大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

RE・かの世界この世界:216『イザナミは神々と交渉に、我々は任務分担した』

2023-11-21 10:48:27 | 時かける少女

RE・

216『イザナミは神々と交渉に、我々は任務分担した』テル 

 

 

 頼んでみます!

 

 涙でグチャグチャになった顔を上げてイザナミさんが言い放った。

イザナミ:「幽世と現世は裏と表です。裏あってこその表、表あってこその裏です。黄泉の国の神々に頼んでみます。黄泉の国が黒々と影をなしておられるのは一筋一点の日の光も漏らさぬほどに堅牢な現世があってこそ。そのためには、いま一度戻って夫とともに励まなければなりませんと。少し時間がかかるかもしれませんが、イザナギさん、それまで、ここにいるみなさんと一緒に、どうぞお待ちください!」

イザナギ:「イザナミ!」

 ハッシと抱き合う二人。

 ジュッ!

 焼けたアイロンに水を垂らしたような湯気が立って、いっしゅんのけ反ってしまう。

イザナギ:「もう、こんなに体温にも開きが出てしまったんだね。火傷しなかったかい?」

イザナミ:「はい、だ、だいじょうぶです」

 垣間見えたイザナミさんの手は、すこし赤くなっていた。

イザナギ:「苦労を掛けるね」

イザナミ:「一つお願いがございます」

イザナギ:「なんだい?」

イザナミ:「わたしが中に戻っている間、けして中に足を踏み入れて覗いたりなさいませんように。互いに触れ合えばジュッと湯気が立つほどに隔たってしまったのです。黄泉の国の神々の相談にも、いささかの時間がかかると存じます」

イザナギ:「大丈夫だよ、オノコロジマから、みんな頑張ってきたんだ。わたしも仲間も待つことには慣れている」

イザナミ:「それは言わずものことを申し上げました。それでは、我が君、供の方々、行ってまいります!」

 

 健気に笑顔を見せてイザナミさんは黄泉の闇に消えていった。

 

イザナギ:「みなさん、付き合わせてしまって申し訳ありません」

テル:「頭を上げてください、みんな自分の意思で、ここまでやってきたんです」

ケイト:「うん、最後までつきあいますよ、なあ、桃太郎二号」

桃太郎二号:「おうよ!」

ヒルデ:「長丁場になるだろう、食料と水の確保、それに野営の準備だな」

与一:「では、自分は水場を探しながら狩りに出ます。ケイトも着いてきてくれるかい?」

ケイト:「うん、あたしもアーチャーだからね!」

ヒルデ:「では、わたしはタングニョ-ストと野営の準備にかかろう」

雪舟ねずみ:「車の中にブル-シートとポリタンクがあります、取ってきます」

ヨネコ:「緊急事態なんだから、ここまで車持って来ちゃダメなの? ポケットの中に圧縮してるんでしょ」

雪舟ねずみ:「黄泉の国とは言え、神域です。憚らなくてはなりません、取り出すのは結界の外です」

ヨネコ:「じゃ、わたしもついていく」

雪舟ねずみ:「それは助かる。戻ったら野営のお手伝いします」

テル:「わたしは、薪を拾ってくる。桃太郎二号付いて来てくれ」

桃太郎二号:「おう!」

 

 テキパキと任務分担がなされ、みんなそれぞれの任務につき、わたしは桃太郎二号と共に山の中に分け入った。

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎 雪舟ねずみ 櫛名田比売 ヨネコ

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
 中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長
 志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

  

 

 

 

 

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RE・かの世界この世界:215『イザナミと黄泉戸喫』

2023-11-14 16:55:45 | 時かける少女

RE・

215『イザナミと黄泉戸喫』テル 

 

 

 燃え盛る死者への手紙、その炎の照り返しを受けながら考えた。

 この先の展開はどうなっていただろ?

 

 オノコロジマで火の神を生んで、それにイザナミさんは焼き殺されてしまった。

 もし、火の神を生むことが分かっていたら、ありったけの鍋やら甕やらバケツやらに水を溜めておいて、生まれると同時にぶっかける! いや、ぬるま湯のプールを作って、そこで出産してもらう! 

 日本の神話なんて学校で習わないから、ぜんぜん分からなかった。アニメやラノベで知っている断片だけ。

 その断片も、黄泉の国への旅が進むにつれて、どんどん忘れてきている。

 たしか……イザナギノミコトは一人で黄泉の国へ行くんだ。

 そこで大変な苦労をするんだ……命からがら黄泉の国を脱出するイメージが浮かぶ。

 そうだ、無事に送り届けるだけじゃダメなんだ、連れ戻すところまで見届けなくちゃダメなんだ。

 

 イザナギさんを一人で行かせちゃダメだ。みんなで来たんだ、みんなでイザナギさんを助けなきゃ!

 そうだ、この世界にやって来て、このメンバーが一緒になったことには意味があるんだ!

 みんなで助け合うんだ!

 

――みんな、聞いてほしい!――

 

 檄を飛ばそうと息を吸い込むと咳が出た。

 ゴホゴホゴホ(≧д≦;)

 え、自分の咳じゃない?

 

 振り返ると、黄泉の入り口でイザナミさんが咳き込んでいる!、当の救助対象である女神イザナミその人が咳をしながら立っているではないか!?

 え、ミッションコンプリート?

イザナミ:「ちょっと、入り口で焚火なんかしないでよ、煙がみんな中に入って来るんだから、ゲホゲホ……」

イザナギ:「イ、イザナミぃ!!」

 ええ!? イザナミさん!? なんで!? え? ええ( ゚Д゚)!?

イザナミ:「え、え……あなたたちは……あ……あ……イザナギさん( ゚Д゚)!?」

イザナギ:「よかったぁ! 迎えに来たんだよ! まだまだ国生み神生みの役目が残ってるし、みんなも心配して付いて来てくれたんだよ。もっと大変かと思ったけど、よかった、君の方から出てきてくれて! こんな簡単に会えるなんて思わなかったよ!」

 

 パチパチパチパチパチパチ(^▽^)!

 

 みんな笑顔で拍手して、エンドロール……にはならなかった。

 

イザナミ:「ああ……え……えと……申し訳ないんだけど……無理!!」

イザナギ:「え?」

イザナミ:「無理なの!」

みんな:「「「「「「なんで?」」」」」」

イザナミ:「だって、もう黄泉戸喫(よもつへぐい)してしまったし!」

イザナギ:「ああ……黄泉戸喫……(;゚Д゚)」

 

桃太郎二号:「え、屁を食ったのか?」

 

 桃太郎二号の天然ボケを笑う者はいなかった。

 二人の神さまの表情から、非常にまずい事態になっていることが読み取れれるからだ。

 

イザナギ:「思い出しました……黄泉の国の食べ物を食べてしまった死者は、現世(うつしよ)には戻れないんです」

イザナミ:「そうなの、せっかくここまで来てくれたけど、幽世(かくりよ)の定めを破るわけにはいかないわ」

ヒルデ:「しかし、現にこうして現れているではないか!」

イザナミ:「あ、あなたは?」

ヒルデ:「北欧神オーディンの娘にしてブァルキリーの姫騎士、漆黒のブリュンヒルデである」

イザナミ:「あ、ああ、出産に立ち会ってくださった!」

ヒルデ:「ああ、あの国生みには感動した。このわたしが見ても、あの国生み神生みは道半ばであろう。こうして現世の境まで出てこられたのだ、イザナギ殿と共に戻って、偉業を成し遂げるべきだろう」

イザナミ:「それは……」

ヒルデ:「わたしも似た宿命を負っている。わたしは、その無知から数多のヴァルキリーの戦士をラグナロクの地獄に落してしまった。わたしは、そのヴァルキリーの戦士たちを救うために異世界を彷徨っている。もし、ここに、そのヴァルキリーの戦士たちがいたら、わたしは、地獄の門を破ってでも助けるぞ」

