タキさんの押しつけ読書感想
『ツナグ』
これは、悪友の映画評論家、滝川浩一が個人的に、仲間内に流している読書感想ですが、おもしろく、もったいないので、本人の了解を得て転載したものです。
映画もやってて、予告編を見ていて「泣かせの映画」だと一人決めしてました。 だからライターの仕事も他の人に頼んで、小説もほったらかしてました。
昨日まで、水の専門書を読んでたんですが、それも終わって……さて、今日から何を読みますかいねと持った文庫が二冊。「ARGO」と、コレだったんですが、なんで「ツナグ」を選んだのか解らないんですが……
一読、「泣かせ」の対局に有りました。俄然、映画に興味がわいたのですが、これは後の祭り。月末の連休にまだやってたら見に行ってきます。
さて、ご存知かもしれませんが、「ツナグ」とは、一生に一人だけ、死者との再会をさせてくれる「使者」の事です。
これは死んだ人にも同条件で、死者も一回一人きりしか会えない。 使者は意外に若い(後に高校生と知れる…この謎は少しずつ解けていく)物語における一人目の依頼者は、突然死したアイドル(飯島姉御を思わせる)に会いたいという、彼女が死んで直ぐではなく、すでに数ヶ月が過ぎている。アイドルなんてな人種がそれまでに誰かと会っていないてな事があるのか、ましてやアイドルにとってもたった一回のチャンス。それを単なる一ファンのために使ってくれるのか。
他には、母に会いたい息子、親友を無くした女子高生、恋人が失踪したサラリーマン…彼に至っては恋人の生死すら解らない。生者・死者共に心に秘めた想いがあり、また自覚していなかった秘密もある。一つ一つのエピソードには二重三重の展開があり、一夜の邂逅の後に去来する想いも様々である。 そして「使者」たる若者にも重い過去が有った。
「死」を描くのはとても難しい、ことに現在の日本のように確たる宗教観の無い国では 人の死生観もバラバラである。だから、物語の中で年若い「使者」は苦悶する。「死者に会いたいとねがうのは生者の傲慢ではないのか」 読み進む内に解ってくるのは、本作は単に生者と死者が会う話ではなく、互いに等しい存在としての命の物語だという事です。今、自分に問うています、もし自分なら……自分が死んでいたなら……チャンスは一回だけ。
あまり、語らない方が良さそうです。静かに心に染み込んでくるような本でした。泣かせてやろうなんぞという企みは全くありません。逆に泣かさないで読み通してもらうには どう描くべきか、よく考えられた作品だと思います。さて、映画はどこまで原作に迫ってるんでしょうねぇ。
『ツナグ』
これは、悪友の映画評論家、滝川浩一が個人的に、仲間内に流している読書感想ですが、おもしろく、もったいないので、本人の了解を得て転載したものです。
映画もやってて、予告編を見ていて「泣かせの映画」だと一人決めしてました。 だからライターの仕事も他の人に頼んで、小説もほったらかしてました。
昨日まで、水の専門書を読んでたんですが、それも終わって……さて、今日から何を読みますかいねと持った文庫が二冊。「ARGO」と、コレだったんですが、なんで「ツナグ」を選んだのか解らないんですが……
一読、「泣かせ」の対局に有りました。俄然、映画に興味がわいたのですが、これは後の祭り。月末の連休にまだやってたら見に行ってきます。
さて、ご存知かもしれませんが、「ツナグ」とは、一生に一人だけ、死者との再会をさせてくれる「使者」の事です。
これは死んだ人にも同条件で、死者も一回一人きりしか会えない。 使者は意外に若い(後に高校生と知れる…この謎は少しずつ解けていく)物語における一人目の依頼者は、突然死したアイドル(飯島姉御を思わせる)に会いたいという、彼女が死んで直ぐではなく、すでに数ヶ月が過ぎている。アイドルなんてな人種がそれまでに誰かと会っていないてな事があるのか、ましてやアイドルにとってもたった一回のチャンス。それを単なる一ファンのために使ってくれるのか。
他には、母に会いたい息子、親友を無くした女子高生、恋人が失踪したサラリーマン…彼に至っては恋人の生死すら解らない。生者・死者共に心に秘めた想いがあり、また自覚していなかった秘密もある。一つ一つのエピソードには二重三重の展開があり、一夜の邂逅の後に去来する想いも様々である。 そして「使者」たる若者にも重い過去が有った。
「死」を描くのはとても難しい、ことに現在の日本のように確たる宗教観の無い国では 人の死生観もバラバラである。だから、物語の中で年若い「使者」は苦悶する。「死者に会いたいとねがうのは生者の傲慢ではないのか」 読み進む内に解ってくるのは、本作は単に生者と死者が会う話ではなく、互いに等しい存在としての命の物語だという事です。今、自分に問うています、もし自分なら……自分が死んでいたなら……チャンスは一回だけ。
あまり、語らない方が良さそうです。静かに心に染み込んでくるような本でした。泣かせてやろうなんぞという企みは全くありません。逆に泣かさないで読み通してもらうには どう描くべきか、よく考えられた作品だと思います。さて、映画はどこまで原作に迫ってるんでしょうねぇ。