どうもこんばんは、若年寄です。
ほぼ休眠中の当ブログですが、久々に記事をアップ。
今回のお題は「不正採用か情報漏洩か」です。
職員採用試験、市側から情報漏洩疑い 行橋市議会、百条委設置 「不正採用で取材」議員指摘 /福岡 | 毎日新聞 2022/12/24 地方版
======【引用ここから】======
行橋市議会は23日、2019年度以降の職員採用試験を巡り、市側から行政情報が漏洩(ろうえい)した疑いがあるとして、地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委員会)を設置した。同日開かれた12月定例会最終日の本会議に議員提案され、議長を除く18人中、賛成17人、反対1人で可決した。
======【引用ここまで】======
最近、活字離れで読解力が低下していたようです。
新聞記事の見出しに
「職員採用試験」
「不正採用」
とあり、本文冒頭に
「職員採用試験を巡り、市側から行政情報が漏洩した疑い」
と書いてあるので、私はてっきり
「行橋市が職員採用に関する情報を漏洩した不正採用試験を実施した件で、行橋市議会がこれを調査する特別委員会を設置した」
と思ったんです。
ところがどっこい。
上記記事の続きを読み進めると、違う内容が書かれていました。
======【引用ここから】======
提出者の田中建一市議は提案理由で、「20年4月以降に採用された職員らに対し、報道機関から不正採用に関する取材があった」と指摘。市側から捜査機関や報道機関への情報漏洩や、正規の手続きを経ずに行政情報が提供された疑いがあるとして、「市長部局の情報管理のあり方を議会として検証する必要がある」と述べた。
======【引用ここまで】======
市から捜査機関や報道機関への情報漏洩があった疑惑を調査する特別委員会、だそうです。
「不正な採用試験を追及する特別委員会」
というのは私の誤読で、
「報道機関や捜査機関への情報漏洩を追及する特別委員会」
というのが正解でした。
ちょっと言い訳をします。
私が冒頭誤解した読み方をしてしまったのには、訳があります。
この件について、私は先入観を持っていました。
合格ライン操作は 実在する!?(1次筆記試験3割得点でも合格できる行橋市職員採用試験) - 若年寄の遺言
この2020年に書いた記事の内容をひと言でまとめますと、
「一次筆記試験を受験した人全員が一次筆記試験をクリアできるよう、市がボーダーラインを底まで下げた」
という、全国でも類を見ない超ド級の不正疑惑試験を紹介したものです。
この時の記憶があったので、冒頭の新聞記事を読んだ時、
「行橋市議会も2年越しでやっと不正な採用試験の追及を始めたか」
と思ったのです。
しかしこれは、思い込みに起因する誤読でした。
「行橋市職員採用試験情報漏えいの疑い」市議会が百条委設置|【西日本新聞me】2022/12/24 6:00
======【引用ここから】======
今議会の一般質問でこの問題についてただした小見祐治議員によると、職員採用を巡って今年9月ごろ、20年以降に採用された複数の市職員の元に報道機関が取材に訪れた▽別の市職員が警察に呼ばれた▽心労で一時仕事を休んだ市職員もいた―という。小見議員は、受験者の点数や順位が正当な手続きを経ず外部に漏れた可能性があるとみている。
-----(中略)-----
百条委は、採用試験の検証は目的としていない。
======【引用ここまで】======
行橋市議会が追及するのは、あくまで行橋市から報道機関や捜査機関への情報漏洩である様子。
職員採用試験におけるボーダーライン設定と一次筆記試験全員合格は、検証の対象外とのこと。
本当に追及すべきはどっちなのでしょうか。
ところで、この西日本新聞記事では
「20年以降に採用された複数の市職員の元に報道機関が取材に訪れた」
と記載されていますが、これは情報漏洩によって引き起こされたものなのでしょうか。
この記事内容からは、受験者の点数や順位の漏洩があったとは直ちに判断できません。
県庁であれば、ヒラも含めた職員録をネットで公開、あるいは一般に販売しています。
公務における職員の氏名、所属などはそもそも公開可能な情報ですし、開示請求すれば採用年度も公開されるでしょう。
職員録を年度ごとに集めれば、採用年度を自力でチェックすることも当然可能です。
(この市役所では、職員の氏名と配属先も非公開なのでしょうか?)
それとも、取材を受けた複数の市職員や警察に呼ばれた別の市職員が、ピンポイントにボーダーライン付近の低順位者だけだったのでしょうか。
これならば話は違ってきます。受験者の点数や順位が漏洩していた可能性があります。
・・・・・おや?
