連載分、書き終わりそうもないため、潔く諦めて💦
「風のゆくえには」シリーズ本編主人公・渋谷慶(小児科医師)と桜井浩介(フリースクール教師)の高校同級生カップルの現在の小話を一つお送りいたします。
『風のゆくえには~初詣の願い事』
【浩介視点】
生徒達から時々聞く『合唱コンクール』という行事が、どういう雰囲気のどういうものなのか、イマイチ想像ができない。
と、いうのは、おれの通っていた私立男子中学では『合唱コン』という行事は存在せず(もし存在していたとしても、オレは中学時代、不登校児だったので、参加できなかっただろうけど)、高校でもそんな行事は無かったからだ。
「慶の中学では『合唱コン』ってあった?」
「ガッショウコン?」
リビングのソファで、慶の髪の毛をドライヤーで乾かしてあげながら聞くと、慶は首を傾げた。
「ガッショウコン………、合唱コンクール?」
「そうそう」
「あー……」
慶はうんうん、と肯くと、
「あったあった。でも当時は、合唱コンとは言わなかったなあ。えーと……合唱大会、だったかな」
「へえ……」
やっぱりあったんだ。こういうことがあると、おれは色々抜け落ちているなあと思わざるをえない。中学は修学旅行も行ってないし……。ま、でも、慶と一緒にいった高校の修学旅行がすごく楽しかったから、その思い出だけで充分だけど。
「なんで急にガッショウコン?」
慶が頭をガコンと真後ろに倒して、おれの方を見てきたのが可愛すぎて、我慢できずにチュッとオデコにキスをする。と、慶がクルリとこちらを向いた。
「学校で合唱大会でもやるのか?」
「あ、ううん。クラスの子達がね、中学の時の合唱コンがすごく大変だったって話してたから。もちろん楽しかったって言ってる子もいるんだけど、大変だった率の方が高くて」
「あー、まーなー」
苦笑気味の慶。
「色々揉めるんだよな。曲決めも揉めるし、練習の時、男子が真面目に歌わないのを女子がキレたり……」
「あー、それ同じこと言ってる子いた」
「だろー?」
慶は肩をすくめると、チュッと素早くキスをくれてから、また背中を向けた。
「おれも正直、大変だったって記憶しかないなあ……」
「そっか」
ドライヤーのスイッチを入れ、髪の毛を乾かすのを再開する。
昔から、慶の髪を乾かす作業はすごく好きだ。気持ち良さそうに身を委ねてくれる慶を見ていると、心が満たされて幸せが溢れてくる。
「おれ、歌とか好きじゃないしな」
「そうだよね……」
「高校から音楽やらなくてすむようになってどれだけ嬉しかったことか」
「芸術科目は選択制だったもんね」
容姿端麗で、勉強も運動も何でも出来る慶だけれども、意外なことに、音楽は苦手だったらしい。
おれ達の高校は、芸術科目は、音楽と美術と書道の3科目から選ぶことになっていた。おれと慶は書道選択だった。
「おかげでお前と同じ書道を選択してたから、同じクラスになれる率が高まって良かったけどな」
「………………うん」
慶の言葉に小さくうなずく。慶は奇跡的に同じクラスになれたと思っているけれど、本当はバスケ部顧問の上野先生が根回ししてくれたのだ。昔は中学時代の暗い過去を知られたくなくて、そのことを隠していたけれど……
「鶴岡八幡宮で頼んだのか効いたんだよなー?」
「……うん。そうだね」
初詣のお願いが叶ったと信じている慶が可愛すぎるので、そういうことにしておく。好意的な秘密だ。
「今度の正月、久しぶりに行くか。鶴岡八幡宮」
「あ、いいね!」
慶の誘いに、わ!と声をあげてしまう。
「懐かしい! 行きたい!」
「だな。行こう行こう」
「うん。帰りに海も寄ろうね? デートデート」
「だな」
くくく、と笑った慶が愛おしすぎて、ドライヤーを止めて、ぎゅうううっと後ろから抱きしめる。
「今度は何をお願いする?」
慶をソファの上に引き上げて、チュッとキスをする。
「そうだなあ……」
「……ん」
チュッとキスを返され、幸せすぎて蕩けてしまいそうになる。
「考えとく」
「ん」
キスを深いものにしながら、ソファに沈んでいく。
おれの願いは……
『この幸せが永遠に続きますように』
だけれども……
そう言ったら、きっと慶は「そんなの神様にお願いしなくたって、続くに決まってるだろ」って言うだろうから、他のお願いを考えないといけない。
------
7分遅刻m(__)m💦
お読みくださりありがとうございました!
