2023年10月・秋
実家の断捨離もしなければと、時間を見てゴソゴソしています。
親父が使っていたグラインダーが納屋の隅っこで地面に置いてあるのを見つけました。
いわゆる『双頭卓上電気グラインダー』で、ツールレスト(支持台)も安全カバー(砥石カバー)も付いています。
銘板は錆びていて、商品名が読めません。
全身が錆びだらけで、コンセントを突っ込んでスイッチを入れてみても、動きませんでした。
実家にはもう一台動くものがあるし、自宅にも双頭グラインダーはあります。
ビクとも動かないツールレスト(支持台)や、安全カバー(砥石カバー)のプラスの工具穴も錆で埋もれています。
『けっこう重たいし、金属ゴミで売れたら、少しはお金になるか?でも、いつの事か分からないなあ~。』
『見た目綺麗にレストアしたって、動かなければ意味がない。モーターのコイルが焼けていたらお手上げ。先ず使い物になるか確認して、ゴミか道具にするか決めよう!』
裏ブタ(底蓋)を開けてみました。
黒いビニルテープを捲ると、コンデンサーからスィッチに繋がれている赤い線が、テープと一緒に着いて来ました。
錆びた変質はんだが銅線を腐食させ、断線していました。
単なる断線なら簡単です。
さっそくはんだ付けをして、スイッチを入れてみました。
『グオ~ン~』と元気良くモーターが回転し、砥石も回りました。
次へのレストア確定です。
電装内部も綺麗に掃除して、手持ちの赤いビニルテープで電極を被膜しました。
コンデンサーを掃除して印刷で分かりました。
1969年製の部品ですから、その後のグラインダー組み込み。
私が10才以降頃の製品と分かりました。
動くと分かれば、後は綺麗に錆を落とす作業です。
ドリル(モーター)にフレキシブルシャフトを繋ぎ、回転ブラシを取り付けました。
舞い上がる錆粉末の吸い込み防止のマスクをします。
鋼線ワイヤーが高速回転中に折れると、凄いスピードで針が飛んできます。
失明防止のゴーグルは必携です。
安全策を講じて、ガンガンサビを落としました。
茶色の粉末が辺りに舞い上がります。
次はネジ類です。
ツールレスト(支持台)に使われている蝶ナットも固く錆びついていました。
無理に回すと蝶の羽は簡単に折れます。
パーツクリーナーを吹きかけコンコン叩いて浸透を待ち、やっと緩みました。
バイスに固定して、別のミニルーターに回転ブラシを取り付けました。
10個ほどの各部のネジ。そのネジ山・ネジ溝も綺麗に磨きました。
安全カバー(砥石カバー)のネジの工具穴はプラスですが、錆と埃でドライバーの先も入りません。
これに無理して突っ込み回すと、浅い突っ込みに駆動部の工具穴はいっぺんに崩れてしまいます。
ミニルーターにガラス工作用の尖頭グラインダーを付けて、プラスの工具穴を復元させます。
プラスの穴が見えたからと慌てて回すのは、まだ危ないです。
小さな鏨(タガネ)の先を、ネジ頭部の下のアゴに突っ込んで、360度コンコン叩いて一周します。
パーツクリーナーや、5-56を染み込ませ、またコンコン叩いてアゴから錆のにじみを確認します。
いよいよプラスドライバーを突っ込み緩めてみます。
反時計回りに、押さえる力6 対 回転の力4 位で捻じってみました。
緩みました。
安全カバー(砥石カバー)が外れると、これまた錆びついた、ナット・アウターフランジ・砥石が見えました。
その奥の、インナーフランジも固着しているはずです。
案の定、最初の固定ナットはスピンドル(回転軸)とアウターフランジに固着していて、難儀しました。
これも、パーツクリーナーや、5-56を染み込ませ、コンコン叩いて緩めました。
スピンドル(回転軸)にナット固定の場合、回転をロックするピンがあります。
これにもちゃんとありましたので、それを押し込んで軸の回転を止めて緩める作業です。
案の定、スピンドル(回転軸)にインナーフランジの固着は凄く、なかなか緩みません。
軸のネジ山・ネジ溝も磨きながら、5-56を染み込ませ、コンコン叩いてやっと緩みました。
あと、安全カバー(砥石カバー)の内側には、積年の削りクズが錆び固まって、溶接でもしたかのようです。
小さな鏨(タガネ)を使って、剥いでいきました。
これは、右側のツールレスト(支持台)は前後可動式のネジ調整タイプですが、全く動きません。
油作業となり、撮影不可となりましたが、全部ばらして動くようになりました。
左側のツールレスト(支持台)は、傾斜式でこれも分解掃除し動く様になりました。
やっと、ツールレスト(支持台)も安全カバー(砥石カバー)も分解掃除が出来ました。
2023年11月・秋
早くも11月となりました。
天気が良い土日で塗装をすることにしました。
錆び取りや掃除で、5-56等使ったので、塗料が乗る様に油分を拭き取りました。
ガソリンを染み込ませた布で塗装面を拭き上げました。
緑のペンキで、先ずは電装部と底蓋を先に塗りました。
次いで、安全カバー(砥石カバー)です。
さらに本体を塗ります。
2度塗りまでの間は、畑作業をしていました。
安全カバー(砥石カバー)は、注意喚起も兼ねて、赤のスプレーにしました。
次の日も天気が良く、完全に塗料は乾いていました。
組み立てです。
先ずは安全カバー(砥石カバー)を取り付け、インナーフランジナットを嵌めます。
そして、砥石・アウターフランジ・固定ナットの順でスピンドル(回転軸)に固定します。
同じ作業を左右して完成です。
完成~!
今、このクラスの双頭グラインダーは、1万円くらいかな?
まあ、親父の道具に命を吹き込めたのが良かったかな。
そして、おそらく自分の命より長く使える事でしょう。
『レストア』という作業には時間がかかります。
その労賃を比較にコスト計算をすると、おそらく時給・ペンキ・技術料計算だけでも2万円くらいになっているでしょう。
レストアの意義は、お金だけでは無いのです。
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