していた。


      足音を迎へさわだつ落葉かな      汀女
      
静さに耐えずして降る落葉かな     虚子


  雑木林に遊ぶ楽しみ、  まさに いいつくされず… 

      

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どちらを見ても

2007-12-04 | 別所沼だより

          



   また、 紅葉  もう飽きたなんておっしゃらず 別所のも見てくださいね

   視界が開け こんな装いに出遇うと   心に羽が生えたようになる

    空を舞うような心地    足どりで  

 

  

 


  午後になると 釣り人もなく静かな沼   水鳥だけが騒がしい
    なかに 雁擬まで混ざっているらしい     鴨と雁の 違いは?  
     すーと寄って  雁首揃え   餌をねだるようになってしまった 

 

   
           鳴き合ふ時 鴨の青頸瑠璃含む          知世子
           鳰鳴くや落葉踏みくる茶の帽子           鷹女 

  午後3時を過ぎた別所沼です   冷たい風が時折吹いてさざ波がたつ
  鴨たちは 小刻みに羽をふるわせ 水面を滑走した 

  

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種を貰う

2007-12-01 | こころ模様
         

      「  種をもらって じぶんで育てる…       
        偶然の出会いを 逃さないことが大事       
        偶然を  必然に変えて    
        それからの 生き方や 考え方を変えていく
                          映画監督 是枝裕和 」

     この言葉は 古いノートの抜き書きだけれど
      
          映画を見たり  人と出会って
             集める種は  かなり増えた
   生き方や 考え方も 確かに変わった (よかっタネ)

         育て方も 上手くなるだろうか
                      そこが 問題…
           
  写真は 韮のタネ。 小部屋で大切に守られている。
  
             -☆-
    
     雪待月林はもののこゑ透る   加藤楸邨              

 乾いた空気  鳥の声  砧うつ音
 早くも師走 十二月一日は 旧暦の10月22日 
  霜月はこれからか… ややこしい  霜降月 雪見月。
    竜の玉、ラピスラズリをさがしてこよう 
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