2021年6月
さて、見かけの塗装関係は作業には関係ない事だけど、油圧シリンダーから作動油が漏れるのが使うたびに酷くなり、無視できなくなりました。
シリンダーのシールと呼ばれるリング部分から漏れており、配管を伝わって油の雫がやみません!
タイヤまでこのとおり、いつも濡れる状態となりました。
油圧シリンダーは、バケットを上下させるこの『ブームシリンダー』が左右2本。
バケットの角度を操作する、やや短いこの『バケットシリンダー』が左右2本あります。
さあ、やったことない油圧関係の修理~インターネットであちこちから情報入手して、事前の勉強をしていました。
ダメ元で、やらないと始まりません。
油圧のホースを緩めました。
自在ホースなので、2つのスパナが必須です。
緩んだとたん、作動油がボバッと出てきますので、桶を準備して溢れる作動油(廃油)を溜めます。
シリンダーの支持部分の大きなボルトナットを外したいのですが、固くてなかなか緩みませんでした。
ハンマーで衝撃を与えながら、緩めていきました。
撮影のたびに油まみれの手袋を脱ぎ、それでもベトベトの手なので、本当は撮影どころではありません。
2本のバケットシリンダーを外し終え、両脇のブームシリンダーに取り掛かったところで、手順が間違っていた事が判明しました。
バケットを地面に水平に下ろした状態で始めたために、ブームシリンダーは水平状態です。
ところが、写真右側のボルトナットは、運転席キャビンの鉄板枠と背中合わせになり、狭くてスパナ作業が出来ません。
この日は夕方にもなり、ここでストップしました。
次の週、エンジンをかけて、油圧ペダルを踏み間違えない様に注意をして、ブームシリンダーのみを上げて、スパナ作業が出来る角度にしました。
バケットは、ぶら~んとブラ下がっている状態です。
ブームシリンダー2本も無事に外せました。
7月
そうこうしているうちに、早くも7月となりました。
長いブームシリンダー2本と、短いバケットシリンダーです。
中に残る作動油がいつまでも漏れ出ます。
それに大筒みたいに重い事!
いよいよシリンダーヘッドを緩めて分解し、中のリングやシールを調べます。
が、一人では出来ないので、実家から職場の機械庫まで運び込み、同僚K先生の手伝いを得てヘッドを外しました。
ヘッドの対面する2つの穴にポンチを入れ、息を合わせて反時計回りにハンマーで叩くと少しずつ緩み始めました。
パイプレンチやウオーターポンププライヤーでヘッドを挟んで緩める方法もありますが、噛まれた痕が凸凹にひどく残るのを嫌がり、この方法でしました。そのために2つの穴が準備されているのです。
ヘッドが外れると、ピストンロッドを抜くことが出来ます。
黒い大きなゴムがワッシャー、黒い鉄の円筒がスペーサー、右側の濃いグレーがシール2枚はまっています。
これらにより、ピストンとシリンダー壁面の気密を保ち、高圧でも作動油が噴出さない仕組みです。
機械のK先生に、これらの気密性の性能を判断してもらいました。
これらには劣化は無く、実際に使っていてブームやバケットの自然降下はみられなかったので、交換の必要無しの判定を貰いました。
ピストンロッドの先についたピストンを外すのは力が要りました。
大きな万力に挟んで、約40ニュートンで締め付けてある先端のナットを緩めました。
やっとのことでピストンが外れました。
右側のピストンヘッドの黒いのが劣化したシールで、ボロボロです。
この奥にまたシールがありますが、それは大丈夫でした。
つまり交換が必要なのは、一番外側のピストンヘッドのシールのみで良いようです。
千枚通しで、変質癒着したシールを欠き出しました。
4カ所のシールは全部ボロボロで、原型無く崩れました。
これでは、漏れるわけです。
今度は、ピストンシリンダー全部を、灯油で綺麗に洗います。
ワイヤーブラシで、何時間もかけて隅々まで洗いました。
問題のシールは、ヘッドの窪みに埋め込む方法のため、窪みの汚れは歯ブラシを持ってきて綺麗にしました。
シリンダーの中の洗浄は、ペール缶に立てて、ポンプで灯油をかけ流しながら洗いました。
最後に、洗い桶に溜まった屑(金属粉・砂など)を見てビックリ!
