冬彩
私が初冬に求めてやまない
冬彩の赤
染まりの仕上げ彩として
樹木を炎で包み
すべてを焼き尽くし
燃え落ちる様は
まさに冬の炎上
燃え落ちは激しく
火の粉となりパラ・・落ちる。
椛の紅葉
染まる椛が初冬に魅せる散り前の赤の美、その赤は美しく迸る鮮血となって滴り落ちる椛の冬彩に酔う。
. . . 本文を読む
森の散策
私がいつも歩く寺のある森を
南北に貫く道は
北が浅い切通で南は竹林と林で
その道を南から北へと歩きながら
森の移ろいを拾い
漂う静と寂で心を静め
森の洗濯機で心身を洗い素顔に返る。
私の散策
私の住む町には意外と自然が残っていてその一つが私の散策する円福寺の森、森は小さいが季の移ろいと寂感を楽しみながら散策できる。
. . . 本文を読む
冬花のひとり
冷めた空の下で人肌の温もりを貪り
深い緑の衣を纏い
秋から冬に丸くまとまって咲く
白い虫媒花
花は林内の日当たりの悪い場所で
人知れず咲いて
そのはじけて咲く小さな花姿が
可愛い冬の八手の花。
八手の花
咲く花が少ない冬の花のひとりであり、花には蜜がありその蜜を昆虫に供給し受粉する虫媒花で、その花彩ア菻内でよく映える。
. . . 本文を読む
冬の風音
寒々とした夜のなかで聴くのは
好きなモーツアルトではなく風の音
このリズム感のない風の音は
無粋でものに当たり散らし
喚く罵声は
冬の海辺で聴く海鳴りとなって聞こえ
私を過ぎた過去に回帰させ
嘲笑う嫌な奴。
冬の風の音
寒気の南下が齎す冬の風は勢いが強く、ところかまわず吹きながら障害があっても避けず、当たる相手の悲鳴を楽しむ嫌な冬の風。
. . . 本文を読む
年一度
四季のなかで出会いながら
いつも気にすることなく
彼女の前を通り過ぎる私に
秋が来ると
おい・・待てよ
甘い匂いで私を誘う
花咲く金木犀との一年に一度の
彼女と私の儚い逢瀬。
出会いは年に一度
花を落とし匂いを消した金木犀にいまでは誰も見向きもしない初冬、樹木を蔽う常緑は染まるなかでも平常心を保つその無言が美しい。
. . . 本文を読む