2013年3月23日
前回紹介したのは、物心着いた子どもの頃から実家で動いていた年代物の柱時計の、枠の飾り縁の修理のお話でした
それから、いろいろと文字盤に使えるモノを探してはいたのですが、なかなかローマ数字の文字盤ってのは無い現実に打ち当たりました
文字盤にこだわっていては、全然進めないと、割り切ったところ、我が家に捨てる時計を発見それも、QUARTZです。
どうせ捨てるモノなので、欲しいのは文字盤
でもコレ壊れては居ないのです~コチコチッと刻む音が気になって眠れないとお蔵入りになっていたもの~時代も変わりました
それに、活躍の場を与えようと、時計自体を刻む事にしました
もったいないですが、泣いて馬謖を斬る(ないてばしょくをきる)って感じです
ホホウ~キヨタから買った(貰った)のか~と思いながら分解。馬謖覚悟
針をハズし、心臓を剪定バサミで開ける~馬謖、トドメだ~(なんて、独り言言いながら分解)
さて、抵抗むなしく、馬謖の顔の皮は剥がれた(いつまで、言ってるねん)
イメージとして、はめてみた。
馬謖は、諸葛亮(孔明)の新しい顔になった(まだ言ってる)
直径20cmに、四角いゴールドの枠が、ギリギリ入りそう~
マジックで型取り
さて、どうやって憎しみに角張った馬謖の顔□を、冷静沈着穏健な孔明の丸い顔○に合わせるかだ~ジグソーで切ることにした。
しかし、鋸の刃が切れない状態なので、ヤスリをかける
よし、鋭い刃先が復活
馬謖覚悟(もうオマエハ既に死んでいる今度は、ケンシロウか)ってな、余計なことばっかり言っていたからか、刃を当てた途端、パリッとプラスチック板に亀裂が走った
ヒエーッ(馬謖の悲鳴でなく、自分が悲鳴を上げた)
ジグソーはプラスチック板には合わない~ジグショー
仕方なく、地道なケガキをすることに
(カッターナイフのオルファ製のプラスチック板ケガキ専用ナイフ)
次に、糸鋸でジグソーをケガキに添える幅に地道に切り出した
今度は綺麗に切れた
もう一度当てて、出っ張りに印を付ける
グラインダーで削り
また型に合わせては削りで、ピッタリに~ひび割れは気にしない事にした
今度は、ネジ巻きの穴開け
プラスチックの文字盤はシースルーなんでこんな時には便利
せっかくだから、元の文字盤に着いていた、穴縁取りを活用することにした
4つの小さな爪を起こして、外す(マイクロドライバーの出番)
綺麗に外れた
一応、穴位置を再確認~ジャストフット(井上揚水)
プラスチック板にかぶせる、アルミ製文字盤にも穴を開けないといけない
焦りは禁物なので、キリで誘導の穴開け
アルミ板は薄いので、押さえると変形する~10mmのドリルをゆっくりゆっくり沈める
穴縁取りの爪を綺麗に起こし
穴にハメて、爪を倒す
巻きカギを入れてみた~ジャストフット(井上揚水)
さて、そもそも動かない理由は分かっていた~フリベラ(振り竿)と言われる、薄い金属板が破損(金属疲労)していたからだ
高校1年生の頃、振りベラと似たようなモノを探し、カミソリの刃を代用していた自分の工夫に再会した
15のあの頃、自分でも良くやったものだと思うが、結局断念したんだろう
(カミソリを振っていた15の夜~ウオ~(尾崎豊))
それから40年後、すっかりオヤジ化したので、同じ轍を踏むわけには行かない~いろいろ探したが、あの板バネらしいモノはなかなかない~でも、使えそうなモノはあった
これは、ブラインドを取り付けたとき、長すぎた6cm余りのカットだ。
ボンドコーキングや接着剤を塗る時のヘラに取って置いたモノ
8mmほど切り出し、試してみることにした
振りベラ棒には四角い穴が開いていて、振りベラの爪で引っかける仕組み
キリでH型にケガキしたあと、彫刻刀でH型に切り、2つの小さな爪を作った
その爪を、振りベラ棒の四角い穴に両側に広げる
振りベラの完成(果たしてこれで動くかワカンナイ)~ワカンナイ(井上揚水)
振りベラは割軸に挟む簡単な仕組み~ただ、どの長さが適当かワカンナイ
この写真は、アンクル棒が振りベラの連結部分と密着しているので、これでは振り子は止まってしまう
もう少し、短めないと
とりあえず、こんな感じでテストするしかない
物理の振り子実験と同じく、振り子が長いと周期が長く、時計は遅れる
理屈は分かるが、この振り子の長さのネジ調整は、動いてからの実験でしかワカンナイ
さて、実験開始~振り子を振ってみた
カタカナのウを裏から見たような、アンクルが、ガンギ車をカチコチ刻みだした
5秒で止まった
