ほんとに、ここの家の人たちは どうかしている!
「おはようragu」 「おやすみ rugby」 「元気か? ラグちゃん」
食事をしてても 「おいしい?」 「散らかさないで食べなさい」これは反省するところだが、それにしても、しょっちゅう話しかけられ、うるさい。 迷惑を承知か!
散歩に出れば抱き上げられて「ほら、raguちゃん見える? これが百日紅の花だよ、きれいだね」 「匂いはする?」と無理矢理、鼻を押しつけられて困ったな。
毎日続けて、これだけ聞かせれば、いつか話せるようになるんじゃないかって、期待してたでしょ。本気で実験してたでしょ?
とくに母さん!! 奇蹟は起こらなかったね…
耳がいいからなんでも聞こえる 悪口だって例外じゃないぞ!
そういう時は目を合わせなけりゃいいんだ。
それより何も言わなくたって、目を見れば相手の気持わかるし、本当が見える… 聡明の聡は耳へんじゃない?
かなりのものと自分でも思う。
今は少し変わったな、あまり聞こえないし、よく見えないし、匂いもしない。近くに寄って、はじめて分かるね。それでも文句なし。
あるがままを受けとめる度量の大きさ。 どうだい!
命婦のおとどには負けるけど、大事にされて家族だけで十分だと、他に友だちできなかった。同じ人間だと思ってた。これは幸せだったのか 犬らしい暮らしについて こっそり考えていたけれど…
どう? 風格あるでしょ? 色が乏しいので一部修正です、悪しからず
北の国ではもう秋だ
あかのまんまの つゆくさの 鴉揚羽の八月は
秋は夏のをはりです
ゆくへも知らぬ人のかず
かつて砂上にありし影
それらもやがて日が暮れて
鴉のやうに飛びさつた
去年の墓に隣して
一つの夏はまた一つ
憂ひの墓をたてました
… 「北の国では」 三好達治
-☆-
昨日より今日 秋は静かに近づいてきた
ますます青く、高い空
ますます冴える夕べの月
-今夜のお月様綺麗ですよ! 満月です
きょう、思わずシャッターを押したのは県立図書館の若竹。
新しい黄緑が鮮やかだ。背景にサーモンピンク、実によく似合う。
竹が好き。
しなやかに伸びて、うつくしい色も、葉擦れの音もみんなすき。
竹の春 陰暦8月の異称。 秋の季語
書楼出て樵歌またきく竹の春 蛇笏
樵歌(しょうか) 木こりのうたう歌
おのが葉に月おぼろなり竹の春 蕪村
-☆-
北原白秋も竹を、こよなく愛した
「 …竹林を透かして、弱々しい鬱金の西日が射しわたるのだ。日向の竹の葉も明るくて長閑なものだが、日蔭の色は愈愈(イヨイヨ)青く沈んで侘しい。竹と竹との幹にちらちらする光線より幽かな はかないものはない」 と、春を待つ。
また 「竹林の十月」 のなかでは
「 竹と竹に背をもたせて、まだ緑の細かなほづえを仰ぐ涼しさはなかった。孟宗はまことに豊かで美しいと思った。それよりも笹葉を透かして見る青空の奥深さは何と云っていいだろう。私たちは酒を温めては恍惚とした」 と竹林の日だまりに集う。
-☆-
父の郷には孟宗が 母の郷には真竹があった。土壌の相違が、個性のちがう竹を育てた。何かあると、孟宗林に逃げ込んだ。
何度空を仰いだことか。小学一年の切ない思い出。忘れてしまいたい。
それから、真竹の郷に移った。
そこで光こぼれる竹林にあそんだ。なつかしい時間が重なってくる…
白秋がますます好きになる 竹は様々を思い起こさせる。
昨日のこと…
突然、雨の匂いがした。埃くさい、蒸れた雨の匂いを久しぶりに嗅いだ。それは、走った後の犬の背中の臭いに似ていた。
雨には匂いがあることを あらためて思う。 夏の雨、夕立、白雨のしめった匂いが感覚をやわらかく広げる。
午後、雨は激しく瓦をうちつけ、滝のように流れ落ちた。
モームの短編「雨」を読んでいる…
足止めされた宣教師は、理性を押し流すほどのスコールにであった。
サモアの雨期が傑作を生む。 ここの雨は、どんな匂いがするだろう。
こまつ座・井上ひさしの「雨」も忘れられない。
