最近、エッチの話ばかり書いていたので、たまにはやらない話を書こうと思いまして。
R18にならない程度にイチャイチャさせよう第2弾。……キスぐらいはしてもいいんだよね?ね??
登場人物
渋谷慶 ……26歳。研修医。身長164cm。天使のような美形。でも性格は男らしい。
桜井浩介……26歳。高校教師。身長177cm。ごくごく普通。
二人は高校時代からの親友兼恋人同士。
慶は勤務している病院の社員寮で、浩介は以前から住んでいるアパートで一人暮らし中。
慶さん、とっても忙しいので、会えない日々が続いております。
そんなある日の話。浩介視点で。
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約二週間ぶりに見る慶は、何だかとてもやつれていた。それで余計に色っぽくなってるあたり、さすがというかなんというか……。そこらの茂みに連れ込んで襲いたくなってしまう。
でも、連日仕事場に泊まりこんでいる恋人にそんな仕打ちをするわけにはいかないので、本能を理性で押し止める。おれももう26歳。さすがにそのくらいの自制はききます。
「慶、すっごい疲れた顔してるよ。大丈夫?」
「ああ、何とかな……あーうめー」
おれが作ってきた弁当を食べながら、慶が絞り出すように言った。
今朝、数日ぶりに電話がかかってきたと思ったら、開口一番「お前の作った飯が食いてえ」と言ってきた慶。帰って食べる時間はないというので、お弁当を作って持ってきたのだ。これまでずっと食堂のご飯と売店の弁当だったそうで……。
ついでに合鍵を使って慶の部屋に行き、着替えも持ってきた。入れ替わりに汚れ物を持ち帰って洗濯しておくよ、と言ったのだが……
「洗濯物これだけ? 少ないね」
「あー、1回コインランドリーいった」
「言ってくれたら取りにきたのに」
「んー次からは頼む。まあこんなに何日も帰れないなんてことはもう勘弁してほしいけどな」
もぐもぐもぐもぐ……一生懸命食べてる慶、たまらなくかわいい……。
ここは慶の勤務する病院の一角。背もたれのない二人掛けのベンチがある。行き止まりと錯覚する茂みの奥にあるため、めったに人はこないそうで、おれに電話をかけるときなどはいつもここを利用しているらしい。
慶は、ふと思い出したように、あ、と言った。
「先週もサンキューな。留守中うち掃除してくれて」
「あ、うん。メールありがとね。気にしなくて良かったのに」
「いや、あれは本当に感動して泣きそうになった。散らかった部屋に帰るのやだな~と思いながら帰ってきたら、全部きれいになってて、おまけにシーツまで洗ってくれてて」
「いや…………」
後ろめたさから口ごもってしまう。
時々、慶がいない時に部屋に行って掃除することがあるのだが、先週は片付け魔の慶にしては珍しく、使った食器もそのままで、寝坊したのか布団も起き抜けの状態でグチャグチャで………。そのグチャグチャ具合にそそられ、誘惑に負けてその布団で慶の匂いを感じながら会えない寂しさを自分で慰めていたら、うっかり汚してしまい、シーツも布団カバーも洗濯することになった……なんてこと絶対に言えない……。
「あーうまかったー……」
「良かった。夜の分も作ってきたから食べてね」
「おーサンキュー助かるー」
「…………」
ペットボトルのお茶をごくごくと飲む慶の白い喉に釘づけになってしまう。でも我慢我慢……。
無心で弁当箱をしまってふり向くと、慶が眠そうに目をこすっていた。
「なんか眠くなってきた……」
「お腹いっぱいになると眠くなるよね」
「んー………今何時だ?」
「!」
いきなり時計をしている左手首を掴まれドキッとする。眠さで目が半分しか開いていない慶がおれの腕時計をじっと見て、
「うーん……あと10分、15分ってとこか」
「戻る?」
「んー寝る。10分したら起こしてくれ」
「え……」
慶、おれの左手首を掴んだまま、もぞもぞと上半身だけ横になり、おれの腿の上に耳をつけて頭を預けてきた。膝枕、だ。そのままおれの左手を口元に抱え込んでぎゅっと握っている。慶の細くて繊細な手。柔らかくてそれでいて弾力のある唇。左手に触れている部分が熱くなってきて平常心を保てなくなりそうだ。
でも、数秒で眠りに落ちた慶の規則的な寝息を聞いていたら、そんな邪な思いは奥の方に引っ込んだ。
「慶……」
反対の手でそっとその柔らかい髪をなでる。
美しい横顔。まるで絵画のようだ。木漏れ日の中の天使………。
おれの腕の中で安心したように眠っている愛しい人。おれだけの天使………。
このまま時が止まればいいのに……
