Goo・ちょき・パーで、なに作ろう!

定年退職してしまいましたが、再任用でまだまだ老後の蓄えをしなくてはなりません。それでも悔いのない人生にしたいと思います。

起業家、『お茶のナカヤマ』さんを視察!

2020年10月31日 15時54分58秒 | Weblog

2020年10月31日

長い事続けてきた経営を、時代の流れに合わせて転換するというのは並大抵のことではありません。

『お茶のナカヤマ』が、お茶だけで安定して生活できていたのは昔のこと。
生活様式や飲料の生活も一変し、同じ面積でも3分の1以下の売り上げに落ち込む県下のお茶農家。

その様な厳しい環境の中、facebook友達(飲み)でもある中山さんは、緑茶に代わる健康飲料への経営転換を図られ、次々と新商品、販路開拓に取り組まれておられます。
facebookの投稿で様子は見ていましたが、一度は現場をみたいと思ってました。



忙しい中山さんと日程が合いました。
軽トラックに乗せてもらい、先ず見せてもらったのは、『モリンガ』
健康茶としてのモリンガは知っていましたが、現物は初めて。
『ワサビの木』のとおり、葉を噛んでみるとちょっとだけワサビの辛味的な味がします。



パット見、センダンに似ていますが、健康に良い機能成分で有名になりました。



白い花が付いていました。
『強壮になるばい!』と言われ、噛んでみましたが、花にはワサビ的な辛味と甘みがありました。



花が受粉したのでしょう。
豆のフロ豆みたいな長い莢を発見しました。
これが種になれば自家採取で苗を作れる?
残念ながら近日中の霜で枯れてしまいます。
ここ熊本(菊池地方)での樹体での越冬は無理で、一年で枯れてしまいます。
施設栽培をするにも、軒高4m以上のハウスは採算的には?



モリンガは”捨てるところが無い”のとおり、葉・茎・根まで活用されます。
これは根部分で、痛風の薬(プリン体抑制・尿酸値を下げる)の効果があるそうです。



次に連れて行ってもらったのは、桑園です。
蚕カイコ用ではなく、人間の桑茶の原料です。
仕立て方も、茶の摘採機がそのまま使えるように、茶樹の形に仕立ててありました。手前の葉が無い所は、自然の蚕にやられた所で、中山さんは繭を駆除中。
大部分の繭は、facebook仲間でもある池田農園さん(自然栽培柑橘農家)が、持って帰ったそうです。
来年は害虫(蚕)の発生が少ない事を期待します。



加工場に戻り、いよいよ全国でも個人導入は数台という 3,000万円の乾燥機を見せてもらいました。



これはスライサーです。
大量のミカンやナシなど、乾燥する原料を同じ厚さにスライスするものです。
精肉店で、肉の塊をスライスしているのと同じものですが、何度か指をスライスしたそうです。



乾燥機の扉を開けると、レコードのターンテーブルみたいなものが5段ありました。



正式な名前は『マイクロ波減圧乾燥機』です。
つまり電子レンジと密封減圧の組み合わせで、沸点を下げて乾燥する仕組みです。熱源?機械の中を見せてもらいました。電子レンジと同じ、周波数2,450MHZを発生させ、水の分子を振動させ熱を発生させる、『マイクロウェーブ発生装置:マグネトロン』が見えます。
高圧電気誘導のトランスと、放熱板の所です。その放熱板をプレート式ファンの風が冷やしていますから、相当強力なマグネトロンと思われます。



制御盤のスイッチを入れてくれました。



真空ポンプの作動で気圧を下げると、水の沸点はぐんぐん下がります。
水は1気圧(1000hpaヘクトパスカル)で100℃で沸騰しますが、45℃の設定がされていますので、蒸気圧曲線で読み取ると、たぶん0.1気圧(100hpa)まで減圧していると思われます。
つまり、水分は蒸気として抜けるけど、加熱が45℃と低いので、香りや機能性成分を壊す・飛散させることなく乾物を作れるという優れものです。
試食で柑橘類やナシ等の乾物を食べさせてもらいましたが、みんな凄く濃厚に仕上がっていました。




ついに中山さんの密造酒の現場を取り押さえました!(笑)
ここは、香り成分の抽出現場です!
卓上ガスコンロに鍋を乗せ、煮沸し、気化した香料成分を蒸留装置の水で冷やして、染み出た香料液をプラスチック容器に取り出していました。
焼酎の作り方と全く同じです。



抽出香料液体は、ペットボトルに保管中。



今まで抽出された各種の香料を嗅がせてもらいました。
これらは化粧品メーカーさん等との販促に使われます。



お忙しい時に、案内してくれてありがとうございました。
中山さんの止まることない精力的な開発意欲と、全国的な販促活動の行動力には感服しています。

軽トラックの中での中山さんの言葉です。
『お茶が昔のように良かったら、こんな事はしていなかった。今は次々と先のことを考えておかないとつぶれてしまう。おかげで毎日が忙しく、楽しくてしょうがない!』

『お茶のナカヤマ』の益々の発展を祈念します。

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手作りスロープ作りました!

2019年08月10日 23時17分50秒 | Weblog

2019年8月上旬

 定年退職して、再雇用で再び熊本県立農業大学校研修部で働くことになりました。
社会人の新規就農支援研修生の学舎は、ここ自啓館(ジケイカン)ですが、元々学生の食堂を改装したところでもあり、スロープがありません。
 重たい荷物は台車に載せるも、必ずこの階段で下ろして、また台車に積み替えるという肉体的負担と、時間の無駄を繰り返していました。
当然、その作業に当たる職員からは『スロープの設置』が求められていました。

 しかし、石垣を崩してスロープ?階段を一部壊してスロープ?
それより肝心な予算は?・・・・と、具体的には進みません。
 前提として職員は異動がつきものであり『あれば便利だけれど、その時頑張れば過ぎ去る作業・・・。』で、平成17年からずっと手を付けられずにいました。

 ところが、再雇用で再び我が身に降りかかる問題となりました。
ひと肌脱ぐつもりで、『手作りスロープ』に挑むことにしました。

構想:
①石垣や階段を壊すことなく、常設?移動?の設置型とする。
 大きさは、コンパネ板(90×180cm)2枚を繋げ、緩やかな傾斜角とする。
②材質は、日曜大工でも加工出来る木製。
③不要時は片づけられる様に、運搬移動が可能な2分割(連結使用)とする。
④耐加重構造は、人60kg+荷物100kg+台車15kg=約200kg

※写真は、360cmの竹2本で、イメージした時のもの。




自分の技量で作るとしても、材料だけは買って貰わないといけません。
材料費の根拠を出すために、エクセルで図面に起こしました。
材料費は最小限の部材をハンズマンで事前調査し、約17,000円となりました。
ちなみに三角関数で、底辺3.6m、高さ0.565mのタンジェントθシータ角は、約9度となりました。



不要時は片づけられる様に、移動が可能な2分割(連結使用)となれば、地面側の登り口は、こんな感じの直角三角形となります
材木の連結は、普通は(ほぞ)凸部分と(穴)凹部分を作ります。
つまり、ほぞ穴は、凹部分の事で、凸部分の事を「ほぞ」といいます。
ところが値段の安い4.5cm角や4.5×6cmの垂木(タルキ)を使用するため、ほぞ穴を切り込むと割れやすくなると予想しました。
代替え案として、直径18mmのダボを双方に打ち込むこととしました。



階段上からの下り口は、2つの階段にかかるクランクの組み合わせとなりやっかいな加工が必要となります。
それに登り口側の直角三角形と、連結・分離させるドッキング部分の工夫が要ります。



材料の購入伺いの決裁が降りて、さっそくハンズマンに買いに行きました。
大工仕事の道具は、自宅から運び込みました。
あとは、時間を見つけて作るのみ。



先ず最初に取りかかったのは、連結用のダボ作成です。
直径18mmのダボなんて売ってありません。
ならば自分で作るのですが、カンナをかけて丸棒を作るのは厄介な作業です。
90度の受け木に角棒を乗せ、ひたすら角を削っていきました。



削り過ぎると、楕円になってしまいます。



そこで、紙に色鉛筆の赤を塗り、直径18mmの筒を作り、それに棒を突っ込み、赤く着いた出っ張り部分にカンナをかけていく・・・これを繰り返して、だいたいの丸棒・ダボを作り出しました。



図面から数えると、必要な数は60個にもなりました。
6cm×60個=360cmの角棒を削り出すことになりました。



いよいよ、材料の刻みに入りました。
作業場は、自啓館(ジケイカン)ロビーです。
イメージの明確化と直角・連結の位置決めに、タイルの目地が想定外に役に立ちました。



でも、いつも30℃を超えていて、絶え間なく汗が落ち、タイルや鋸屑にはいくつものシミをつくりました。



一番困ったのは、室温が高いのでインパクトドライバーの充電がエラーを起こして、十分蓄電しないことでした。
電気器具は全て熱を持って、握る度に体温も上がりました。



これは、垂木を連結するダボを打ち込む穴の穿孔です。
18mmのドリルの3cm位置に黒いテープを巻いて、わざとベロを出しています。
削り屑が吹き飛んできたら、深さ3cmの穿孔が出来たと完了の目安にします。



まあ、こんな感じでだいたいでもOKです。
ダボ60個の穴は、双方に空けるので120カ所にもなります。



最初に手がけたのは、地面側の登り口の直角三角形なのですが、高温によるスマホのカメラエラーと作業に一生懸命だったため、ほとんど出来たこれだけしかありません。



一番厄介な、階段上からの下り口側の作成です。
階段にかける部分のクランクが面倒です。
斜めの切り口は、正確に切断すれば、その傾斜は次の材木の斜めの切り口に使えました。



