

いつもこの季節になると雪国の峰々から始まる紅葉に、堪らなく逢いたくなり旅に出る私、
私にとって旅は何だろう・・・
旅に何を求め、何を確かめに旅に出るのか、あるいはこの街から逃げているのだろうか、
そう思うときがある。
好きな人と隠れた逢瀬を楽しむような旅に憧れながら、
いつも冷めた友となった妻と楽しむ、それが今は一番無難なのかも知れない。
たしかに旅にはいろんな形がある、
悪友と言うべき友と夜は温泉で酒三昧、
あるいは会社の仲間数人と楽しむグループの旅、
気心の知れた親友と楽しむ色恋のない旅、
また家族と楽しむある意味での罪滅ぼしの旅など、
秋の旅はひとりでは余りに寂しくて、やはりひとりでは行きたくないものである。
もうひとりの私が天邪鬼となって「そうかな・・・」
それって正当化しているのではない、私がそう言っている。
この町に住んでいつも同じ時間に目覚め、食事をして、仕事に言っていろいろ気を使い、
言いたくないお世辞をいい、疲れた身体を引きずり四季のない家路に着く、
時計はいつものように時を刻み、私から年と言う時を奪っていく、
ああ・・・どこかで心の空気が体から漏れている。
やはり長く町に住んでいると息が詰まるのかな・・・
外の薫りのある空気が吸いたい、
心を軽くしたい、
心と身体が求める私の秋旅。
「旅に出よう」そう言いながら、そう思いながら行動できない日々に、
ちょっとした焦りを覚えた週末、
「そうだこの季節なら北の峰々の紅葉は山から下りている」
そう思うと居た堪れなくなって北の山を目指して旅に出た私。
思った通り、山は頂から裾野に向かって燃え広がり、染まり、狂い、
最後の表情を見せている。
この風景こそ私が生きている間に数度しか遭遇しない、
秋の一枚のアートであり、最高の絵画展である。
「ああ・・・今年も観賞できる、うれしいな・・・」オーバーかも知れないけれど、
旅とは生きている私を再確認するための大切な行動なのかも知れない。
だからこの季節になると私は旅に出る。


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