2016年11月
年末を控えて、職場で不要品の整理がされた。
その時出てきたのが、昭和53年購入(38年前)のシールがある壊れた裁断機(ペーパーカッター)。
『コレダッ!鋼鉄製!これ使える!これで青龍刀みたいなナタを作ろう!』
ネジを外して、さっそく頂いた。
支点の穴はカットしなければならないが、刃渡り45cmは確保できる。
帰宅後さっそく、ディスクカッターで穴の所で斜めに切断した。
グラインダーで、面取り。
2017年1月7日
母親の葬儀もあって中断していたが、再開のため買い物。
鍛造作業のために、ブロワー・ヤットコ・ハンマー・木炭~計10,000円なり!
バーベキュー用のコンロに炭を熾し、ブロワーの風を吹きかけ、バンバン熱していく。
(いつになったら、叩き時?)
炭は、黒炭で酸素加給燃焼時(ふいごでの送風) 900~1200度まで上昇させることが出来る。
(放置時の普通燃焼時は、700~900度)目で火を見て白っぽいなら1000度位と判断している。
でも幾ら熱しても、鉄材を白っぽくまで焼くのはままならない。
コントラストだろうが、昼間では黒っぽく見える。
果たして、鉄材が1000度になっているかは分からないが、判別法として、焼けた鉄材を炭に押し当てて、その部分の炭の色に変化があるかで判断している。
つまり、太陽の黒点が黒っぽく見えるのは、周りより温度が低いからなので、 焼けた鉄材を炭に押し当てて、その部分が黒っぽくなれば、鉄の温度は炭の1000度よりも低い~変化がなければ鉄の温度も1000度になっているハズ・・で判断している。
試しに鉄材を炭に押し当てて見る~炭の色は変わらない~で、さっと取り出し、叩く!
鍛冶屋さんみたいな専門の鉄床は持たないので、これは耕耘機の前に取り付けるウェイト(バランス取りの重り)を磨いて滑らかにしたマイ鉄床。
倒れないように、木枠で囲み、動かないように木枠を足で踏みつける作り。
叩たき出すと、直ぐに冷め始めるので、目的の整形のためには、何度も何度も焼きと鍛造を繰り返す。
それも本気で?力一杯振り下ろさないと、焼けた鉄といえどもなかなか伸びない。
1キロはあるハンマーを300回ほど、振るうと、もう終いには腕が上がらなくなる。
(鍛冶屋さんみたいに、鍛造自動ハンマーがあればなあ~鉄を鍛えるより、自分の腕を鍛えるのが先だ~)と何度も思った。
それに、最初は左手で持っていた鉄材が段々と熱くなり、ヤットコの出番となったが、鉄床が狭いのと、長モノなので、『ビーン・ビーン』と跳ね返りの衝撃が来るのにはまいった。
寒風が吹く駐車場での作業なのに、額に、背中に汗が流れる。
それに、裁断機(ペーパーカッター)の刃には、紙の離れが良いように、出刃包丁と同じように、裏すき(裏の窪み凹部分)がある。
平たい板金でも伸ばすのに大変なのに、この窪みを平面に均しながら、刃面を伸ばしていくのには、苦労した。
刃面だけを薄くなるように伸ばしていくので、余った金属は伸びるから、自ずと湾曲した反りが出来ていく。
半分でこの反りだから、全部なら相当の湾曲になることが予想できた。
2時間ほどで、腕の力が出なくなり、鉄も伸びなくなったので、半分の整形で今日は終わりにした。
2017年1月14日
前回からの1週間は、仕事は真面目にしながらも、『長モノの焼きのためのフイゴと竃』の問題解決を考えていた。
そして見つけたのが、鉄パイプ!
これにドリルで穴を間隔を持って空けて、均等に風を吹き出す様に加工した。
竃は煉瓦を並べて、狭い溝に鉄パイプのフイゴを敷いて、炭を乗せることにした。
ブロワーを吹かせると、素晴らしく均等な焼きが出来るようになった。
前回の反対側から焼いていく。
鉄パイプにブロワーを突っ込んでいるので、手元のスイッチ操作だけで良く、右手が自由になり楽になった。
(それまでは、右手でブロワーを持って、上から吹きかけて火力を増していたが、一箇所集中で炭の拭き飛ばしも多かった)
鍛造の伸ばしの叩きに一生懸命になっていると、曲がりまで気が回らなかった。
右に曲がっている。
また焼いて、曲がりを矯正したが、金床が狭いのでそう簡単ではなかった。
一応、目的の長さと形になった。
(黒いのは、酸化皮膜)
ここで、ざっくりとグラインダーで刃面の荒削りをした。
刃面を削ると、それなりの形になっていった。
でも、刃先の厚みは、1mm程もあり、全然切れない。
これから、『焼き入れ』の準備として、刀身全体の平面化の研ぎをしておく工程。
鍛造で力任せに叩いて伸ばしているので、上の写真の様にハンマーの面の形がアチコチに凸凹を作っている。
焼き入れしてしまうと、固くなって研ぎに苦労するので、今の内に平面に研いでおく工程。
粗砥で延々と研ぎ続ける~1回往復が数ミクロン単位で、鉄を削っていく繰り返し~午前中3時間くらい延々と粗砥を続けた。
気分的に滅入るので、時々研ぎ方も変えて、縦横方向にまんべんなく研ぐ・・・研ぐ・・・ひたすら研ぐ・・・・砥石も減り形も変わってくる。
粗砥工程のきつさで中途で省略し、中砥へ進んでも、どっちみちやり直しになる事は、これまで何度も経験してきた。
師匠から『ま~た、樂しようと考えとっど?なんやコラ!ここのキズ、ここの凸凹!粗砥からまた、やり直し!』とゲキが飛んできそうだ。
午後になり、『師匠、もう中砥に進んでも良いでしょうか?』
師匠:『どう!見せてみ!う~ん、良かろう!』ってな独り言いって、中砥へ。
あれだけ叩いて、凸凹だった刀身全体が、平面になって行く。
酸化皮膜も研ぎ落とし、日本刀みたいな輝きになった。
~そして仕上げ砥に進んでいった。
仕上げ砥は、なんとも引っかかり(抵抗)が少なく、舐めるような感覚なので、あまり研ぎ感覚は面白くない。
しかし、だんだんと鏡面みたいに光り出すのは、素晴らしい感覚だ。
研ぎは鎬(シノギ)面を中心に研いだ。
平面なら自分の顔が綺麗に映る鏡状態になる。
鎬(シノギ)面を中心に研いだのは、この後の『焼き入れ』をしても、酸化皮膜を残した仕上がりにするため。
一方、刃先はまだ刃をつけておらず、焼き入れの後の渾身の研ぎが待っているので、今はこれで十分とした。
早く『焼き入れ』をして、仕上げたい!
手作りナタ②(焼き入れ・仕上げ編)
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