2015年11月29日
親はシイタケ栽培をやっていましたが、今は高齢となりやめてしまいました。
その作業は、子どもの頃からやってましたが、もう40年以上も昔の事~
しっかりした技術を今のうちと、自分の定年を見越して、『原木シイタケ新規参入者研修会(全4回講座)』に参加して勉強です!
研修は毎月1回の日曜で、今日は2回目の現地研修です。
※このブログは、聴き取りメモを、自分自身の防備録としてまとめましたので、間違いな内容があるかもしれません!
そこはあしからず!
午前9時、集合場所の、道の駅旭志(きょくし)でバスに乗り込み、菊池市原(ハル)までひた走り~中村F さんのホダ場で講習を受けました。
中村さんは、にく丸・ゆう次郎品種の秋春出し種駒40万個、乾しシイタケ3.5トン、生シイタケ2.7トンのシイタケ専業で、毎年の県品評会で上位入賞しておられる研究家と紹介されました。
●一般的なホダ場は、杉檜(スギヒノキ)の林内(リンナイ)ホダ場が多いのですが、写真のように樫(カシ)の木の人工林を6年かけて育成し、環境づくりをしたとのこと。
●シイタケの芽だし(シイタケの赤ちゃんが現れる事)の環境には、6乾4湿が適当であり、杉檜林では暗すぎて乾きにくいとの事。
●明るめの環境が乾き易い~しかし、湿りの操作ができるスプリンクラーの設置をすれば、理想的な芽だしを操作できるとのことで、右側の黒いパイプの立ち上がりが、ポータブルシャワー(散水直径10m・毎分2リットル・圧力0.2MPa時)が、全面積に完備されていました。
●シイタケは、適期に収穫しないと、出荷規格で大きく差が付いてきます。
左は香信(コウシン)ランク:上、小葉。右は、香信(コウシン)ランク:並、中葉 でしょうか?
●収穫作業が追いつかないと、並の大葉や、開いた縁が割れる バレ葉 、規格外と劣化していきます。
●菌を打ったほだ木の寿命や生産性は、多湿を好む害菌(ダイダイタケ・ゴムタケ・トリコデルマ菌)や、乾燥環境を好む(シトネタケ・ニマイガワ・スエヒロタケ)等の発生にも左右されるから難しい。
●これは玉切り(原木を1.2m位に切り出す事)時に、いかに理想的な水分まで乾燥出来るかにも関係している。乾いていないと害菌が着きやすい。
●また、梅雨時期以降も仮伏せを続けると、高温多湿で害菌が増えてしまう。
次に、檜の林間ホダ場を見学しました。
ここも、山からの導水で、潅水設備が完備されていました。
ホダ場として収穫を続けて3年目、既にホダ木は寿命を迎えていました。
そしてちょうど今、古いホダ木を搬出し、新しいホダ木への(ホダ起こし)入れ替え作業中でした。
●このビニールを被せる骨組みは、『雨子(アマゴ)防止』のための施設です。
●商品名は、『太るんデス』
●冬場の保温と、乾燥防止の保湿効果もある。
●収穫時期に雨に祟られたりすると、水分過多のシイタケ(雨子)となる。
●収穫後の品質も落ちやすく(半額以下)、またその乾燥のためには多大な燃料を使う事になる。(所得率ますます低下)
だから、ビニール被覆をして防止をするのです。
これが、ホダ起こし作業で、軽トラック一杯に積んだホダ木を、積んでこられました。
直径の大きなホダ木は15~20キロにもなります。
中村さんを視察対応をさせているので、奥さん一人で運んで来ては、降ろされていました。
道路脇に降ろされて、ホダ場に並べられるのを待つ大量のホダ木です。
木口や欠けた樹皮からシイタケ菌糸が白く見えます。
十分に菌糸が回っている証拠です。
ご両親が、孟宗竹を半割にし、『合掌型ホダ木の支え木』を作っているところです。
次の写真の様な ”突っ張り” です。
普通は有刺鉄線等を張って、それに支えられますが、ここではホダ木だけでした。
