ドアの向こう

日々のメモ書き 

楽しみ方

2005-08-30 | こころ模様
 外出が減った母は、日々読書とハイビジョンTVだけ。

「先生は元気でしたか?」 帰宅を待ちわびて必ず訊ねる。
「とてもお元気で、紫がかったピンクのジャケットがお似合いでしたよ」 「そう、よかったね」
 月に一度、きまって、おなじ会話である。
 娘の行動を、自分も追体験して楽しむらしい。
いきいき楽しそうだと、母もなんとなく嬉しそうだ。
 今日は万葉講座がありました。

 かつての母に成り代わり、蛙も一家の太陽にならなくちゃ。
なってるかな?
 新しい服を買った日も、自分で着るまえに「着て見せて」という。それを見て「いいね… 私にも似合いそう」と納得するのだ。 客観的に眺めて
いいのか悪いのか判断している。 そして安心する。
 10月になれば91歳、 えらい!
          万葉のまとめは 明日…
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八月に乾杯!

2005-08-27 | こころ模様

  …舞台は、味な演出でいつの間にか進行する。
 保養所の一角、昼下がり、休憩中の医長。

 幕は最初から上がっていて、まだ用意のできない客のざわめきのなか、彼は目の前で折ったばかりの飛行機を、客席に向かって飛ばすのだ。客はそのゆくえを目で追い、しぜんと舞台に集中するしかけ。
 客席も林の一部、ひらりと宙を舞う紙ひこうき… 愉しい始まり。

偶然だが、昨日の芝居は 「八月に乾杯!」 劇団俳優座公演
 原  作:アルクセイ・アルブーゾフ 
 訳・演出:袋 正
 キャスト:リーダ 岩崎加根子  ロジオン 小笠原良知

(以下、パンフレットより)
  海辺にある保養所の医長ロジオンは、昼下がりの休憩中に突然、元サーカスの女優と称する患者、リーダの訪問を受けた。彼女は夜中に詩の朗読をしたり、月の明るい晩は病室を抜け出して、浜辺の散歩を楽しんだりする、ということから他の患者の苦情を招いていた。
 二人がやっと相手のことが気になりだし、言葉を交わすようになったのは、しばらくたった音楽会の帰り道。家族や友人がいて、仕事があるから寂しくはないと意気投合する。そして、持病の心臓病のため休養した彼を、彼女は手料理を持って見舞うのだった。すっかりうち解けた二人は昔のこと、楽しかった青春時代、 暗く悲しい戦争時代を語り合う。 戦争の傷を胸に抱く二人は、相手の必要性を少しずつ感じ始めていた。 そして…  
 激しい戦闘があったという海岸の共同墓地でのふたり…
「そういうことがあったなんて怖い思い出ね」 「怖くても忘れるわけにはいかない」 
「亡くなった人たちのことを」 「人たちのことも」
「こういうことはまた起こるとお思い」 「起こさないのが生きてる者の仕事です」 

 戦争でリーダは息子を、ロジオンは妻を亡くした。 孤独が怖い! 日暮れどきは悲しくなる、互いに支え合うふたり、 出会った八月に乾杯!  奇跡の人に乾杯!           
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!!…

2005-08-26 | 自然や花など
 
           シーーッ! … … 

      姫梔子の茂みから 身を乗り出した ちいさな生き物
       雨はやんだし これから着替え
     秋物に?…

        おっと!!!   みつかった? 
          ……・・・・・
     どきどきしてる
     撮る方も、撮られるほうも
      どっちも固まって  シーッ… ・・・・!”
       生き物の正体はここ  初顔合わせはこちら
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人生を歌う