連結前に、屋外に出しフィット感を確認しました。
手前の下り口側部分はまだ自立出来ないので、外側に支持の枠棒を取り付け、立たせています。



イメージどうりに出来ています。



実地確認が出来ましたので、同じ形の左右を連結棒でつなぎ組み立てます。
一度に8カ所のダボなので、こちらが入れば、向こうが外れをくり返しました。
ロビーにはいつも熱気がこもり、作業服には白い塩吹きが出ていました。



天板を張る前の、組み合わせ確認です。
設計図にはなかった、ドッキング部分の添え木を上下部分に4本取り付け、横ずれ防止にしました。



天板を乗せてみました。



インパクトドライバーで、35mmのコーススレッドをねじ込み固定しました。



防水・防油加工のコンパネ板はツルツル滑りますので、カーペットを貼る考えですが、その両面テープです。



黄色いカーペットを貼ることにしました。



再び階段に設置し、台車も乗せてみました。



何度も行ったり来たりの昇降感覚を確かめました。

 8月8日午後4時~強烈な西日の野外作業でほぼ完成しました。



最後に、連結器具を4カ所に取り付けて完成です。
ところが、最後の最後になって、アスファルトの均平(キンペイ)が場所により違うことが判明しました。
設計のため計測した場所と違う所の設置のため、下に隙間が空いてしまいました。



まあ、使用に問題はありません。
これで、日常的な農産物加工の原材料の搬入や、行事での机や椅子の搬出はずいぶんと楽になるはずです。
また、車椅子の訪問には対応できて居らず、UD対応でも問題と思っていました。

頑丈に出来、重たくもなりましたが、二人で組み合わせは簡単に出来ます。
防腐のためのクレオソートか、ペンキを購入し、10年くらいは使えるようにしたいと思います。



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ガソリンエンジン分解組み立て!最終3日目

2019年05月29日 23時10分13秒 | Weblog

いよいよ最終日、今日で組み立てを完成し、全機エンジンがかからなければ終われない授業です!



前回、ピストンの取り付けも終わっていますので、シリンダーヘッドを取り付けますが、その前に、ガスケットパッキン・吸排気弁・弁ばね等も綺麗に洗浄し、綺麗な布で拭きあげておきます。
トルクレンチを使い、規定の25N・mで締め付けます。



次は、ロッカーアームアセンブリの組みたてです。
シリンダーヘッドの内側から、吸排気弁の弁棒を通し弁ばねをはめ、表から写真のように弁ばねをリテーナーで押さえ止めます。
この機種の場合リテーナーは、雪だるまみたいな大小の穴が繋がった穴が開いており、先ず大きな穴に弁棒の尻(くびれ)を通して、親指で押さえ小さな穴の方にずらしながら、くびれをかけロックします。
また、この機種の場合弁棒2本は斜めに傾斜し開いており、そのため弁ばねを止めるリテーナーも斜めに傾斜しますが、低い方に雪だるまみたいな穴の大が来るようにネジって定位置とします。(逆だと、振動で外れる恐れ有り)



2本のプッシュロッドを差込みますが、吸気と排気のプッシュロッドを間違わないように差込みます。
新しいうちは左右に違いはないものの、長く使っているとクセが出来るそうです。



2本のプッシュロッドの差込みにはテクニックがあります。
吸気弁と排気弁を動かすプッシュロッドなので、高さが違うとロッカーアームの取り付けがしにくいことから、フライホイルを回しながら両方同じ高さの位置になるのように調整して、プッシュロッドを挿入します。
ロッカーアーム乗せてロックナットとピボットナットで6N・mで締め付けます。



次に行うのは、バルブクリアランス(弁すき間)の調整です。
弁ばねの復元力によって弁棒とタペットが離れた時、その間にわずかなすき間が出来るようになっています。
これは、弁棒が高熱によって膨張しても、弁が完全に閉じるように空けたすき間で、この機種では0.06~0.08mmとなっています。
すき間ゲージを使い0.07mmで調整しました。



具体的には、フライホイルを回しながら圧縮トップ位置に持って来て、すき間ゲージを弁棒とロッカーアームの接点に挟み込み(写真)、アジャストスクリュのナットをメガネレンチで固定し、マイナスドライバーでアジャストスクリュを調整し、緩くもきつくも無い感触で止めます。



ロッカーアーム(揺れ腕)の取り付けとアジャストスクリュ調整が終わったら、弁椀室カバーをはめます。
ダイナモからの高圧コード(写真:黒いキャップ)を点火プラグの端子にカチ音を確かめながら押し込みます。
この場合1気筒エンジンですが、車のエンジンなど複数気筒:4気筒等の場合は、ディストロビュータの回転子から各4個の点火プラグに順次電流が送られることになります。
また、点火プラグは爆発燃焼によって付着する煤(炭素)を焼き捨てるに必要な温度(自己清浄温度約500℃)を保つ必要があり、その熱はねじ込んだシリンダヘッドに移り、冷却フィンによって放熱されます。
大事なのは点火プラグには熱が逃げやすい【コールド型:高速機関】と、逃げにくい【ホット型:低速機関】があるので、適正な規格を使うことです。
この熱を逃がす度合いを≪熱価(ヒートバリュウー)≫と言います。



この後は、1日目にやった分解と逆の組みたてです。
リコイルスタータをカバーするファンカバーを取りつけます。



コントロールパネルアセンブリの、スロットルレバー、ロッドスプリング、ガバナロッド、ガバナスプリングを元のように取り付けますが、中2日空けると記憶は飛んでしまいます。
特殊なテンションスプリングが複数の穴にはめてあるので、スケッチやデジカメ画像を頼りに取り付けていました。



空気清浄器(エアクリーナー)の清掃は、実際場面では最も身近な清掃ですが、今回は頻繁に分解組み立てする練習機で綺麗ですので、省略しました。
一般的には、乾式空気清浄器で、濾紙や不織布、スポンジ等の濾材がはめてあります。汚れている場合は、洗浄スプレー等で綺麗にします。
トラクター等の濾材には円筒形のフィルターがあり、コンプレッサーの空気で汚れを吹き飛ばしますが、その場合は必ず筒の内側から外に向かって吹くことが大事です。
外から吹くと、埃をフィルターの奥に押し込んでしまいます。

また、気化器(キャブレタ)の清掃も実際場面では最も身近な清掃ですが、同様に省略しました。
気化の原理は、吸入行程でシリンダ内が負圧になると、空気清浄器を通った空気が気化器に吸入されます。気化器の中は流路を急にベンチョリ部で、さらに流速が増し負圧になるので、主ニードル弁から燃料が吸い上げられます。
この時、空気流と吸い上げられた燃料が霧状の混合気になります。

チョークを引く始動時混合比は、1対8~10。
高・低速時の混合比は、1対13。
経済混合比は、1対17~18 とされ、1対20以上では薄すぎて点火しなくなり、1対8以下では濃すぎて点火しません。

空気清浄器と、気化器を取り付けます。

ガソリンタンクとフューエルコック部分を取り付けたら、ガソリンを入れます。



さて、うまく起動するでしょうか?
いろいろ不調機もありましたが、全機無事に動きました。
めでたしめでたし!



さて、この日も道具の最終チェックです。
58品の全部の確認が出来て、3日間(延べ9時間)にわたったガソリンエンジン分解・組み立てが完了しました。

エンジンを分解するなんて、卒業したらなかなか一人では出来ません。
今回の体験が、我が家の農機のメンテナンスにも役立つことでしょう。
また、外部に修理依頼する時も、ズブの素人では無い知識人の依頼をして、より経済的に修理が出来ると期待します。


熊本県立農業大学校2年機械応用・ガソリンエンジン分解組み立て!1日目

ガソリンエンジン分解組み立て!2日目

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ジャンル:
きいてきいて

ガソリンエンジン分解組み立て!2日目

2019年05月25日 22時22分51秒 | Weblog

ガソリンエンジン分解組み立ての2日目です。
今日から組み立てに入りますが、一日経ちバラバラになった部品を見ると、『絶対自分一人では組み立てしきらんバイ!』と不安になります。
でも大丈夫、T先生の指示どうりにやれば大丈夫です。



ピストンの構造説明:シリンダー内を往復するピストンには3つのピストンリングと、連結棒があり、ピストンの往復運動をクランク軸に伝え、円運動に変えています。
連結棒のピストン側を連結棒小端部(コンロッドスモールエンド)、クランク側結合部分を連結棒大端部(コンロッドビッグエンド)と言います。



この機種の場合、ピストンリングは上からコンプレッションリング(圧縮行程で気密性を保つ)が2つ、オイルリング(エンジンオイルをシリンダーに均等に油膜を作り、余分な油をかき落とす)が一つで、3つのリングがはめられています。
リングに注油をします。



さらにピストンを横断面で見ると、まん丸の円柱ではなく僅かに楕円形です。
理由はピストンピン(連結棒と繋ぐ)部は肉厚なので、エンジンが熱くなると他の肉薄部分より膨張が相対的に大きくなるので、予め短径の比率にしてあります。
温まると膨張し真円になる仕組みです。その差をノギスで測定しているところです。



シリンダーにピストンを収めますが先ずは、ピストンリングコンプレッサーを使わないでピストンをはめるやり方です。
やってみるとわかるのですが、ピストンリングの形はちょっとだけ切れ目の入ったC型で、気密のためピストンの径よりもやや大きく開いています。それを無理して叩き込むと双方に傷が入ります。
また指で狭めて3つのリング入れるのは難しく、3つのリングをたとえ指力ではめたとしても、はまった途端にスポンとクランク軸に向かって落ちてしまいます。



そのため、ピストンリングコンプレッサーという、板バネを巻いた器具がちゃんとあるのですね!(簡易なリングガイドも有り)
注意点は、ピストンリングの切れ目はピストンヘッドに刻印してある△または〇印を避けた位置で、120度(3リングの場合)ずつずらし気密性を高めます。
その調整をした後、四角のエルボーレンチでピストンリングとともに、ピストンの径まで絞り締めます。



