わが町のブログとしては、珍しく骨のある「野良のかぜ 街のかぜ」を見ていて驚いた。
巾着田の立ち木がごっそり伐採されている、と書いてあるのだ。
(このブログの「巾着田」というカテゴリーを覗くといろいろ勉強になります)。
たまに来る市外の方が巾着田を褒めて下さると、なんだか嬉しくなる。
けれども市内の住民が無邪気に「素晴らしい」と言うのを聞くと、この人の目は節穴じゃないか、と疑ってしまう。
市役所・巾着田管理事務所・観光協会・商工会などが巾着田でやっていることは、次から次へと余計な工事をして、新鮮素朴な素肌に厚化粧を施しているようだ。金をかけて巾着田の魅力をわざわざ無くしている。
観光客を増やし金を取ろう、と一生懸命だが、実は観光客を減らしているのではないか。
巾着田は狭い。景観や環境が保たれたまま市民の憩いの場所として残るので、観光客が減ることは悪いことではない。このままでは、彼らの究極の目的である金儲けが不可能になるのではないか、と心配である。
それに巾着田を壊してしまっては市民の大損だ。
商工観光業者が儲けることには賛成だ。そのためには大いに努力して頂きたい。それは市民の利益にもなるのだから。
また、税金を巾着田に使うことにも反対ではない。だが、今のやり方では無駄遣いどころか、巾着田を壊している。
過日、大前研一さんが朝日新聞に書いていた。(2月19日朝刊)
「不況対策」として書いたのものなので、少し我田引水的な引用かもしれないが、ごく一部を抜粋転記します。
不況期こそ長い目で見て地域の浮揚につながる方策が不可欠だ。そのことを沖縄泡瀬干潟を事例に考えてみたい。
今この干潟では87年に出来たリゾート構想を基に、埋め立て後の利用計画も無いままに埋め立て事業を強行している。
観光客は人口海岸などではなく、手付かずの自然を見たいのだ。
大金を投じて海岸線を傷だらけの二流リゾート地に変えようとしているとしか見えない。
また元経企庁長官の田中秀征さんは「財政出動」で書いている。(3月5日朝刊)
同じように抜粋転記します。
次世代のための財政出動には、医療・介護・教育など生活基盤強化と、エネルギー・環境・農業など成長基盤の強化の二つに絞られている。
しかし第三の目標、国土の景観・美観を高めるための「景観政策」を提案する。
日本列島の資産価値を倍増するのにはまだ間に合う。日本の経済力が衰微しても美しい国土が残れば、次世代への最高の贈り物になり、世界に誇る観光資源になる。
景観政策の具体的事業としては、思いつくだけでも、電線の地中化、醜悪な看板の撤去、美観に配慮したガードレールや護岸.......などがある。
かって日本には何気ない農村風景にも絵になる景観があった。
高度成長以降、日本橋の真上を高速道路が跨いでも平気なほど我々は鈍感になった。
しかし最近の若い世代には豊かな感受性が戻っているようにみえる。
全治3年のトンネルを抜けた先に、是非、素晴らしい景観を眺めたいものだ。
巾着田に就いては観光協会(といっても事務局は市役所産業振興課です)が立案した誰も反対出来ない(物産館建設には反対です)当たり障りの無い全体計画がある。
しかし具体的な計画は無いようだし、補助金をあてにした小さな工事で、沖縄の干潟ほどの大工事ではないけれど、それがマズイのだ。ずるずると目立たない既成事実を積み上げ、結果的にとんでもない景観破壊や環境破壊を引き起こす怖れがある。
巾着田は法律上は「都市公園」になるらしい。それは差し支えないが、先の4者が狙いは、どの町にもある普通の「都市化した公園」にしようとしているようだ。
そしてなけなしの市税をずるずると投入し、業者をとりあえず潤わせることに、本当の目的があるのではないか。維持修繕費や景観や環境などは考えていない。
善意に考えれば、彼らは彼らなりによくしようとしているのかも知れない。
だがその「良さ」が問題なのだ。彼らは田舎の風景に何故か劣等感を持っている。安っぽい都会的なものや朝鮮的なものに置き換えようとする。
美しさの規範があやふやなのだ。派手なペンキで塗りたくれば美しい、と考えている。
彼らは日本国内の先進地をもっと勉強すべきだ。
私は既に何回も、市内の講演会で結構な提言を聞いている。お歴々も聞いて、感心しているのに一向にそれを実行しない。
実行は難しいことかもしれないが、工夫をすれば出来ないことは無い。
今やっていることは金の卵が欲しくて、鶏の腹を裂いているイソップ物語である。
私には「野良のかぜ・・・・」の横山さんのような知識も能力も行動力も無い。
私なりの軽い書き方で、巾着田の見られたくない現実を、時々投稿してみよう。
市民も早く巾着田の破壊に気付いて欲しい。
その1回目。管理事務所による滅茶苦茶な樹木伐採です。
題して「とりあえず伐る」です。
今回は古い写真から、相当無理して美しいものだけを掲載しましたが.......。