何度やっても止まる~
振りベラが堅い気がした~材質はどうしようもないので、幅を狭めることにした
といりあえず1mmカットで再挑戦
それでも、やはり止まる
振り子の振幅を伝える、アンクル棒の角度が開きすぎ
アンクル押さえを外し、アンクルがガンギ車から外れると、まさにタガが外れたようにガンギ車が回りだした
~風車は、クマンバチが居るかのように風を切り、透明な羽になり舞いだし
~時5番車~時4番車~~時3番車~時2番車~1番車~ゼンマイ(全舞)も、ジャガ・ジャガと音を立てて解けだし
~同時に、数取りカマは餅つきの杵のように、数取り車の窪みを打ち据え、数取り合わせの刻みの数だけせわしく連動し、打2・3・4番車は、伝わるがままにシュモク(鐘付き)を一つずつ数を増やして、巻きバネ鐘をボ~ン・ボ~ンと叩き出す
~買い物ブギの山場みたいに、もうてんやわんやの大騒ぎ~短針・長針は外しているが、日の裏車・筒車(短剣車)も回っているので、針を付けたらグルグル回っているはずだ~
「買物ブギ」(服部良一)
別に遊んでいるわけではない、巧く回転や伝導がされているかの観察
歯車の連動には異常なし~
アンクル押さえをもどし、ガンギ車を大人しくした~買い物ブギ停止
やはり、アンクルの角度かな~と、ペンチで角度調整
振り子が左に振れたとき、右側のアンクルが外れ、同時にゼンマイのとける力がアンクル棒で振りベラに伝えられ~振り子はブランコで背中をちょっとだけ押されるように力を与えられ、連続振り子運動を続ける~仕組みは分かっているが、どこだろう~
原因1=振りベラの材質問題
原因2=アンクル棒の角度
原因3=アンクルのウの形の角度
原因4=実験が垂直・水平条件でない
原因5=歯車それぞれの軸の摩耗によるガタツキによる抵抗
わ~っ、1と5はしょうがない。2・3を試すも、4の条件下でないと分からない~
そんな訳で、ちゃんとしたところで実験することにした
しかし、振り子時計にとって、垂直水平はあまり関係はしないのを、別のこの下の写真の柱時計で知っていました~
この柱時計は右に5度くらい傾いていないと止まります
それを知らない家族が真っ直ぐに直さないように、左側に釘を打って適正な角度にしています
要は、振り子の(正確には、アンクルとガンギ車の音)、チックタク(左振れ)・チックタク(右振れ)の同じ音になれば良いのです
安定したところに下げてみても、機械の調整はせず、試行錯誤で音だけ聞いて適正な傾きを探りました
1分経過~
7分経過~10分経過~
20分経過~チックタク・チックタク~順調です~もう、大丈夫でしょう
すっかり、夕方になってきました今日はこれまで
翌朝、まだ動いていました
今回の柱時計も、右に5度くらい傾いているところが適正な角度の様です
ところが、問題がありました。
針を外して貰うと、今、何時なのか、針を取り付けるのに悩むのです。
ただし経験から、数取りカマが数取り車の何処にあるかで、おおよその時間は分かりますので、昨日のうちに合わせてはいました~しかし分針の軸はこのように□なので、確率は4分の1になります。
運良く、11時を打ち始めました。ボン・ボン・ボン~
筒状の時針軸(日の裏車)を11時付近に突っ込み、分針(筒車(短剣車))は、11時に近いところで□を合わせて、その時間まで止めて置きました
11時11分になって再起動です。
修理していて気になるのは、何というメーカーなのかです
内部の軸受け(上地板)に馬が大きな玉に前足を乗せている刻印があります。
内部の張り紙には、判別しにくいのですが、CLOCK-MAKERS HORSE MAREK (ホースマーク)とあり、AICHIKEN (愛知県)ともありました。
製造年月日や製造番号はみつけられませんでした
しかし、親に聞くと80年くらいは経っているそうです。
それが今、CITIZEN そして QUARTZの顔で生まれ変わったのです
市民の力だぜ
あとは、正確に時を刻むかですが、振り子の長さの調整も楽しみです
まあこれで、40年ぶりのボンボン時計の復活成功とします
これから、2台のボンボン時計の週1回のネジ巻き作業が待っています
※追伸:その後の調整で、時計を垂直でも動き、ピッタリと正確に刻むようになりました
また、汚れていた真鍮(しんちゅう)製のカバーを磨いて、ピカピカにしました。文字盤とすごくマッチします
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