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林 住 記

寝言 うわごと のようなもの

日本伝統工芸展

2008-10-03 | 色めがね

TVの「新・日曜美術館」で「日本伝統工芸展」を紹介していたので、実物を確めにいった。
放送の後なのに丁度いい観客数だった。

物凄い出品数で、TVで紹介したものがどこにあるのか、探すのが大変だった。
気に入ったものは、

 ・沈金箱「間垣の里」 水谷内 修 (日本工芸会奨励賞) ▼左
 ・藍木綿花織帯「花から花へ」 堀 直子 (日本工芸会会長賞)

 

の二つだった。
日本の工芸品の特徴として、精密機械のように細密でありながら、箱は朗らかで力強く、帯はメルヘンチックである。
二つとも小品なのがいい。

どれもこれも素晴らしいものばかりだが、陶芸はデカ過ぎ、これ見よがしで厭らしく、着物は誰も着なくなったのに、無駄な努力をしてるなぁ、という印象である。
漆芸、竹芸、人形が面白かった。

だけど、あれは一体誰が買うんだろうか。
とりあえず一品モノでいいが、工業製品化して販路を世界に拡げるべきではなかろうか。

森男は今、林住期であり、林住記は処分期だ。
くれる、と言われたら、...........やっぱり貰っちゃおう。

▲糸巻きは「銀花」154号から、箱は「第55回日本伝統工芸展」HPより。
「花から花へ」は上記HPをご覧下さい。


あの詩人

2008-10-03 | うわごと

 

女傑佐野洋子さんに嵌ってしまった。
で、ウィキペディアを見た。
へ~え! 2度離婚したっていうけど、相手はあの有名な詩人だったんだ!

この前、あの詩人の最新作が琴線に触れて、記事にした。
近くで見たらちょっと......、という感じのコメントを頂いた。

森男もあの詩人に仕事で会ったことがある。
パトロンには、商売商売だった。
パトロンにはそれが分っていて冷たかった。可笑しくて、少し切なかった。
生きるために努力をしてるんだなぁ、と感心した。

あの詩人には繊細な感性と、図太くしたたかな計算が同居しているのだ。ご当人は無意識かもしれないが.......。
だから有名有力な詩人になり、琴線に触れる詩が書けるのだ。

あの詩人をウィキペディアで調べた。
もう一人のセレブ女性と別れている。多分、両女傑から放りだされたんだろう。
あの詩人も、こりゃぁ大変だったろうなぁ.........、と同情した。
だから有名有力な詩人であり、琴線に触れるのだ。

あの詩人も洋子さんのように本音で詩を書いたら、更に読者を増やせるだろうに。
だが、男にはそういうことは無理なんだろうなぁ、と同情した。

今日の夕刊に10月分の詩が掲載された。題は「うざったい」である。
現代詩は読む前から諦めている。読まない森男の偏見かもしれないが、現代詩は小難しく、取っ付きにくいのに、あの詩人は分り易く、面白い。
大したものである。

▲朱地菊蒔絵櫛 銘「原」應受斎作(サントリー美術館蔵)


狸の夫婦の夫婦仲

2008-10-02 | 林住期

 

南伸坊さんの本には、ツマ・文子さんがしばしば出て来る。
一緒にアチコチして、夫婦仲は良さそうに見える。

その秘訣は?、と南伸坊さんの「狸の夫婦」を読み込むと......。
この夫婦、はたして夫婦仲はいいんだろうか、と。

ツマの文子さんは大胆な人である。オット伸坊さんに、

  しんちゃん、チンチンとキンタマって同じだよね

といきなり尋いてビックリさせる。
また、伸坊さんのハラがせり出してくると、

  ハラ!

と単刀直入に厳しく、何度も何度も指摘する。

永年一緒に暮らしているのに、伸坊さんは文子さんが「お天気趣味」である事を知らなかった。
文子さんは、日の出、日没時間にひどく関心があるのだ。

ベランダのトマトに対しては、文子さんは厳格な放任主義だ。
伸坊さんは過保護主義で水をやり過ぎ、弄り過ぎる。
ホースリールが欲しい、と言えば、20mもあるホースは必要ナイ、と文子さんは却下だ。
トマトと洗濯物で狭いベランダの覇権を争う。

夜、トマトの苗の葉っぱを慈しみながら摘むと、朝、寝室で仁王立ちなり、詰問調で、

  どういうつもり?!

と追い詰め、伸坊さんを激しく反省させる。

何日か経つと葉っぱが出てきて、何もあんなに反省することはなかった、と反省する。
しかしそれを公言することを伸坊さんはハバカル。
ホースだって、自分の小遣いで買えるのに、とも考えるが、ともかく差し控える。
ハラの出っ張りは、捻り体操で凹ませよう、と約束し努力するが......。

ま、こんな風に伸坊さんが耐えているので、日々はヘーワに推移しているのだ。
一方、ツマ文子さんだって、伸坊さんが齢60に達すると、

  しんちゃん、カンレキのお祝い、ホースにするか?

と覚えていて、伸坊さんを手放しで喜ばせる。
ハラを体操で凹ますから暫く追求しないでくれ、と言えば、ツマは爾後完全に黙ってる。
長瀞のカキ氷に、寒い東武東上線電車を我慢して付き合う。
酷寒の深夜、近くの原っぱの月見に誘われると、防寒着で身を固めて婦随。
原っぱで、過ぎ去りし二人のあの街この街を偲んでみたりする。

等々その他、ツマ文子さんだって結構オット伸坊さんをオモンバカリ、立てているのだ。

傍から見ると二人は仲がいい。だが天然自然ではなかったのだ。
本の腰巻に書いてある

  へーへー ぽんぽこりん の日常生活

なんて気楽なもんじゃなかったのだ。
二人は、互いに狸寝入りをしたり、化かし合ったりしてヘーワを維持している。
それでなるほど、「狸の夫婦」なんでした。

う~む。

写真は9月29日朝日夕刊に掲載された南伸坊さんの仕事部屋です。
のほほんかと思ってたら、へえ~!でした。


おくりびと

2008-10-01 | 拍手

映画「おくりびと」は面白かった。
深刻な場面に、結構愉快な瞬間があり、暗くならないのがいい。
何人もの遺骸を整え、納棺する場面があり、夫々が切なく、悲しく、可笑しい。
泣けて、笑えて、しーんとして、後味がいい。
脚本家の功績大、なのだろう。
葬儀・納棺業者組合が後援をしているのが納得できた。

主役の本木広末夫婦の清潔感のある演技がいい。
広末を映画で見たのは初めてだが、なるほど美形だ。
助演の山崎社長と余事務員が実に上手く、人間に深さがあり、二人が別の俳優だったら、全く別の印象になっただろう。この二人が主役の二人を食っているように見えたくらいだ。

場所を山形県の庄内平野にしたことも良かった。風景が雄大で綺麗だ。
ごみごみした東京では映画が汚くなる。

三谷幸喜の「ザ・マジックアワー」に較べ、CMがあまり目立たないのに、平日の客席はほぼ満席。どういう訳か、女性が9割以上。やがて「おくられびと」になる爺さんの姿が無い。

母の場合は百歳を超えていたので、淡々と執り行われた。
自分の場合はどうなるのか?
この映画は子供も爺いも、観ておくべきである。

伊丹十三監督、山崎努宮本信子主演の「お葬式」は画期的な映画だった。
しかし作為が目立つ。
映画としては「おくりびと」の方が自然で、良く出来ている。