この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

実写化作品は原作に忠実であるべし。

2024-02-03 20:17:54 | 戯言
 漫画家の芦原妃名子さんが自殺された件はまだ尾を引きそうですね。
 それだけ根が深い問題だということでしょう。

 芦原さんは『セクシー田中さん』ドラマ化に際し、「必ず漫画に忠実に」という条件を出したそうです。
 正直、自分はそれってどうなのかって思いますね。
 まず、二次元の作品を三次元に起こすとすればどうしたって忠実でない部分が生じるはずです。
 現在公開中の映画『ゴールデンカムイ』は世評もよく、自分も面白いと思いましたが、100%原作に忠実化というとそういうわけでもないようです。
 ヒロインの少女アシㇼパは原作では10代前半という設定ですが、映画では23歳の山田杏奈が演じています。
 もし実写化作品は原作に忠実でなければいけないというなら、アシㇼパはもっと若い女優が演じなければいけないはずです。
 三次元に起こすときに忠実でない部分が生じる件は置いておくとしても、忠実であるかどうかの判断は誰がするのでしょうか。
 100人が見て、そのうち50人以上が原作に忠実だと判断すれば、その実写化作品は原作に忠実だと言えるのか。 
 もしくは100人のうち99人が忠実でないと判断しても原作者一人が忠実であると認めたら、その実写化作品は原作に忠実なのか。
 原作に忠実であるかどうかの基準はあまりに曖昧です。
 実写化作品においては原作、及び原作者へのリスペクトが不可欠だ、といった事柄も同様に基準は曖昧です。
 リスペクトしているかどうかは誰が、どこで判断すればよいのでしょうか。
 読心術でもない限り、リスペクトしているかどうかなんて誰にもわからないことだと思いますが。

 断っておきますが、自分は何も実写化作品は原作に忠実である必要はないと言っているわけではありません。
 また、原作、及び原作者へのリスペクトは不要だとも言っていません。
 自分はドラマ化の契約に際し、基準が曖昧なものは避け、具体的でわかりやすいものでないといけないと言っているのです。

 芦原さんはドラマ制作のスタート後、「性被害未遂・アフターピル・男性の生きづらさ」など作品の核となる部分がドラマで描かれていない理由についてプロデューサーに訊ねたが、納得のいく返事はもらえなかったそうです。
 自分が作品で訴えたいことが描かれていなかったら、その理由を尋ねたいと思うのは当然です。
 ただそれは、ドラマ制作がスタートする前に訊くべきことだったのではないでしょうか。
 ドラマの中でアフターピルのエピソードがきちんと描かれるのか、事前に訊いていたら、このように問題がこじれることはなかったと思います。

 漫画が実写化される際、原作者の権利は非常に弱いと聞きます。
 でもそれはおかしな話です。
 どのような漫画であれ、原作者がゴーサインを出さなければ実写化はされないはずですから。
 原作者は自作の実写化においてもっと強い態度で臨んでよいと思います。
 そのためにはきちんとした契約書が必要ですよね。
 その契約書には曖昧な基準、曖昧な表現は避け、出来るだけ具体的に、こと細かく条件を提示するべきでしょう。
 そうすることで原作者と制作サイドが対等な関係になり、より良い作品が生み出せるものと自分は信じています。
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