追及している議員は、受験者の点数や順位を知っていたから、取材を受けた市職員や警察に呼ばれた市職員の名前を聞いて
「受験者の点数や順位が正当な手続きを経ず外部に漏れた」
と判断したのでしょうか。
そうなると、この市議会議員に受験者の点数や順位を漏らした人物が、報道機関や捜査機関にも漏らしたと考えるのが妥当ではないでしょうか。
受験者の点数や順位を知り得る人はそう多くないでしょうから。
さて、
また私の読解力不足かもしれませんが、この西日本新聞記事を読んで、私は
「報道機関の取材を受けた複数の市職員≠警察に呼ばれた市職員=心労で一時休んだ市職員」
と認識したのですが、もしそうだとしたら、同じ職場の職員等なら
「この前心労で休んだあの人が警察に呼ばれたのか」
と特定できてしまう可能性は高いです。
これって、一般質問を通じた情報漏洩ではないでしょうか。
本当に追及すべきはどっちなのでしょうか。
さて、情報漏洩を調査する百条委員会が設置されたわけですが、今後、どうなるのでしょうか。
地方自治法第100条の規定による委員会ですので、宣誓をさせた上での証人喚問が出来るなど、通常の委員会よりも重みがあります。
誰を、どのように調べるのでしょうか。
どの情報が、誰から誰に伝わったのか、どこまで判明するでしょうか。
市職員を取材した報道機関の人や、市職員を呼んで取り調べた警察の人を呼んで、
「誰からその市職員の事を聞いた?」
と尋ねるのでしょうか。
市長、副市長、人事担当部課長を個別に呼んで
「情報漏らしたのはお前だろ」
と詰めるのでしょうか。
市職員の誰が取材を受けて、誰が取り調べを受けたのか等に触れない訳にもいかないでしょう。
委員会の中ではどの程度まで個人情報を保有できるのでしょうか。
振り上げた拳の下ろし所が分からなくなって、迷走して暗礁に乗り上げてしまわないでしょうか。
調査委員会の委員長による高度な舵取りが求められます。
報道機関や捜査機関への「適法な情報提供」と「違法な情報漏洩」、この分水嶺を間違えると、場合によっては
「市議会による報道の自由や知る権利への侵害」
「市議会による捜査妨害」
になりかねないので、注意が必要です。
採用試験。
受験者の生涯を左右しかねない、重みのある関門。
一点差でこの関門を突破できた者と、一点差でこの関門に阻まれた者とが峻別される。
採用試験や資格試験における一次筆記試験では、この一点差をいかにクリアするかに1年間を費やす。
受験者によっては、まさにこの一点差に人生懸けて臨んでくる。
その位に重みのある一次筆記試験で、
「ボーダーラインを下げて全員合格にしました~」
というのは、受験者を舐めているとしか言いようがない。
(この記事を書いていて、2年越しに怒りが甦ってきた)
ほぼ休眠中の当ブログですが、久々に記事をアップ。
今回のお題は「不正採用か情報漏洩か」です。
職員採用試験、市側から情報漏洩疑い 行橋市議会、百条委設置 「不正採用で取材」議員指摘 /福岡 | 毎日新聞 2022/12/24 地方版
======【引用ここから】======
行橋市議会は23日、2019年度以降の職員採用試験を巡り、市側から行政情報が漏洩(ろうえい)した疑いがあるとして、地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委員会)を設置した。同日開かれた12月定例会最終日の本会議に議員提案され、議長を除く18人中、賛成17人、反対1人で可決した。
======【引用ここまで】======
最近、活字離れで読解力が低下していたようです。
新聞記事の見出しに
「職員採用試験」
「不正採用」
とあり、本文冒頭に
「職員採用試験を巡り、市側から行政情報が漏洩した疑い」
と書いてあるので、私はてっきり
「行橋市が職員採用に関する情報を漏洩した不正採用試験を実施した件で、行橋市議会がこれを調査する特別委員会を設置した」
と思ったんです。
ところがどっこい。
上記記事の続きを読み進めると、違う内容が書かれていました。
======【引用ここから】======
提出者の田中建一市議は提案理由で、「20年4月以降に採用された職員らに対し、報道機関から不正採用に関する取材があった」と指摘。市側から捜査機関や報道機関への情報漏洩や、正規の手続きを経ずに行政情報が提供された疑いがあるとして、「市長部局の情報管理のあり方を議会として検証する必要がある」と述べた。
======【引用ここまで】======
市から捜査機関や報道機関への情報漏洩があった疑惑を調査する特別委員会、だそうです。
「不正な採用試験を追及する特別委員会」
というのは私の誤読で、
「報道機関や捜査機関への情報漏洩を追及する特別委員会」
というのが正解でした。
【誤読した理由】
ちょっと言い訳をします。
私が冒頭誤解した読み方をしてしまったのには、訳があります。
この件について、私は先入観を持っていました。
合格ライン操作は 実在する!?(1次筆記試験3割得点でも合格できる行橋市職員採用試験) - 若年寄の遺言
この2020年に書いた記事の内容をひと言でまとめますと、