タングニョースト:「姫殿下……」

イザナミ:「貴く力強いお言葉ですね、感服いたします。しかし、こう言ってはなんですが、この国にはこの国の理があります。神の身であるわたしが、その理を破るわけにはいきません」

ヒルデ:「こうして、イザナギ殿の前に現れたというのにか!?」

イザナミ:「はい、決まりは決まりです」

ヒルデ:「そんな、それは、まるで車が一台も通らない交差点の赤信号を馬鹿正直に守っているようなものではないか!」

イザナミ:「それが、この日本なのですよ、異国の姫騎士殿」

ヒルデ:「グヌ」

イザナギ:「ありがとうヒルデさん。妻の言うことももっともなのですよ。こういう気質で、この国は動いていくのでしょう。それは大事にしたいと思います」

イザナミ:「我が君……」

イザナギ:「しかし、我が妻よ。ここにこうして、様々な縁からわたしの旅に付き合ってくれた人たちがいることも事実です。あ、みなさんを紹介してもいいですか?」

イザナミ:「はい、わたしもみなさんのお気持ちはありがたいと思っています。せめて、みなさんのお顔とお名前を胸に刻んでお別れしたいと思います」

イザナギ:「ありがとう、では、もう一度ヒルデさんから」

ヒルデ:「では、正式に名乗りを……主神オーディンの娘にして堕天使の宿命を背負いし漆黒の姫騎士、我が名はブリュンヒルデである」

タングニョースト:「オーディンの副将にしてムヘン総督たるトール元帥の副官タングニョ-ストであります」

イザナギ:「その背中の背嚢は?」

タングニョースト:「よくお目を停めてくださいました。わけあって、肉体を損なっておりますが、戦友の同じくトール元帥の副官タングリスであります」

与一:「下野は那須の兵(つわもの)、那須資隆の十一男、那須与一宗隆」

テル:「小早川……いえ、テルと申します」

ケイト:「えと、ケイトです」

桃太郎二号:「桃太郎二号」

ヨネコ:「ヨネコです。米子の案内係りやってます」

雪舟ねずみ:「雪舟ねずみでございます、総社市でタクシーの運転手をやっております」

イザナギ:「みんな大切なわたしの仲間です。ここに無事にたどり着けたのは、ここにいるみんなのお蔭です」

イザナミ:「そうなんですねぇ…………みなさん、ほんとうにありがとう、そして、ごめんなさい!」

 

 深々と頭を下げるイザナミさん…………その下げた頭から涙がポタポタと流れ落ち、イザナミさんは、なかなか顔を上げなかった。

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎 雪舟ねずみ 櫛名田比売 ヨネコ

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
 中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長
 志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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RE・かの世界この世界:214『黄泉比良坂に到着』

2023-11-07 14:18:12 | 時かける少女

RE・

214『黄泉比良坂に到着』テル 

 

 

 中海を右に見ながら山陰線に沿って西に進む。

 

「こっちだよ」

 ヨネコが指差したのは、山陰線を南に跨ぐ踏切だった。

 踏切を跨ぐと舗装道路は尽き、お伽話に出てくるような地道になって山に呑み込まれている。

ヒルデ:「車はここまでだな」

イサナギ:「ありがとう、雪舟ねずみくんは、ここで待っていてください」

雪舟ねずみ:「車なら心配しないでください……えい」

 雪舟ねずみが指を回すと車は水墨画の絵になってしまい、一同は車中に居た時と同じ順番で道に立っていた。

タングニョースト:「ほう、便利なものだな」

ヒルデ:「ちょっと羨ましい」

 あっちの異世界では二号戦車や四号戦車に乗っていて、メンテナンスや駐車には神経をつかったものだ。

桃太郎二号:「帰りはリムジンバスとかにならねえのか?」

雪舟ねずみ:「アハハ、うちはタクシー会社なものでぇ(^_^;)」

イザナギ:「さ、では行きましょうか」

ヨネコ:「ここから先はヨネコも分からないからね」

イザナギ:「大丈夫です、もともとわたしの任務なんですから」

 そう言って、イザナギさんは一同の先頭に立った。

 イザナギさんの後ろ、左右にヒルデとタングニョーストが寄り添い、最後尾は騎乗の与一殿が位置を占める。

 さすがは戦士たちだ、警戒すべきところに来ると、自然に警戒のフォーメーションになっている。

 

 ザッ ザッ ザッ…………

 

 地道なので、八人と馬一頭が踏みしめる足音も雰囲気。

 小さな峠にさしかかると、左側に池が空を映して景色が明るくなる。

イザナギ:「あそこですね」

 池の反対側に一列にならなければ通れないような地道が上っていて、その曲がった先の開けたところに二本の石柱が立っている。

 どうやら、これが黄泉比良坂。ここを上った先が、いよいよ黄泉の国だ。

 

テル:「いよいよですね!」

 

 大事を前に、あまり話しかけてはいけないと思っていたのだけど、つい言ってしまう。

 そんなわたしに、イザナギさんは穏やかに返した。

イザナギ:「その前に、白うさぎの頼まれごとをやりましょう」

 ああ……そうだった。

 岡山から、ここに来るまで何度も思い出していたんだけど、踏切を渡ってからは黄泉の国攻略しか頭になくて、つい忘れていた。

 

「さあ、それでは」

 

 イザナギさんが懐から取り出した手紙は、ゆうに軽トラック一台分ぐらいの量があった。

 

みんな:「「「「「「おお!」」」」」」

ケイト:「こんなにあったんだ!」

イザナギ:「圧縮してあったんですよ」

ケイト:「ゲームソフトみたいだなあ」

ヒルデ:「おちゃらけた感じの娘だったが、これは、かなり気合を籠めて集めたようだな」

イザナギ:「では、火を……」

与一:「しばしお待ちを」

イザナギ:「どうかしましたか?」

与一:「これだけの手紙、籠められた思いも、相当なものでしょう……」

 あ…………想像力が働いてしまった。

 もし、イザナギさんがイザナミさんに手紙を書いたら、溢れる愛情と真っ黒な後悔でいっぱいの手紙になるだろう。

 ヒルデがヴァルキリーの戦士たちに手紙を書いたら、天国に行かせるつもりがラグナロクの最終戦争にぶち込んでしまったのだから、血を吐くような後悔とお詫びの手紙になる。

 もし、あの時、殺してしまった冴子に、わたしが手紙を書いたら……考えるだけで恐ろしい。

 穏やかに、思い出や感謝の言葉が書かれていても、そこに凝固した思いはすごい熱量が籠っている。

与一:「ものによっては爆発するかもしれません……少し離れたところから、火矢をいかけてみましょう」

ヒルデ:「それは、良い考えだ」

イザナギ:「そうですね、よく気が付いてくれました」

桃太郎二号:「じゃ、ちょっと下がって射ってみるかぁ?」

イザナギ:「下がっただけでは、黄泉の国に向かって矢を射ることになります……そうだ、下の道から横向きに射ってはどうでしょう?」

与一:「分かりました、では、いったん下に下りましょう」

 

 みんなで来た道を戻っった。

 与一殿は、火をつけた矢をキリキリ引き絞ると屋島を思わせる見事さで矢を放ち、一発で手紙の山に火を点けた。

 

 ボ!! ボワァアアアア! ボボボボ! ボボン! ボン! ボン!

 

 与一殿が言った通り、手紙に山は小爆発を伴いながら激しく燃え上がった……

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎 雪舟ねずみ 櫛名田比売 ヨネコ

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
 中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長
 志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

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RE・かの世界この世界:213『桃太郎二号の早グソ』

2023-11-01 11:21:56 | 時かける少女

RE・

213『桃太郎二号の早グソ』テル 

 

 

 え、おっきい方だたよね!?

