寒椿
いま春を待つ椿に変わって寒椿が咲いている。
寒々とした灯りの消えそうな冬のなかで
ひっそりと捨てられたように花をつける寒椿、
それは恋する女。
さくらのように、人を楽しませることもなく、紅い花を咲かせる寒椿
散らばる一片の花びら
哀しそう・・・
そう思いながら手にとってみつめる。
(寒椿)
蕾
固い蕾が膨らんで
恥じらい色に染まる
少女の唇
開花
唇に塗られた紅いrouge
喘ぐように咲 . . . 本文を読む
冬空
この街に住んでもう何年になるだろう
私は寒村に育ったせいか冬の空が大好きである。
青空の少ない寒村、来る日も来る日も見えない青空。
広がる鉛色の空、落ちてくるのは霙、それが雪になりモノトーンのせかいが広がる。
空は海、風は海流。
冬の空を見ているとそう思ってくるから不思議である。
そんな雪の少ない空に時々訪れる雪、
嬉しくなって、楽しくなって犬のようにはしゃぐ。
自然素直な空いいね、実にいい . . . 本文を読む
風
随分と暖かい日が続いて「ああ・・・温暖化のせいか暖かい冬」そう思っていたら
来ましたね、大寒とはよく言ったもの、連れてくるのですね寒さを。
空は冬空、風は冷たくいい感じで吹いているしね。
迷子の雪雲が時々飛んできて白い粉をパラパラ・・・
いい感じではありませんか。
(風)
寒い
・・・
濁りの取れた
北風
私の温もりを奪って
吹け
吹きまくれ
暴れろ
北の空に係留された
盲目の船に乗り
コバ . . . 本文を読む
存在。
人にはいろんな存在の人がいる。
それぞれ独身、既婚、家族で違うものである。
それが恋して別れが訪れる時の心めいた気持ちは、当事者にしか分からない胸の内かも知れません。そんな心の想いを書いてみました。
(存在)
私たち
会話しなくなって
何日過ぎたのかな
・・・
二人の間に
空白の時間が広がる
私の想いも
あなたの存在も
いまは灯
ゆれる想い
ゆらぐ心に
二人の想いでが
時間の風のなかで消 . . . 本文を読む
越前の水仙
私が生まれた越前、今頃は雪が舞い積もっているかも知れない。
海岸は雪も少なく舞うことがあっても余り積もることは少ない、
温暖化がこの田舎に住んでいても感じる。
冷たい潮風を受けながら、いま水仙が満開である。
温もりの失せた鉛空、セピアの断崖、コバルトブルーの海、寒々とした集落に建つ蟹御殿。
断崖を埋める水仙の群落、いまが一番いい。
白い花のなかを歩くと匂ってくる水仙の香り。
冬の旅に出 . . . 本文を読む