「一次筆記試験を受験した人全員が一次筆記試験をクリアできるよう、市がボーダーラインを底まで下げた」
という、全国でも類を見ない超ド級の不正疑惑試験を紹介したものです。
この時の記憶があったので、冒頭の新聞記事を読んだ時、
「行橋市議会も2年越しでやっと不正な採用試験の追及を始めたか」
と思ったのです。
しかしこれは、思い込みに起因する誤読でした。
【本当に追及すべきはどっち?】
「行橋市職員採用試験情報漏えいの疑い」市議会が百条委設置|【西日本新聞me】2022/12/24 6:00
======【引用ここから】======
今議会の一般質問でこの問題についてただした小見祐治議員によると、職員採用を巡って今年9月ごろ、20年以降に採用された複数の市職員の元に報道機関が取材に訪れた▽別の市職員が警察に呼ばれた▽心労で一時仕事を休んだ市職員もいた―という。小見議員は、受験者の点数や順位が正当な手続きを経ず外部に漏れた可能性があるとみている。
-----(中略)-----
百条委は、採用試験の検証は目的としていない。
======【引用ここまで】======
行橋市議会が追及するのは、あくまで行橋市から報道機関や捜査機関への情報漏洩である様子。
職員採用試験におけるボーダーライン設定と一次筆記試験全員合格は、検証の対象外とのこと。
本当に追及すべきはどっちなのでしょうか。
ところで、この西日本新聞記事では
「20年以降に採用された複数の市職員の元に報道機関が取材に訪れた」
と記載されていますが、これは情報漏洩によって引き起こされたものなのでしょうか。
この記事内容からは、受験者の点数や順位の漏洩があったとは直ちに判断できません。
県庁であれば、ヒラも含めた職員録をネットで公開、あるいは一般に販売しています。
公務における職員の氏名、所属などはそもそも公開可能な情報ですし、開示請求すれば採用年度も公開されるでしょう。
職員録を年度ごとに集めれば、採用年度を自力でチェックすることも当然可能です。
(この市役所では、職員の氏名と配属先も非公開なのでしょうか?)
それとも、取材を受けた複数の市職員や警察に呼ばれた別の市職員が、ピンポイントにボーダーライン付近の低順位者だけだったのでしょうか。
これならば話は違ってきます。受験者の点数や順位が漏洩していた可能性があります。
・・・・・おや?
追及している議員は、受験者の点数や順位を知っていたから、取材を受けた市職員や警察に呼ばれた市職員の名前を聞いて
「受験者の点数や順位が正当な手続きを経ず外部に漏れた」
と判断したのでしょうか。
そうなると、この市議会議員に受験者の点数や順位を漏らした人物が、報道機関や捜査機関にも漏らしたと考えるのが妥当ではないでしょうか。
受験者の点数や順位を知り得る人はそう多くないでしょうから。
さて、
また私の読解力不足かもしれませんが、この西日本新聞記事を読んで、私は
「報道機関の取材を受けた複数の市職員≠警察に呼ばれた市職員=心労で一時休んだ市職員」
と認識したのですが、もしそうだとしたら、同じ職場の職員等なら
「この前心労で休んだあの人が警察に呼ばれたのか」
と特定できてしまう可能性は高いです。
これって、一般質問を通じた情報漏洩ではないでしょうか。
本当に追及すべきはどっちなのでしょうか。
【今後の展開】
さて、情報漏洩を調査する百条委員会が設置されたわけですが、今後、どうなるのでしょうか。
地方自治法第100条の規定による委員会ですので、宣誓をさせた上での証人喚問が出来るなど、通常の委員会よりも重みがあります。
誰を、どのように調べるのでしょうか。
どの情報が、誰から誰に伝わったのか、どこまで判明するでしょうか。
市職員を取材した報道機関の人や、市職員を呼んで取り調べた警察の人を呼んで、
「誰からその市職員の事を聞いた?」
と尋ねるのでしょうか。
市長、副市長、人事担当部課長を個別に呼んで
「情報漏らしたのはお前だろ」
と詰めるのでしょうか。
市職員の誰が取材を受けて、誰が取り調べを受けたのか等に触れない訳にもいかないでしょう。
委員会の中ではどの程度まで個人情報を保有できるのでしょうか。
振り上げた拳の下ろし所が分からなくなって、迷走して暗礁に乗り上げてしまわないでしょうか。
調査委員会の委員長による高度な舵取りが求められます。
報道機関や捜査機関への「適法な情報提供」と「違法な情報漏洩」、この分水嶺を間違えると、場合によっては
「市議会による報道の自由や知る権利への侵害」
「市議会による捜査妨害」
になりかねないので、注意が必要です。
【採用試験の不正は許されるのか】
採用試験。
受験者の生涯を左右しかねない、重みのある関門。
一点差でこの関門を突破できた者と、一点差でこの関門に阻まれた者とが峻別される。
採用試験や資格試験における一次筆記試験では、この一点差をいかにクリアするかに1年間を費やす。
受験者によっては、まさにこの一点差に人生懸けて臨んでくる。
その位に重みのある一次筆記試験で、
「ボーダーラインを下げて全員合格にしました~」
というのは、受験者を舐めているとしか言いようがない。
(この記事を書いていて、2年越しに怒りが甦ってきた)