 

 十秒足らずで薮から戻ってきた桃太郎二号にヨネコが目を回す。

 

桃太郎二号:「ああ、スッキリしたぞ(^▽^)」

ヨネコ:「だって、そんな五月人形みたいな格好して、どうやって……」

桃太郎二号:「ああ、袴の又は割れてんだよ、しゃがんで、グイっと寄せたらケツが露出するようにできてる」

ヨネコ:「でも、下にパンツとかフンドシとか」

桃太郎二号:「鎧用のフンドシ」

ヨネコ:「よ、よろい用?」

桃太郎二号:「うん、前の方にも紐が付いていてな、それを首の後ろで結んであって、緩めるだけで用が足せるんだ」

ヨネコ:「ええ!?」

桃太郎二号:「ほら、この紐」

 背中から紐の先を引っ張り出す桃太郎二号。

 ヨネコはのけ反るが、ヒルデとタングニョーストが「どれどれぇ」と覗きに行く。

桃太郎二号:「ほら、袴はこんなふうに……」

ヨネコ:「キャ(//// )」

ヒルデ:「なるほどぉ……」

タングニョースト:「我々も戦いに臨むときはズボンの股を開けておいたりするが、下着の工夫までは考えていなかったなあ」

ヒルデ:「うん、いい工夫だ」

桃太郎二号:「え、じゃあ、パンツはどうすんだ?」

タングニョースト:「穿かない」

みんな:「穿かない!?」

ヒルデ:「排泄の時、人間はいちばん無防備になるんだ。だから、極力時間を掛けないように工夫をしている。しかし、桃太郎二号の工夫はなかなかのものだぞ」

桃太郎二号:「え、え、そうなのか(n*´ω`*n)」

雪舟ねずみ:「昔の武士は、みんなそうです。しかし、今でも、やっている桃太郎二号はえらいぞ!」

ケイト:「というと、与一殿も?」

与一:「いかにも、郎党どもの中には、そもそも袴も穿かぬものもおりますがね。それにしても、桃太郎二号は早い!」

ケイト:「ちゃんと尻拭いてんのかよ」

桃太郎二号:「もち、しゃがむ前に、そこらへんの葉っぱを千切って揉んでおくんだ」

ヨネコ:「は、葉っぱ(;'∀'#)」

テル:「ひとつぬかったな」

桃太郎二号:「へ?」

テル:「おまえ、風上で用を足しただろ」

みんな:「「「「「「ウ」」」」」」

桃太郎二号:「アハハハ……」

イザナギ:「しかし、さすがに、二号といえど桃太郎です、熟成された桃の気がふんだんに含まれていますよ」

桃太郎二号:「そ、そうなのか?」

 

 イザナギさんは優しい神さまだ(^_^;)。しかし、あえてクンカクンカしてニオイを確かめる者はいない。

 

与一:「さあ、鳴弦の続きを……おや?」

 

 与一殿につられて空を見上げると、いつの間にか悪気は霧消して出雲の向こうまで青空が広がっていた。

 

 黄泉比良坂は、もう目の前というところまでやってきた。

 

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎 雪舟ねずみ 櫛名田比売 ヨネコ

 

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RE・かの世界この世界:212『魔性の霧と桃太郎二号の災難』

2023-10-26 15:32:23 | 時かける少女

RE・

212『魔性の霧と桃太郎二号の災難』テル 

 

 

 ビョンビョン ピュンピュン ビョンビョン ピュンピュン

 

 与一殿の強弓(こわゆみ)とケイトの短弓が空気を震わせる。

 すでに県境を超えて島根に踏み入っている。島根の本姓出雲は、その名の通り叢雲沸き立つの謂いで、水蒸気が多い。

 しかし、いま、我々『黄泉の国を目指す勇者の会』の前に立ちふさがるモヤモヤはめでたき叢雲でも、ファンタジーのエフェクトでもない。

 地霊が凝ったか、間近に迫った黄泉の国から漏れ出たか、魔性の霧が立ち込めてゆく手を阻んでいる。

 やみくもに進んでは、右手の中海、あるいは左手の山中に誘い込まれ黄泉比良坂にたどり着けなくなる、それどころか、我々はバラバラにされ、各個に撃破されるだろう。

ヒルデ:「ノルドの地では霧に誘い込み、同士討ちさせる魔物もいたぞ」

タングニョ-スト:「カエサルの五万の軍が霧に迷い込んで全滅させられたこともあります」

 ヴァルキリアの教範にもあるのだろう、ヒルデとタングニョ-ストは慎重にあたりを警戒する。

桃太郎二号:「す、すこしは晴れてきやがったかぁ……」

 鳴弦の甲斐あって、我々の周囲だけは靄が晴れてきた。

 ピュンピュン

ケイト:「桃太郎二号、おまえ、おしっこに行きたいんじゃないのか?」

桃太郎二号:「ち、ちがわい(;'∀')!」

 ビョンビョン

ヨネコ:「あ、大きい方!?」

桃太郎二号:「……………(#-o-;#)」

与一:「待ってください、もう少しで、その薮のあたりまでは晴らせるでしょうから」

 ビョンビョン ピュンピュン

桃太郎二号:「少しって、どれくらい?」

与一:「五分ほどでしょうか、ケイトくん、がんばりましょう!」

ケイト:「おお!」

 ビョンビョンビョン ピュンピュンピュン

 二人は鳴弦の速度を速めるが、桃太郎二号は切羽詰まっているようで、お尻を押えてピョンピョンしだした。

 ビョンビョンビョン ピュンピュンピュン ピョンピョンピョン

桃太郎二号:「も、もれるっ(;゚Д゚)」

ヨネコ:「こ、ここで出さないでちょうだいね!」

桃太郎二号:「う……うん……」

イザナギ:「よし、我々も協力しよう!」

ヨネコ:「え、どうやって? 弓とかは、もうないよ!」

イザナギ:「気合いです! 刀でもいいです、刀が無ければ、そこらあたりの棒きれを振りましょう! それも無ければ、桃太郎二号くんの傍で、いっしょに跳ねてください。少しは気がまぎれる!」

みんな:「おお!」

 ビョンビョンビョン ピュンピュンピュン ピョンピョンピョン ビシバシ ブンブン ピョンピョン ビシバシ

雪舟ねずみ:「おお、さらに晴れてきたような!」

イザナギ:「みんな、がんばりましょう!」

 ビョンビョンビョン ピュンピュンピュン ピョンピョンピョン ビシバシ ブンブン ピョンピョン ビシバシ

ヨネコ:「もうちょっとかも!」

 ビョンビョンビョン ピュンピュンピュン ピョンピョンピョン ビシバシ ブンブン ピョンピョン ビシバシ

桃太郎二号:「あ……あ、もうだめだぁ!」

 ピューー

 桃太郎二号は、我慢の限界に達し、お尻を押えながら少し晴れ間の広がった薮の向こうに走っていった。

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎 雪舟ねずみ 櫛名田比売 ヨネコ

 

 

 

 

 

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RE・かの世界この世界:211『中海沿いを西に進む』

2023-10-20 13:35:45 | 時かける少女

RE・

211『中海沿いを西に進む』テル 

 

 

 中海(なかうみ)を右手に見て、山陰本線の鉄路に沿いつつ西に進む。

 

