KAORU♪の「気ままなダイアリー」

KAORU♪が見つけたステキな風景、出会ったおもしろいできごと、おいしい料理などを“気が向いた時”にご紹介します。

★日本人の美的感覚・・・「お弁当」

2005年08月05日 | KAORUの好きなものギャラリー
【モミジアオイ】

アメリカにしばらく住んでいた同僚がこんなことを言っていた。

「お花屋サンで働いていた韓国人のコがね、
お弁当を作ってきてくれたことがあるの。
タッパーに韓国春雨の炒め物「チャプチェ」と
別のタッパーに白いご飯。それをランチタイムに
ばさーっとぶっかけてレンジでチンするの。
それだけのシンプルなお弁当。
すっごくおいしくて衝撃的だったんだけど、
日本でそんなお弁当は作れないわ。
ダンナにそんな弁当を持たせられない。」という。

そこから急に話が一気に盛り上がった。

**********************

そうそう、中学・高校時代に一生懸命お弁当作りを
してくれた母には申し訳ないが、
茶色だらけのお弁当と、色とりどりの友人のお弁当を
ちらっと見比べていつもうらやましく思っていた。
ある時、「いつ見てもきれいなお弁当だね~!」と言うと
「だって母親にうるさく注文つけてるもん!」と
言っていた友人がいたが、私はそこまで母親に
要求することはできなかった。


自分でお弁当作りをするようになってからは、
卵焼きの『イエロー』、ブロッコリーの『グリーン』、
プチトマトの『レッド』を欠かさず盛りつけている。
自分が母親になったら、カラフルなお弁当を作るのだ!
そんなことを無意識のうちに決めていた。

なのに、自分のこだわりと現実は実にうまくいかないものだ。
悲しいかな、息子は好き嫌いが多く、
プチトマトもブロッコリーも卵も食べてくれない。

理想とは裏腹に茶色のお弁当となってしまう。
意地で、冷凍えだまめをグリーンとして必ず添えるが、
最近は飽きたようでそのまま手付かずで残してくる。

・・・お弁当を色として考えるのは
最近のカリスマ料理家の影響だけでなく、
私が高校生ぐらいから漠然と認識していたように思う。

そう、日本人のお弁当は色にこだわっている。
この感覚は幕の内弁当や懐石料理からきているのだろうか?

いやしかし、それがすべてに当てはまるかというと、
コンビニやお弁当やさんで買ったお弁当
(それを子どもの世界では「買弁(かいべん)」と呼んでいる。)
ではなぜだか許される。

たとえば想像して欲しい。
買弁の「チャーハン」だけの弁当はぜんぜんOK!
なのに、家弁(いえべん)の「チャ-ハンだけ弁当」は
なんだか物足りないというか、恥ずかしい。
牛丼のお持ちかえりは、それだけでも嬉しかったりするのに、
お弁当箱の中味が一面、牛丼だけならどうだろうか?

「えっ?今日はこれだけ?!」と
ひとこと言いたくなりはしないだろうか?
「チャーハン」も「牛丼」も手作りなら
お新香やプチトマトやブロッコリーのつけ合わせが
1~2品は欲しいものである。


たとえば、ご飯に梅干だけのいわゆる「日の丸弁当」も
戦後食料難ピーク後の時代には、白米が貴重品でなくなり
それでも貧しい家庭は、だんだん隠して食べるようになったと聞く。

では、それをおにぎりにしたらどうだろうか?
感覚としてぜんぜんOKだ。
堂々とかぶりつけるだろう。
たとえおかずがなくても、誰に後ろ指をさされることなく、
今日は梅干おにぎりだけ!と胸を張れる。
もし、チャーハンだけをおにぎりにしたって同様だ。


これはもしかしたら、私だけの個人的な思いではなく、
ほとんどの日本人が共有している
不思議な感覚なのではないだろうか?

家弁は「家庭」を映す鏡だから
世間の目を気にして彩りにこだわるのだろうか?
それは、母親がこだわる場合と、
子どもが親に要求する時の2パターンが存在する。

お弁当箱に入っているばっかりに、
さまざまな色を入れたくなるのだろうか?
器という枠が固定概念を作り出しているのか?

おにぎりはそんな、こだわりや常識をすべて打ち砕く
強烈で独自のポジションにあるのだろうか?
どうしておにぎりなら、なんでも許されるのか?


世界のお弁当感覚はどうだろうか?
アメリカのランチボックスはパンにピーナッツバターを
たっぷり塗って、ポテトチップスを添えてファスナー付きの
袋に入れ完了、というのがポピュラーなスタイルらしい。
時にはリンゴ丸ごと1コやバナナをつけることもある。

日本特有の美的感覚は欧米人から見ると
オリエンタルビューティなのか
摩訶不思議とうつるのだろうか、日本人でさえ
この価値観をどうやって裏付けていいのか
戸惑っている。

というか、これは色彩にこだわる
「美的感覚」ではなくどちらかというと
「食文化」のジャンルに入りそうな内容のようである。



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