カーペンターズといえば軽快なポップ・ナンバーややや翳りのあるバラードにカレンの伸びのある素直な歌唱力とそれを最大限に生かすハーモニーが売り。
しかし1973年のアルバム、Now And Thenをピークにその人気にも徐々にではあるが翳りが見え始めた。とは言え、当然の如くそのあたりの凡百のアーティストと比べれるまでもなくその存在はまだ遥か彼方の銀河系の如く高い地位を保っていた。
ただ当時から、評論家筋からはマンネリ続きで退屈だととも言われていた。
それに反応してリチャードが”それじゃ一度初心に帰って勝負しようじゃないの!”と言ったかどうかは定かでは無いが、新しいコンセプトでアルバムの制作が始まった。
それが1977年に出たアルバム、パッセージでジャケ表にはお馴染みのカーペンターズのロゴ(ジャケ裏に小さくひっそりと)も兄妹の写真もなく単に五線紙上に音符というシンプルなデザイン。更に曲は自作曲は今回収録されずそれまでと毛色の違う曲を含んだ外部作家の作品を使用。
(日本盤の帯にはロゴと兄妹の写真もクッキリと)
もちろん従来の”らしい”曲も収録されているが、特別な気合いも入っていたのかそれまでとは一味違った仕上がりとなった様に感じた。
ただ、時代と共に人の好みも移り変わって行くのが世の常。力作にも関わらず思ったよりヒットせず時代は変わったって気がした。
かく言う私も、このアルバムは当時スキップし21世紀になってリマスターされたCDを購入したものの数回聴いた程度だった。
とある日、何ちゃらオフの店頭で私を呼ぶ声が…. (まあ、自分の単なる思い込みなんですけどね)
振り返ると、このアルバムが! コンディションを見ると帯付きでジャケットも痛みなく綺麗、それよりもレコード盤が新品同様。数回聴いただけで押入れ行きとなり、長い眠りから覚めると何ちゃらオフの店頭って感じですかね。
300円だったので買って家に持ち帰り一聴すると、これが非常によろし~
(サイドー1はやっぱり重厚なオーケストレーションをバックに歌うDon't Cry for Me Argentina、On The Balcony Of The Casa Rosadaから始まっているので何だか映画鑑賞しているみたい。)
(サイドー2のハイライトはプログレ系っぽいクラトゥーの作品のカバー、Calling Occupants Of Interplanetary Craftですかね)
CDのデジタル音源だとそれほどの手間なしに簡単に聴くことが出来るので、もし気分が乗らなければ途中でもそこでお終い。
反対にレコード、特に中古の場合はレコードの洗浄・乾燥と音源再生以前に何かと手間と時間がかかっているから、一旦プレイヤーに針を落とすとこちらも気合いを入れて最後まで集中して聴くことに。
案外そこで再発見することがあるのかも。