梓みちよさんを、近頃見かけないが、お元気だろうか。
みちよさんと森男の関係は、ただならぬものがある。
「こんにちは赤ちゃん」。
この歌の大ヒットで、みちよさんは昭和天皇ご夫妻に招かれて、この歌を歌った。
自分のことのように嬉しかった。
「ポカン ポカン」。
森男は課長に昇進した。改革に次ぐ改革の激しい会社だった。
毎週1度、朝礼時間に、課員で合唱する習慣があった。
歌は、「走れトロイカ」や、「俺たちぁ、町には住めないからに」なんていう、真面目だが、暗い歌ばかり、合唱していた。
この歌は、明るいハワイアン調の恋の歌。
職場にあるステレオ装置に、この歌のレコードを乗せて、大音響の伴奏とした。
皆、大喜びの大合唱。他の課を圧倒しちゃった。
その後、合唱した歌は「鉄腕アトム」・「げげげの鬼太郎」・「365歩のマーチ」と、明るく正しい歌謡路線を続けた。
今、返す返すも残念なのは、これって「カラオケ」の先駆けなんですね。
あの時、ニーズとウォンツを掘り下げていれば、こんなブログを書いている事は無かったはず。
「麗人の唄」。サトウハチロー詞・堀内敬三曲・宮川泰編曲。
これは、知らない人もいると思う。
作曲は、何とクラシック音楽界の大御所だ。少年の頃、この人の手引きで、クラシック音楽に開眼した。
戦前の暗い調子の曲だったが、名人・宮川泰さんの手で、洒落た唄に変身した。
詞は6番まである長い曲だが、1・2・5番までを抜粋していた。
1番を転記する。
♪濡れた瞳の囁きに
つい騙された恋心
綺麗な薔薇には棘がある
綺麗な男にゃ罠がある
知ってしまえばそれまでよ
知らない内が花なのよ
その頃、森男は調子に乗って、実力以上に手を拡げ、その結果、何もかもうまくゆかず、激しく凹んでいた。
静岡市の家電店の前でこれを聞いて、妙に慰められました。
「帰り来ぬ青春」。
そのとおりだ。
「二人でお酒を」。
森男は酒に弱い。みちよさんには敵わない。
「小心者」。中村泰士詞/曲・萩田光雄編曲。
♪あなたのおさえめな話し方や
いつもうつむき加減な横顔が
私はすっかり気に入っていたし
とてもとても素敵だった
何のこだわりもなく暮らし始め
時には見せるあなたの弱ささえ
熱いからだを寄せ合い時を埋めて
そしてただ夢中で愛したわ
♪子供の頃チャンバラもケンダマもビーダマもメンコも
町一番だったそうじゃない
そして今は浮かれ街で上手に
歌などうたえると聞いたわ
そうよ私達は小心者
あなたは特にそれを演じてきた
だけどもう偽るのはやめなさい
あなたはもう小心者じゃないわ
御免なさい。みちよさん。後悔してます。
「メランコリー」。喜多条忠詞・吉田拓郎曲・萩田光雄編曲。
みちよさんも、大人のオンナになっている。
♪人の言葉をしゃべれる鳥が
昔のひと(男)の名前を呼んだ
にくらしいわね
男はどこかへ旅立てば
それでなんとか絵になるけれど
秋だというのに旅もできない
メランコリー メランコリー
♪それでも乃木坂あたりでは
私はいい女なんだってね
恋人つれてるあの人に
平気で挨拶しているなんて
淋しいね 淋しいもんだね
淋しいね 淋しいもんだね
この夏、偏屈三人男で、[表参道ヒルズ]を冷やかしに行った際、時間が余って、[乃木神社]に行った。
あの滅法戦争に弱く、後に学習院院長になって、明治帝崩御の際、夫妻で殉死した乃木将軍の旧居を見たかったのだ。
質素な家と聞いていたが、森男の家よりデカく、地下室まである。
辺りは鬱蒼とした樹林。九官鳥とひっそり暮らすには、ゴツイ物件だった。
真夏の暑い日、乃木坂をみちよさんの面影を求めて、ふらふら歩き回った。
飯能や日高よりマシだが、みちよさんのようなイイオンナはいなかったのでした。
涼しくなった夜、乃木坂辺りのクラブに行けば、みちよさんに逢えるかもしれない。