クランク軸をはめたら、連結棒からシリンダー内に差し入れ、ピストンリングコンプレッサーの板バネの上の小口をプラスチックハンマーで軽く叩き平面に揃えます。その後プラスチックハンマーの柄でコンコンと軽くピストンヘッドを叩きながら・・・・



もう片手は、下りてくる連結棒(連結棒大端部(コンロッドビッグエンド))を受け止め、クランクピンに誘導すると、スムーズにピストンが定位置に落ち着きます。



連結棒大端部(コンロッドビッグエンド)の軸受けメタルとキャップの取り付けのために、トルクレンチを規定の10N・m(ニュートン・メーター)にセットします。※10N・mは、従来使用の単位、1kgfの換算となります。




分解の時と同じように、バランスウェイトを移動しすき間を作り、トルクレンチが10N・mでカチッというところ(カチ音)まで締めつけます。



カムシャフトを付ける前に、タペットをはめますが、長年使っているエンジンの場合、クセが付いているので左右こだわって元の位置に取り付けるそうです。
タペットとは、吸排気バルブに、間接的にカムからの力を伝える伝動棒で、カムと接する面は平たい円形で、カムの頂点が確実に伝わる形になっています。



次はカムシャフトを取り付けますが、カムの向き(頂点)は180度で対峙させてあり、吸排気のタイミングを逆にしてあります。
また雑学ですが、歯車が斜めに切ってあるのは、静音のためです
水平に切った歯車はお互いが平面で当たりますが、高速回転の歯車だと衝突音がものすごくなります。
ところが斜めに切ることで点での連続噛み合いとなり、静かな歯車になります。



もう一つ!注意しないとわからないのですが、大きなカム軸歯車の下のシャフトに、ポチッと出た小さな丸い弁があります。 (上の写真、親指の左側の豆)
これは減圧レバー(デコンプ)です。
始動の時にいきなり圧縮圧力が高いと、セルモーターの負荷やリコイルスターターのヒモ引きが非常に重くなります。
そこで、始動時の低速の時には、わざとガス漏れで減圧をします。
そしてバランスウェイトや、フライホイール(はずみ車)が回転エネルギーを持った時に、(遠心力を利用して)弁が閉じて圧力を高める仕組みになっています。



また、その弁を動かす仕組みは、大きなカム軸歯車の腹部にあり、回転の遠心力が付くと、弁を引っ込め穴を閉じる仕組みになっています。

さて歯車をかみ合わせる時には、位置に注意です。
写真のように、実はギアに印があり、双方を必ず合わせます。
4サイクルエンジンですので、吸気→圧縮→爆発→排気をするのに、ピストンは4行程(4ストローク((ピストンが)下がって吸気→上がって圧縮→爆発で下がって→上がって排気)=2往復)動きます。
これはクランクシャフト2回転で吸気と排気を1回動かせば良いことになり、ギア比も1対2の18歯:36歯になっています。



このL字に曲がった金具は、調速機(ガバナシャフト)です。
原動機で動くトラクターやコンバインの場合、耕す深さや稲・麦をかませる量により、エンジンへの負荷は変化しますが、作業者はその度にスロットルレバー(アクセル)を調整したりしません。
スロットルレバーで作業により定められたエンジンの一定の回転数(3,000回転とか)を、負荷に対応して一定に保つ便利な装置が調速機(ガバナシャフト)です。



遠心式の場合、クランクケースカバー(ベアリングカバー)に付いている、写真の白いギア部の金具(ガバナギヤアセンブリ)が変化しガバナシャフトを動かします。
例えば負荷が減少して回転速度が上がろうとすると、ガバナウェイト(スライダー)が開きガバナシャフトを動かし、気化器の絞り弁を閉じ回転を落とします。
一方、負荷が大きくなると回転速度が下がるので、ガバナウェイト(スライダー)が閉じガバナシャフトは逆に動き、気化器の絞り弁を開いて回転を上げようとします。

便利な機能ですが、人を挟んでもエンジンは負荷が増したと反応し、黒煙を上げてますます回転を上げます。
キースイッチを切ってもエンジンは止まらないのが自動車と違い恐ろしい仕組みです
安全講習会では毎回言っていますが、専用のエンジン停止ボタン(チョーク式等)を家族全員で周知しておく必要がここにあります。



クランクケースカバーをはめる前に、接触面に液状ガスケット(液体シール)を指で塗ります。



ギアへの注油をして、クランクケースカバーをはめる時には、ガバナスライダーをガバナギヤアセンブリ内に入れた状態で、ガバナシャフトに挿入し、カッチッと音がすることを確かめます。



プラスチックハンマーでクランクケースカバー周囲を均等に軽く叩きながら、きっちりはめます。



最初はエクステンションバーで手回しで対角線的に均等に締め次にトルクレンチを使って規定の20N・m(ニュートン・メーター)で本締めします。



フライホイルの取り付けを前に、クランプでガッチリとエンジンブロックを作業台に固定します。



フライホイルの取り付けは外した時の逆ですが、クランクシャフト軸の切込み溝凹に【半月キー】を、奥を低く軽く叩きこんでおきます。
フライホイールをゆっくり差込み、軸中央の穴の凹の切込み溝に、【半月キー】の凸がきれいに入るように注意します。
これで、緩むことなく確実に一緒に回転することができます。



リコイルプーリ―は合いマークを合わせ、フライホイールナットを手締めします。
写真の黄色のストッパーをフライホイール外周の切欠き部に確実に取り付けます。



トルクレンチを規定の60N・m(ニュートン・メーター)にセットし、カチ音がするまで締め付けます。



スパークプラグの清掃です。
ワイヤーブラシで煤を落とし、数本のワイヤー束で中心電極の周りの溝も綺麗にします。仕上げは、洗浄スプレーで綺麗にします。



シリンダーヘッドの清掃です。これも灯油の中でワイヤーブラシで煤等を落とし、仕上げは洗浄スプレーです。



吸気弁、排気弁の清掃です。
これも灯油の中でワイヤーブラシで煤を落とし、仕上げは洗浄スプレーです。
見てのとおり、やや大きさが違います。大きい方(右側)が吸気弁、小さい方が排気弁です。



ダイナモ(発電機)の取り付けです。
フライホイルには強力な磁石が付いていますが、この回転と接してダイナモのコイルとの間に電磁誘導電流が発生します。
直流発電機をダイナモと言い、交流発電機をオルタネータと言います。
近年のトラクタは消費電力が多くなっているため、低速でも発電量の多い交流発電機(オルタネータ)が多いようです。



ダイナモと磁石のすき間は、0.2mmですが、ダイナモの取り付けでは、フライホイルの強力な磁力引き寄せられてすぐにくっついてしまい、ボルトの穴がずれてしまい作業が出来ません。
0.2mmと言えば、ハガキの厚みがピッタリなので、帯状にカットしたハガキを挟み、ボルトの穴を合わせて固定します。
固定したらハガキを外しスムーズな回転を確認します。
この後、点火プラグに本体金属部から金属棒を使って誘導しプラグのネジ部等に付け、フライホイルを手回ししてのスパークを確認します。
(なお、0.1mmを飛ぶ電圧は1,000ボルトで、プラグは0.6mm程の隙間ですから、感電には気を付けます。)



ノギスの使い方も勉強しました。
ノギスは本尺先端に内径を測るクチバシ(写真上)と、挟んで径を測るジョウと、奥行き・深さを測るデプスバーで構成されています。
それに本尺目盛りを滑るスライダのバーニヤ目盛りを組み合わせて、0.01mmまで測定出来ます。
実習として、この機種が何CCの排気量かを測定して計算してもらいました。



計算式は、円柱の体積を求めると同じで、半径×半径×3.14×ストローク(高さ)です。
ストロークは、ピストンの上死点と下死点の長さで、デプスバーで測ります。

7人の学生に黒板に書きだしてもらいましたが、ちょっとした目盛りの読み方で計算結果がみんな違ってきました。

2日目はここまでです。

次回は、最終3日目を紹介しますので、お楽しみに!


熊本県立農業大学校2年機械応用・ガソリンエンジン分解組み立て!1日目


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熊本県立農業大学校2年機械応用・ガソリンエンジン分解組み立て!1日目

2019年05月22日 22時05分07秒 | Weblog

 2019年5月

定年後の再任用で心配なこと!
やったことが無い、農業機械の講義です。
その一つ、【2年生:機械応用ガソリンエンジン分解・組み立て】です。
 2年生学生の希望者のみを対象に、数回のグループに分けて、1回3日間午後連続で行っています。
 その1回目の報告です。
学生一人1台のガソリンエンジンをあてがって、分解・組み立ての個別指導なので、1回につき最大7名を相手に、T先生と私で実習指導に当たっています。
 私は講義演習の準備や学生への直接指導してくれる先生は、非常勤講師のT先生で、元ヤンマー農機のエンジニアです。 個人的には機械いじりは好きですが、分解・組み立ては初めてです。
自身の勉強もエンジンの仕組み、部品、メン テナンスを勉強中です。
忘備録として、夜な夜なやっと1日目の様子をブログにまとめました。



これに則って実施します。




完成品ですが、先ずはエンジンがかかることを確認します。
使う教材機種は、三菱GB-131型:空冷4サイクルOHV:傾斜型形横軸ガソリンエンジン)です。 まずは、エンジンが掛かるのを確認します。(始動するのを分解組み立てするから、分解組み立て後は始動しないと終われません!)




