KAORU♪の「気ままなダイアリー」

KAORU♪が見つけたステキな風景、出会ったおもしろいできごと、おいしい料理などを“気が向いた時”にご紹介します。

★一瞬の思い出、永遠の記憶

2010年06月23日 | KAORUの好きなものギャラリー
               【モエレ沼公園 イサムノグチの遊具】


モエレ沼公園の遊具はまるでオブジェのように美しい。

芸術としての完成度が高く、
画一化されたお役所の無表情で
安全第一、の域を超えている。

子どもだけが単純に喜ぶものではなく、
そこにたたずんでいるだけで、
空間ごと計算しつくして、デザインされていた。


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雨の降り出す直前のこと。

カラフルで大きな滑り台やらブランコやら
迷路で遊んでいるお母さんと男の子がいた。


公園エリアに足を踏み入れた瞬間、
高い高いおしゃれな滑り台から2人が
キャー!という歓声とともに
ツーっと一緒に滑って地面へと到着した。


「ママ、洋服が汚れちゃったわ。
こんなんじゃ、おうちに帰れない~!」


洋服についた土や砂を気にして
一生懸命払い落としている。

男の子はまったく意に介さず、
すかさずブランコへと走った。


「ねぇ、ママ~!早くこっちに来てよ~!」


「待ってて~!」


「早く、早く!」

「だってママ、お洋服が~!」

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美しい迷路のオブジェ、
グリーンとブラウンのコントラストを
いろんな角度からシャッターに収めていると、
かわいらしい親子の会話が聞こえてくる。


なんだか、なつかしい。


そういえば、こんなような会話を
よくしてた。


TATSUROがまだ幼児の頃、
2人でたくさんの公園にお散歩にでかけた。

毎日2時間も3時間も、
くる日もくる日もお散歩で、
楽しいけれど、ちょっぴりうんざりしていた。


私の世界が、目の前の公園しか
ないような気分に、時々なっていた。

一生、この時間が続いてしまうのではないか、
とありえないことを、一瞬だけど考えては
頭で打ち消していた。


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私たちは、だれしもが多かれ少なかれ
そんな感覚に陥ることがある。


本当は大切な時間なのに、
もう二度と戻らない時間なのに、
すぐ別のことを考えて不安になったり、
焦ってみたり、悲しくなったりしてしまう。


もっとほかにしなくてはいけないことが
あるんじゃない?、とか

ほかの人は、
今頃がんばっているんじゃない?、とか

こんなのはきっと違うんだ、と疑ってみたり。


そして、そこにある本当に大切にしなくては
いけない宝物を手のひらから
こぼれ落してしまう。

一番大切な事柄を、
一番大切にするべき相手を、

見失ってしまう。


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手もとからなくなってはじめて、
もう戻れない、と気づいてようやっと、

それがかけがえのない宝石だったことを思い出す。


もっと大切にしておけばよかった。

もっと楽しんでおけばよかった。

もっと愛を注げばよかった。

もっと感謝の気持ちを伝えておけばよかった。


そんな、想いが胸をかすめて
ちょっとせつなくなるときがある。



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私と息子と、そしてコロの3人の暮らしが
スタートして10年以上。

TATSUROは、この春大学を辞め
秋から海外留学に行くことを決めた。

現在、短期のアルバイトと
英語のレッスンのとスケボーの日々。


来年はとうとう成人式だし、
いよいよ子育ても終わりを告げる。


秋からいよいよ私自身の、
自分のための時間がスタートする。


残り少ない親子の大切な時間を
本当に大切にしていこう。


一年たって戻ってくるときには
今よりさらにスケールが広がった彼と
また新しい時間がはじまるのだろう。


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デジカメをのぞいていると、
一瞬なにかが動いた。


なんだろう?

カメラをはずして、迷路のオブジェを見てみると
さっきの男の子だった。

瞬間的にデジカメをもとの
位置に戻して夢中でシャッターを切った。

はにかみながら、そっと私の様子をのぞきこみ、
大丈夫そうな気配を感じると
ぐっと前に出てきた。

そして、カメラにむかって声もなく微笑んだ。


次の瞬間、クルっと背中を向けると
トコトコトコ、っと次なる目的地に
走り出していった。











なにか話かけようと思ったのに、
シャッターを押すのに精一杯で
ニコっと笑顔を返すのがやっとだった。

お母さんはベンチに腰掛けて
まだ洋服のことを気にしていた。

2人のあいだでひそやかにかわされた時間には
まったく気づいていない様子だった。


本当に一瞬の、夢のようなできごと。


こんなひとときも
楽しめるようになった私は、
きっとずっと前よりも成長したんだと思う。

時間を重ねるって、
今まで「幸せ」とか「大切」とかって
気づかなかったことを骨身にしみわたるように
しっかりと教えてくれて、
その積み重ねが「永遠の記憶」へと
つながっていくのではないか、と思う。

そんな気分の、今日このごろ。






















コメント (2)
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