2005-08-25 | こころ模様

 キューバの歌手イブライム・フェレールの(写真中央)訃報を聞いた。
彼は12歳で母を亡くし、生計を立てるためキューバの伝統音楽ソンを歌い始める。50年代には人気を集めた時期もあったが、長く不遇で音楽活動から引退、靴磨きをしながら暮らしていた。
 ところが、米国のミュージシャン、ライ・クーダー等に呼ばれて歌ったCD「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」(97年)がグラミー賞を獲得。
映画にもなり、各国でキューバ音楽のブームを巻き起こす(朝日夕刊 8/8)

              -☆-
映画を見て2001年2月、東京国際フォーラムで来日公演を聴いた。美しく哀調を帯びたバラード、ハバナの軽快なリズム、イブライム・フェレールのソフトな歌声が魅了する。彼とオマーラ・ポルトゥオンドのデュエット「シレンシオ」は特に素敵だ。人生を歌う… 胸の奥にふかく沁みる。ほかに「二本のくちなしの花」「想いあふれて」の曲も。

 イブライム・フェレール(2001年当時74歳。70歳を過ぎて初めて、スターの道を手にした)
 ルベーン・ゴンザレス(ピアノ。当時82歳 クラシックのピアニストになることも医者になることも可能だった。見事な演奏ぶり)  
 オマーラ・ポルトゥオンド(当時71歳 キューバで最も愛される女性歌手・ダンサー)  ほかの共演者も70歳以上。

 この夜、人生をかさねたひとの歌声も風貌も、なんと美しいのだろうとつくづく思った。イブライムの皺は、不遇にもめげなかった強くてあたたかいこころを映している。それは歌声にも表れ、情感豊かな熱いものが響いて、観客は総立ちでリズムを取った。
 この熱気と感動をいつまでも覚えている。

 日本にも、石垣の白百合クラブがあり、ますます輝いている。こちらも負けない。 


2001年写真 左より
イブライム・フェレール  オマーラ・ポルトゥオンド  
ルベーン・ゴンザレス
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ひとり言

2005-08-23 | 犬のブロンコ・ダン


ほんとに、ここの家の人たちは どうかしている! 
「おはようragu」 「おやすみ rugby」 「元気か? ラグちゃん」
 食事をしてても 「おいしい?」 「散らかさないで食べなさい」これは反省するところだが、それにしても、しょっちゅう話しかけられ、うるさい。 迷惑を承知か!

 散歩に出れば抱き上げられて「ほら、raguちゃん見える? これが百日紅の花だよ、きれいだね」 「匂いはする?」と無理矢理、鼻を押しつけられて困ったな。

 毎日続けて、これだけ聞かせれば、いつか話せるようになるんじゃないかって、期待してたでしょ。本気で実験してたでしょ? 
 とくに母さん!!  奇蹟は起こらなかったね…

 耳がいいからなんでも聞こえる 悪口だって例外じゃないぞ!
そういう時は目を合わせなけりゃいいんだ。
 それより何も言わなくたって、目を見れば相手の気持わかるし、本当が見える… 聡明の聡は耳へんじゃない? 
 かなりのものと自分でも思う。

 今は少し変わったな、あまり聞こえないし、よく見えないし、匂いもしない。近くに寄って、はじめて分かるね。それでも文句なし。
 あるがままを受けとめる度量の大きさ。 どうだい! 

 命婦のおとどには負けるけど、大事にされて家族だけで十分だと、他に友だちできなかった。同じ人間だと思ってた。これは幸せだったのか   犬らしい暮らしについて こっそり考えていたけれど…
 どう? 風格あるでしょ?  色が乏しいので一部修正です、悪しからず
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蜂蜜いろの風

2005-08-21 | こころ模様

 伯母さん、 庭のノウゼンカズラが トントンつっつーと咲きました。
かがやく朱です。

  『帰っておいで… 』

 ノウゼンカズラが揺れる夏の日。 8歳から過ごしたその場所には、15年間はちみつ色の、賑やかで、 みにしむ時間がありました。
 こころこめてお礼申しあげます。 ありがとうございました。