 中海のその向こうに日本海が広がっているのだが、間に島根半島が立ちふさがり左には山陰の山々が迫って……隠国(こもりく)の気が立ち込めている。

ヨネコ:「ふふ、そうですね、立ち込めていますね」

 後部座席でヨネコが笑う。

 ランドセルを抱えているので、なんだかランドセルの妖精のようだ。

テル:「ヨネコは人の心を読むのか?」

ヨネコ:「いえいえ(^_^;)」 

 ハタハタと両手を振るとランドセルもワシャワシャ揺れて、ますます妖精のようだ。

ヒルデ:「隠国のところは口にしていたぞ」

テル:「そ、そうか(;'∀')」

ヨネコ:「タングニョーストさんは、リュックだっこしないんですか?」

タングニョースト:「フフ、リュックの中身が恥ずかしがり屋なんでな」

ヨネコ:「?」

ケイト:「海のそばを走ってるから、瀬戸内を走ってるみたいだな」

雪舟ねずみ:「朝方に来ると、霧が立ち込めてることが多いです。雪舟さんは、お好きでしたね」

ヨネコ:「想像力を刺激するんです、水木しげるさんも小泉八雲さんも、朝霧の中にあやかしやもののけを見たんです」

桃太郎二号:「鬼とかもいるのか!?」

ヨネコ:「居たらどうするんですかぁ?」

桃太郎二号:「退治すんだよ、退治してお宝ぶんどって、男を上げるんだ! いつまでも二号なんて言わせねえ、俺さまこそがシン桃太郎だってな!」

イザナギ:「よかったですね。もうじき、黄泉比良坂、鬼は掃いて捨てるほどいます」

桃太郎二号:「そ、そうか、腕が鳴るなあ(;'∀')」

ケイト:「どんな鬼がいるんだ?」

ヨネコ:「男を食うやつとか女を食うやつとか、子どもばっかり食うやつとか、赤ん坊専門に食うやつとか、家ごと食うやつとか、鬼を食う鬼とかもぉ」

桃太郎二号:「く、食うやつばっかしだな……」

ヨネコ:「食わないのもいるよ、ノッペラボウとか雪女とかねずみ男とかぬらりひょんとか一反木綿とか、人間的なやつなら平家の幽霊が耳を引きちぎっていくやつとか! それとか……」

 

 キーーーーー!

 

 ヨネコが絶好調になりかけた時、雪舟ねずみが急ブレーキをかけた。

桃太郎二号:「イテ!」

ケイト:「グ……頭ぶつけた!」

イザナギ:「ヨネコさん、だいじょうぶですか?」

ヨネコ:「うん、ランドセルがクッションになったから(^_^;)」

雪舟ねずみ:「すみません、与一さんが停まれの合図をしてこられたものですから」

 フロントガラスに目を向けると、数メートル先で後姿のまま与一殿が手を挙げて、あたりは、いつのまにか深い霧に覆いつくされている。

 

 ガチャ

 

 ただならぬ気配に、ヒルデとタングニョーストが外に出て、わたしも続いた。

ヒルデ:「なにごとだ、与一殿」

与一:「怪しの気配に満ちている、すぐに危害を加えてくることは無いでしょうが、少し危険です」

イザナギ:「黄泉比良坂は、もうすぐそこです、無駄な戦闘は避けたいですね」

与一:「おっしゃる通りです。ここは鳴弦で凌いでおきましょう」

ケイト・桃太郎二号:「「メイゲン?」」

テル:「鳴る弦と書いてメイゲン、弓弦をビョンビョン鳴らして、その響きで邪気を追い払う方法だよ」

ヨネコ:「ああ、月からの使者がかぐや姫を迎えに来た時に侍たちがやったやつですね」

 

 グググ ゾロゾロ ワシャワシャ グチャグチャ……

 

ケイト・桃太郎二号:「き、来た」

与一:「本来なら桃の木の弓を使うのですが、これも歴戦の強弓、効き目はあるでしょう」

ケイト:「あたしもアーチャー(弓兵)だ、いっしょにやろうか!?」

与一:「弓を見せて」

ケイト:「うん、これだけど……」

与一:「……力のある弓です、得意な技はあるかい?」

ケイト:「うん、カイナティックアローとか……」

与一:「力のある技のようだ、いっしょにやろう」

ケイト:「うん!」

 

 与一殿は、大きな所作で弓を構えると、ビョンビョンと弓の空打ちを始めた。

 ケイトも、それに倣い、ピュンピュンと少し高い音をさせて魔を封じはじめた。

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎 雪舟ねずみ 櫛名田比売 ヨネコ

 

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RE・かの世界この世界:210『記念写真を撮る』

2023-10-12 15:14:56 | 時かける少女

RE・

210『記念写真を撮る』テル 

 

 

 鳥取って言えば、ゲゲゲの鬼太郎じゃないか!

 

 落ち込みそうな場の空気を盛り上げようとしてケイトが指を立てる。

 しかし、ヨネコの緊張を緩めてやるには逆効果のようだ。俯いたままポツリと言った。

ヨネコ:「鬼太郎は……境港だし……」

ケイト:「ああ、港の方なのか」

 駅前の観光地図では、米子市の北の方、中海と美保湾を繋ぐ水路のあたりにある。

ヨネコ:「ちがうのよ、鬼太郎は境港市の観光資源なの!」

 地図をよく見ると、薄いグレーの点線で境界線がひかれているのが分かる。

 

 え……ああ…………

 

ヨネコ:「あ、いいのいいの。鬼太郎も人気だものね、米子の空港だって『鬼太郎空港』って呼んでるくらいだし(^_^;)」

桃太郎二号:「あ~でも、空港って、ほとんど境港っぽくねえかぁ、滑走路も管制塔も境港市の領域みてえだし」

ケイト:「おまえも二号付きの桃太郎だろーが!」

桃太郎二号:「二号いうなぁ!」

テル:「この二人はバカだから気にしないでいいよ」

ヨネコ:「いいのいいの、米子も境港も鳥取県だしね(^_^;)」

 両手をハタハタ振って笑顔をつくるヨネコ、なんかいじらしくって大人たちは笑顔になる。

ヨネコ:「みなさんがいらっしゃるのは因幡の白兎からも聞いていました。それで、ぜひ、お手伝いしたいと思ってお待ちしていたんです(°´ω`°)」

桃太郎二号:「そうか……でも、もうキビダンゴねえしなあ」

ヨネコ:「桃太郎二号のお供じゃないわ『黄泉の国を目指す勇者の会』よ!」

イザナギ:「そうか、それは嬉しい申し入れです。なにもお礼はできませんが、付いて来てもらえれば心強いです。山陰地方に詳しい者がいないので助かりますよ。いいですよね、みなさん?」

 みんな暖かく頷き、桃太郎二号も顔を赤くして「おお!」と返事してくれる。

利休ねずみ:「どうでしょう、目的地の黄泉比良坂までは西へ真っ直ぐ10キロちょっとです。記念写真撮っておきませんか?」

ケイト・桃太郎二号:「「撮ろう撮ろう(^▽^)(^◇^)!」」

イザナギ:「そういえば、ここまで写真どころか、記録をとっていませんでしたね」

ヒルデ:「それはいいことだ。北欧神話はほとんど口伝えだったからな、文章化されたときにはグチャグチャになっていた」

イザナギ:「いや、日本も古事記ができるまでは、稗田阿礼君たちの口伝えですからね」

利休ねずみ:「じゃ、ここからは、ちゃんと記録してSNSにもアップしておきましょう」

タングニョ-スト:「じゃあ、さっきの記念碑の前が良くないか?」

利休ねずみ:「あ、いいですね。いかにもこれから冒険の旅という感じでいいです!」

与一:「じゃあ、みんなでイザナギさんを取り囲んで……」

イザナギ:「いやあ、わたしは後ろでいいです。前は、子どもや若い人たちにしましょう」

桃太郎二号:「ヨネコ、ランドセル重いだろ、持ってやんぞ」

ヨネコ:「いえ、いいんです」

ケイト:「重そうだけど、なにが入ってるんだ?」

ヨネコ:「宿題です」

桃太郎二号:「宿題!?」

ケイト:「どんだけ溜め込んでんだぁ!」

ヨネコ:「いいんです、好きで持ってるんですから」

タングニョ-スト:「そうだな、宿題は自分で持たなきゃな」

ヨネコ:「はい、タングのおねえさん!」

 タングニョーストとヨネコは揃って荷物を揺すりあげ、みんなで自然なポジションについて初の記念写真を撮った。

 

 パシャ!

