2023年4月
前編 の続きです。
4本の油圧シリンダーが外せましたので、いよいよシリンダーヘッドを外します。
前編で紹介の、手作りの治具【シリンダーヘッド外し】の出番です。
シリンダーの端を大きなバイス(万力)に挟んで固定し、緩めます。
が、硬い!
ボルトが変形するのではと心配するほど締まっていました。
限界を越したところで、キュッと緩みました。
シリンダーヘッドを緩めて引き出すと、長いロッドが出てきます。
このロッドに傷をつけたら終わりです。
(傷があると伸縮のたびにシールを削るようになる)
引き出しながらも、残っていた作動油がこぼれ始めます。
床には準備良く、洗い桶(バケット)を置いていて、汚さぬよう受けます。
4本のシリンダーのシリンダーヘッドを緩めて、長いロッドの引き出しが終わりました。
次は、ピストンをロッドに締め付けているナットを外します。
これは、非常に強く締めていましたが、その数値を忘れていました。
トルクレンチで緩む時の数値を見むと、 ネジの呼び径20mm で 締め付けトルク値は、約500N・M(ニュートンメーター)でした。
これは、締め付ける時も必要ですので、覚えておきました。
(写真は、撮影のため針は、0ゼロですが、500まで動きました)
ナットが外れて、ピストンヘッド、シリンダーヘッド、ロッドに分解できました。
4本の分解を終えて並べて、ちょっと休憩します。
いよいよ古いシールの交換です。
先ずは、シリンダーヘッドの奥の溝に入っているシールを交換しました。
引き出してみると古い方は、ひび割れて固く脆くなっていました。
これでは漏れるわけだ。
古いシールを取り除いても、奥の溝には割れた小さなクズが残っています。
ブラシと、パーツクリーナーで吹いて綺麗にしました。
新しいシールを奥の溝に入れるには、窮屈な空間に指で曲げながら爪で入れる要領ですが、文章・口では説明できません。
硬いけど金属のマイナスドライバーとかは絶対使えません。
それに、グリスを塗って入れるので、滑るし、撮影も出来ませんでした。
次に外から見える、濃いグリーンのシール(写真)で、これも硬いのですが、指が自由に使えるので割と楽でした。
次は、シリンダーヘッドの筒との密閉をする、白いワッシャーと、ゴムのOリングです。
これは割と簡単に交換できました。
写真は交換後で、Oリングが盛り上がっていますが、抜いた時にはぺったんこでした。
今度は、ピストンヘッドのシール交換です。
白いプラスチックみたいなリングは見た目ちゃんとしていましたが、交換します。
これが、爪もかからないピッタリ密着でしたので、仕方なく表面を割り取り外しました。
外してみると、その下にゴム製のOリングがあり、2重になっていました。
Oリングも見た目綺麗ですが、新しいものに交換します。
指も爪も入らないので、ラジオペンチで挟みました。
敷いている紙の上のリングを、この後に2重に嵌めました。
同じ写真を使っていますが、4本のピストンロッドに締め付けているナットを嵌めます。
トルクレンチで緩めた時の数値、締め付けトルク値の、約500N・M(ニュートンメーター)で、締め付けました。
(写真は、撮影のため針は、0ゼロですが、500まで締めました)
やっと、シリンダーとピストンの、シールやOリングの交換が終わりました。
古いプラスチック製のシールは、ほとんど可塑性がなく、脆くなっています。
ゴム製のOリングは、見た目綺麗ですが、硬く変質していました。
組み立てです。
バイスにシリンダーを挟み、ピストンを入れ、シリンダーヘッドを締めます。
再び手作り治具の出番です。
4本の油圧シリンダーが準備できました。
組み立ては、外すときの逆ですが、一つ注意することは、【グリスニップル】の向きです。
上下逆に取り付けると、グリスガンの先が突っ込めないと、後日気づく事になります。
ネジも袋で分別していたので、完全に元どうりに組み立て完了です。
今回みたいな工作作業には、この手作りの、ツールカート が活躍しました。
既に、ゴチャゴチャになってしまいました。
撮影、休憩のたびに、ベトベトの手を洗った、油汚れ落としパウダー です。
普通の石鹸は、濃厚油汚れには使えません。
この後、試運転です。
作動油がシリンダーの中に充満すると、順調に動き出しました。
めでたしめでたし。
おそらく、残りの人生、後にも油圧シールの交換をすることはないでしょうが、勉強になりました。
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