この1本の”突っ張り”の重要性は見ただけで分かります。
さらに中村さんのホダ場での驚きは、この『泥跳ね防止敷き笹』です。
笹の群生地から大量の笹を刈り取ってきて、ホダ木を並べる前に、地面に敷き詰められていました。
雨後のシイタケの泥汚れも防止されると共に、ホダ木に土中雑菌が飛沫感染する防止にもなっています。
笹の絨毯の上で、綺麗にスクスクと育ち始めています。
敷き笹の寿命?耐用年数はわかりませんが、ホダ木は3年ですので、3年使えたら良い事になります。
左のシイタケが品質では良いとされます。傘の縁がまだ菌体の膜で包まれており、縁が見えません。右は、網の菌体が消滅し、縁が見えています。
乾燥シイタケの品柄の分類には、『どんこ』『こうしん』に分けられますが~
●どんこは、傘の肉が厚く、縁は強く内側に巻き込み、全体が丸みを帯びて、傘が七分開きにならない内に収穫した物です。
●こうしんは、それより開いてしまったもので、傘の肉が薄く、巻き込みが浅く扁平な形をした物です。
下の写真は、どんこ になります。
重たいホダ木を運ぶのに欠かせない『運搬車』70~90万円します。
一同、山から降りてきて、今度は中村さんの出荷作業の説明を聴いています。
中村夫婦が手を乗せているのが、生シイタケの出荷に使う『1kg箱』@35円です。
トレーに詰める場合は、大きさにより4~6個をラップします。
『『石突き』の木くずを取ったり、ナイフで足を綺麗に切ったりしなくて良いのか?』と聞いたら、『目立つような大きな木くず(原木樹皮)は取るが、最低限しかしない。足を切ると、そこから直ぐに痛み出すので、刃を入れるのは厳禁!』とのことでした。
また、『足を捨てる人が多いが、足が美味しい(栄養価が高い)~』との事。
そう言えば五木村の猿害では、傘をポキッと捨てて、足の部分だけを食べていたから、本当かも。
シイタケ乾燥のテクニックを聞いたが難しすぎて、一度聞いても良く分からない~ともかく何でもメモ。
『20時間乾燥し、さらに24時間の仕上げ乾燥~急激な高温乾燥は色が悪くなる~雨子は低めで長く~目安は外気温+15度で、長時間芯・石突きまで良く乾燥する事。13%。未乾だと戻りが出て褐色に変色し、品質が落ちる。』
乾燥機や冷蔵庫の導入には、各種の補助金がある~これは10年前に導入された、えびら(乾燥のため並べるプラスチック製の平たいトレイ)60枚が入るタイプ~約160万円。
他にも冷蔵庫がありました。
『冷蔵庫は、保存すると言うよりも、シイタケの縁が開くのを止めるのが目的・0~2度設定で、21日間は大丈夫・でも氷らせたらダメ・収穫前のホダ木ではカチンカチンに氷っても自然解凍すれば綺麗なシイタケだが、(ホダ木から)外して(収穫)冷蔵庫に氷らせてしまったら、売り物にならない程劣化する』
これは、乾燥シイタケの選別に使うフルイで、@3000円
1枚だけ使うのではなく、こうして重ねてたところに大小の乾燥シイタケを入れて篩い、小さい物を順次下に落としていく。
昼食の後は、大津町・矢護川・瀬田裏原野?地区牧野(ボクヤ)組合に来ました。
こんなバスに乗っての研修です。
53ヘクタールのなだらかな牧野は、熊本市が使う地下水の涵養地ともなっており、約20ヘクタールがこの様なクヌギ林となっています。
立派な道路もあり、平坦なクヌギ林は、羨ましい程です。
ここでは、種駒30万個、乾しシイタケ1トン、生シイタケ7トンを生産する、シイタケ専業の石原H氏にお出でいただきました。
石原氏も、毎年の県品評会で上位入賞しておられる方で、原木の伐採と葉枯らし、原木の伏せ込み方法の実際を学びました。
石原氏の説明