 母には実家でも、伯父・伯母さんの心遣いや、慈しみがなければ、弟も私も、くじけていたに違いありません。いとこ達と、へだてなく育てられたことを、とても感謝しています。 競いあい成長した5人とふたり、まるで兄弟のようです。

 なつかしい風景がうかびます。
 パノラマのなかの白い往還  屋敷をめぐる用水路。
 ぐるり囲んだみどりのトーン  綿羊の毛のよごれ。
 道造の詩のような 蜘蛛の念珠… 夕暮れは妖しい花に見えてくる。

 にわとりの合唱団  四角いいなごの顔… サイロの乾し草、すえた匂い。 七面鳥が猛スピードで追ってくる。 伯父さんは養蜂もして、花追いの旅にいき、一斗缶16本もの蜜。 そのとろみも、むせる甘さも 薫りも。
 あおい梅の実、モモの樹液にカブトムシ。 玉虫の背に虹がある。ゴマダラカミキリの口元、長い髭も。

 特許をとった育雛器は海外へ輸出され、生産が追いつかない。養鶏場と工場にむらがる人間もよう。おとなの汗のにおい。母と25人分のゆうげの支度。卵と蜂蜜だけでつくる蒸しパン。
 かや葺きのふき替え…   黴びた味噌べや…   卵をねらう蛇。
のどかな水車… クローバー畑。 楠と すばらしい森…  
 蜂蜜いろの風が吹く…  みんな忘れない。

 こころ豊かなくらしを、ありがとう伯母さん。どうお礼を言ってもいい足りないくらいです。 ふるさとは、そこにある。 
9月、卒寿のお祝いに伺います。
 ふかい感謝をこめて いつまでもお元気でいらしてください。
 

           

     季節は風と光に乗る。
     凡ては流るる、有りの儘に。
     まかせよ、さながらの薫りを、
     まかせよ、寂びと撓りと。
                白秋 風景は動く

 

コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )

 (一度消してワードにしまっていたコメントを再現します。
 みなさま ありがとうございました)

「蜂蜜の」 (虚庵) 2005-08-22 00:17:16
 蜂蜜の トロリと垂れる とうとさは 香りこそすれ 昔の思いに 
 
尊い時間 (蛙) 2005-08-22 13:14:05
 思いかえせば、いつの日もかけがえのない、愛しい時間です。
七面鳥は羽をふるわせ追いかけてくる、怖いですよ。羊の毛は外側は汚れていますが、中はふかふかで生成のいろがとても綺麗だったこと。さわった手のひらが脂でべっとりしたこと。
 蓮華や菜の花の蜜に、ところどころネギの香りがしたこと。隣り合わせのネギ坊主の蜜を集める蜂もいるのです。
 伯父は愉しい人で、ダチョウを飼ったこともありました。特大の卵焼きができました。
 虚庵さんの歌から、さまざまを思いだします。ありがとうございました。

なんと豊かな時間なのでしょう! (ルピナス)2005-08-22 23:20:14
 蛙さんのブログの持つ感性の豊さの秘密が少し分ったような・・・、本当にかけがえのない愛しい時間をを過ごされてきたのですね。
そして、あのカンナの花も?すべてが、今への構成員。
 近所の花好きおばさんは、七面鳥も飼っていたので、私も経験あります。追いかけられると、雄鶏だって、こわかった。
 
心の原点  (boa !) 2005-08-23 05:58:54
 豊かな自然に抱かれて育まれた蛙さんの原点ですね。日本とも思えない牧歌的な風景と人間らしい暮らし。この原風景が今の蛙さんのおおらかで、素直なものの見方、とらえかたの感性を培っているのですね。
 あたたかく、感動的な生き方をお手紙を通してみせていただきました。

七面鳥 (蛙) 2005-08-23 15:16:58
 ルピナスさん やはり、体験者
 尾羽を扇子のように広げ、翼を下げてふるわせながらザー、ザーと音を立て近づいてくる。すごい迫力! にらまれて顔も怖い。おまけに頭の飾りをぶるぶるさせて。
 思い出しても、ほんとうに豊かな時間です。
 