作業に入る前に、道具箱の中の道具の確認です。58品の工具一覧表を見ながら、全部の有無をチェックしていきます。両口スパナ・メガネレンチ・ペンチ・ドライバー+-までは見慣れていますが、スピンナハンドル・トルクレンチ・エクステンションバーソケット・・・・となれば、分からない者が多数です。でも、全部覚えなければなりません。これを毎回行うので、紛失はありませんし、若い彼らは最後には覚えてしまいます。



いよいよ分解開始です。分解を前に、潤滑油(4サイクル用エンジンオイル)を排出します。
これはオイルバットに溜め、保存し、後で再利用します。
オイルドレンプラグを緩め外し、本体を傾けてケース内のエンジンオイルを出来るだけ全部抜きます。この機種のオイル量は0.5ℓです。



次にマフラーを外しますが、マフラ本体とエギゾーストパイプの組み合わさった状態で、本体連結部からまとめて外します。メタルガスケットがはまっているので傷を付けないように注意します。
外した部品は、分解棚(3段)の下の段から順に、さらに奥の左右どちらからか順番に並べると決め、ネジ類もまとめて置きます。(組み立てでは最上段から順番に組み立てるとミスが無い。)



ガソリンタンクは、事前に燃料(ガソリン)を抜いておき(保存・再利用)、燃料タンクのボルトを緩め取り外します。 フューエルコック部分は、コックを閉じて、今回はタンクと一体的に取り外しました。
カップにゴミ、油澱が目立つ場合には、分解して清掃します。 続いて、空気清浄器(エアクリーナー)、気化器(キャブレタ)を外します。



コントロールパネルアセンブリという部品です。
スロットルレバー、ロッドスプリング、ガバナロッド、ガバナスプリングで構成されますが、まとめて取り外します。
複数の特殊なテンションスプリングが複数の穴にはめてあるので、気を遣います。
写真右側から垂直に下を向いているのがバナレバーで、外すときにはガバナレバーの溝にマイナスドライバーを差込み、溝を広げながら外します。



どの穴に、どのテンションスプリングがどっち向きで付いていたのかわからなくなるので要注意です。
取り付け位置をマーキングしたり、スケッチしたりの工夫が必要ですが、デジカメ記録が一番便利です。



リコイルスタータを取り外すために、ファンカバーを取り外します。 プラスチック製の黒いフロントカバーも外します。



たくさんのヒダが丸く付いているのがフライホイール(はずみ車)で、中央にリコイルプーリがクランクシャフトに取り付けられています。 写真は、イグニッションコイル(発電機)の取り外しにかかったところです。 



イグニッションコイル(ダイナモ:発電機)から出ている、リードワイヤを外します。
ラチェットレンチで2本目のボルトを緩め、本体から取り外します。

 フライホイルはリコイルプーリと共に、60N・m(ニュートンメーター)で強力に締め付けられていますので、外すにはフライホイール取り外し具(写真:黄色のカギ付器具)をマグネットの間に噛ませ回転を殺して、M14ナットをスピンナハンドルを使って緩めますが、ナットは緩めたままにしておきます。なぜか?




その理由は、ガッチリはまったフライホイールはハンマーで叩かないと外れません。
そして、叩き方にテクニックがあります。
緩んだナット面とクランクシャフト軸端面を真っ平らに合わせたところで、ハンマーで垂直(平面均等)面で衝撃を与え、慣性の法則(反力)で外します。
もしこの時、面を合わせなかったり、斜め叩きするとナットや軸端のねじ山を壊すので注意が必要です。



クランクシャフト軸には、切込み溝凹に【半月キー】が仕組まれており、フライホイール中央の穴の凹の切込み溝に、【半月キー】が凸となって緩みなく確実に一緒に回転する仕組みとなっています。
【半月キー】は小さくて無くしやすいので、フライホイールのマグネットにM14ナットと共にくっ付けておきます。




これはロッカーアーム(揺れ腕)アセンブリという部分で、すでに弁椀室(べんわんしつ)カバーを外したところです。
カムシャフトの動力で、吸気弁・排気弁の交互の開閉をする機関となります。
(古い映画等で、船のエンジンルームが映ると、湯気の中で露出したたくさん並んだロッカーアームが交互に上下している、あの部分です)


 ロックナットとピボットナットを外し、シーソーみたいに交互に上下するロッカーアーム(小さな双眼鏡形)を外します。

写真下に、球形頭の棒(プッシュロッド)が内部のカムシャフト側から上がっています。
(シリンダー内のカムシャフトに向かって、差し込まれている) このプッシュロッドを引き抜きますが、見た目まったく同じの棒を、左右間違わないように置いて、後では同じ位置で取り付けなければなりません。

プラグレンチを使って、スパークプラグを外します。
学生にとってはプラグを外すのは、刈払機でもバイクでも慣れています。
写真はありませんが、この後、シリンダーヘッドとガスケットパッキンを外します。


側面のクランクケースカバーを取り外します。ある程度緩んでくると、排出残のエンジンオイルが漏れて作業台にこぼれますので、エンジンブロックの下に枕木を敷いて斜めにし防止します。

ネジは取り外しても液体パッキンの密着で、なかなか外せません。左右底部にある注油口部をプラスチックハンマーでコンコン叩くと隙間が空き、写真のようにクランク軸を親指で抑え、指で左右交互にキコキコすると外れます。
この時、PTO軸部にはシム(リングのパッキン)がはまっており、これに気づかず無くさないように注意します。

側面のクランクケースカバーが外れました。
これから写真中央のたくさんのギアが付いているカムシャフトを抜き取ります。

カムシャフトギアを抜き取ると、カムに接していたタペット(吸気・排気の弁)が宙になりポトンと落ちるので、指を添えて取り出しているところです。

 

 カムシャフトギアアセンブリ、タペットも外れました。
この時も軸部にはシム(リングのパッキン)がはまっているので、無くさないように注意します。



排出残のエンジンオイルを、エンジンオイルバットにスタメ(肥後弁:斜めにして排出する)ます。

 コネクティングロッド・クランクシャフト(中央)・オイル掻き(右に飛び出している鋭三角の棒)、写真左側のL字型に曲がったガバナシャフトが見えます。



クランクシャフトは、ピストンの上下運動を回転運動に変えるもので、ピストンとコネクティングロッド、ロッドキャップで繋がれています。



コネクティングロッド大端締め付けボルトを緩めますが、バランスウェイトが邪魔です。 クランクを回転させすき間を作り、ラチェットハンドルを突っ込み、2本のボルトを緩め、クランクシャフトを取り出し、ピストンも抜きます。



内臓を全部取り出したエンジンブロック(本体フレーム)を灯油洗い桶に入れ、スクレイパー(こそぎ取る器具)や、ワイヤーブラシを使って、液状ガスケットの塊をこそぎ落とし、洗浄して綺麗にしておきます。



ピストン&コネクティングロッドアセンブリも取り外せて分解が完了し、綺麗なエンジンブロックで組み立てに臨みます。



これまで外した部品は、分解部品棚(3段)の下の段から順に、さらに奥の左右どちらからか順番に並べると決め、ネジ類もまとめて置いています。(一番上は、基本に道具箱のみ置く)


 一番下の段で、先に取り外した燃料タンク、エアクリーナー、気化器(キャブレタ)などが見えます。
 



真ん中の段には、エンジンの中枢部品が並んでいます。こうして整理して置くと、組み立ては上の段から(時計回りor反時計回り)等の順番に手を付けたら間違いも少ないことになります。


 エンジン分解は、1回を90分、休憩10分して、さらに90分。
これを3回行い完結します。椅子に座るのは禁止なので、コンクリート床に立ちっぱなしは結構腰に来ます。
次回は、2日目を紹介しますので、お楽しみに!

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折れた刃からの刃物づくり編(No4)

2019年02月20日 01時17分49秒 | Weblog

2019年2月中旬

曲がった刀身の歪(ヒズミ)取りの工程で、刀身が折れるハプニングにもめげず
写真左の刀身から、2本の刃物を作った報告です。



折れた先の刃は未だ40cmもありましたので、刃側から中子を切り出すことにしました。
厚さ1mm足らずの薄いディスクグラインダーで切断しました。
この火花を見るのも楽しみです
それはなぜか
火花による炭素含量判別




やや中子の幅が狭く、湾曲もしていますが、こんな感じでちゃんとした刃物の体になりました。



鋭い断面ですので、グラインダーで面取りをしました。



中子の切り出しで出た小さな刃の部分も、それからさらに中子を切り出し、(肥後の守)的な小刀にすることにしました。



後は、研ぎです。
中研ぎで切れる刃まで研ぎ出します。



端切れでも、刃渡り22cmと長いので研ぎ甲斐があります。
普通の人は数時間も研ぐことは絶対ないと思いますが、仕上げ研ぎまで2時間くらいかかりました。




あらかじめ作っていた柄に口金をはめ、固定ピンの穴あけです。
ボール盤を持たないので、先ずは3mmドリルで穿孔します。



次に、目的の6mmドリルで穿孔します。



綺麗に貫通しました。



真鍮棒を突っ込み、金切りノコで切断し、両端に出た金属をリベット止めします。



2カ所をピン止めしますが、2カ所目でまたハプニングが起きました



なんと、硬くてドリルが入らないのです。
穴を覗いても、黒錆が剥げているだけ
新品のドリルに交換しても、いつまでたっても金属に食い込みません
もともとここは、長い刀身の中ほどであった訳で、それだけ焼き入れが効いていて、マルテンサイト変態がうまくいき、ドリルの硬度を上回ったと結論付けました。




仕方なくこのとおり、ピンは1カ所としました。
さて、この竹は



そうです。
柄を切り開いて、中子を突っ込んだ、背側・腹側には、溝の空間が開いていますので、これを埋める竹です。
木でも良いのですが、孟宗竹の方が加工が簡単です




はみ出した余分な部分をそぎ落とします。
後日、透明接着剤で固定します。




さて、端切れの、端切れで作った小刀です。
適当な柄がありましたので、それに合わせて中子を削り、突っ込みました。
峰部分が厚く、指で峰に力を入れて押さえて切れるので、意外と頻繁に使っています。




1本の長モノが、3つの刃物に変わりました。



切れ味も良いので、《まっイイカ



4つのシリーズをご覧いただき、ありがとうございました。

No1:鍛造編

No2:柄づくり編

No3:焼き入れ編

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高所枝打ちナタづくり(No3:焼き入れ編)

2019年02月14日 21時38分26秒 | Weblog

2019年2月10日

さて、いよいよチャンス到来
休日というのに朝早くから駐車場でコソコソと動き出し、必要な機材・材料を出しました。
いつもと違うのは、焼き入れの水桶。
55cmもの刀身を沈めるため、園芸用土を混ぜる容器に水を溜めました。
今回は長モノ全刀身を焼かねばならないので、耐火煉瓦も並びを変えて、60cmの竈床にしました。



炭は、消し炭と火力も長持ちする竹炭も使うことにしました。



おや~
何にでも興味津々のトラ君が、焼き入れの水桶に沈めた刃物に興味を持っています。
『ニャンだこりゃ長いウナギでも入れたのか美味いのかな冷たい水だニャン
と指を目いっぱい広げて水面を触っています
波紋が(((())))) カワ(・∀・)イイ!!