そんな願いも虚しく、寝顔に見とれていたらすぐに10分なんて過ぎてしまった。よく寝ているところかわいそうだけれど、その白い頬を優しくさする。
「慶、慶。10分たったよ」
「んー…………」
ぼんやりと目を開く慶。
「即寝だったな……でもちょっとスッキリした……と、あ、ごめん」
「え?」
起き上がった慶がゴソゴソとポケットから何か出そうとしてる。
「あ」
で、気が付いた。慶が抱えていたおれの左手に、透明な滴。
「わりい。よだれたれて……、わーーーー!お前何してんだよ!!」
「え」
ほとんど無意識に、そのよだれをペロリと舐めたら、わーーっと慶が真っ赤になって叫んだ。
「バカかお前はーー!汚ねーだろー!!」
「別に汚くないし……」
「バカバカバカッ拭けっ」
「え、やだ」
「お前ーーー!!」
面白い。慶。真っ赤になってバタバタしてる。かわいい。
「ホントにお前、年々変態度が増してるぞっ」
「変態度って」
シーツを汚した件を思い出してグッと詰まると、無理やり左手を掴まれハンカチでゴシゴシと拭かれてしまった。
「あーあ……」
「あーあ、じゃねえよ。変態」
「えー」
眉間にしわを寄せた慶に、ぶーっとふくれてみせる。
「だってー……もう2週間もキスもしてないんだから、唾液くらい」
「唾液言うな!恥ずかしいっ」
ったくしょうがねえ奴だなあ……と、慶はブツブツブツブツ言うと、立ち上がり、茂みの向こうを確認してから、こちらを振り返った。
「一分だけだからな」
「え」
慶の細い指がおれの頬を包みこんだ。ゆっくりと唇がおりてくる。
「…………あ」
ビクリと震えてしまう。二週間ぶりの唇。記憶していたよりもずっと柔らかくておいしい…………。
「慶…………」
腰を抱くと、慶がおれにまたがってきた。胯間が重なりゾクリとなる。慶、大きくなってる……。
侵入してきた慶の舌に舌を絡める。伝ってきた唾液を飲み込む。あんな一滴のよだれどころじゃない。
慶の腰がゆっくりと動き、股間が服越しに擦り合わさる。
「やべえな」
キスの合間にポツリと慶がつぶやいた。
「止まんねえ」
「んん……」
慶の唇、もっと欲しい。止まらない、止まらない。止まらない……、と、思ったのに………。
「………あ」
ふいに慶がおれからおりて立ちあがった。慶のポケットの携帯がブルブルいってる……。
「……はい。はい。すぐに戻ります」
「………」
電話を切った慶と顔を見合わせる。慶がごめんというように手を挙げた。うん。しょうがないよ、慶……。
「お前、明日早い?」
「ううん。いつも通り」
「そしたらさ、あ、でもな………」
慶が言い淀んだ。……大丈夫。その言葉の続きを継いであげる。
「明日の朝、慶の部屋から出勤できるように準備して泊まりにいくね。もし、帰ってこられなかったら、それはそれでいいから」
「…………ああ」
立っている慶を見上げて言うと、慶がホッとしたように肯いた。
「ごめんな」
「ううん。全然大丈夫」
「………」
「………慶?」
いきなり頭をかき抱かれ、ドキリとする。耳元で慶の優しい声がする。
「会いたかった」
「………うん」
「会えて嬉しかった」
「うん」
伝わってくる慶の体温……。
「弁当うまかった」
「うん」
「なんとか時間作って帰るから」
「うん」
「そしたら続きしような」
「うん」
ああ、おれは愛されてる……。
慶の腕の中……幸せでとろけそうになる。
慶は新しい着替えと夕飯の弁当の入った紙袋を持つと、
「じゃあ、これサンキューな」
「ん」
幸福感でいっぱいでベンチから立ち上がれないおれに、とどめをさすように額にキスをくれてから、足早に茂みの向こうに消えていった慶……。
「…………幸せ過ぎる」
慶が働きはじめてこの数ヶ月、会えない日が続いているけれど、その分会えたときに甘々をぎゅうぎゅうに凝縮してくれている気がする。
今日もおそらく慶は帰ってこられないだろう。でも待っているだけでもいい。せめて慶のことを思って慶の存在を感じながら慶の部屋にいたい。
「帰ってこられるといいな……」
ぎゅうぎゅうに凝縮された甘々を胸に、慶を待とう。ずっとずっと待とう。
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以上。慶が働きはじめて半年くらいのお話でした。
26歳なので、今から15年前ですね。浩介はもう社会人4年目です。
うーん。ラブラブだなーいいなー。
慶が男らしくていいわ~。そのくせベッドの中では切なくあえいじゃったりするんだからたまりませんなあ。(変態でスミマセン………)
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