自然が育てた (蛙) 2005-08-23 15:38:46
 boa!さん つづけて、ありがとうございます。
 ひとは、知らず知らずに育てられているのですね。関わった人や、自然に。
 そして忘れられないのは祖父母です。若い母を、その子を、いつも慈愛ふかく見つめていました。だから今があり、blogのお仲間にもお会いしたのだと。豊かな自然と、豊かな人のこころです。

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秋は夏の

2005-08-19 | 自然や花など
 
   北の国ではもう秋だ
   あかのまんまの つゆくさの 鴉揚羽の八月は
   秋は夏のをはりです
   ゆくへも知らぬ人のかず
   かつて砂上にありし影
   それらもやがて日が暮れて
   鴉のやうに飛びさつた
   去年の墓に隣して
   一つの夏はまた一つ
   憂ひの墓をたてました
       …          「北の国では」 三好達治

         -☆-

 昨日より今日 秋は静かに近づいてきた
 ますます青く、高い空
 ますます冴える夕べの月

      -今夜のお月様綺麗ですよ! 満月です
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ペンキ屋さん?

2005-08-18 | イーゼルのうた

 盆栽展で会った風知草。はかなさにつよく惹かれ、さびた色合いにときめきました。Yさん、お元気ですか。

 私は一泊二日で太平洋を見てきました。
千葉県安房小湊、ここに行くのは三度目です。前回は1983年の今頃。半島の手前に漁船が泊まり、台風のあとのドラマティックな雲に心奪われた。19年もまえの天津漁港のようすは今もあざやかです。その日の空気や風、奔放な日射しまでも。

 時化のため近くの小屋に集まった漁師さんが覗きにくる。
  「絵描き屋さんかぁ」  (ペンキ屋さんじゃないわよ)
 「進水したばかりの俺の船も描いてよね…」 「韓国まで、この船で遊びに行ったゾ 」 と楽しげな人など、絵には想い出がたくさん詰まっています。
 
 今年も、仲間4人でスケッチに出ました。 またも台風と相席! 漁港をあきらめ、展望台の柱の陰に店開きです。そこは屋根はありますが、囲いがない。風も雨も強くなって、イーゼルも倒れそうなの。しかし 「チャンスなんだ」 と言い聞かせ、眼下の太平洋に挑みます。

 力強くはしる波、競い合って溢れ、レース模様が連なって、追いかけっこは止まらない。 ふかく重い海のいろ、なかにエメラルドやセルリアンブルーの輝きもある。ビリジャンやローアンバーが混り合う、このすてきな暗色が出るかな。

吹き込む雨に集中力も増してくる。霞む松ヶ鼻や積み木のようなホテル、珊瑚色の壁、はねず色の屋根、城崎海岸を砥の粉色にきめて、何とか整いました。空はまったく精彩がない。ここは課題にして4時半に終わりです。
 台風は明日の夜、最も接近と報じています。 Yさん、まてば椎の大きな実も拾いました。かわいい帽子つき。

翌朝8時。朝食を終え、ますます重い空とニュースに、心も晴れない。 ところが

待ってました!  雲間から薄日が洩れた!
展望台まで走る! 仄かな光の矢、覗くウルトラマリン、グレーやイエロー、速い雲の流れ、一瞬、水平線は濃いブルー。 わくわくしながら絵の具をのせる。

 やったぁ! 台風は思いがけない演出をする。踊るような、ダイナミックな絵になった。短いショーはすでに幕切れ、思い出しながら8号を仕上げました。燃えながら描いた絵です。海辺でうお座や、下弦の月を見る夢はかなわなかったけれど…  大満足の小さな旅でした。
 Yさん、あなたの旅の話も聞かせてね。 楽しみにしています。  2002. 9