『今年は、11月6日に伐りましたが、今年の伐採時期の判断は難しかった・台風15号のせいと、その後の暖冬で、紅葉しない状態だった・葉枯らしはこの様に葉が着いている内に伐らねばなりません・葉の蒸散で、芯まで水分が抜けやすくなるためです・遅れて落葉後に伐採すると、芯まで乾きにくく、シイタケ菌がまわりにくいホダ木になります。毎年何月何日という事はない。その年の天候や気温、紅葉具合を見て判断します。ホダ木はクヌギ1本500円です。道便利が悪い所は安くなります。昔は2000円した時もありました。』
伐採の仕方~
『倒す方向をしっかり決めないと、事故の元です・先ずこの様に倒したい方向にくさび形に切り込みを入れ△クサビを抜き取り・その反対側の少し上からやや斜め下に切り抜きます・そうすると△クサビを抜き取った方向にしか倒れません・ただ、枝の張りには注意し、回転したりするのに巻き込まれないよう・作業仲間を巻き込まない様注意します。』
『クヌギは、倒しても元の株から、萌芽してきます・幹から何本も立ちますので、秋までには2~3本に整理し・台風やカミキリムシ等の被害に保険的に残しながら、出来るだけ早く1本に絞り込み間引きします。放任はダメです。』
玉切り・の仕方~
『玉切りは、約1.2mで、竹尺を使って切りそろえます。時期は、1月上旬頃から仕掛かりますが、今年は12月中旬から予定しています。倒木どうし木が重なっているので、上の木から順に切り、手首位の径まで取っています。枝は笠木に使いますので、運びやすい長さに切っておきます。玉切り、駒打ち、仮伏せ込みは一連の流れ作業になるので、ホダ起こし作業を考えて、道便利の良い道路脇に寄せて置きます。植菌(駒打ち)は、2月上旬から4月いっぱい・梅の開花から桜の開花時期と言われますが、量が多いので、幅は広がります。早すぎると低温すぎて菌糸が伸びないし、5月とか遅くなるとシイタケ菌より、害菌が早く伸びますので、適期は大事です。』
道路脇に、仮伏せ・夏に組んだ本伏せが何ヶ所もありました。クヌギの枝を使って、笠木としてあります。
この組み方は、鳥居を倒したような形の『鳥居伏せ』です。
手前から向こうに敷いてあるのが、枕木になります。枕木には大きな径を使い、隙間を空ける事がポイントだそうです。小さな枕木だと、風通しが悪く、湿度がこもり、害菌の発生が多いとのこと。
また、春から梅雨にかけて草が生い茂ると風通しが悪くなるので、草刈りも必要。
樹皮を捲って、菌の周り具合を見せてくれました。
樹皮の下を、白~クリーム色の菌糸が覆っています。
また、小径には、『ハラアカコブカミキリ』
の食害も増えているそうです。
森産業(株)の森竹所長が、ホダ場でのホダ木の組み方を教えてくれました。
『ホダ木は幹の木口(コグチ:切り口の事)が大きい方が、根の方で何も知らないと(素人は)ホダ木を合掌とかに組む時、径の大きい方を下にしがちです。でも、そうではなく、上に大きな方を向けます。これは、収穫期の後の休養期に『ホダ木の天地返し(上下反転)』や『ホダ回し(表裏反転)』をしますが、上の重なりが小径だと、反転した時に、だんだん広がってきて、ホダ木全体の列の長さまで長くなってきます。後で広げる(列の長さを)のはどうしようもない事態となります。ちょっとした事ですが、これは大事です。』
なるほど!
今日の現地研修は勉強になりました。
お忙しい中に視察対応していただいた、中村さん・石原さん、ありがとうございました。
お世話いただいた、林業研究所や森産業(株)・椎茸農協のみなさん、ありがとうございました。
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