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎 雪舟ねずみ 櫛名田比売 ヨネコ

 

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RE・かの世界この世界:209『米子のヨネコ』

2023-10-03 16:56:27 | 時かける少女

RE・

209『米子のヨネコ』テル 

 

 

 船通山を下りると、我々は雪舟ねずみのタクシーに、与一殿は天斑駒(あめのふちこま)に乗って北に進んで山陰地方有数の都市、米子を目指した。

 米子は東の美保湾、西の中海に挟まれ、その二つの海の圧力が強すぎて南東方向にはみ出たような形をしている。

 はみ出た部分と挟まれた部分の境目にJR米子駅。

 その駅前広場のオブジェに思わず――パクリ!――と叫びそうになった。

 

 三本の柱が立っていて、その上に、その柱を跨ぐように鉄橋めいた鉄路が空を目指している。

 手前の低いところで校舎の三階あたり、高い方が四階を超えて屋上に突き抜けようかという位置にあって、その上を二両の客車を引いた蒸気機関車が、今まさに夜空に駆けのぼろうとしている。

 ……なんというか、銀河鉄道をモチーフにしたSFファンタジーアニメにソックリ(^_^;)。

 ケイトもリアル世界での記憶があるのか「おお!?」と疑問の混じった歓声をあげ、その性質上ビジュアルにはうるさそうな雪舟ねずみも「おやおやぁ」と控えめに驚いている。

 

「これは、山陰鉄道発祥の地の記念碑なのですよ」

 

 メンバーではない可愛らしい声で注釈が入って振り返る。

 わかめちゃんに妹がいたらこんな感じという女の子がランドセルを背負ってニコニコしている。

桃太郎二号:「な、何者だ! こんな昼間に小学生が、駅前をウロウロしていたらぶっ飛ばされんぞ!」

ケイト:「お、いきなりタメ口で責め立てて、おまえ、一目ぼれしたか!?」

桃太郎二号:「ち、ちがわい!」

 また、ガキ同士の微笑ましい口げんかが始まろうかと思ったら、女の子はランドセルの中身が全部出てしまうのではないかと思うくらいのお辞儀をして挨拶をしてくれる。

女の子:「こんにちは! わたくし、ヨネコと申します。米子を訪れたお客様たちのお役に立つのが、わたくしの務めなのです」

イザナギ:「まだ小さいのに、えらいねえ」

ヨネコ:「いえ、役目ですから」

ヒルデ:「おまえ、ヒトではないな」

ヨネコ:「はい、精霊でございます!」

 思いのほかキリリとした答えに、少したじろいだ。

ヨネコ:「みなさまは、米子の名の由来をご存知でしょうか?」

 米子の由来?

 いきなり地名の由来を聞かれてつまってしまう。

イザナギ:「……ヨネコというのは、米子のことですか?」

ヨネコ:「はい、その通りなのですが、ご説明させていただきます」

 かわいいし折り目正しいし、思わず聞きいってしまう。

ヨネコ:「むかしむかし、米子に長者さまがおられました。何不自由なく穏やかに暮らしていた長者さまだったのですが、たった一つだけ悩みがありました。いつまでたってもお子に恵まれないのです。長者さまは、毎日、毎月、毎年、さまざまな神仏にお祈りされましたが、やはり子宝には恵まれませんでした」

イザナギ:「それは気の毒なことですねえ」

ヨネコ:「それが、長者さまが88歳の時、とうとう奥方さまのお腹に子が宿り、十月十日のあとに元気な赤ちゃんをさずかりました」

みんな:「88歳で!?」

ヨネコ:「それで、八十八を一つに組み合わせ、米と書き、子どもの子を付けて米子と読ませたのです」

イザナギ:「ああ、米はお百姓さんが八十八の手間をかけて育てるんだという言い伝えに通じるものなのですね」

雪舟ねずみ:「お米の大切さと子宝の大切さとを兼ね合わせた心が米子の地名に反映されているんですねぇ」

ヨネコ:「えへへ……」

タングニョ-スト:「そのランドセルの中には何が入っているのかな?」

 そう言えば、背中の大荷物という点ではタングニョ―ストの背嚢と似ている。ランドセルというのは元々は兵隊の背嚢であったものを小学生の通学カバンに流用したものであると聞いたことがある。

ヨネコ:「えと……これはですねぇ……みなさんのお役に立ちたいと言うヨネコの気持ちが詰まっているのです!」

 

 ニコニコと、でも、どこか切羽詰まったような笑顔を向けるヨネコであった。

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎 雪舟ねずみ 櫛名田比売 ヨネコ

 

 

 

 

 

 

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RE・かの世界この世界:208『櫛名田比売と天叢雲剣』

2023-09-28 11:20:26 | 時かける少女

RE・

208『櫛名田比売と天叢雲剣』テル 

 

 

 

 七色に滲んだ瑞雲からは一条の光が差して山頂一帯を荘厳している。

 

 山頂は薄紫の花々に縁どられ、正面に鳥居、右に小さな石の祠、左には剣……おそらくは天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)をかたどった大きな石碑が建っている。

 

桃太郎二号:「ええ、これがアメノムラクモって剣なのかあ? なんか字が彫ってあるぞ」

ヒルデ:「日本の字は難しくて読めんなあ」

イザナギ:「天叢雲剣出顕之地と彫ってあります」

桃太郎二号:「しゅっけん?」

与一:「現れたという意味だ、須佐之男命が八岐大蛇を退治して、尻尾を切ったら、中から天叢雲剣が現れたんだ」

桃太郎二号:「オレの刀にも字が彫ってあるぞ」

ケイト:「そうなのか?」

桃太郎二号:「ほら」

 シャラン

 ちゃんとした効果音をさせて抜き放った刀は、映画村のお土産に売っていそうなビニールの刀だが。本人は立派な本身の刀だと思っている感じなので誰も笑わない。子どもの夢を壊してはいけないからな。

イザナギ:「うん、どれどれ……」

雪舟ねずみ:「桃栗三年柿八年……」

桃太郎二号:「どうだ、カッケーだろ!」

イザナギ:「大器晩成、未来の自分を信じてがんばろうというスローガンですね。立派ですよ桃太郎二号くん」

桃太郎二号:「あはは、それほどでもねえけどな」

ケイト:「祠の方は……なにも入っていないなあ」

 小さな仏壇ほどの祠は立派な石造りなのだが、しめ縄も扁額も無い。前に鳥居が無ければ、ただの灯篭と見間違ってしまう。

タングニョースト:「それに、誰もいませんねえ、白ウサギの話では我々を待っている者がいるという話でしたが」

雪舟ねずみ:「あれ?」

 

 雪舟ねずみが声に少し遅れて、我々も気が付いた。

 無風だった山頂に微かな、でも香しい香りがしたかと思うと、祠の中から気配がする。

 何事かと祠の洞を見ていると香りは薄桃色の光を放ち、祠の前に巫女服姿のきれいな女性が現れた。

 巫女服というのは学校の制服のように体の線を隠してしまうものなのだけど、その女性は170センチはあろうかという長身で、巫女服を通してさえ、ふくよかでメリハリのきいた中身が偲ばれる。

桃太郎二号:「タングのねえちゃんよりもすげえかも……」

ケイト:「おまえ、タングニョーストが好みなのかぁ」

 ポコン

ヒルデ:「静かにしろ」

 桃太郎二号がタングニョーストにしばかれ、ヒルデに注意されて、巫女服は静かに口を開いた。

巫女服:「八雲立つ ~出雲八重垣妻籠みにぃ~八重垣つくる その八重垣を~~~~の櫛名田比売(クシナダヒメ)でございま~す。どうもお待たせいたしました~」

イザナギ:「おお、あなたが櫛名田比売でありますか」

櫛名田比売:「はい、そうです、お義父さま」

 お、おとうさま!?

