例によって、2枚組の輸入盤購入。
80年代は、仕事の関係でレコードやCDを買って音楽を聴くという趣味から遠ざかっていたので、1982年に発売されたこのレコードは買わなかった。
その当時はほとんどの場合、車を運転する際にカー・ラジオで音楽を聴くだけであった。
90年代に入り、少し生活にも余裕が出てきたことから、CDを買い始めた。1993年にリマスターされたCDを買ったのだが、スティービー・ワンダー とのデュオでヒットしたEBONY AND IVORYぐらいしか記憶になく、何故かほとんどこのアルバムを聴いた覚えがない。
今回アーカイブ・シリーズとしてCDがリミックス盤として再発されたので、じっくりと聴いてみることにした。
個人的な印象としては、今回ポールが作曲した楽曲に関しては、以前と相対的に比べてそれほど変わらない質を維持していると思う。一番の違いは、ジョージ・マーチンをプロデューサーに迎えたことであろう。
このことによって、各楽曲のアレンジは非常のすっきりしたものとなり、ポールの過去のアルバムで時折見られたオーバー・プロデュース気味の楽曲は今回見当たらない。
例えば、ポールのセルフ・プロデュース時代のRAMに収録されたTHE BACK SEAT OF MY CARなどは、これでもかこれでもかとアレンジされたエンディングが少しくどいとか、BAND ON THE RUN収録の1985もエンディングのオーケストレーションが少し大袈裟のように感じ、また最後にBAND ON THE RUNとアルバム・テーマを歌うリフレインも不要の様な気がしたのであるが…
もちろん、その様なアレンジに魅力を感じる人沢山もいると思うので、それらが全くダメだと否定をするつもりはないが、このアルバムに関する限り、最後まですっきりと聴き通す事が出来、なんとなくビートルズ時代の雰囲気を感じさせるのは、ジョージ・マーチンの手腕ではないかと思うのだが…
1曲目のTUG OF WARの綿密にアレンジされたコーラスとストリングス、アップテンポな2曲目、TAKE IT AWAYに施されたコーラスとブラスなどは、これ以上でもこれ以下でも曲にマッチしないと思える様な素晴らしいアレンジで、 楽曲にピッタリとフィットしていると感じる。そして3曲目には、ポールにしか思い付かない様な心惹かれるメロディーを持つSOMEBODY WHO CARESが続く。
アルバムの最終曲のEBONY AND IVORYまで聴かずとも、これら最初の3曲を聴いただけで十分満足する。
このアルバムは、1976年SPEED OF SOUND以来途切れていた英米両方でのチャート1位を獲得し、大ヒットとなる。
それまでソロやウィングス時代とビートルズでの活動時代と比較されることを好まないというポールのこだわりが、これで吹っ切れたのか、連作だったPIPES OF PEACEを翌年に出した後、1984年GIVE MY REGARDS TO BROAD STREETではビートルズの楽曲の再録を解禁、そして80年代の終わりには、今までコンサートでちょい出しだったビートル時代の楽曲がセット・リストの半分以上を占めるようなり、現在に至る。
ポールにとって、アルバムTUG OF WARはその後の音楽活動の方向性を転換させたきっかけになった重要なアルバムだったと思う。オリジナルのアルバムが発売されて30数年経った今、そのことに気がついた。
なんとなく見えない流れに沿って生きてきたように思うのだが、ちょっと過去を振り返ってみると、なんらかのきっかけで下した決断が今ある人生の転換点となっている。
もしその時、異なる決断を下したなら、今頃別の方向に形成された見えない流れに沿って過ごしているかも?
もちろん人生を巻き戻してやり直すことは不可能である。今となっては、HERE TODAYを聴き直し昔を思い起こすことぐらいだろか?
Paul McCartney - Somebody Who Cares
80年代は、仕事の関係でレコードやCDを買って音楽を聴くという趣味から遠ざかっていたので、1982年に発売されたこのレコードは買わなかった。
その当時はほとんどの場合、車を運転する際にカー・ラジオで音楽を聴くだけであった。
90年代に入り、少し生活にも余裕が出てきたことから、CDを買い始めた。1993年にリマスターされたCDを買ったのだが、スティービー・ワンダー とのデュオでヒットしたEBONY AND IVORYぐらいしか記憶になく、何故かほとんどこのアルバムを聴いた覚えがない。
今回アーカイブ・シリーズとしてCDがリミックス盤として再発されたので、じっくりと聴いてみることにした。
個人的な印象としては、今回ポールが作曲した楽曲に関しては、以前と相対的に比べてそれほど変わらない質を維持していると思う。一番の違いは、ジョージ・マーチンをプロデューサーに迎えたことであろう。
このことによって、各楽曲のアレンジは非常のすっきりしたものとなり、ポールの過去のアルバムで時折見られたオーバー・プロデュース気味の楽曲は今回見当たらない。
例えば、ポールのセルフ・プロデュース時代のRAMに収録されたTHE BACK SEAT OF MY CARなどは、これでもかこれでもかとアレンジされたエンディングが少しくどいとか、BAND ON THE RUN収録の1985もエンディングのオーケストレーションが少し大袈裟のように感じ、また最後にBAND ON THE RUNとアルバム・テーマを歌うリフレインも不要の様な気がしたのであるが…
もちろん、その様なアレンジに魅力を感じる人沢山もいると思うので、それらが全くダメだと否定をするつもりはないが、このアルバムに関する限り、最後まですっきりと聴き通す事が出来、なんとなくビートルズ時代の雰囲気を感じさせるのは、ジョージ・マーチンの手腕ではないかと思うのだが…
1曲目のTUG OF WARの綿密にアレンジされたコーラスとストリングス、アップテンポな2曲目、TAKE IT AWAYに施されたコーラスとブラスなどは、これ以上でもこれ以下でも曲にマッチしないと思える様な素晴らしいアレンジで、 楽曲にピッタリとフィットしていると感じる。そして3曲目には、ポールにしか思い付かない様な心惹かれるメロディーを持つSOMEBODY WHO CARESが続く。
アルバムの最終曲のEBONY AND IVORYまで聴かずとも、これら最初の3曲を聴いただけで十分満足する。
このアルバムは、1976年SPEED OF SOUND以来途切れていた英米両方でのチャート1位を獲得し、大ヒットとなる。
それまでソロやウィングス時代とビートルズでの活動時代と比較されることを好まないというポールのこだわりが、これで吹っ切れたのか、連作だったPIPES OF PEACEを翌年に出した後、1984年GIVE MY REGARDS TO BROAD STREETではビートルズの楽曲の再録を解禁、そして80年代の終わりには、今までコンサートでちょい出しだったビートル時代の楽曲がセット・リストの半分以上を占めるようなり、現在に至る。
ポールにとって、アルバムTUG OF WARはその後の音楽活動の方向性を転換させたきっかけになった重要なアルバムだったと思う。オリジナルのアルバムが発売されて30数年経った今、そのことに気がついた。
なんとなく見えない流れに沿って生きてきたように思うのだが、ちょっと過去を振り返ってみると、なんらかのきっかけで下した決断が今ある人生の転換点となっている。
もしその時、異なる決断を下したなら、今頃別の方向に形成された見えない流れに沿って過ごしているかも?
もちろん人生を巻き戻してやり直すことは不可能である。今となっては、HERE TODAYを聴き直し昔を思い起こすことぐらいだろか?
Paul McCartney - Somebody Who Cares