 22年前、5時間くらいで仕上げた絵。やはりペンキ屋さんだ。と言ったら本職さんに叱られそう。韓国まで行ったのはどの船?  ただ、塗っただけの浅い絵。恥ずかしいけれど、メモとしてここに載せよう  10号  2005.8

  

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竹の春

2005-08-10 | 自然や花など
 
 きょう、思わずシャッターを押したのは県立図書館の若竹。
新しい黄緑が鮮やかだ。背景にサーモンピンク、実によく似合う。

  竹が好き。
 しなやかに伸びて、うつくしい色も、葉擦れの音もみんなすき。
 竹の春 陰暦8月の異称。 秋の季語 
 
    書楼出て樵歌またきく竹の春   蛇笏
       樵歌(しょうか)  木こりのうたう歌


      おのが葉に月おぼろなり竹の春  蕪村

      -☆-

  北原白秋も竹を、こよなく愛した
「 …竹林を透かして、弱々しい鬱金の西日が射しわたるのだ。日向の竹の葉も明るくて長閑なものだが、日蔭の色は愈愈(イヨイヨ)青く沈んで侘しい。竹と竹との幹にちらちらする光線より幽かな はかないものはない」 と、春を待つ。

 また 「竹林の十月」 のなかでは
「 竹と竹に背をもたせて、まだ緑の細かなほづえを仰ぐ涼しさはなかった。孟宗はまことに豊かで美しいと思った。それよりも笹葉を透かして見る青空の奥深さは何と云っていいだろう。私たちは酒を温めては恍惚とした」 と竹林の日だまりに集う。
 
      -☆-

 父の郷には孟宗が 母の郷には真竹があった。土壌の相違が、個性のちがう竹を育てた。何かあると、孟宗林に逃げ込んだ。
何度空を仰いだことか。小学一年の切ない思い出。忘れてしまいたい。

  それから、真竹の郷に移った。
 そこで光こぼれる竹林にあそんだ。なつかしい時間が重なってくる…
白秋がますます好きになる 竹は様々を思い起こさせる。
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雨の匂い

2005-08-09 | 自然や花など
  
  昨日のこと…
 突然、雨の匂いがした。埃くさい、蒸れた雨の匂いを久しぶりに嗅いだ。それは、走った後の犬の背中の臭いに似ていた。
雨には匂いがあることを あらためて思う。 夏の雨、夕立、白雨のしめった匂いが感覚をやわらかく広げる。
 午後、雨は激しく瓦をうちつけ、滝のように流れ落ちた。

 モームの短編「雨」を読んでいる…
足止めされた宣教師は、理性を押し流すほどのスコールにであった。 
サモアの雨期が傑作を生む。 ここの雨は、どんな匂いがするだろう。

 こまつ座・井上ひさしの「雨」も忘れられない。
江戸の両国。紅花問屋の旦那に間違えられた主人公は、まんまとなりすまし… どんでん返しの、息をつかせぬ激しい雨が降っていた。雨宿りから転がって騙したつもりが騙される。こちらは偽りの匂いがした。

突如降り出した夏の雨、 福田平八郎の「雨」も思い出させる。
 瓦の大きな斑点がつぎつぎに、黒く薄く滲んでいく。 懐かしい情景だ。

      -☆-

 30分でやんだ。 蝉のうたに促され蜆蝶が戻ってくる。きょう初めての青空に、明るい歌を口ずさむ。
 出かけられない心が、晴れる。

   青い青い空だよ 雲のない空だよ
   サモアの島 常夏だ~よ~
   高い高いやしの木 大きな大きなやしの実
   サモアの島 楽しい島よ~

   青い青い海だよ 海また海だよ
   サモアの島 常夏だ~よ~
   白い白いきれいな 浜辺の広場だ
   サモアの島 たのしい島よ~~~

         -☆-

    夕立や草葉を掴(つか)むむら雀   与謝蕪村
    夕立に走り下るや竹の蟻      内藤丈草

 雨はひとを素直にさせる。 心もからだも涼しくなった。 

    
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庭の踊子

2005-08-08 | 夢見鳥
 
          二枚の羽を一枚に合して
          草の葉に憩ふ 小さな蝶
          君の名は蜆蝶 蜆に似てゐるから
          わが庭の踊子 ゆく夏の裾模様
                        晩夏  三好達治

