【モエレ沼公園 イサムノグチの遊具】
モエレ沼公園の遊具はまるでオブジェのように美しい。
芸術としての完成度が高く、
画一化されたお役所の無表情で
安全第一、の域を超えている。
子どもだけが単純に喜ぶものではなく、
そこにたたずんでいるだけで、
空間ごと計算しつくして、デザインされていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/37/a4/f0786420ad5c733ba199718ccda4f57c_s.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/6f/f9/cd99d2766982a2a15ebe19c0ff3e5253_s.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/62/db/d81d7148bb419a461a7fa0116305a9f5_s.jpg)
************************
雨の降り出す直前のこと。
カラフルで大きな滑り台やらブランコやら
迷路で遊んでいるお母さんと男の子がいた。
公園エリアに足を踏み入れた瞬間、
高い高いおしゃれな滑り台から2人が
キャー!という歓声とともに
ツーっと一緒に滑って地面へと到着した。
「ママ、洋服が汚れちゃったわ。
こんなんじゃ、おうちに帰れない~!」
洋服についた土や砂を気にして
一生懸命払い落としている。
男の子はまったく意に介さず、
すかさずブランコへと走った。
「ねぇ、ママ~!早くこっちに来てよ~!」
「待ってて~!」
「早く、早く!」
「だってママ、お洋服が~!」
************************
美しい迷路のオブジェ、
グリーンとブラウンのコントラストを
いろんな角度からシャッターに収めていると、
かわいらしい親子の会話が聞こえてくる。
なんだか、なつかしい。
そういえば、こんなような会話を
よくしてた。
TATSUROがまだ幼児の頃、
2人でたくさんの公園にお散歩にでかけた。
毎日2時間も3時間も、
くる日もくる日もお散歩で、
楽しいけれど、ちょっぴりうんざりしていた。
私の世界が、目の前の公園しか
ないような気分に、時々なっていた。
一生、この時間が続いてしまうのではないか、
とありえないことを、一瞬だけど考えては
頭で打ち消していた。
************************
私たちは、だれしもが多かれ少なかれ
そんな感覚に陥ることがある。
本当は大切な時間なのに、
もう二度と戻らない時間なのに、
すぐ別のことを考えて不安になったり、
焦ってみたり、悲しくなったりしてしまう。
もっとほかにしなくてはいけないことが
あるんじゃない?、とか
ほかの人は、
今頃がんばっているんじゃない?、とか
こんなのはきっと違うんだ、と疑ってみたり。
そして、そこにある本当に大切にしなくては
いけない宝物を手のひらから
こぼれ落してしまう。
一番大切な事柄を、
一番大切にするべき相手を、
見失ってしまう。
************************
手もとからなくなってはじめて、
もう戻れない、と気づいてようやっと、
それがかけがえのない宝石だったことを思い出す。
もっと大切にしておけばよかった。
もっと楽しんでおけばよかった。
もっと愛を注げばよかった。
もっと感謝の気持ちを伝えておけばよかった。
そんな、想いが胸をかすめて
ちょっとせつなくなるときがある。
************************
私と息子と、そしてコロの3人の暮らしが
スタートして10年以上。
TATSUROは、この春大学を辞め
秋から海外留学に行くことを決めた。
現在、短期のアルバイトと
英語のレッスンのとスケボーの日々。
来年はとうとう成人式だし、
いよいよ子育ても終わりを告げる。
秋からいよいよ私自身の、
自分のための時間がスタートする。
残り少ない親子の大切な時間を
本当に大切にしていこう。
一年たって戻ってくるときには
今よりさらにスケールが広がった彼と
また新しい時間がはじまるのだろう。
************************
デジカメをのぞいていると、
一瞬なにかが動いた。
なんだろう?
