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博物館浴(上野の森美術館 「怖い絵展」)

2017-11-21 21:16:09 | 博物館・美術館
 上野の森美術館では、12月17日まで「怖い絵展」が開催されている。




 情報によれば、待ち時間○○分など、人気があるようだ。小生も、100分待ち、前売り券も買っていたことから、並んだ。ただ、「鳥獣戯画」や「若沖展」の思いをすれば、全然問題はない。で、並んだ。100分まで掛からなかったが、当日は、非常に低温の世界、ちょっと鼻水が出てしまった。

 第1章は「神話と聖書」、ギリシャ・ローマ神話や聖書で語られる物語は、必ずしも幸福なものばかりではなく、人間に苦難を強いたり、悲劇的な結末を迎えるものも少なくない。神話や宗教は、本質的に人間には抗うことのできない超越的な力や摂理を抽出するものだからである。ここでは、神の意志や気まぐれに翻弄される人間の悲喜劇を描いた絵画が紹介されている。

 第2章は「悪魔、地獄、怪物」、ヨーロッパのキリスト教世界では、人間を堕落させ悪の道へと誘う者として悪魔という存在が長きに亘って想像されてきた。また、人間が生前犯した罪の報いを受ける死後の世界として、地獄のイメージが伝統的に培われてきた。ここでは、近代にまで命脈を保った悪魔や地獄のイメージや、それに近接する怪物の主題を描いた作品を取り上げられている。

 第3章は「異界と幻視」、人は、自らの日常生活の外にそれとは違う論理に支配された異界というべき空間を想像してきた。また、とりわけロマン主義以降の美術では、異界が時として日常生活の狭間や我々自身の内面に発生する様子を幻視するかのような作品が数多く生み出された。ここでは、我々の住む世界の自明性を脅かすさまざまな異界の表現を紹介されている。

 第4章は「現実」、人間が生きる現実は、様々な恐怖と苦悩に満ち満ちている。なかでも最大にして最も普遍的な恐怖は死である。死は、それに近接する老いや病気、あるいは犯罪や戦争などの死を発生させる事象とともに、画家たちにとって重要な主題であった。また現実の世界には、一見無害に見える社会的な習俗にも様々な悪弊や不条理が潜んでいる。ここでは、死の場面を中心に、現実の中に存在するいくつもの闇を描いた絵画に焦点を当てている。

 第5章は「崇高の風景」、18世紀から19世紀にかけてのロマン主義時代、風景画は新たな発展を遂げることとなった。歴史画の背景として発達した理想的風景や特定の場所のありのままの姿を描写する地誌的風景に加え、なんらかの感情や気分を暗示的に表現する主情的・主観的な風景画が生み出されたのである。ここでは、「崇高」の美学を反映した作例を取り上げ、その背後に隠された不安や恐怖の感情を読み解いている。

 第6章は「歴史」、人間の歴史は、激しい権力闘争の歴史でもある。ヨーロッパにおいてもそれは例外ではなく、一度は栄華を誇った者であっても、ひとたび争いに敗れてしまえば無慈悲な運命が待ち受けていた。ここでは、歴史を彩る悲劇的なエピソードや運命に翻弄された人々の姿を描いた作品を特集している。

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