想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

だんだん好きになっていく、みちのく

2015-03-12 00:53:33 | Weblog
3.11 四度目の今日はもうじき終わる。長い一日。
でも福島の本当の苦しみは、12,13,14,15 …と
津波だけでは終わらなかった。
全電源喪失は隠され、何も知らされないまま、避難指示が
遅ればせで届いたわけだ。
身の回りのものだけ、身一つで家を出てきた人々は、
家も故郷もそのとき失ったのだと、いまだに思い切る
ことはできないでいる。

人の死もまた、あきらめきれない。

それはなぜか。

政府のせいか。東電か。

うちがなぜ、わたしがなぜ、なんの因果かと。
いっしょうけんめいはたらいて建てた家。
ごせんぞさまから受け継いだ大事な土地。

人々の恨みは、どこへ向ければいいのか。
おとなしく従順だと評される東北人だが、それはいつも
都人に蹂躙されてきた歴史があるからだ。
千年以上も昔から、東北は西からの脅威に屈服してきた。

おそらくこの二十年くらいが、もっとも希望に満ちて
いたのではなかろうか、2011年春までは。
自分たちの力で、自分たちの土地を豊かにしていける
そういう確信をもってきたのではなかろうか。

東北のことを考えていると、光の集まる中央の裏側が
見えてくる。
それは戦後だけでなく、さかのぼって明治維新、徳川幕府
さらに東夷と呼ばれた中世に至って、同じ構図である。

九州と決定的に違うのが、搾取と貧困と忍従の長い歴史だ。
その民衆の記憶は子々孫々繰り返し、伝わり、生き様にも影
を落とすだろう。

復興の進まない福島に住む人の心境は、どちらも生殺しの
沖縄の年寄になら理解してもらえるかもしれない。
多くの人が同情はしているだろうが…わかってはいない。
愚かしく見えているかもしれない。
しかし、人は、あきらめるというのは、ほんとうはない。
知る、だけなのだ。

だから小賢しい権力者は、真実を隠し翻弄し相手がくたばるのを
待つ。いつの時代もそうであったように、今も行われている。

これでまた統一地方選で自民党が勝ったりするのなら、
地獄だなあ、ほんとうに。



ゆうべ夢を見た。
夢だと気づくのにちょっと時間がかかった。
人が訪れたので出ていくと、四、五人の男女がいた。
顔見知りなような、そうではないような…わからない。
ベイビーがわたしのそばをすり抜けて来訪者の前に
立ちはだかっている。
大きな犬だなあ、とびっくりしている。
シッポをバンバン振ってからだをおしつけていく。
男の人が笑いながら後退りしている。
するとベイビーはそのままデンと伏せをした。

何か御用ですか。
ざわざわと話している…がよくわからない…
ベイビーを見ると、今度はごろんちょ、仰向けになった。
何してんの~と言うと起きあがり、そばにいる。
来訪者が、それで、あの、と話しかけてくる。
ベイビーがまた前へ進もうとするので、押さえようとして
やっと気づいた。

ああ、これは夢かと。
ベイビーのからだをひきもどそうと抱きかかえようとして
気づいた。大きな、あたたかい、どっしりとしたからだ。

疲れた時によく見る夢は、見知らぬ人が訪れる夢。
たいていの場合、緊張でからだ全体が強ばるので目覚める。
ベイビーがつきそってくれたのは初めてだった。
いっしょにいるから緊張しなかった。
いっしょにいてくれたから、怖くなかった。
目覚めてだんだんわかってきて、そうか、と思った。
来てくれて、サンキュ、ベイビー。


コメント
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