ヤナギの家は、高速道路の高架を越えた、その町の地主たちが住むエリア、つまりちょースーパー田舎エリアにあった。一軒の敷地が、アメリカの田舎みたいにでかい。実際にはアメリカの百分の一くらいではあるのだろうが、とにかくでかい。みーんな農家であるか、元農家。
ヤナギの家の敷地に、二階建ての物置みたいなのが建っている。
ヤナギの両親は、その時すでに居なかった。なんでだったかは、知らない。
おばあちゃんはいたが、数える程しか会ったことがない。なぜなら、母屋と物置の距離が100メーターくらいあったから。
物置は、物置っていうくらいだから、物がたくさんある。ほとんどがゴミだ。かつては、ヤナギの親が使っていたのだろう。住んでいたのかもしれない。半裸の女性のピンナップポスターとか・・・半裸の女性のピンナップポスターとか・・・半裸の外国人女性のピンナップポスターとか・・・あぁ、それくらいしか覚えていない。あとは、鍋とかヤカンとか・・・かな?
物置の二階が、僕らにはあてがわれた練習場所。ドラムやアンプが設置してある。
そこは、天国みたいな場所だった。半裸の女性のピンナップポスターが貼ってあるからではない。そこには、誰にも干渉されない自由があった。
今も昔も、そこらの中学生には、自由などない。自由がないから、ゲーセンやコンビニに溜まる。そんなところに溜まっても、自由などない。自由とは、大人たちの世界から隔離された場所にある。
農家の離れの古ぼけた物置の二階・・・誰もが憧れるような格好のいい場所ではなかったが、誰もが憧れるような自由が、そこにはあった。
子供なんてほら、タバコを吸える場所があるってだけで自由を感じられちゃうわけだからね。
そんなわけで、その夏、僕らは、呆れるくらいの自由を手に入れたのである。
タバコスパスパスー。
ドラムガチャガチャドタドタ。
タバコスパスパスー。
ギターギャンギャンギャギャーン。
ビールゴクゴクゴク。
ヤナギのアコギポロリーン。
ドラムダダダダダ。
タバコスパスパスー。
ギターギュイーンギュイーン。
タバコスパスパスー。
ヤナギのアコギシャラリーン。
昼寝グーグーグー。
ヤナギのアコギポロポロリーン。
「ヤナギ、アコギ聴こえねーよ!」
つづく。
ヤナギの家の敷地に、二階建ての物置みたいなのが建っている。
ヤナギの両親は、その時すでに居なかった。なんでだったかは、知らない。
おばあちゃんはいたが、数える程しか会ったことがない。なぜなら、母屋と物置の距離が100メーターくらいあったから。
物置は、物置っていうくらいだから、物がたくさんある。ほとんどがゴミだ。かつては、ヤナギの親が使っていたのだろう。住んでいたのかもしれない。半裸の女性のピンナップポスターとか・・・半裸の女性のピンナップポスターとか・・・半裸の外国人女性のピンナップポスターとか・・・あぁ、それくらいしか覚えていない。あとは、鍋とかヤカンとか・・・かな?
物置の二階が、僕らにはあてがわれた練習場所。ドラムやアンプが設置してある。
そこは、天国みたいな場所だった。半裸の女性のピンナップポスターが貼ってあるからではない。そこには、誰にも干渉されない自由があった。
今も昔も、そこらの中学生には、自由などない。自由がないから、ゲーセンやコンビニに溜まる。そんなところに溜まっても、自由などない。自由とは、大人たちの世界から隔離された場所にある。
農家の離れの古ぼけた物置の二階・・・誰もが憧れるような格好のいい場所ではなかったが、誰もが憧れるような自由が、そこにはあった。
子供なんてほら、タバコを吸える場所があるってだけで自由を感じられちゃうわけだからね。
そんなわけで、その夏、僕らは、呆れるくらいの自由を手に入れたのである。
タバコスパスパスー。
ドラムガチャガチャドタドタ。
タバコスパスパスー。
ギターギャンギャンギャギャーン。
ビールゴクゴクゴク。
ヤナギのアコギポロリーン。
ドラムダダダダダ。
タバコスパスパスー。
ギターギュイーンギュイーン。
タバコスパスパスー。
ヤナギのアコギシャラリーン。
昼寝グーグーグー。
ヤナギのアコギポロポロリーン。
「ヤナギ、アコギ聴こえねーよ!」
つづく。