さて、竈に火を入れました。
着火しやすい消し炭を熾したら、硬い竹炭を熾しさらに温度を上げます。
普通のバーべキーで熾した木炭は800℃ほどですが、鞴:フイゴ(ブロワーを使用)で酸素を加給すると1,200℃まで上げることが出来ます。
また、炭の種類により温度の上りにも差があり、松炭の消し炭は短時間に燃焼する代わりに、温度は松炭が一番高く、1200℃を得ることが出来ると勉強してました。
でも、焼き入れには適温というのもあって、焼き入れ温度は低すぎれば十分な強度が得られず、高過ぎれば結晶粒が粗大化して靭性を低下させると言われていますので、難しいです。



理想の松炭ではありませんが、消し炭と竹炭でやっています。
ブロワーを吹かしてどんなに真っ赤に焼いても、
鉄の融点は1,535℃なので、溶け出すことはありません。
ヤットコで掴んで、オキに埋めたり出したり、裏表返したりしてまんべんなく焼きます。

炎の中では、炭の炭素が鉄に入ったり出たりの世界が繰り返されているはずです。
観ているのは、刀身の色ですが、昼間は分かりにくいものです。
この鋼材の質がわかりませんが、焼き入れ適温の標準温度900~1,000℃を目標に、白っぽく燃焼している部分を1,200℃と見越して、刀身の色がそれより低く赤い(赤オレンジ色)ならば、焼き入れ時と判断しています




炭は燃焼してエネルギーを出すたびに灰になり、熾きが減っていきますので、何度も炭を追加しています。
また、焼き入れの水についてもウンチクがあり、鉄を収縮させるための水が冷たすぎる水につけると、刃自体にヒビが入ってしまうし、温度が高いと、硬度が得られない性質があります。
適切な温度は7~13℃とされていますので、冬の水道水でOKとしました。
いよいよです。
もう焼けた!』と思う自己判断でヤットコで掴んで水桶に投入
『ジュワーッ、シュー、ジュブジュブジュブシュー!』長モノなので、湯気も大量に巻き上がり、カメラが曇りました。





ところで、そもそも『焼き入れ』の科学的解説ですが。
鉄(鋼)を焼いて高温にしていくと、金属構造は鍛造時の状態 オーステナイト に組成が変化します。
結合が緩むおかげで、叩けば変形できる訳です。
これを水や油で急激に冷やすと、鉄は炭素強制固溶した組織となり、(マルテンサイト変態)と呼ばれる、非常に硬い性質に変化します。
焼き入れがうまく出来ていないのは、不完全焼入れ、甘焼き と言われます。
さあ
、今回はうまく マルテンサイト変態 になっているでしょうか

おや
水から取り上げると、せっかく焼き入れしたのに、また熾き(灰)に差し込みました。
これは『焼き戻し』です。
焼き戻しとは、金属に粘り(靭性:ジンセイ)を与える処理で、150~250℃で行う 低温焼戻し と、400~680 ℃で行う 高温焼戻し がありますが、温度計も持ちませんので、低温はかえって難しく、弱火の熾き500℃位での高温焼戻しをしました。




前回のブログで紹介した、柄を取り付けて、見上げたり、振ったりして、一人ニタリ顔です。
だんだん完成に近づいています。



でも、焼き入れ後の問題の、歪ヒズミがやはり発生しています。

水に入れる時もウンチクがあり、焼入冷却速度は、速いほうが変形が大きくなる欠点があります。
対策としては、階段焼入れ、中断焼入れなどがあるそうで、段階的にやったつもりですが曲がりました。

峰から目通しすると、左に曲がっています。



反省点として、水に入れる時に、刃先から先に入れたものの、左に傾いて横っ腹の鎬(シノギ)が先に急冷したからそちらが多く縮み左に曲がった・・・と結論付けました。
右利きでヤットコを持ち水に入れると、自然と内側(反時計回り)に腕が回転しやすい癖がこんなところに出ました。




鍛造段階でも、まっすぐにする矯正をしましたが、焼き入れをした刀身の歪取りは全然違う反応があります。
硬いバネを叩いている感じで、『ビーンビーン』と跳ね返りが強く、なかなかまっすぐに出来ません。



何度も目通ししながら、しつこく叩いているとだんだんとまっすぐになってきました。
『もう、これで良いかな でも、もう一打ち』と叩いた時です。
『キャーン』という甲高い音とともに、眼下でポッキリと折れているではありませんか
しばらくは呆然と、2つに分かれた刃を眺めていました。
『あ~あ~クッソー』です。
(覆水盆に返らず、折れ刃元に戻らず)です。




断面の構造をを眺めてみましたが、中央の打点部分が違っていますが、金属組成の良し悪しは分かりません。
きっと、焼き戻し不足による靭性の無さと結論付けました。




落胆から這い上がれず、気休め的に柄に取り付けてみました。
『本当は、1本の長モノだったのに・・・クソーッ




さて、ブルーな気が晴れることもなく、次回があるかどうかも分からないけど、いつものように消し炭づくりです。
まだ熱い炭を掬って~



バケツの水に投入し、一気に消します。



昔使っていたバーベキューのコンロが水切り兼、乾燥容器です。



折れた中子の付いた刀身部分ですが、普通のナタのサイズがあり、これを生かすことで気を取り直すことにしました。
刀身に柄を取り付ける作業です。
市販のカマやナタでは一般的に、止めピンが使われますが、真鍮棒貫通で固定します。

中子を柄に突っ込み、口金をはめ、6mmのドリルで穿孔しますが、いきなり6mmではなく、最初は3mmで誘導の穴を開けて、6mmを通すのが無難です。




焼き入れ後の金属は本当に硬くなっていて、なかなか貫通できません。



熱を持った金属の削り屑と、木の芳香と共にやっと貫通しました。



6mmの真鍮棒を叩き込み、金切りノコで(柄幅+8mm)位の長さで切断します。



両サイド、3~4mm出るように調整します。



金槌で、リベット的に、両方の頭を叩いて丸めます。



まあまあ上手に丸まりました。
びくともしませんし、絶対に抜けません。




まだ、後悔の念が吹っ切れていませんが、中研ぎにかかりました。
鍛造後と違い、硬い刃に変わったのが分かります。
峰側の黒いところは《黒さび》なので研がず、刃先だけを研ぎました。


鉄につく錆には、大きく分けて黒錆(くろさび)と赤錆(あかさび)があります。
赤錆は化学式Fe2O3で酸化第二鉄、錆が赤く、鉄そのものをボロボロに腐食させます。
一方、黒錆は化学式Fe3O4で焼くことにより酸素が1つ多く付いた四酸化三鉄で、自然に発生することはなく、鉄の表面にできる黒い酸化膜です。黒錆ができると、赤錆の発生を抑えることができるため良性の錆といわれます。



切れる刃が付いたところで、仕上げ研ぎです。



仕上げ研ぎを終え、鏡面的になりました。
[まだ、刃が光ってないじゃないか]と言われそうですが、灰が沸騰して冷え固まった跡が波紋の様に残りました。
僕にとっては、(景色)に見えますので、残しました。
窯業の世界では、灰が解ける温度は、1,300度と言われていますが、1,250度でも時間次第では溶け出すということなので、ブロワーでもそのくらいの高温を得た証拠にもなります。



下のアゴ部分の黒っぽい影には、顔が映っています。



なかなか晴れ晴れとしない気分での、1本目の完成です。
長モノを想定して作った柄も、高所使用を想定して短く切ることなくそのまま使いました。




今回の失敗の反省点
①灰が熔けている現象から、1,300度近くの高温のため結晶粒が粗大化して靭性を低下させた。
②焼き入れの時、刃先から峰にかけて垂直に沈ませなければならないところを、腕が内側に回転し、横っ腹の鎬(シノギ)が先に急冷し曲がってしまった。
③焼き戻しでは500℃位での高温焼戻しをしたつもりだが、十分出来ておらず脆い刀身となった
次は上記の点に気を付けで、もっと上手になりたいと思います。


次回ブログは、気を取り直して作った2作品の紹介予定です。


No1:鍛造編

No2:柄づくり編

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高所枝打ちナタづくり(No2:柄づくり編)

2019年02月12日 22時06分34秒 | Weblog

2019年2月上旬

鍛造の後は、研ぎに移りますが、柄(ツカ・エ)が無い中子(なかご・ちゅうし、茎クキとも言う)では、金属だけの細い棒なので、右手が痛くて仕方ありません。
そこで、焼き入れ前の研ぎと並行して柄づくりをしました。
実家の薪ストーブの薪小屋から、良く乾燥した材を探しましたが、理想の樫の木は見つからず、形の気に入った柿を使うことにしました。
こんなイメージで、長モノの刀身に合う長い柄を作ることにしました。




