ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

しゅうちゃんマスター。

2015-02-19 02:13:34 | Weblog
前に書いたことのある話。

バッドチューニングというお店があった。ライブが出来るバーAND飯屋、倉庫のようなお店。前の我が家のすぐ近所にあった。通称バッチュー。素敵な店だった。

バッチューのマスターはシングが大層お気に入り。
暇な時には電話がかかってきて、「しんぐー、歌いに来いよぉ」。
僕はトコトコと徒歩で出かけていく。

トコトコと僕がたどり着くと、100パーセントの確率でマスターは飲んでいる。飲んでいるというか、酔っている。
スタンディングだったら300人以上入るだろうという広さのお店に、従業員がチラホラ、お客さんがチラホラ。
マスターは、僕が来ると、他のことはそっちのけになる。
「腹減ってるかぁ?」
「なんか食うかぁ?」
「なんか飲むかぁ?」
「新しい曲出来たかぁ?」

で、僕は、出されたものをパクパク食べて、ゴクゴク飲む。
そんで、頃合いをみて、ちっちゃなステージに乗っかって、マスターのギターでポロリンとギターを弾いて、歌う。
マスターは、カラコロリンとグラスの氷を揺らしながら、煙草の煙をゆらゆら~っと燻らせながら、目を閉じて、ゆ~ったりと僕の歌を聴いてくれる。

それはそれは極上な時間だった。

よく考えてみると、おれ、バッチューでお金払ったことないかもな・・・だから潰れちゃったのかなぁ。悲しいなぁ。

おれ、マスターのこと、大好きだったからね。大好きなマスターに大好きなしゅうちゃんを会わせなきゃ!って想ってね、しゅうちゃんをバッチューに連れて行ったんだね。

で、マスターの前にしゅうちゃんを連れて行って、こう言ったの。
「あのね、この人ね、おれが出会った人の中でね、一番スゴイ人なんだよ!マスターに会わせたくて連れてきた!」

まぁね、そんな紹介の仕方があるか?って話ではあるんだけどね。そんなハードルの上げ方があるか?って話でもあるんだけどね。

マスターは嬉しそうな顔をして、おぉそうか!と言いながらしゅうちゃんと話し始める。
僕は、後は若い二人に任せての仲人風で、マスターとしゅうちゃんを二人にして、違う席で別の人たちとワイワイ騒ぐ。

小一時間もした頃に、マスターとしゅうちゃんの座るテーブルに戻る。そんで、マスターに聞く。
「どう?この人、どう?」

そんな聞き方があるか?って話しなんだけどね。本人を目の前にしてこの人どう?ってなんなんだよ?って話しなんだけどね。

そこはマスター。さすがマスター。
マスターは、カラコロリンとグラスの氷を揺らしながら、僕の目をジッと見ながらこう言った。

「しんぐー、おれはな、今な、この人の人となりをな、ざっと聞かせてもらったんだけどな、しんぐー、おれはな、しんぐがこの人をスゴイと言う意味がさっぱりわからん。・・・いたって、フツーだ」

かわいそうなしゅうちゃん。勝手に持ち上げられて、勝手に落とされる。しゅうちゃん、苦笑いである。絵に描いたような苦笑いである。

で、僕は言う。

「あのねマスター、おれ、それ知ってるよ。でもね、この人、ホントにスゴイ人なの。そのスゴさが全然分からないくらいにスゴイ人なんだよ」


月日は過ぎて、つい先日。歌舞伎町から嵐山へと帰る電車の中。
しゅうちゃんと、懐かしくその時の話をした。

「あの時はね、マスターにしゅうちゃんのスゴさが伝わるわけがないと思ったし、伝わらなくてもいいと思った。ただ、事実の確認をしたかっただけだからね。でも、今は違うんじゃないかなぁ。初めて会った人にも、しゅうちゃんのスゴさを伝えていかなきゃいけないんじゃないかなぁ。だって、しゅうちゃんはスゴイんだからさ」


僕は想う。今、想う。
しゅうちゃんほどスゴイ人を、僕は知らない。
僕の人生にもっとも影響を与えた人物が、しゅうちゃんであることは間違いない。それは、今も変わらない。
何よりも面白い。ちょっとおバカだし、ちょっと抜けてるし、いまやデブちんだし、たまにヤクザみたいに怖くなるヒドイヤツだったもするけれど。きっと、誰よりも他人のことを思いやれる人だし、誰よりも他人の力になれる人だし、誰よりも優しいし、誰よりも楽しくて面白い。しゅうちゃんほど他人のために一生懸命になれる人を、僕は知らない。


僕は願う。今、願う。
しゅうちゃんのスゴさが分かる人が、たくさんたくさん増えますように。・・・ホントに。
そしたら、世界は、もっともっと楽しくなるのに。。。