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全集発刊後に更に見つかった初期短編集「題未定」。読むのが勿体無くて最近まで温存していた。決心してようやく項を繰り始めた。しかしこれが思いの外進まない。告白すると安部作品はこの35年間、手持ちの文庫本に至っては終わりなき再読を繰り返している。ただ、処女長編「終わりし道の標べに」だけは一度読んだきり再読はなかった。そして「題未定」もこの頃の作品集となる。ちょっとつらいのだ。そこで浮気して沢木耕太郎の二冊目に逃避。短編のエッセイでサクサク読み進む。空港で走る話などはこちらも何度か経験あるだけに笑えない。ただ、困ったことにこの作家の本は読んだ後からその内容が霧散してしまう。これはどうしたことだろう。同じエッセイでも開高さんのような重みというか気づきや学びがないように感じる。まあ好みの問題だとは思いますが。
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