      -☆-

 わが庭の踊り子 風知草の花にひとやすみ 
 小さな蜆蝶 あはれあはれ ゆく夏の裾模様   
 花も儚げ  哀れな蝶を支えている
 
  有るか無きかの風がふく 
   ふたり一緒に あわわと揺れた 


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ラグビーの休暇

2005-08-07 | 犬のブロンコ・ダン
 
 早くも立秋、raguより 残暑お見舞い申しあげます。
まだまだ続くんでしょうな、この暑さ! 連日35℃以上。2階なんぞ
40℃近いですよ。

 夜間も冷めませんなぁ。 昼夜エアコンのお世話になっとります。
 父さんは「お前は贅沢だ!」などと申しますが、黒の毛皮は想像以上に暑く、いっそ脱ぎたい。が、着替えがないそうです。いちど経験してみろ! と言い返す気力も失せました。 17歳ですぞ、人なら、じき100歳だそうな…
 
 日盛りにお出かけが多く、ひっそりと静まりかえる界隈です。最近は昼寝と決めて、遠出もなく、今は昔の夏休みなど思いだしています。

 半年くらいで車に慣れ、長距離でも酔うことがなくなった。家族を伴い伊豆や八ヶ岳、軽井沢あたりへ毎年行ったもんです。皆はホテルで、raguは駐車場でやすみました。夜中、見回りの人に照らされ、大声で叫んだこともありましたな。

 常はソファーで、家族に子守歌など歌わせ、父さんが脱いだばかりの靴下を枕に、残り香を楽しみつつ眠るのでしたが。
 朝になればご馳走をこっそり持ってきてくれ、散歩に出ます。朝もやの冷気が好きだな。一度来たところは忘れませんよ。マークの場所も決めています。

 木漏れ日の中を快調に進むと、五差路に出る。角の大きなクルミの木は良く覚えて、しっかりマークを付けましたな。今頃行くとまだ青い実も落ちていたっけ。

 雲場池まで間もなくです。なつかしい! 鴨さんとは友だちになりました。池の周りを毎年歩きました。ツーショット写真もあるはずです。

 伊豆城ヶ崎では全長48m・高さ23mの門脇吊り橋も渡りました。たいそう揺れましたな、足下に海が見えスリル満点、母さんは青い顔してました。raguは変わらず真っ黒で何があっても顔に出ません。
 しかし、及び腰で…  11年まえの写真なんか出して! 
 今は、面影ありませんなぁ
 
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父と暮らせば

2005-08-06 | こころ模様

 夾竹桃は、夏の陽を思いきり受けとめ、微笑む。
白やピンクの、猛暑にもめげない花だ。 広島で原爆が落ちたとき、翌年の夏まっ先に咲いた花です。 

去年、こまつ座の「父と暮せば」を観た。(作・井上ひさし) 舞台は広島。原爆投下の3年後。 ひとり生き残った娘と、彼女の思いがゴーストとなり現れた父のことばが熱く迫る。 はじめて台本も読んだ。 

 生き残ったことに負い目を感じ、ひっそりと生きている美津江。
 『うちはしあわせになってはいけんのじゃ。うちゃ、生きとんのが申し訳のうてならん』 父・竹造を助けられなかったこと、たくさんの友を亡くしたこと。いつも頭から離れない。好きな人にも心を開けない。