作動油は油圧システムと、ミッションシステムと共有のため、金属屑もたくさん出ていました。
やはり作動油は定期に交換しないと、シールだけでなく、金属のミッションやシリンダー内壁にもキズを作ります。
2種のシリンダーで、規格も似ていますが、同じブームシリンダーでも左右ではボルトナット類にがミクロン単位で微妙に違います。
洗浄作業も、一本ずつ順番にやっていき、混じらない様に置きました。
交換のシールが来るまで放置ですが、埃やゴミが付かないように、広い紙やポスターで保護し保管しました。
分解の結果、本当に交換が必要なのは一番外側のシールのみで良いようです。
しかし、これからが一番時間がかかった、注文と部品入手の苦労が始まりでした。
部品注文は、正式な名称・部品番号が分からないと、見かけは同じでも、数ミリの違いがあり、使えないものを購入することになりかねません。
知り合いの業者さんから、TCM315のシリンダーの資料を取り寄せました。
◆ブームシリンダー
◆バケットシリンダー
ところが、一番外側のシールのみ(4個)で良いのに、全部がセットになった、シールキットでないと販売できないと、次の見積書が来ました。
部品だけで、71,720円。
また、もし作業を委託すれば、これに出張費、技術料、交換の作動油が加わり、10万円を超えると分かりました。
それは再任用の給料ではキツイ出費です。
ちなみにインターネットで調べてみましたが、やはり全てキット販売で価格は似たようなものでした。
インターネットの場合、本当にこれでフィットするのか?
1mmでもサイズが違うとはまらないし、ダダ洩れかもしれません。
経済的にその様な冒険は出来ないので、ボブキャットのホームページの問い合わせのサイトに、『必要なシールのみ4個の購入をしたい!』旨の記事を投稿しました。
すると、なんと翌日に携帯に直接電話がかかって来ました。
その要旨は、『お近くの、エム・エス・ケーに電話して、部品名:シール、部品番号 713-7771 があるか聞いてください。』との答えでした。
そこで、次のような手紙を書いてエム・エス・ケーに郵送しました。
エム・エス・ケー農業機械株式会社
西日本支社(熊本営業所) 御中
はじめまして、金光と申します。
古いボブキャット TCM 315を持っていますが、油圧シリンダーのヘッド部分からの作動油漏れがひどく、交換作業にかかりました。
シリンダー4本を分解して悪い部分を調べましたが、ヘッド部分のバケットシリンダーとブームシリンダーのワイパーシールを4個(同じ規格なので)のみがボロボロでした。
作業していてバケットの降下等は無く、他のワッシャー・シール・Oリング等は大丈夫でした。
そこでインターネットで探しましたが、全てキット販売で、余計なものも入っています。
必要なワイパーシールのみの購入が出来ないかと探しましたが、ノギスで図って、内径25mm・外径36mm・幅5mmと測定し、インターネットで各社の油圧シリンダー関係サイトから同じようなオイルシールを探しましたが、同じ大きさがなかなか見つかりません。特に大事な、最大圧力mpaの値が小さいので購入をためらっていました。
そこで先日、株式会社ボブキャット本社との電話で(青〇氏対応)、『お近くの、エム・エス・ケーに電話して、部品名:シールキット、部品番号 713-7771 があるか聞いてください。』との答えでした。
それはシールキットではなく、ワイパーシール4個のみの販売が出来るかをお尋ねします。
長々と失礼しましたが、よろしくお願いいたします。
氏名:金光剛助 フリガナ:カナミツコウスケ メールアドレス:*****@***
電話番号:090-****-**** 住所:熊本県******
数日後、エム・エス・ケーの○○さんから携帯に電話が入り、必要なシール4個のみの注文にも応じるという確認が出来ました。
さらに数日後、入荷されたと連絡が来て、取りに行くことに至りました。
次は、いよいよシールの交換作業です。
①電装関係のレストア
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2021年3月
2020年、夏、近所のNさんの親戚の農家から、10年くらい動いていないボブキャットTCM315の存在を教えてもらいました。
『修理出来るなら、タダであげるよ!』で、とある休日にバッテリーから七つ道具を積み込んでに飛んで行きました。