カメラをはずして、迷路のオブジェを見てみると
さっきの男の子だった。
瞬間的にデジカメをもとの
位置に戻して夢中でシャッターを切った。
はにかみながら、そっと私の様子をのぞきこみ、
大丈夫そうな気配を感じると
ぐっと前に出てきた。
そして、カメラにむかって声もなく微笑んだ。
次の瞬間、クルっと背中を向けると
トコトコトコ、っと次なる目的地に
走り出していった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/f8/e88d6ac2a36f2a869a663e85425d7534.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/33/a9189f9956408648b7ea97d3da07487e.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/24/dbea2f3735a77f1309a7a2ba5414a01a.jpg)
なにか話かけようと思ったのに、
シャッターを押すのに精一杯で
ニコっと笑顔を返すのがやっとだった。
お母さんはベンチに腰掛けて
まだ洋服のことを気にしていた。
2人のあいだでひそやかにかわされた時間には
まったく気づいていない様子だった。
本当に一瞬の、夢のようなできごと。
こんなひとときも
楽しめるようになった私は、
きっとずっと前よりも成長したんだと思う。
時間を重ねるって、
今まで「幸せ」とか「大切」とかって
気づかなかったことを骨身にしみわたるように
しっかりと教えてくれて、
その積み重ねが「永遠の記憶」へと
つながっていくのではないか、と思う。
そんな気分の、今日このごろ。
モエレ沼公園の遊具はまるでオブジェのように美しい。
芸術としての完成度が高く、
画一化されたお役所の無表情で
安全第一、の域を超えている。
子どもだけが単純に喜ぶものではなく、
そこにたたずんでいるだけで、
空間ごと計算しつくして、デザインされていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/37/a4/f0786420ad5c733ba199718ccda4f57c_s.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/6f/f9/cd99d2766982a2a15ebe19c0ff3e5253_s.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/62/db/d81d7148bb419a461a7fa0116305a9f5_s.jpg)
************************
雨の降り出す直前のこと。
カラフルで大きな滑り台やらブランコやら
迷路で遊んでいるお母さんと男の子がいた。
公園エリアに足を踏み入れた瞬間、
高い高いおしゃれな滑り台から2人が
キャー!という歓声とともに
ツーっと一緒に滑って地面へと到着した。
「ママ、洋服が汚れちゃったわ。
こんなんじゃ、おうちに帰れない~!」
洋服についた土や砂を気にして
一生懸命払い落としている。
男の子はまったく意に介さず、
すかさずブランコへと走った。
「ねぇ、ママ~!早くこっちに来てよ~!」
「待ってて~!」
「早く、早く!」
「だってママ、お洋服が~!」
************************
美しい迷路のオブジェ、
グリーンとブラウンのコントラストを
いろんな角度からシャッターに収めていると、
かわいらしい親子の会話が聞こえてくる。
なんだか、なつかしい。
そういえば、こんなような会話を
よくしてた。
TATSUROがまだ幼児の頃、
2人でたくさんの公園にお散歩にでかけた。
毎日2時間も3時間も、
くる日もくる日もお散歩で、
楽しいけれど、ちょっぴりうんざりしていた。
私の世界が、目の前の公園しか
ないような気分に、時々なっていた。
一生、この時間が続いてしまうのではないか、
とありえないことを、一瞬だけど考えては
頭で打ち消していた。
************************
私たちは、だれしもが多かれ少なかれ
そんな感覚に陥ることがある。
本当は大切な時間なのに、
もう二度と戻らない時間なのに、
すぐ別のことを考えて不安になったり、
焦ってみたり、悲しくなったりしてしまう。
もっとほかにしなくてはいけないことが
あるんじゃない?、とか
ほかの人は、
今頃がんばっているんじゃない?、とか
こんなのはきっと違うんだ、と疑ってみたり。
そして、そこにある本当に大切にしなくては
いけない宝物を手のひらから
こぼれ落してしまう。
一番大切な事柄を、
一番大切にするべき相手を、
見失ってしまう。
************************
手もとからなくなってはじめて、
もう戻れない、と気づいてようやっと、
それがかけがえのない宝石だったことを思い出す。
もっと大切にしておけばよかった。
もっと楽しんでおけばよかった。
もっと愛を注げばよかった。
もっと感謝の気持ちを伝えておけばよかった。
そんな、想いが胸をかすめて
ちょっとせつなくなるときがある。
************************
私と息子と、そしてコロの3人の暮らしが
スタートして10年以上。
TATSUROは、この春大学を辞め
秋から海外留学に行くことを決めた。
現在、短期のアルバイトと
英語のレッスンのとスケボーの日々。
来年はとうとう成人式だし、
いよいよ子育ても終わりを告げる。
秋からいよいよ私自身の、
自分のための時間がスタートする。
残り少ない親子の大切な時間を
本当に大切にしていこう。
一年たって戻ってくるときには
今よりさらにスケールが広がった彼と
また新しい時間がはじまるのだろう。
************************
デジカメをのぞいていると、
一瞬なにかが動いた。
なんだろう?
カメラをはずして、迷路のオブジェを見てみると
さっきの男の子だった。
瞬間的にデジカメをもとの
位置に戻して夢中でシャッターを切った。
はにかみながら、そっと私の様子をのぞきこみ、
大丈夫そうな気配を感じると
ぐっと前に出てきた。
そして、カメラにむかって声もなく微笑んだ。
次の瞬間、クルっと背中を向けると
トコトコトコ、っと次なる目的地に
走り出していった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/f8/e88d6ac2a36f2a869a663e85425d7534.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/33/a9189f9956408648b7ea97d3da07487e.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/24/dbea2f3735a77f1309a7a2ba5414a01a.jpg)
なにか話かけようと思ったのに、
シャッターを押すのに精一杯で
ニコっと笑顔を返すのがやっとだった。
お母さんはベンチに腰掛けて
まだ洋服のことを気にしていた。
2人のあいだでひそやかにかわされた時間には
まったく気づいていない様子だった。
本当に一瞬の、夢のようなできごと。
こんなひとときも
楽しめるようになった私は、
きっとずっと前よりも成長したんだと思う。
時間を重ねるって、
今まで「幸せ」とか「大切」とかって
気づかなかったことを骨身にしみわたるように
しっかりと教えてくれて、
その積み重ねが「永遠の記憶」へと
つながっていくのではないか、と思う。
そんな気分の、今日このごろ。