櫛名田比売:「はい、お義父さまの娘の櫛名田比売でございま~す」

ヒルデ:「え、二人が生んだ神々に、こんなアフロディーテのような女神がいたか?」

イザナギ:「いえ、櫛名田比売は息子の須佐之男命の嫁です。八岐大蛇を退治した縁で嫁になります」

櫛名田比売:「はい、須佐之男さまは、とても愛してくださって、八重の垣根を作って外の空気にも触れさせないほどに大事にしてくださいましたぁ」

イザナギ:「いや、そうなんですか。あんな乱暴者に嫁いでくれて、ほんとうに感謝です」

櫛名田比売:「いえいえ、わたしこそ、八岐大蛇の生贄にされるところを助けていただき感謝の仕様もありません。のろけに聞こえるかもしれませんが、キングギドラの二倍半と恐れられた八岐大蛇を退治するなど並みの勇気で出来ることではありません。それを成し遂げられたのは、かの人の大きな愛情があったればこそなのです。須佐之男さまは、わたしを小さな櫛に変えて髪にさしたままお戦いになられました。か弱い櫛ですので必死に御髪につかまって、弓を射かけ、矛を突かれ、太刀を振るわれる度に『おみごと!』『すてき!』『頼もしいです!』と声援いたしました。須佐之男さまも『いきます!』『次です!』『目に物見せてやります!』『トドメです!』と終始声をかけてくださって安心させてくださいました。あの戦いの最後の一太刀がわたしへのプロポーズ、わたしも、あの方の御髪をギュっと抱きしめることで永久の愛をお誓いしたのです(#*´ω`*#)」

 フワァ~~(n*´▽`*n)

 なんちゅうノロケ、まさか、このノロケを聞かせるために鬼ノ城から呼んだのではないだろうなあ。

櫛名田比売:「しかし、この幸せは、いつにかかってお義父さまのお働きにかかっているのです」

イザナギ:「あ……そうですね。黄泉の国から戻って、わたしが鼻をかんだり目を洗わなければ、須佐之男も天照も生まれてこないんですよね」

櫛名田比売:「はい、それで、少しでもお義父さまのお手伝いに成れればと、これをお持ちいたしました」

 シャラ~ン!

 気合いの入ったエフェクトとともに、櫛名田比売が差し出しのべた手の上に見事な剣が現れた。

イザナギ:「これは……!?」

櫛名田比売:「はい、これこそが天叢雲剣!」

 

 これがああああああ!?

 

櫛名田比売:「どうぞ、これでご本懐をお遂げになって、無事にお戻りくださいませ」

イザナギ:「……そうか、このためにわざわざ……ありがとう、櫛名田比売」

櫛名田比売:「では、これにて……」

 大任を果たして、小さく息を吐くと二歩後ろに下がってから回れ右をする櫛名田比売。

 と、そこで、彼女の美しい足がもつれてしまった。

櫛名田比売:「キャ!」

 

 ズデーーン!

 

 あ!?

 

 倒れたショックで、櫛名田比売の背中が割れて、小学五年生くらいの女の子がこぼれ出てきた。

 

櫛名田比売:「あ、あ、こ、これは違くて! 違うんです! と、とにかく、いってらっしゃいませーー(;゚Д゚#)!!」

 慌てて、元のボディーに潜り込むと、すぐに光になって祠の中に吸い込まれるようにして消えてしまった。

 

イザナギ:「櫛名田比売は八人姉妹の末っ子なんです、七人の姉がみんな生贄にされて、最後に番がまわってくるんですよ。七人の姉たちは十九を筆頭にした年子でしたからねえ……」

ヒルデ:「ということは、たかだか11歳……」

ケイト:「見栄を張ったのかぁ?」

桃太郎二号:「いや、須佐之男がロリコンなのかもなあ」

与一:「それは詮索してはいけません」

雪舟ねずみ:「そろそろ参りましょう、いまなら日のあるうちに米子に着けます」

テル:「よしそうしよう」

 

 頂上を後にすると、吹く風が――八雲立つ ~出雲八重垣妻籠みにぃ~八重垣つくる その八重垣を~――と、櫛名田比売が歌っているように聞こえた。

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎 雪舟ねずみ 櫛名田比売

 

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RE・かの世界この世界:207『船通山の山頂が見えてきた』

2023-09-21 10:45:40 | 時かける少女

RE・

207『船通山の山頂が見えてきた』テル 

 

 

 伯備線に沿って北上する。

 

 道は完全に伯備線に沿っているわけではない。180号線と高梨川と伯備線が絡まるように伸びて鳥取県の米子に至る。途中船通山にも寄らねばならず、うかうかと走っているわけにはいかない。

 峠の道の駅で確認する。

雪舟ねずみ:「この山を迂回するとトンネルから出てきた伯備線が見えてくるはずです」

 雪舟ねずみはがカーナビで確認して、みんなにも説明してくれる。

イザナギ:「なるほど、この高梨川を挟んで西に船通山、東に船上山なんですねえ」

桃太郎二号:「おっさん、自分で作った国だろ、ちゃんと覚えとけよなあ」

ケイト:「神さまに、失礼だろがぁ」

イザナギ:「いやあ、面目ない(^_^;)」

ヒルデ:「イザナギ殿はちゃんとしておられる。うちの父などは、自分の世界だというのに戦争ばかりやって、娘が苦労しているぞ」

タングニョースト:「それで、二つの山にはどんな謂れがあるのですか?」

 生粋の軍人であるタングニョーストは、どこへきても地形や地理偵察に関わる情報に熱心だ。

イザナギ:「船通山は、素戔嗚がヤマタノオロチを退治して、その尻尾から天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)が出現した場所なんです」

ヒルデ:「ムムム、わたしのオリハルコンの剣よりも由々し気だ(`ω´)

タングニョースト:「いえ、もとはギリシャ神話の名刀とは言え、オリハルコンは主神オーディンの賜物でございます」

ケイト:「え、メイドイン北欧神話じゃなかったのか?」

タングニョースト:「ヨーロッパは地続き、問題はない」

桃太郎二号:「船上山というのはなんだよ?」

イザナギ:「時代は下るのですが、鎌倉時代の終りに後醍醐天皇が流刑地の隠岐島から脱出して、やっと落ち着いたのが船上山なんです。太平記ファンには聖地のひとつですね」

ヒルデ:「ゆかしいなぁ日本は、神話も歴史も由々し気だ」

タングニョ-スト:「いえ、姫が閉じ込められていたムヘンの流刑地も、やがては神話になります!」

ヒルデ:「うん、そうでありたいものだな」

テル:「船通山はこの先を左のようだが……」

雪舟ねずみ:「ええと……車が入れるのは登山道口の駐車場までです、2キロの上り道、急ぎましょう」

 

 我々は雪舟ねずみの車に、与一は馬に戻って船通山を目指した。

 

 二キロの登山道を危ぶんだが、ムヘンの冒険で足腰鍛えられた我々には苦では無かった。与一はもとより坂東武者、我々の先を行ってはキリのいいところで待ってくれる。

桃太郎二号:「……ゼーゼー(´Д`;)」

ケイト:「桃太郎二号、おまえ、体力なさ過ぎぃ」

桃太郎二号:「んなこと言ったって、桃太郎は鬼ヶ島ってのがデフォルトだろがぁ、船と平地しかいかねえから、山道ってのは想定外ぃ……」

ケイト:「せめて、鎧ぐらい脱いで車に置いてくりゃよかったのにぃ」

桃太郎二号:「うっせぇ、与一のおっさんもヒルデのネエチャンも鎧じゃねえか、なんでもねえよ」

 ヒョイ

桃太郎二号:「うわ!?」

 与一が桃太郎二号を摘まみ上げて自分の前に座らせる。

桃太郎二号:「おっさん、おろせ、みっともねえ!」

与一:「行軍の速度を落とすわけにはいかん」

桃太郎二号:「くそぉ」

 

 頂上が見えてきた。

 

 頂上付近は、なにやら目出度い雲が湧き上がっていて、なにか良いことが待っているような気がした。

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎 雪舟ねずみ

 

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RE・かの世界この世界:206『天の斑駒だピョン₍ᐢ.ˬ.ᐡ₎!』

2023-09-15 09:25:23 | 時かける少女

RE・

206『天の斑駒だピョン₍ᐢ.ˬ.ᐡ₎!』テル 

 

 

 この馬は天の斑駒だピョン₍ᐢ.ˬ.ᐡ₎!

