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【竹の寺 報国寺:鎌倉】
おとといのところてんのページを読みながら
母がクスクス笑っていた。
ところてん作りね、あれは大変だったのよ。
なにしろレシピがないでしょ。
漁師さんは天草何gに対して水何カップ、とは教えてくれないので、
とりあえず、手順だけ聞いてあとは適当な分量でチャレンジするしかないのよ。
今のガス台は薄くて低いけど、当時は高くてね、
ずん胴鍋を使うと背伸びして中味を見なきゃいけなかったの。
水の量が少なかったのか何度もあふれちゃってね。
気がついたらどろ~っとした液体が天草とともに
高いお鍋からコンロを伝って床一面に流れ出て
掃除が大変だった記憶があるわ。 と懐かしそうに話していた。
そう言えば「なにやらグツグツ煮込んで…」と表現したのは
そんな出来事が記憶の片隅に眠っていたからかもしれない。
スライムのようにどろ~っとした怪しげな物体が溢れていた
記憶がおぼろげに甦ってきた。
わ~、どうすんの、一体コレ…。
幼い私は呆然としながらベタベタした磯臭いスライムを眺めていた。
「今だったら失敗せずに作れる自信があるわ!」と
キッパリ彼女は言う。
そして間髪入れずに
「私はね、ところてんはもっとおいしい食べ方があるんじゃないか、
って思うわ。黒みつとか酢醤油じゃなくて。
もっと探求するべきだと思うのよ。
例えば、だし醤油だとかワサビ醤油とかね。
そうすれば、高級食材に負けない地位を
獲得することができるんじゃないかしら?
今のままじゃ所詮、下町の味覚になってしまうのよ!」
などと急に力説をし始めた。
さすが!夕べの残りのおでんをふんだんにあしらった
伝説の「おでんカレー」を作り上げた人だけある。
「今日のご飯は私が用意するわ!」というと
二人の妹たちはすかさず「こわ~い!」と
おののきながらもありがたくいただいている、
という料理の腕の持ち主である。
会社の経営者としての彼女同様、
チャレンジ精神旺盛、柔軟な発想力でアイデア豊富。
何が入っているのか、どんな味なのか、
口に運んでみないと予想ができないのである。
* **********************
ところてんの味はいずれ
日本地図なんかで分布図を作ってもおもしろいかも、
なんて想像して楽しんでいる。
だからといってやっぱり何かの役に立つこともなさそうだが。
そして、昨日こんな情報を手に入れた。
商品をいれる袋を作っている会社の人と商談をし終えて
雑談に移った。
「どうですか?景気は?
なかなかどこも動きが遅いようですね。
でもひとつ忙しいところがあるんですよ!
ところてん業者です。」と口にした。
わ~、こんなところでもこの話題なのね。と思った。
パッケージを包むフィルムの生産が普段の3~4倍の受注なのだそうだ。
出荷に間に合わず、臨時パートさんを募集すると慣れていないため
作業が遅いし、外注に出すと高いので売り上げを圧迫してしまう。
かといって、ブームがいつ終わるかわかないので、
新しい投資をするほどの勇気はない。
…というのが本音なのだとか。
嬉しいような切ないような悲鳴である。
地道にコツコツと営んでいた仕事があるとき急に
「時の人」のようにスポットライトを浴びるのは
“世の常”なのかもしれない。
そんな波がある日突然目の前に迫ってくるかもしれないのだ。
思いもかけない方向から。
たとえどんな波がきても、振りまわされずに乗りきる
パワーが必要なことも“世の常”のようである。
おとといのところてんのページを読みながら
母がクスクス笑っていた。
ところてん作りね、あれは大変だったのよ。
なにしろレシピがないでしょ。
漁師さんは天草何gに対して水何カップ、とは教えてくれないので、
とりあえず、手順だけ聞いてあとは適当な分量でチャレンジするしかないのよ。
今のガス台は薄くて低いけど、当時は高くてね、
ずん胴鍋を使うと背伸びして中味を見なきゃいけなかったの。
水の量が少なかったのか何度もあふれちゃってね。
気がついたらどろ~っとした液体が天草とともに
高いお鍋からコンロを伝って床一面に流れ出て
掃除が大変だった記憶があるわ。 と懐かしそうに話していた。
そう言えば「なにやらグツグツ煮込んで…」と表現したのは
そんな出来事が記憶の片隅に眠っていたからかもしれない。
スライムのようにどろ~っとした怪しげな物体が溢れていた
記憶がおぼろげに甦ってきた。
わ~、どうすんの、一体コレ…。
幼い私は呆然としながらベタベタした磯臭いスライムを眺めていた。
「今だったら失敗せずに作れる自信があるわ!」と
キッパリ彼女は言う。
そして間髪入れずに
「私はね、ところてんはもっとおいしい食べ方があるんじゃないか、
って思うわ。黒みつとか酢醤油じゃなくて。
もっと探求するべきだと思うのよ。
例えば、だし醤油だとかワサビ醤油とかね。
そうすれば、高級食材に負けない地位を
獲得することができるんじゃないかしら?
今のままじゃ所詮、下町の味覚になってしまうのよ!」
などと急に力説をし始めた。
さすが!夕べの残りのおでんをふんだんにあしらった
伝説の「おでんカレー」を作り上げた人だけある。
「今日のご飯は私が用意するわ!」というと
二人の妹たちはすかさず「こわ~い!」と
おののきながらもありがたくいただいている、
という料理の腕の持ち主である。
会社の経営者としての彼女同様、
チャレンジ精神旺盛、柔軟な発想力でアイデア豊富。
何が入っているのか、どんな味なのか、
口に運んでみないと予想ができないのである。
* **********************
ところてんの味はいずれ
日本地図なんかで分布図を作ってもおもしろいかも、
なんて想像して楽しんでいる。
だからといってやっぱり何かの役に立つこともなさそうだが。
そして、昨日こんな情報を手に入れた。
商品をいれる袋を作っている会社の人と商談をし終えて
雑談に移った。
「どうですか?景気は?
なかなかどこも動きが遅いようですね。
でもひとつ忙しいところがあるんですよ!
ところてん業者です。」と口にした。
わ~、こんなところでもこの話題なのね。と思った。
パッケージを包むフィルムの生産が普段の3~4倍の受注なのだそうだ。
出荷に間に合わず、臨時パートさんを募集すると慣れていないため
作業が遅いし、外注に出すと高いので売り上げを圧迫してしまう。
かといって、ブームがいつ終わるかわかないので、
新しい投資をするほどの勇気はない。
…というのが本音なのだとか。
嬉しいような切ないような悲鳴である。
地道にコツコツと営んでいた仕事があるとき急に
「時の人」のようにスポットライトを浴びるのは
“世の常”なのかもしれない。
そんな波がある日突然目の前に迫ってくるかもしれないのだ。
思いもかけない方向から。
たとえどんな波がきても、振りまわされずに乗りきる
パワーが必要なことも“世の常”のようである。