江戸の両国。紅花問屋の旦那に間違えられた主人公は、まんまとなりすまし… どんでん返しの、息をつかせぬ激しい雨が降っていた。雨宿りから転がって騙したつもりが騙される。こちらは偽りの匂いがした。
突如降り出した夏の雨、 福田平八郎の「雨」も思い出させる。
瓦の大きな斑点がつぎつぎに、黒く薄く滲んでいく。 懐かしい情景だ。
-☆-
30分でやんだ。 蝉のうたに促され蜆蝶が戻ってくる。きょう初めての青空に、明るい歌を口ずさむ。
出かけられない心が、晴れる。
青い青い空だよ 雲のない空だよ
サモアの島 常夏だ~よ~
高い高いやしの木 大きな大きなやしの実
サモアの島 楽しい島よ~
青い青い海だよ 海また海だよ
サモアの島 常夏だ~よ~
白い白いきれいな 浜辺の広場だ
サモアの島 たのしい島よ~~~
-☆-
夕立や草葉を掴(つか)むむら雀 与謝蕪村
夕立に走り下るや竹の蟻 内藤丈草
雨はひとを素直にさせる。 心もからだも涼しくなった。
二枚の羽を一枚に合して
草の葉に憩ふ 小さな蝶
君の名は蜆蝶 蜆に似てゐるから
わが庭の踊子 ゆく夏の裾模様
晩夏 三好達治
-☆-
わが庭の踊り子 風知草の花にひとやすみ
小さな蜆蝶 あはれあはれ ゆく夏の裾模様
花も儚げ 哀れな蝶を支えている
有るか無きかの風がふく
ふたり一緒に あわわと揺れた
早くも立秋、raguより 残暑お見舞い申しあげます。
まだまだ続くんでしょうな、この暑さ! 連日35℃以上。2階なんぞ
40℃近いですよ。
夜間も冷めませんなぁ。 昼夜エアコンのお世話になっとります。
父さんは「お前は贅沢だ!」などと申しますが、黒の毛皮は想像以上に暑く、いっそ脱ぎたい。が、着替えがないそうです。いちど経験してみろ! と言い返す気力も失せました。 17歳ですぞ、人なら、じき100歳だそうな…
日盛りにお出かけが多く、ひっそりと静まりかえる界隈です。最近は昼寝と決めて、遠出もなく、今は昔の夏休みなど思いだしています。
半年くらいで車に慣れ、長距離でも酔うことがなくなった。家族を伴い伊豆や八ヶ岳、軽井沢あたりへ毎年行ったもんです。皆はホテルで、raguは駐車場でやすみました。夜中、見回りの人に照らされ、大声で叫んだこともありましたな。
常はソファーで、家族に子守歌など歌わせ、父さんが脱いだばかりの靴下を枕に、残り香を楽しみつつ眠るのでしたが。
朝になればご馳走をこっそり持ってきてくれ、散歩に出ます。朝もやの冷気が好きだな。一度来たところは忘れませんよ。マークの場所も決めています。
木漏れ日の中を快調に進むと、五差路に出る。角の大きなクルミの木は良く覚えて、しっかりマークを付けましたな。今頃行くとまだ青い実も落ちていたっけ。
雲場池まで間もなくです。なつかしい! 鴨さんとは友だちになりました。池の周りを毎年歩きました。ツーショット写真もあるはずです。
伊豆城ヶ崎では全長48m・高さ23mの門脇吊り橋も渡りました。たいそう揺れましたな、足下に海が見えスリル満点、母さんは青い顔してました。raguは変わらず真っ黒で何があっても顔に出ません。
しかし、及び腰で… 11年まえの写真なんか出して!
今は、面影ありませんなぁ
凌霄や問ふべくもなき門つゞき 汀女
8月がきた 晩夏 歳時記から拾う
朝焼け 日盛り 薄羽蜻蛉 草いきれ 虎杖の花 空蝉 雲の峰
紅くして黒き晩夏の日が沈む 誓子
朝焼の雲海尾根を溢れ落つ 辰之介
日盛の蝶飛んでゐる森の中 青邨
うすばかげろふ翅重ねてもうすき影 青邨
雲の峰いくつ崩れて月の山 芭蕉
わたすげ 雲海 夾竹桃 百日紅 凌霄花 向日葵 竜の髭
ダリア 歯朶若葉 百物語 花火 麻 綿の花 すもも
茗荷の子 朝曇り 片蔭
うつくしい言の葉 好きな季語だけ並べてみた。どれにも小さな思い出がある。ささいな物語りが こころを埋めている。
暑さも盛りなり。 夏を惜しみ、手紙を書こう。
犬行くや一筋町の片かげり 青邨