柿の枝は折れやすいイメージがありますが、枯れて雨に打たれ、乾燥すると確かに折れやすいのですが、伐採して小屋に保管したものはタンニン成分が抜けない為か、ある程度の強度があるのを確認していました。
先ずはナイフでピーリング(皮むき)です。




樹皮の下には、クチクラ層のツブツブ模様の被膜があります。
繊細な模様で綺麗ですが、根気よくそれも剥ぎます。



丸っぽい断面を、やや楕円形にカンナかけし、握りやすいように削ります。




全面、綺麗に削れました。



グラインダーで表面の凹凸を均していきます。



完成イメージとして、中子に乗せてみました。

刀身55cm+柄35cm 全長90cmくらいの長モノができるはずです。



さて次は刀身の中子を挟み込む、割り込みの溝を作ります。
中子の通し方には、①差し込み(普通の包丁の様に柄に打ち込んで中子が見えない)、②背通し(上の背部分に中子の金属が見える)、③本通し(柄の大きさの中子で、柄の上下・柄尻まで中子の金属が見える)という方法がありますが、差し込みの場合、素人には棒に長い穴掘りもできないし、本通しは最初から中子の大きさが足りません。
工作し易い割り込みの溝を開け、中子を挟み込む方法にしました。


先ずは、手ノコで中子の長さに切り込みを入れました。
しかし、中子の厚さは4.5mm、ノコ跡はせいぜい1mmだし、2回目のノコを残りの3mmに入れて広げることは不可能です。
※ちなみにこの手ノコ、銘の刻印があるように、鍛冶屋での手づくりです



そこで、厚さ2mmのディスクグラインダーで削り広げることにしました。
高速回転中は煙を上げて削れますが、危ないので、写真は静止状態です。



何度も行ったり来たりで、望みの溝幅が切れました。
いよいよ、口金をはめる段階です。

口金の内径を鉛筆でなぞります。
口金は、出入り口で径の差が1mmあるかないかで微妙に違います。(柄頭:大>アゴ側(芽取りに使う角):小)
なので、大径で模って微妙に径を大きく削っていきます。
小径で削り過ぎると柄頭側がユルユルになりやすいのです。




彫刻刀やナイフで、削ります。



柄頭の奥の方がきついですので、こすれて黒く汚れた部分を削って調整します。
実際は、中子を挟んだり、外したりを繰り返し、ややきつめのところで削り止めます。



一応、柄の完成です。
振り回した時に、手抜けで飛んでいかないように、柄尻の膨らみにこだわりました。




実際に、口金をはめて中子を差し込んでみました。
バッチリです
早く完成させたい





この続きはNo3で~焼き入れと、仕上げ研ぎをアップしようと思いますが、とんでもないハプニングに見舞われます。 

No1:鍛造編

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高所枝打ちナタづくり(No1:鍛造編)

2019年02月08日 23時49分49秒 | Weblog

2019年1月13日

年明け早々から、また鍛冶の虫が騒ぎ出し、世間から正月気分が抜けるのを待っていました

妻は仕事で不在なので、今日しか無いとそそくさと準備を始めるのです。
耐火煉瓦でをU字溝を作り、多孔鉄パイプを敷いて、鞴(ふいご)代わりのブロワーを突っ込みセット。

 
先ずは火の着きが良い消し炭を投入し、いざ、着火



これは、昨年12月24日(天皇誕生日振替休日)に作った、金床。
この日がデビューです。
この上で、叩きます。面が広くなり、使いやすくなったはず

アンビル(金床づくり)



鋼材は、廃棄物で出た(紙の裁断機の刀身) 
昨年末の大掃除で廃棄されていたのを、僕の趣味を知っている部下が、わざわざ外して持って来てくれました
取っ手の中の金属部分(中子)まで含めて、57cm×3cm×7mmの長物




炭を熾し、新しい炭も加えて火力を増し、ブロワーもふかしてガンガン焼き始めます。
パチパチと火の粉が舞い上がるので、服装は綿製品の出で立ちです。




先ずは、切っ先側を左手で持って、中子の方から焼き始めましたが、ここも堅いので、なかなか伸びません。



鉄は熱いうちに打てですが、約1.2kgのハンマーを力いっぱい振りかざしても、少しずつ形が変化していくほどです。
汗が額に、背中に流れます




冷えると、鋼材の色がだんだん黒くなり伸びなくなるので、また焼きます。
この焼く時が、休憩と言えば休憩です。



再開
カーン、カーン、カーン
かん高い響きが、ご近所一帯に響き渡ります。
近所は、理髪店と化粧品レディーの事務所なので、通りがかりの人からは異様な目で見られますが、そんなの関係ない



焼く間は休憩ではありますが、ここまで300回くらいは振りかざし、本格的に汗が、額にも背中にも流れ、腕には疲れが出始めています。



裁断機の刃は、出刃包丁の様に片刃で、片方は裏スキという凹部分が刀身全体にわたっています。
この凹を平らに伸ばさなければなりません。




刃の断面は、長方形的になりますが、刃側を薄くしようと刃側ばかり叩くと、余った金属は横に伸びますから、刀身全体はだんだんと湾曲していきます。
アラビアの刀、シャムシール(半月刀)みたいにならないように、峰(平(ヒラ))側もバランスよく叩き、余った金属を先に、先に、切っ先へと伸ばしていきます。
口で言うのは簡単ですが、餅を成型するのと違い、なかなか思うように伸ばせないのです。
刀身が長く、左手は皮手袋をしていても熱くなって来たし、右手は疲労でリズムが遅くなるし、ここまで1,000+数百回叩いているはずです。




ハンマーを持つ手には、大豆マメが2つ出来、包丁研ぎで切った人差し指も痛み出しましたので、今日はここまでとしました。



1月26日 

実は、前回翌日の14日から、風邪気味となり、15日にインフルエンザA型と判明し、せっかくの休みもおとなしくしていました。

すっかり回復した前日の25日は、職場の新年会
二日酔いにならないように1次会で帰りました。
妻は仕事で不在と分かっていたので、普通に起き出し、朝からそそくさと準備を始めたのです。
あいにく、この日は雪まで舞う寒い駐車場でしたが、寒さに負けません

温度を1,000度まで上げて真っ赤に焼きました。
今回は、やや短い中子を、もう少し伸ばすことから始めました。




中子の長さが確保できると、冷やして持ち手にしました。
今度は中子を持って、切っ先側を叩き始めました。




バーベキューみたいに、ただ自然に熾る炭は約800度です。
鍛造をしやすくするために、ブロワーをふかして酸素を加給して1,000度まであげます。

でも炭はドンドン燃えて灰になるので、頻繁に炭をくべなければなりません。




切っ先側から、峰や刃を中央に向かって叩いたり、中央から切っ先に向かって叩いたり。
鍛冶屋にある自動ハンマーがあればと、恋しく思うほどです。




そして湾曲にも注意しながら刀身を伸ばしていきます。
もう腕が上がりません




鍛造で伸ばしに夢中だと、刀身はグニャグニャに曲がっています。
峰側や刃側に目を添えて、真っ直ぐになるように、曲がった凸側を叩いて伸ばし、歪みを取っていきます。
蛇行した刀身を真っ直ぐにするのは、焼き入れ前のこの時しかありません。



昼飯も忘れていたので、遅い昼飯をした後は、粗研ぎ(アラトギ)に移りました。
鍛造面は、ハンマーで叩いて伸ばしているので、凸凹です。
これを包丁や、日本刀のように平面になるまで均す作業が粗研ぎです。



砥石は一番粗く硬いものを使い、刃側のみに集中して、ともかく研ぎます。
数ミクロンずつでしょうが、少しずつ山が減っていきます。
アッ今、また、地震で揺れています



粗砥ぎを怠けると、キズが最後まで取れません。
砥石の汁(クソや泥と言う)を出来るだけ流さないように、クソで研ぐ気持ちで何百回も研ぎます。
刀身が長く、2面ありますので、ただひたすら
おそらくトータル半日時間くらい研ぎ続け均します。
それくらい研がないと、凸凹は平面になりません。




鍛造と研ぎにクタクタに疲れて、今日はこれで仕舞いとしました。
今日は9時間近く、ぶっ続けでやりました。

写真の上のナタは3年ほど前のナタです。
湾曲を制御しきらず、アラビアの刀、シャムシール(半月刀)みたいになったものです。

今回は、そうならないように鍛造しました。
刃渡り55cmとなりました。



この続きはNo2で~さらに中研ぎと、柄(取っ手)づくりをアップしようと思います。

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初めてのダイコン漬け!