 白ウサギは、馬の背中に飛び乗ると、腰に手を当て胸を反らせて言い放った。

 

桃太郎二号:「アメノフチコマぁ?」

 桃太郎二号がうさん臭そうに腕を組むとイザナギさんが「ハッ(゚д゚)!」と息を呑んだ。

イザナギ:「わたしは娘のアマテラスに高天原を治めさせるんですが、そのときに持たせてやったのがアメノフチコマなんです。おとなしく力持ちの馬なのですが……」

白ウサギ:「そうだピョン、でもスサノオのバカが皮を剥いて織姫の機屋に放り込んだんだピョン」

みんな:「「「「ええ( ゚Д゚)!?」」」」

白ウサギ:「で、神話の中でもいちばんかわいそうな馬なんで、活躍のチャンスをつくってやろうってことになったピョン」

与一:「わたしの馬は?」

白ウサギ:「もう歳だピョン、那須の田舎でさんざん働いて、余生を与一の家で畑耕していた年寄馬でしょ」

与一:「ああ、でも、乗り手の呼吸をよく読んで自在に動いてくれる名馬だったんだぞ。屋島で活躍できたのも、あの馬がいたからなんだ」

白ウサギ:「ああ、それなあ……馬も喜んでたピョン。でもな、もうあれが精いっぱいのとこさ。与一が乗る前に10人の兄ちゃんたちが、さんざん乗った馬だったからね。それに、壇ノ浦から鬼ノ城まで駆けに駆けて、もう中国山地を超えて黄泉平坂までは無理ピョン。療養させて那須に帰してやるから、天の斑駒に乗ってけピョン」

与一:「そ、そうであったか……」

ヒルデ:「このお膳立てをしたのは白ウサギではないだろう?」

白ウサギ:「えと……」

テル:「岡山でアルバイトしてたやつが、ここまでのお膳立ては無理っぽくないか?」

ケイト:「あ、ひょっとしてペギーのおばさんに頼まれたとか!?」

テル:「面倒見のいいペギーならあり得る話だけど、ここは、ペギーにとっての本拠地ではない、そこまでできるだろうか?」

白ウサギ:「じつはね……名前は言えないんだけど、ある人に託されたんだピョン。その人は、えと……黄泉平坂の途中の船通山てとこで待ってるから、途中で寄って欲しいピョン」

イザナギ:「船通山……」

ヒルデ:「ご存知か、イザナギ殿?」

イザナギ:「船上山というのもありましてね……申し訳ない、ちょっとゴッチャになっています」

白ウサギ:「ま、そういうことだから、ちゃんと行ってくれよね。じゃ、例の手紙もわすれないでねピョン!」

 馬の背から大きく跳ぶと、すぐに林の中に隠れてしまって気配が無くなった。

タングニョースト:「急ぎましょう、うかうかしていると鬼ノ城で一泊することになります。車が走る道に出て距離を稼ぎましょう」

ヒルデ:「ああ、そうだな。雪舟ねずみ頼むぞ」

雪舟ねずみ:「はい、任せてください!」

 

 そして、鬼も城を出たわたしたちは『黄泉の国を目指す有志の会』の旗を『黄泉の国を目指す勇者の会』に替えて、勇ましくも陽気に北を目指すのだった。

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
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 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
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 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎 雪舟ねずみ

 

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RE・かの世界この世界:205『与一の馬』

2023-09-07 14:11:34 | 時かける少女

RE・

205『与一の馬』テル 

 

 

 さて、困った。

 

 与一さんが加わって意気軒高な『黄泉の国を目指す神々の会』なんだけれど、オノコロ島で発足した時は神々はイザナミさんとヒルデの二人に人間のにわたしが付いているだけだったが、今や人間の方が多い。名称を変えた方がいいかもしれない。それに……

桃太郎二号:「お、おれだって神さまだぞ、なあ、イザナギのおっさん(;'∀')?」

イザナギ:「たしかに桃太郎は、大吉備津日子命のモデルだけどねぇ……」

ケイト:「おまえは二号だろーが」

桃太郎二号:「うっせー!」

イザナギ:「みんな和気あいあいとやってるわけですし、『黄泉の国を目指す会』ではどうでしょう?」

ケイト:「目指すと会の間に寂しさを感じるなあ」

イザナギ:「ああ、それなら『黄泉の国を目指す有志の会』では」

ケイト:「町内会の慰安旅行みたいだ」

タングニョ-スト:「迫力がありませんね」

ヒルデ:「ならば『ゃ』を入れよう」

みんな:『や』?

ヒルデ:「いや、小文字の『ゃ』だ」

みんな:「小文字の『ゃ』?」

雪舟ねずみ:「ああ『黄泉の国を目指す勇者の会』!」

みんな:「「「「おお!」」」」

桃太郎二号:「かっこよくなった!」

テル(わたし):「いや、そのことだけじゃなくて、これから中国山地を超えるための足がなあ」

雪舟ねずみ:「あ、その件につきましてはご案じ無く、市役所の要請もあって黄泉平坂まで行く許可は出ています」

テル:「いいのかい?」

雪舟ねずみ:「はい、岡山も島根も神話の国、まるっとこみこみで売り出そうと言う方針になりました」

与一:「わたしは馬で行きます、壇ノ浦から乗ってきた馬がありますから」

ヒルデ:「馬……どこに繋いでおられた?」

与一:「放してあります、近くに繋いでいては追手に知られてしまいますので。那須の里で慣らした馬ですので、呼べばやってきます」

 ピーーー

 与一が口笛を吹くと、琵琶股斑模様(びわまたまだらもよう)の見事な馬が駆けてきた。

与一:「これは……わたしの馬ではない!?」

みんな:「「「「ええ」」」」

ヒルデ:「そう言えば、屋島で扇を落とした時の馬は栗毛であったように思うぞ」

与一:「どういうことだ?」

 みんなが訝しんでいると、薮の中で「それについては、わたしが説明するピョン!」と声がした。

与一:「なに奴!?」

桃太郎二号:「あ、おめえは!?」

ケイト:「因幡の白兎!」

因幡の白兎:「いま説明するから、その物騒なものは仕舞ってよ」

与一:「仕舞うかどうかは、話し次第だ、人の馬をなんとした!?」

 我々には温厚に対応した与一だが、人が変わったように尖がっている。やはり武士、武士の表道具と言っていい馬にはきびしいのだろう。

因幡の白兎:「ある神さまに頼まれたんだ……」

与一:「ある神さまだと?」

因幡の白兎:「じつは……」

 

 因幡の白兎の話は、意外な、でも、ちょっと泣かせる話だった……。

 

☆ ステータス

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☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎 雪舟ねずみ

 

 

 

 

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RE・かの世界この世界:204『鬼ノ城・6』

2023-08-31 14:27:25 | 時かける少女

RE・

204『鬼ノ城・6』テル 

 

 

 おててつないでみな帰ろぉ~ からすといっしょに帰りましょ~

 

