ともになりたい 花いちもんめ
裁判に関わるなんてめんどくさいことはマッピラだ。批判はするけどね。
友人に誘われて、知らずに嫌うのもなんだから、と埼玉県広報で募集した「裁判員制度勉強会(?)」に参加した。場所は大宮ソニックシティー。
参加者は約100人。珍しく、女性が少なく約1割。年齢は3~40代が殆ど。平日の昼間なので、おそらく業界の人、つまり法律事務所の下っ端ではないだろうか。背広の人が多いので、そんな気がした。
配布資料は以下のとおり。(青数字は頁数)
・説明書 裁判員制度-はじまる!私たちが参加する裁判- 112
裁判所ナビ 裁判所ってどんなとこ? 14
よくわかる!裁判員制度Q&A 65
(以上最高裁作成)
私の視点、私の感覚、私の言葉で参加します。 11
(最高裁・法務省・日本弁護士連合会作成)
平成19年5月11日実施 さいたま地方裁判所模擬評議資料 13
始めにに30分ばかり配布書類を基に、いろいろ説明してくれたが、膝の上に取っ替え引っ換え書類を広げ、眼鏡をかけかえ、急がしいったらありゃしなかった。
会はこのまま「説明会」と思っていたら、実は「学芸会」だった。
裁判所の職員が裁判長、検事、弁護士、被告、同弁護人、被害者弁護人に扮して、裁判を行う。
検事役若くていい男。演技力は抜群。憎たらしい。
弁護士はさえない男。何を言っていたのか記憶に無い。夫を刺し殺した妻は綺麗だが、ちょっと無愛想。
被告は夫の暴力と浮気と勝手な行動に耐えかね、何度か離婚を申し出たが、姑の懇願で思い止まっていた。ついにキレて、酒の勢いを借りて包丁でグサリ。
姑は、優しい息子の命を奪い、孫を押し付けられて、老後の暮らしを立たなくした憎い嫁を重罪に処して、と勝手な要望。
被告の姉は、可哀相な妹の相談役になるので、寛大な処分を、と。
被告は猛烈に反省して、夫の冥福を祈ってる、とちょっと前までは殺したいほど憎くて殺してしまったのに。
ま、三文小説のような粗筋のようでした。
そして、出演者の一生懸命だが臭い芝居の後半は、参加者7人ずつ、小部屋を与えられて、刑を談合することになった。
突然、知らない者同士が集まって、懲役は何年か、執行猶予を付けるか、と言われたって、訳分からんよ。
各組に裁判所の職員が一人張り付いて、この事件の場合の標準的な刑を提示した。死刑は無く、懲役5年から20年、執行猶予あり、の由(だったかな?)。
若い人は、単純に殺人は殺人で厳罰。年嵩はそう言ったって、可哀相じゃん。
残された子ども第一で、いや親は無くとも子は育つ、なんでとっとと別れさせなかったんだ、暴力と浮気と浪費の3点セットじゃね、等々。
みんな夫々ご尤もな意見で紛糾し、意見は互いにころころ変り、訳分からんよ。
小一時間、各組の討議の結果、発表された凡その結論は.......。忘れてしまった。執行猶予付きの案外軽かった刑のようだった。
3時間半、拘束されての学芸会だった。討議は、やっている内に面白くなってきた。
学芸会なら、出演してもいいと思った。
主催者側は、ともかく一生懸命にやってくれた。それは褒めていい。
だが、所詮は素人だ。裁判に関する前半は、全国共通の映画にして、見せてくれた方が良かったと思う。
中央は、方針だけ決めて細部は出先に丸投げした感じだった。
説明書4冊分も、電通は馬鹿高いから、NHKに頼んで特集番組を作った方が手っ取り早く判って、有難い。(あれから1ヶ月。一度も説明書を開けたことは無い)。
学芸会前半に関わる夫々の証拠資料表は、何故か回収されてしまい、手元資料として残せなかった。
なお、お土産は、以下のとおり。タウンミーティングのようなお土産を期待したが、外れでした。
・粗末なトートバッグ
・ノック式ボールペン
・メモ紙帳
ところで、母校は司法試験合格者多数を売りにする大学だった。
受験学生は自分の周りにダンボールの衝立を立て結界を作り、必死に判例を丸暗記していた。ヘンな法曹専門職が生まれるのは当然だろうと思っていた。
やはり、業界の人たちは、学芸会の台詞の暗記力は抜群だろうが、広報力は弱いのではなかろうか。
裁判の判決は遅い。「林住記」の判決も大分遅れて、誤免。

▲画像は最高裁要塞(鹿島HPより)。本当はこの内部を見物したいのだ。