2019年01月07日 20時55分35秒 | Weblog

2019年1月6日

僕の母は、自家製の美味しいダイコン漬けをする人で、近所や親戚から喜ばれていました。
でも入院や死去により、すでに4年間自家製ダイコン漬けを食べていません。

それからというもの、一人暮らしの高齢親父の世話もあり、週1は実家に帰るようになる生活になっていました。
草ボーボーだった菜園を復旧させ、土づくりにも熱心に取り組みました。
おかげで野菜の生育は良好となり、今年はたくさんのダイコンが育ち、処分に困るほど出来ています。

そこで、自分でダイコン漬けを作ってみることにしました。

その前哨戦が、この台車っていう訳ではありませんが。



ちょうど良い、干し台になりました。



一人暮らしの親父に、(天気の良い日の朝、日向に出して、夕方に納屋に移動を繰り返して~)と頼んでいました。



そうやって年を越した、1月6日朝。
弓型に曲がる程度乾燥が進みましたので、実行です。

準備段階として、皮むきです。
これは、母親がやっていた方法で、面倒ですが味が良く染みて、食感も柔らかいメリットがあります。
歯の弱い高齢者にも噛めるダイコン漬けになり、喜ばれていました。



長期保存のためには、《丸くなるまで乾燥》ですが、表皮が皺皺になると、ピーラーで剥くのは難しくなりますので、今日の決行としました。



この日は天気が良く、皮を剥いて更に4時間天日に干しました。
漬け樽も綺麗に洗って、良く乾かしました。



母親の技術伝承はされていませんので、『タクワン漬けの素』に印刷してある漬け方に従いました。
中期漬けーー15kg--弓型ーー塩1kg--米ぬか1.5kgを準備しました。



早朝、コイン精米機から集めた、新鮮な米ぬかです。



塩は、にがり塩を選びました。

各分量を、別の容器に入れ~



良くかき混ぜました。
ぬか床では、黄色いターメリックの色が無くなりました。



いよいよ、漬け開始です。
一番底に、ぬか床を敷いて、ダイコンを並べていきます。
真ん中には、実験的にカブを入れてみました。



ぬか床をまぶしました。



さらに、ダイコンを並べ重ねます。



また、ぬか床をかけて、次のダイコンを重ねます。



最後の一番上のぬか床は、(一番量を厚く)とありましたので、計画的にたくさん残しておきました。



ダイコン漬けの変色防止と品質維持のため、一番上をダイコンの葉で覆いました。



ここは、母が使っていた4畳半くらいの『漬物小屋』です。
たくさんの樽や重石がありますが、今まで開かずの間でした。
そこに運び込みました。
さて、重石ですが、30kg材料で、40kgの重石
15kgなら20kgかなと考えました。
母には無かったアイデアとして、重石は重いので、やや小さな樽(40リットル)に水を溜め、重石にしました。



浸透圧で出た漬け水が、うまく上がってくるのかの確認は1週間後しか出来ないので、6kg重石と水20リットルくらいとしました。
漬物石の重さ調整は大変です。
水であれば、重すぎたホースを使って『サイフォンの原理』で排水し、軽ければ水を追加すれば良いし、自由に調整できます。



さて、1週間後が楽しみです。
また、報告します。

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掃除機ノズル・タービンブラシの修理!

2019年01月04日 23時33分54秒 | Weblog

2018年末のこと!

妻は年末年始も忙しく仕事に出て行って、旦那はアレして、コレしてと言われた事をさばいていました。
ところが掃除機かけで、掃除機のノズルのタービンブラシが回らない事に気づきました
タービンの回転軸を見ると、長い糸がギッチリ絡まっていました。
原因が分かれば、取り除けば良いはずです。

カッターナイフや千枚通しを使って、綺麗に取り除きました。



ノズル後ろの平らなコロにも、ペットの毛がぎっしりと絡まっていました。



『これで良しさあ、回るかな』と、写真右上のタービンスイッチのコロを押そうとしたら、そこにあるべき小さなコロがありません
軸受けの2つのプラスチック支柱があるだけです
『外れて、無くしたんだ



(・・・最近使った時に、外れて吸い込まれたのかもしれない・・・・)という淡い期待をして、袋を解体し、埃っぽいゴミを分解し探しました。
なかなか見つかりません・・・(何かわからず、捨てられたか・・・既に捨てた袋の時に外れたのか・・・)不安な想像だけ埃のようにわき立ちます。
(もしも見つからないなら、小さな代替えコロと軸を作らなければならない・・・この忙しい時に、厄介な事になった~・・)など思いながら、ゴミを漁りました。



『あった~良かった
フェルトのペットの毛に絡まっている塊を見つけ、その中にコロが。
ペットのトイレチップに混じって、光る軸が見つかりました。



ところが、軸は『横刺し』でコロを固定するのではなく、2本の軸受けの2つのプラスチック支柱を広げて押し込むタイプの様です。
しばらく外から嵌めようとしますが、固くて入りません。
仕方なく、分解することにしました。
開けてびっくり中も埃に毛だらけです。
ところが、開けている時に、何かピーンと飛び去るものがありましたが、想定外の飛翔物の行き先を目で追うことが出来ませんでした。
この部品探しに、とんだ時間を費やしました。



不安な中にも、ともかく回転ブラシを洗剤洗いし、それぞれの部品も刷毛と掃除機で綺麗にしました。



タービンスイッチのコロは、ラジオペンチを使って、2本の軸受けの2つのプラスチック支柱に押し込めて何とかはまりました。
こんな固いのがどうして外れたのか分かりません。



ピーンと飛び去ったのは、このバネでした。
ノズルを使っているときには、重さでタービンスイッチのコロが押し込まれ、スイッチが入り、ノズルが空中に上げられている時にはコロが飛び出て、タービンブラシのスイッチが切れる仕組みです。
コロを戻すバネなので、無くす訳にはいきませんので、這いつくばって探し、やっとの思いで見つけることが出来ました。
見つかったものの、どうはまっていたのか分かりませんが、試行錯誤でやってみて、こうしなければ、コロが戻らないので、この様に取り付けました。



スイッチも、どうはまっていたのか分かりませんが、試行錯誤でやってみて、ここでなければ、スイッチの入り切りが出来ないし、取り付ける位置も無いので、この様に取り付けました。



開けたら、蓋をすれば元に戻りそうですが、モーターがはずれる・タービンのコロもスイッチも、バネも外れる・やっとはまったと思ったら、電線を噛みこんで、1mm位閉まらないので、またやり直し・開けたらまた、モーターがはずれる・タービンのコロもスイッチも、バネも外れる・・・を何度か繰り返し、やっと綺麗に元に戻せました。



スイッチオン
勢いよく回りました。
2時間もかかって、やっと掃除の再開になりました。
もう、すっかり疲れてしまいました。





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金床(かなとこ:アンビル)づくり!

2018年12月27日 21時51分13秒 | Weblog

2018年12月24日(天皇誕生日振替休日)

今日は天皇誕生日の振替休日で、近所の2つの事業所も休み
それに、一番怖い妻は仕事で不在、誰もいません
チャンスを活かすべく、午前8時には作業に取り掛かりました

ところで、金床(かなとこ)とは、アンビルとも言われています。

鍛冶屋さんで、焼けた鉄を鍛造する時に、焼けた鉄をこの上にのせて叩くための鉄の塊です。
写真は、3年間通った鍛冶屋・人吉市の岡秀(おかひで)さんの金床です。
コンクリート台に埋まった金床は、たぶん30~40kgあるのでしょう。
いくら叩いても、ビクともしません。



素人がこんな立派な金床を必要とする訳でもありませんが、趣味で鍛冶屋まがいのことをしようとすると、何らかの金床が必要となります。
実家で、昔の管理機のウェイト(エンジン前方の重し)を見つけ出し、金床にしていました。
ところが、面が狭くハガキの半分くらいの幅で、それも曲面なのです。
これを駐車場のコンクリートの作業場で叩くと、跳ね上がり、すぐに倒れます。

仕方なく、木枠で囲い、左足で木枠の端を挟んで固定して、叩いていました
根性でこれを使って、すでに数作品を作っていましたが、次の作品構想に備えて、どうにか金床を改善したいと思っていたのです。



そこで見つけたものは、『H形鋼』と言われる端材。
鉄筋コンクリート建物の支柱や、鉄骨ハウスの柱に使われるものですが、すっかりサビてます。

JIS規格 H-125X125X6.5X9 で、50cm、15kg程あります。
実は、前回の鍛冶で使ってみたのですが、カンカンうるさく、T字の羽に弾かれて使い物になりませんでした。




改善策として、手持ちのウェイトをこのHの隙間に挟み込んで、跳ね上がりのない金床にリニューアルする作戦です。
ところが写真のように、ウェイトの高さが勝り、ハマらないのです。
そのハミダシの厚さ、2mm。


金属を2mm削るのは大変ですが、やるしかありません。
最初は、直径10cmあったディスクグラインダーのディスクも、みるみる減っていきます。

叩きこんで、外してみて・・・また、削っては、はめてみて・・・



H形鋼の方も削ります。



半分位埋めると、何度も繰り返してもなかなか入らなくなりました。



おかしいなあ~と思って横からよく見ると、Hの軸に向かって、狭くなっているではありませんか!
つまり台形的に削らねばなりませんでした。




ギッチリと叩き込んだのは、しっかり噛み合って外すのも一苦労です。
手持ちのバール(釘抜)と角材で、テコの利用で外しました。



キズが付いているところが、キツイ処
そこを重点的に、かつ、台形的に削りました。



格闘の末、やっとフラットに入りました。



この後の溶接のため、接触面のサビを綺麗に落としました。
ディスクがずいぶん小さくなりました。



金属同士の接着は、溶接しかありません。
そのために作った、『36V、バッテリー溶接機』



久々の出番ですが、前回から勉強していました。



ゴーグルをして、いざ、溶接開始
左手に溶接棒、右手にスマホでカメラ撮影は、シャッターチャンスが難しいです。
アークが発生すると、おそらく5,000度を超える中で鉄材が熔けて、くっつけます。

 

あまり綺麗とは言えませんが、まあ、くっつけば良いです。



ウェイトが1個しかなく、半分の面積ですが、中央の一部部分の広さでも、これまでと比べると使いやすいはずです。
表面のサビを落とします。
もう、ディスクもすり減って小さくなり見えません。

師匠の金床は、いつも使っていることもあり、ピカピカでしたので、仕上げに荒砥石、中砥石で研ぎました。 

この日はポカポカ天気だったので、綺麗に洗って天日で乾かしました。 

研いだ後の表面です。
これだけツルツルなら問題ありません。

この後、オイルを塗って防サビをしました。
待ち遠しいですが、出番まで収納しておきます。

 皆さんには、全く関係のない『金床づくり』の紹介でした

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インパクトドライバー永久バッテリー!

