数日前、TVのチャネルを国会中継に合わせたら、立憲民主党の辻元清美議員が「桜」問題で安倍首相に質問している場面が映し出された。同氏の論点は、ANA ホテルで行われた安倍首相後援会の観桜会前夜祭における領収書に疑義あり、であった。
その場面は、辻元氏がANAホテルに「領収書を宛名なしで発行することがあるか」と問い合わせたところ、ホテル側が「そういうことはない」と回答したため、辻元氏が「首相の説明と食い違っている」と首相を責めてたてている状況だった。それに対して首相は「領収書の宛先は上様だった」と反論した。
「桜」問題は天下国家の大局から見れば枝葉末節のことであり、こんな馬鹿馬鹿しい議論が何カ月も延々と行われていることに呆れ、私はそこでスイッチを切った。そして、その後の展開がどうなったか気にもとめなかった。
ところが今朝(2月22日)の産経新聞にANAホテルが発行した上様宛の領収書の写真が掲載された(写真参照)。金額は5千円で、但し書きに「夕食懇談会として」とあり、その日付は平成26年4月11日(観桜会の前日)となっている。つまり、この領収書は安倍首相の答弁を裏付ける。
産経の記事によれば、ANAホテルが観桜会前夜祭の会場となったのは平成25、26、28年の3回だったというから、その内の1回である。その時の参加者が領収書を保存していて、産経新聞に提供したと推測できる。
余談だが、この領収書が明るみに出て困ったのはANAホテルだろう。5千円と言う格安料金を受けていたことがバレたのだから。
さて、野党は、「桜」案件をこのへんで終わりにして、もっと大局観がある建設的提案をしてはどうか。例えば、中国政府が新型肺炎の初期対応を誤った責任を追及するとか。
昨年末に、新しい疫病の発生を指摘した中国人医師が「デマをとばした」かどで処罰され、その後間もなく死亡したというれっきとした証拠があるのだから、情報隠蔽、言論弾圧、人権無視という理由で、中国政府を非難することが可能である。多分、中国政府は「内政干渉だ」と反駁するだろうが、新型肺炎で多くの国々が迷惑を蒙っているのだから、「内政干渉」ではないし、非難する理由は十分にある。
狙いは、中国の国民が不満を爆発させ、習政権を苦境に追い込むことである。そうなると、世界の覇権国にならんとしている中国の野望は木っ端微塵に打ち砕かれる。この新型肺炎問題は中国政府を打ちのめす絶好のチャンスだと認識すべきである。
この目的達成には、安倍首相がトランプ大統領と連携し、国際社会の中国包囲網を形成するリーダーとなることが望ましい。野党は「ソレ、チャンス到来だ。国際社会をリードせよ」と安倍首相の尻を叩くべきなのである。
この22~23日にサウディアラビアで開催されるG20に中国は欠席するらしい。各国首脳が集まった席で、難詰される不面目から逃げていることは明らかである。
ともあれ、新型肺炎問題で中国の責任を追及することは一つの提案であり、安倍政権を叱咤激励する案件はほかにもいくらでもあるだろう。それは野党議員諸氏が考えることである。
確かに安倍政権と与党議員の気の緩みは目に余るが、そういう緩みを生み出したのは野党がだらしないせいでもある。野党が安倍内閣の足を引っ張ることに狂奔していても、国益にはならず、また野党の支持率が上がるわけでもない。
野党議員諸氏には、もっと大局観がある政策論争をお願いしたい。それが野党の態勢を立て直す王道であり、国会に緊張感を生み出す源泉となると考える。