オチも何もない小話……失礼いたしましたー。
次回は火曜日更新予定です。お時間ありましたらお付き合いいただけると嬉しいです。
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「風のゆくえには」シリーズ本編主人公・渋谷慶(小児科医師)と桜井浩介(フリースクール教師)の高校同級生カップルの現在の小話を一つお送りいたします。
『風のゆくえには~初詣の願い事』
【浩介視点】
生徒達から時々聞く『合唱コンクール』という行事が、どういう雰囲気のどういうものなのか、イマイチ想像ができない。
と、いうのは、おれの通っていた私立男子中学では『合唱コン』という行事は存在せず(もし存在していたとしても、オレは中学時代、不登校児だったので、参加できなかっただろうけど)、高校でもそんな行事は無かったからだ。
「慶の中学では『合唱コン』ってあった?」
「ガッショウコン?」
リビングのソファで、慶の髪の毛をドライヤーで乾かしてあげながら聞くと、慶は首を傾げた。
「ガッショウコン………、合唱コンクール?」
「そうそう」
「あー……」
慶はうんうん、と肯くと、
「あったあった。でも当時は、合唱コンとは言わなかったなあ。えーと……合唱大会、だったかな」
「へえ……」
やっぱりあったんだ。こういうことがあると、おれは色々抜け落ちているなあと思わざるをえない。中学は修学旅行も行ってないし……。ま、でも、慶と一緒にいった高校の修学旅行がすごく楽しかったから、その思い出だけで充分だけど。
「なんで急にガッショウコン?」
慶が頭をガコンと真後ろに倒して、おれの方を見てきたのが可愛すぎて、我慢できずにチュッとオデコにキスをする。と、慶がクルリとこちらを向いた。
「学校で合唱大会でもやるのか?」
「あ、ううん。クラスの子達がね、中学の時の合唱コンがすごく大変だったって話してたから。もちろん楽しかったって言ってる子もいるんだけど、大変だった率の方が高くて」
「あー、まーなー」
苦笑気味の慶。
「色々揉めるんだよな。曲決めも揉めるし、練習の時、男子が真面目に歌わないのを女子がキレたり……」
「あー、それ同じこと言ってる子いた」
「だろー?」
慶は肩をすくめると、チュッと素早くキスをくれてから、また背中を向けた。
「おれも正直、大変だったって記憶しかないなあ……」
「そっか」
ドライヤーのスイッチを入れ、髪の毛を乾かすのを再開する。
昔から、慶の髪を乾かす作業はすごく好きだ。気持ち良さそうに身を委ねてくれる慶を見ていると、心が満たされて幸せが溢れてくる。
「おれ、歌とか好きじゃないしな」
「そうだよね……」
「高校から音楽やらなくてすむようになってどれだけ嬉しかったことか」
「芸術科目は選択制だったもんね」
容姿端麗で、勉強も運動も何でも出来る慶だけれども、意外なことに、音楽は苦手だったらしい。
おれ達の高校は、芸術科目は、音楽と美術と書道の3科目から選ぶことになっていた。おれと慶は書道選択だった。
「おかげでお前と同じ書道を選択してたから、同じクラスになれる率が高まって良かったけどな」
「………………うん」
慶の言葉に小さくうなずく。慶は奇跡的に同じクラスになれたと思っているけれど、本当はバスケ部顧問の上野先生が根回ししてくれたのだ。昔は中学時代の暗い過去を知られたくなくて、そのことを隠していたけれど……
「鶴岡八幡宮で頼んだのか効いたんだよなー?」
「……うん。そうだね」
初詣のお願いが叶ったと信じている慶が可愛すぎるので、そういうことにしておく。好意的な秘密だ。
「今度の正月、久しぶりに行くか。鶴岡八幡宮」
「あ、いいね!」
慶の誘いに、わ!と声をあげてしまう。
「懐かしい! 行きたい!」
「だな。行こう行こう」
「うん。帰りに海も寄ろうね? デートデート」
「だな」
くくく、と笑った慶が愛おしすぎて、ドライヤーを止めて、ぎゅうううっと後ろから抱きしめる。
「今度は何をお願いする?」
慶をソファの上に引き上げて、チュッとキスをする。
「そうだなあ……」
「……ん」
チュッとキスを返され、幸せすぎて蕩けてしまいそうになる。
「考えとく」
「ん」
キスを深いものにしながら、ソファに沈んでいく。
おれの願いは……
『この幸せが永遠に続きますように』
だけれども……
そう言ったら、きっと慶は「そんなの神様にお願いしなくたって、続くに決まってるだろ」って言うだろうから、他のお願いを考えないといけない。
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7分遅刻m(__)m💦
お読みくださりありがとうございました!
オチも何もない小話……失礼いたしましたー。
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