 竹造はなんとか娘の心をほぐそうと励ます
『人間の悲しかったこと、楽しかったこと、それを伝えるんが おまいの仕事じゃ…』 

 戦争のむごさは、亡くなった人にも残った者にものしかかる。が、押しつけがましさや、重苦しさを感じさせずにユーモアで 『何か用か、九日十日?』
 強調したいところはさりげなく。なのに主題がかえって浮き彫りになっている。広島弁もやわらかく響いて、意味もよくわかった。

 岩波ホールで映画もみる。
 宮沢りえの美津江。父の言葉は彼女自身の思いだ。
 カメラは繊細な表情をとらえ、親友の母が言う 『うちの子じゃのうて、あんたが生きとるんはなんでですか』 で涙があふれた。母の正直な気持ち… 
 お互いを思いやる父と娘、舞台では感じなかった雨も、萌えるビリジャンも、命のかがやきのようで美しく心に沁みる。

 父のせりふが頭のなかをぐるぐるまわっている。
 『… それを伝えるんが おまいの仕事じゃ…』
お茶の水のプラタナスを見上げ蝉時雨をぬけると、灼熱がグイと背中を押してきた。
  『おとったん、ありがとありました』 
 こころよい感動をした。
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末摘花

2005-08-04 | イーゼルのうた


 油彩画を習い始めたのは30年も前のこと。
 月に2回、木炭や鉛筆でのデッサンに始まり、水彩スケッチをかさね、いよいよoil painting。憧れの「あぶらえ」である。最初は4号(24×33.5㎝)ばかり何枚も描いた。そのうち6号、やがて8号とだんだん大きいのに挑戦する。

 これは初めて描いた10号(45.5×53㎝)夏休みの宿題だった。モチーフは自由。イーゼルにセットして途方に暮れる。白いキャンバスはさらに広く感じられた。こんな大きいのが描けるの? 埋められるだろうか?   

 こわごわ描いた。今見れば初々しく淡く、ルノワール調だ。枯れた紅花は好きな色だった。画面が広い分、余白が気になりドアを開け、空想の景色を描きこむ。入れ物はブリキ、質感はまだまだ。
そのころピアノ教師だった弟のお嫁さんにプレゼントした。
 彼女は紅花色のドレスがよく似合う。 オレンジ色がすき。

(季節の花300より)
 ・花から得られる紅は口紅になり、平安王朝人の紅や桜色の衣を染め、古代エジプトのミイラの布の防腐にも使われた。
・光源氏は葵上を弔う喪服に使用した。
 紅花の別名は 末摘花(すえつむはな) 茎の末の方から咲き始める花を摘み取ることに由来する。 

 源氏物語第六帖、末摘花(常陸宮姫)のことも思い出される。 
 万葉集では 紅(くれない)とか 末摘花(すえつむはな)で詠まれている。
  外のみに見つつ恋ひなむ紅の末摘花の色に出でずとも 巻10・1993
  紅の花にしあらば衣手に染め付け持ちて行くべく思ほゆ 巻11・2827

 紅花の歌を知るのは、この絵を描いてから20年以上も後のこと。
時はすばらしい贈り物をくれる。
10号がこわくなくなり50号や60号も描き、万葉歌にも出会った。 サインもないが、始めて2年目くらいの絵だと思う。

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碧天

2005-08-02 | こころ模様
       愚痴蒙昧の民として 我を哭かしめよ。
              あまりに惨く(ムゴク) 死し我が子ぞ

 涙が止まりません。忘れてはいけない。

     -☆-

 父を捜す旅はこれからも続けます。90になる母のため自分のため、未来のため、平和のため。
 壕の中から覗いた小さな碧天を忘れません。

   戦ひにはてしわが子と 對ひ居し夢さめて後(ノチ) 身じろぎもせず
   年長(タ)けて 子らよ思はね。かくばかり悔しき時に我が生きにけり
   たゝかひは 過ぎにけらしも-。たゝかひに最(モトモ)苦しく過ぎしわが子よ
       
         釈 迢空(折口信夫) 「倭をぐな」より (我が子は養嗣子・折口春洋)
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