学校のカリキュラムは、その時の状況で、臨時の組み替えもあるものです。
それは、新規就農研修生も同じ事。
先週の月曜日は実践農業コース、水曜日はプロ農家養成コースの研修生に穴が空きましたので、自啓館周りの環境整備をしてもらいました。
そもそも自啓館とは、旧学生食堂を改造したものです。
昭和53年の農業大学校開校以来、平成12年の新学生寮が出来るまで使われていたところで、現在は研修室と農産加工室が整備されています。
その東側には旧学生寮が今も残り、それまでの中庭は、毎年の様に3mくらいの雑草が生い茂り、夏にはうっそうとした幽霊屋敷となります。
今年も研修生の頑張りで、お陰で綺麗になりました。
さて、木曜日の朝7:30。自啓館の開錠をして、綺麗になったものと巡回をしていて、超ショッキングな事を発見をしました。
4年前ここに来た年の今頃、自啓館周りのあまりにも草ボーボーさに唖然としました。
でも、みんな忙しく、誰も余裕がない。
それから始業前、毎朝のように一人での開墾に着手しました。
草を払ったものの、建物周りとあって、石ばかりの固い砂利土。
ツルハシを使って、延べ、約203平米を耕し、カヤの根塊を出すこと1年。
コンクリート崩れの様な土で、肥料っ気も物理性も悪いために、堆肥を肥料袋に入れては運んで、入れました。
こんなビルの解体後の更地の様な土に、果たして芝が張るのかと、疑心暗鬼な日々が続きましたが、全部の開墾地に堆肥を入れ続けました。
それからやっと、芝(野芝)を植えました。
2年目、芝を植えたものの、日照時間の少ない建物と建物の間はなかなか育ちません。
そこで、そんな場所には、地這いの植物(ツタ・ヘデラ・多肉植物)の植栽を切り替えました。
自宅の庭で雑草の様に強く繁茂する証明済みの品種です。
思惑は当たり、どんどん、伸びていきます。
地這い植物が繁茂すると、他の雑草はだんだんと負けていき、草取り労力も減っていきました。
これで、管理する者が居なくても、草刈りの必要も無くなると期待していました。
2年目の第1期植栽の成功で、朝(始業前)の作業が減った分、日当たりの良い南側の難所を、3年目の第2期植栽として着手しました。去年H26の事です。
ここを後回しにした理由がありました。
工事廃土を固めた最悪土で、雑草もろくに育たない様な、土っ気が無い盛り土でした。
ここも先ずは、ツルハシの出番でしたが、難航しました。
耕したら堆肥投入。
植栽する苗は、既に大きくなった所を刈り取って自給としました。
旧女子寮側は、野いちごに覆われていました。
適当な苗に切り分けて、1本1本植えます。
毎朝、始業前に汗だくになります。
少しずつ、自分の本来の仕事に支障を出しては意味がありません。
信じるのは、早起きと、”継続は力なり”です。
去年の第2期植栽地も順調に根を張りだし、地上もだんだんと覆われ、コンクリート通路まで伸び始めていました。
ところが、3年がかりで覆ってきた地這のツル・ヘデラ類を、(約25平米)一部とは言え無惨にも刈り取った研修生が居たのです。
また、雑草が盛り返してくるに違いない。
しかも、刈ったツタはその場にこんもりと積んだまま~これでは蒸れて、生き残った地下の株も腐れてしまう。
コンクリート通路に伸び出した部分は、刈り取って、北側~西側の未着手部分に植栽を考えていた矢先の事。
綺麗にとは言わない。無惨にも刈り払い機で刈り取っている!
特に発根の少ないワイヤープランツは、連日の雨で珍しく発根し、『これを刈り取れって植えたら、根付きもいい苗になるはず。』と楽しみにしていた矢先。
究極、逆鱗きわまったのは、このアジサイ!
今年は加工室の西側角にアジサイが1株、花を咲かせました。
3年前のちょうど今頃、僕の早朝作業を密かに観察していたH校長が、5株のアジサイの苗をくれて、植えたもの。
梅雨明けしたら、コンクリート崩れの砂利土の悪さか、排水が良すぎて乾き易く、水掛けが追いつかず、とうとうこの1株になった。
去年は、わざと花を摘み、体の生長を優先させ、今年は4本仕立てで、60cmくらいまでに生長し、花房も4房くらい着いていた。
貧弱ではあるが、面倒を見てきたアジサイだったために、小さな薄紫の花を毎朝見るのが楽しみだった。
それを、無惨にも、しかも何回かに切り分けて、終いには10cmくらいの地際で刈っている。
そして、原因を考えた。
『ココは切るな!』と、事前に場所を指定して言わなかった自分が悪いのか?
と、研修生を責める方が強くなってきた。
人知れずバカみたいに取り組んできた環境整備の時間・汗を考えると、イエスキリストの様な冷静な包容力は自分にはないと分かる。
「父よ、彼らをお赦しください。自分が何をしているのか知らないのです。」
(ルカによる福音書 23章34節)
十字架でヤリに刺されながらも、そう言って赦せるイエスと、自分は違う。
沸点が低い感情的な自分だから、聞いたらたぶん、残り数ヶ月、いろいろと影響が出てくるだろう。
”立つ鳥跡を濁さず”
まあ、植物だから、自然と回復するかもしれない。
二度ある事は三度ある対策とりました!