2018年10月20日 22時33分26秒 | Weblog

2014年頃

日曜大工をする者にとって、ドリル穿孔やネジ締めの電動ドライバー系は必須アイテムです。
現在、電動ドリルは2台、インパクトドライバー2台を使用中です。
インパクトドライバーはバッテリー式なのですが、難点は使用途中のバッテリーの放電や、寿命です。
バッテリーだけ、別に購入すると、1個で元の本体セット購入価格の半額にもなります。
しかも、この機種は既に在庫無しの製造中止でした。

 

本体は十分使えるのに、バッテリーが無いだけで使えないのは我慢できない
そこで、車のバッテリーを繋ぐことを思いつきました。
実験で、コードでインパクトドライバーの電極に繋ぎ、スイッチオン
ちゃんと動きました。



14.4Vに12Vの電源を繋いでも大丈夫か
そう思いながらも、インパクトドライバーのバッテリーの中身の蓄電池や配線を全部取り出し、電極を半田づけしました。



コンセントを利用したのは、収納ケースに収めるには長いコードはじゃまだからと、取り外し式にしたかったからです。



次に、車のバッテリーの+-を間違えないように繋ぎました。



大丈夫、ちゃんと動くし、力も余計にあります。
実用でも、車のバッテリーはへばることなく、十分使えていました。




実家の親父が一人暮らしとなり、実家での日曜大工のために、車のバッテリー式は実家に置くことにしました。

2017年頃

間を置かず我が家のために、新しいインパクトドライバーを買うことにしました。
ホームセンターでは、今や力の強い24V、18Vが主流になっていました。
でも、先々のことを考えると、電源を車のバッテリーから引ける事が経済的と考えました。
時代遅れ?の12Vが、特別安かったので、これにしました。
素人の日曜大工にはこれで事足ります。
バッテリーの予備も付いていました。




2018年10月

彫刻の穿孔作業で、予備のバッテリーの充電が間に合わない事がありました。
1年経過して、早くも充電能力が落ちてきたのでしょうか
そこで、こちらも車のバッテリーから電源を引けるように改造に取り組みました。2回目のトライです。
2個のバッテリーはまだ健在なので、1代目の改造の様に中身を取り出すわけにはいきません。

この電極と似たようなモノを作り、繋げなければなりません。
似たような形状で、口径のパイプを見つけました。




購入したのは、バッテリーに繋ぐ、クリップです。
規格30アンペアあれば十分です。




問題は、本体電極に接する電極でしたが、無用となった1代目インパクトドライバーの充電器が残っていましたので、それをバラして磨き電極にしました。



家庭用電灯線延長コードのオスコンセントに、半田付けすることにしました。
フラックスを塗り



半田付け。
綺麗に固定が出来ました。



半田ごて置きも、市販品はいろいろありますが、これが一番安くて安定も良いので使っています。



+・-極を付けました。



パイプの縁に切れ目を入れて、ズレ無いようにその凹窪みに電極を挟みました。



その電極が外れないように、内側から押さえる径のちょうど良いビー玉を見つけて、接着剤で固定しました。



クリップと電線との半田づけです。
プラス極完了



マイナス極完了



電源取りだしコードと、本体に接続する電極が繋がりました。



+・-極を絶対間違わないように符号を書き、車のバッテリーに繋ぎました。



元気よく回転しました。
成功です



これで、途中バッテリーがくたばっても、予備のバッテリーが製造中止になっても、車のバッテリー・車さえあれば安心して使い続けられます。

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袋猫彫刻(仕上げ彫り編)

2018年10月15日 21時23分09秒 | Weblog

2018年9~10月

気づけば、半年も過ぎて季節も秋になってしまいました。
気温もやっと適温になり、やる気も加速度的に出てきました。
いよいよ仕上げ彫りに取りかかりました。



そろそろグローブの様な手に爪を付けなければなりません。
モデルのトラ君の再登場です。
何度も噛まれながら、指や爪を観察しました



既に老眼ですが、最近特に小さな作業が極端に辛くなっています。
そこで、妻のハズキルーペを借りて彫ることにしました。
テレビCMを称える訳はありませんが、こりゃ、優れものです



指は前に4本、親指は極端に後ろに付いていると、あらためて知らされます。



写真のように実際の爪は細いですが、細いと欠けやすい~そこでデフォルメ
イグザジェレイト 『exaggerate』的な誇張表現にしました。
実際は半分の厚みでしょう



右手の爪に取りかかりました。
が、またやっちゃいました。
薬指の爪が欠けてしまいました
破片はすぐに見つかりましたが、接着しても爪はたぶん取れると思いました。
トラの日頃の悪さの落とし前として、指を詰めてもらうことにしました。
(切っ先が折れた爪)



猫の指が開くところはあまり意識しませんが、本気で獲物を狙うときには、爪掛けの確率を高めるかの様に、本当に指を広げて爪を立てるんですよ



爪も終わり、表現箇所はだいたい終わりました
今度は、紙袋です。
平面の板ならカンナかけが出来ますが、曲面となればそうはいきません。
槍ガンナやノミで基礎彫りまでしましたが、仕上げとしてノミの刃を90度に立てて、引っ掻くようにし、なめらかな表面にしました。



ツルツルにする必要は無いと思いましたが、80番のサンドペーパーでざらつきだけ落しました。



たかが紙袋ですが、猫が入っている背骨の膨らみの尾根は表しました。
ホントはもっとグジャグジャの袋が常ですが、ドンマイでいいでしょ



爪の仕上げです
『トラ君、ネイルサロンで爪を研ぎましょうね~』と独り言を言いながら、尖らせました。



facebookには途中経過を何度かアップしていましたが、その反応の言葉の中に『画竜点睛を欠いている』という指摘がありました。
「(竜)りょうを(画)えがいて(睛)ひとみを点ず。」という読み方で、物事を完成するために、最後に加える大切な仕上げの例えで、『欠いている』とは、目(瞳)という最後の仕上げが不十分で、肝心なところが欠けていて、精彩がないと言われた事になります。 



まあ、自分でも分かってました。
瞳とは、『虹彩』と言われる絞りカメラのが、『水晶体』に入る光の量を調整している訳で、『角膜』の下にありますが、実際はなんの凹凸もありません。
彫刻刀の曲刃のRを使って、虹彩の縁取りを彫りました。



薄暗いリビングや玄関に放置した紙袋の中では、瞳孔は膨らんで通りかかる”獲物”を狙っています



確かに『画竜点睛』の仕上げです。



床の上に紙袋に入って、上の獲物の動きを追っているので、仰角30~45度かなと思っていましたが、猫目線で見るとだいたいそんな感じで見上げています
爪には、アドレナリンが行き渡っています




9月中旬には仕上げ彫りを終わっていましたが、休みの度に台風24号、25号と九州・熊本にも接近し、雨ばかり

2018年10月8日(体育の日:寒露)

朝から快晴、湿度45%と最適条件です。
艶出しニスor艶無しニスにするか悩みましたが、艶出しにしました。







半日で完全に乾いたので、玄関に飾ってみました。
気になるのは、妻の反応です。



夕方、ドアベルが鳴り、妻の帰宅です。
ドキドキ
玄関で何か言ってますが、聞き取れません。
再びドアベルが鳴りました
追いかけるように玄関に行くと、案の定、トラが居なくなっています
なんと、無造作に玄関ポーチに出されていました



半年もかかった『袋猫』は、とんだ結末になってしまいました。
まあ、これにめげることなく、また次の作品に向かいます。

『袋猫(中彫り編)』

『袋猫(粗彫り編)』

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袋猫彫刻(中彫り編)

2018年10月13日 20時46分59秒 | Weblog

2018年6~8月

耳が欠けたこともあり、梅雨に入ったらやる気もなくし、ずいぶんと放置していたら、なんと、カビが生えて情けない顔に



そろそろ、耳を付けないと・・・と思いながらも、耳が付けば彫りにくくなる後ろをせっせと彫りました。

木工ボンドをたっぷり塗って、ラチェットバークランプで挟みまた放置。
普通、あふれ出た余分のボンドは布で拭き取りますが、彫刻の場合は乾いて削り取るので、あふれるほど塗っています。



十分乾いたので、作業開始です。



修復した耳に注意しながら、『煩のくど(ボノクド)』を彫ります。



深いところは狭くて、彫りにくい



左手は袋の縁から出ていますが、手が欠けないようにと、縁紙を今まで残していました。
本来の縁まで削っていきます。



上から見たところ。
左手も、シッポも紙袋の縁から出てきました。



袋の中で、体と接する部分の彫りです。
今年の夏は猛暑で、うだる駐車場での作業は自殺行為でした。



主に休日の早朝の作業となりました。
紙袋と体の隙間は、鋭角になっていますが、奥の方なのでなかなか進みません。



ノミの穂先・首の長いのを選んで、奥を彫り進みます。



首の横も彫りにくい。



削り屑はすぐにたまって、彫りにくくします。
そのたびに重たい塊をひっくり返し、綺麗にしてまた彫ります。
ところが、この時とんでもない事をしでかしていました。



ふと右耳を見ると、ちょっとだけ欠けているではありませんか
いつだろ全く気づかなかった



この削り屑の中に、欠けた破片があるのは間違いありません。
作業を中断して探すけど、なかなか見つからない。
切りつめて、小さな耳に彫り直すか
別の木片で、欠けた形を彫り、それを接着するか
そんな葛藤をしながら、この削り屑を10分割にして、怪しい破片を拾っては当ててみて、ダメを繰り返しました。



警察の遺留品現場捜査の様に、10分割したものを一つずつクリアして、30分後やっと見つけました



接着するまで、また数日中断。



ホントは、あまりの暑さで、すっかりやる気をなくしていました。



今回はここまで。
9~10月の仕上げ彫り編も、お楽しみに。

『袋猫彫刻(粗彫り編)』

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