長い事動かしていないディーゼルエンジンの復活には苦労しました。
でも、幸いにその日のうちに無事に動くようになりました。
それまで人力でフォークやスコップで切り返し作業をしていた堆肥作りは、ボブキャトでの機械作業となりました。
定期の切り返し作業に、大量の有機物は土に戻っていきました。
4月
動きはするものの、TCM315は古い機種です。
あちこちにサビが目立っていました。
レストアしたいところはたくさんありましたが、先ずは見かけのサビ。
これはバックミラーです。
鏡の受けが錆びだらけでしたので、錆を取り綺麗にすることにしました。
普通なら油性ペンキ等で塗るのが簡単ですが、錆の浮き上がりが心配でした。
そこで、ビニルを炎で溶かし、ポトポト落ちる融解ビニルで全面被覆することにしました。
錆が浸食し穴あき箇所もありましたが、ドロドロビニルで埋め込みました。
次は、2つのライトです。
夜なべ作業をすることはおそらくありませんが、ここも錆の浸食が進んでいました。
ワイヤー回転ブラシでジャンジャン磨いて錆を落としました。
錆を落とした丸いレンズの縁金を黒のスプレーで塗装。
受けの黒球も綺麗になりました。
乾いた口金を取り付けて完成です。
5月
さて、今度はちょっと厄介なコントロールボックスです。
アルミ製のボックスですが、アルミには白い錆が吹いて、やはり凸凹の浸食が始まります。
見た目の綺麗さレストアではなく、照明が点かない(スイッチが錆びてビクとも動かない)、ホーンが何かの拍子に突然鳴り出し、近所の注目を浴びてしまう。
等の問題があり、配線も調べなければならなかったからです。
両端の、長いボルトの固定を外すのにも、車体下のナットが錆びていて困難極めました。
配線関係は複雑なために、『この赤線をこの白線へつなぐ』とか記憶しきれません。
完全に元に戻すためには、スマホのカメラで、要所ごと何枚も記録しての配線分解です。
全部ばらしました。
これらのネジ類、結線部分のサビ、腐食を全てサンドペーパーで綺麗に磨き掃除しました。
ボックスは、ひたすら錆と古い塗装を磨き落としました。
白のペンキを持たなかったので、赤のスプレーで塗装しました。
さて、照明が点かない原因のスイッチボックスのレストアです。
ともかくスイッチが錆びてビクとも動かない、引き出し押し込み式のスライドスイッチを直さないといけません。
金属爪をこじ開けて、中の様子が見えました。
三角3点の端子板が、陰極端子台に接触する仕組みですが、緑青(ロクショウ:銅のサビ)と変質グリスの膜で通電状態ではありませんでした。
それに、引き出し押し入れする軸が本体と錆びついて、5-56を吹き付けても、力ずくでもビクとも動きません。
時間はかかりますが、食酢と重曹による、浸漬錆び取りをしました。
その間は、畑仕事です。
半日くらい浸漬して、コンコンと衝撃を与えているとやっと動き始めました。
軸が引き出せたら、サンドペーパーで軸と軸受けを磨いて、浸漬した全部を綺麗に水洗いして酸を洗い流し、オイルを塗ってスムーズなスイッチングが出来るようになりました。
これだけで、丸一日かかりました。
今度は、各部の電極接続カプラーのリニューアルです。
プラスチック製カプラーは長く紫外線に晒されて可塑性を無くし、ポロポロと砕けるありさまです。
これでは雨水等の酸性雨の侵入で、電極の接触不良になります。
電極もカプラーも安いものです。
ヒューズ(30A)はもしもの配線ミスによる過電流で切れた場合を想定しての、予備買いです。
電極関係は面倒な作業ですが、ひとつずつ不安箇所を全て排除していくしかありません。
新品同様になりました。
左手の擦り傷は、回転するワイヤーブラシによる擦過傷で、こんなの毎度のことです。
自分の部屋にこもり、夜な夜なの結線作業です。
デジカメの映像を頼りに、1カ所も間違うことなく?
配線を組み立てました。
綺麗な真っ赤なコントロールボックスになりました。
結論を書いていませんが、後日取り付けてスイッチを入れると、無事にボブキャットは動き、照明も眩しく灯りました。
次は本命の、油圧シリンダーからの作動オイル漏れの修理を紹介します。
②油圧シリンダーの作動油漏れ
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