 不朽の名曲に詠われているように、夕焼けの空には人や家やふるさとを想うなにかがあるんだろう。

ケイト:「他のみんなは、どうしてるんだろう……」

桃太郎二号:「え?」

 ケイトの呟きに桃太郎二号はキョトンとする。

ケイト:「あ、なんでもないよ」

桃太郎二号:「なんでもなくないだろ、おめえ、涙ぐんでるじゃねえか」

ケイト:「なんでもないよ」

桃太郎二号:「言えよ、水くせえなあ」

ケイト:「うるさいなあ」

桃太郎二号:「そっぽ向くこたぁねえだろ!」

わたし:「じつはなぁ……」

 わたしは、そっと二人の間に入ってやった。

わたし:「イザナギさん以外は、みんな別の世界からとばされてきたんだ」

桃太郎二号:「別の世界?」

わたし:「ああ、みんなで……その…………鬼退治みたいなことをやって旅をしていたんだ」

 すこし言葉に迷ったけど、鬼退治という言葉がしっくりきた。

桃太郎二号:「お、おまえらも鬼退治してたのか」

わたし:「うん、他にも、みなしごやら人身御供をあやうく免れた者やら、小さな妖怪みたいなのが人になったのやらな」

ケイト:「みなしごはロキっていうんだ、ヤンチャな奴で、なんか桃太郎二号に似てるかもね」

桃太郎二号:「そうか、きっといい奴なんだな(^_^;)」

ケイト:「うん、いい奴だ」

桃太郎二号:「そ、そうか……って、ここは『んなことあるかあ』って突っ込むところだろが!」

みんな:「あははははは……」

ヒルデ:「人身御供の方はユーリアって云ってな、とびきりの美少女だ。まあ、わたしの次くらいにな」

桃太郎二号:「そ、そりゃすげえ」

ヒルデ:「あはは、そこは『んなことあるかあ』だろ!」

桃太郎二号:「え、あ、あ、そうだった(;'∀')」

みんな:「あははははは……」

桃太郎二号:「で、でぇ、妖怪が人になったてのはなんだ?」

ケイト:「ロキってのが孤児院に居たころから世話してやってたんだけどな、ちょっとしたことで、みんなとケンカして、戻ってきたらだんだん人間みたいになってきたんだ」

桃太郎二号:「なんか眉唾」

雪舟ねずみ:「いや、わたしだって、もとは雪舟さんが涙で描いただけのねずみでしたからね」

わたし:「そうだ、和尚さんにこっぴどく叱られて柱に括り付けられたあとにリアルになったんだったな」

雪舟ねずみ:「はい、あの時、和尚さんがこっぴどく叱らなければ、わたしは生まれていないところでした(^_^;)」

桃太郎二号:「そうかそうか、やっぱ、たまには揉めなきゃ人も妖怪も進歩しねえんだな。一号も退治した後は鬼ともうまくやったって話だったからな」

 カサカサカサ

桃太郎二号:「前から聞こうって思ってたんだけど、タングが背負ってるのは何だ、時どきカサカサ音がして、タングねえちゃん、なにかボソボソ言ってるだろ?」

タングニョースト:「わたしの戦友だ」

桃太郎二号:「あ、ひょっとしてお骨か!?」

タングニョースト:「そうだ、だがな、こうやって背負っているとな、いつか必ず蘇るんだ」

桃太郎二号:「そ、そうなのか?」

 ガサガサ

 違うところで音がしたかと思うと、与一さんが草むらから出てきて済まなさそうな顔で立っている。

イザナギ:「与一さん……」

 

与一:「申しわけない、やはり手紙では意を尽くせんのです。わたしも黄泉の国に行って、直接父上と話してみたいと思います」

 

 黄泉平坂への旅の仲間が一人増えた。

 

 

☆ ステータス

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☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

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 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
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RE・かの世界この世界:203『鬼ノ城・5』

2023-08-29 14:48:20 | 時かける少女

RE・

203『鬼ノ城・5』テル 

 

 

 雪舟ねずみなので、本格的なお茶かと思ったら、ヤカンに湯を沸かして急須で淹れるという簡便なお茶だ。

 

 一方、タングニョーストの炉はブタの丸焼きができそうなくらい堅牢でごっついものになった。

雪舟ねずみ:「ハハ、わたしの茶には舞台が大きすぎるようです(^_^;)」

タングニョースト:「すまん、戦場では、いつもこれくらいの炉を構えていたのでなあ」

ヒルデ:「いや、わたしも違和感が無かったぞ」

 ヒルデもいっしょに頭を掻いている。

イザナギ:「それなら、いっそ食事にしましょう」

テル:「しかし、イザナギさん食事の準備はなにも……」

イザナギ:「これでも神です、イザナミほど器用にはできませんが、食べたことがあるものなら再現できます」

桃太郎二号:「あ、きび団子なら、ちょっと飽きたかもなぁ(^〇^;)」

ケイト:「桃太郎が言うな」

 ポコ

桃太郎二号:「どつくこたぁねえだろ、ケイト!」

イザナギ:「きび団子ではありません、うどんとたこ焼きです。どちらも作るところを見ていましたからね」

ケイト・桃太郎二号:「「食いたい食いたい!」」

 二人の食欲につられて思いついた。

テル:「材料は、いっしょだからお好み焼きも作ろう!」

 

 お好み焼きぃ??

 

 説明してやると、みんな目を輝かせたり涎を垂らしたり。期待値マックスの中でお好み焼きに挑戦。

 

タングニョースト:「これは、こちらの世界に来た時に匂いだけが残っていた……」

ヒルデ:「ああ、タングニョーストは柄杓の水を飲んだだけで蘇ってしまったんだった」

イザナギ:「ああ、あの水にはミネラルもカロリーも十分入っていましたから、満ち足りてしまったんですねえ。よかったら、そっちの方でも……」

みんな:「「「「「食べたい!」」」」」

 声が揃って、鬼ノ城はこなもん大会になった。途中、雪舟ねずみが「与一さんにも」とお好み焼きとたこ焼きを持って行ってやる。

雪舟ねずみ:「一心不乱に書いておられましたよ、思いが溢れてこられるようです」

イザナギ:「そうでしょうねえ、与一さんはとびきり優しい人ですからね……」

 わたしは「そうですねえ」と辛うじて返事をしたが、みんな食べることに一生懸命だ。

 

 パクパク、ガツガツ、パクパク、ガツガツ…………

 

 パクパク、ガツガツと食べているうちに、いつしか鬼ノ城は泣き出してしまいそうなくらいの懐かし色に染まる。

 カラスやトンビもねぐらに帰り、遠くお寺の鐘もゴーーンと鳴って、宵の明星さえ月と並んで輝きだした……。

 

 

☆ ステータス

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RE・かの世界この世界:202『鬼ノ城・4』

2023-08-28 05:48:51 | 時かける少女

RE・

202『鬼ノ城・4』テル 

 


「与一殿、父上はご存命なのか?」

「いえ、父はわたしが生まれる前に他界いたしました」

「そうだろうなあ……」

 瞬間、イザナギさんと目を合わせて話を続けるヒルデ。

「実は、我々はイザナギ殿に付き従って黄泉の国に行くところなのだ」

「よ、黄泉の国!?」

「いやいや、死んで黄泉の国に行くわけではない。イザナギ殿の奥方が亡くなってなぁ」

「はい、まだまだ国造りの途中なので、迎えに行くところなんです」

「亡くなった奥方様を……?」

「我がままと思われるかもしれませんが、国生みや国造りを蔑ろにしては、この先、どんな災いが起こるかしれません。それで、ヒルデさんをはじめ、皆さん方にご一緒頂いて、黄泉の国に妻のイザナミを迎えに行くところなのです」

「そうだったんですか……いやはや、この世界そのものを背負っておられたんですねえ……那須の家ひとつに汲々しているのが申し訳ないようです」

「それでな、実は、岡山に着いた時に因幡の白ウサギに出会ってな。手紙を託されたんだ」

「白ウサギの手紙ですか?」

「いや、現世から黄泉の国に旅立った者に向けた手紙だ。妻や子や、血の繋がりは無くとも大切な者たちに。黄泉比良坂の前で手紙を焼くと、そういう大切な者たちに届くと言うんだ」

「そんなことができるんですか?」

「ああ、無き父君に、今の想いを届けてみてはどうか? たとえ答えが返ってこなくても、伝えさえすれば、少しは気も晴れるだろう」

「……そうですね」

「紙と筆を出してあげましょう、国生みの仕上げもできない神で、これくらいの手伝いしかできませんが……」

「拝借します。では、あちらで書いてまいります」

「ああ、ゆっくり書くがいい」

「ええと……車の中にお茶の道具があります、ちょっと休憩にしませんか」

 雪舟ねずみが気の利いたことを言う。

「ああ、それはいい。お前たちも手伝ってやれ」

「合点だ」「ラジャー('◇')ゞ」


 ポクポクとお茶の道具をとりに行く三人を見送ると、タングリスはベテランの下士官らしく枯れ枝などを集めて焚火の用意を始める。


 見上げた空は、楼門の向こうに日が傾き始めていた。

 

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