ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

ホンモノはどこにある?

2015-03-17 02:31:35 | Weblog
岡田先輩の半逆の甲斐あってか、僕らの文化祭、僕にとっての初めての文化祭のメインイベントに、全校生徒でのフォークダンスが組み込まれた。
思春期を迎えた男女が、校庭で仲良くフォークダンスを踊る。夢のような光景だ。
小学生が踊るフォークダンスなんぞフォークダンスじゃねぇ!思春期を迎えた男女が踊るフォークダンスが、それこそが、本物のフォークダンスなのだ!と言わんばかりに、岡田先輩の銀縁眼鏡奥の瞳が光る。その横には、会長を影で支える美人の副会長。その後ろに従う生徒会役員のお歴々。江戸時代で言うと・・・将軍とか、老中とか、色々。

生徒会及び文化祭中央実行委員会は、思春期夢色フォークダンスの催行を勝ち取ったのである。高らかな勝利宣言である。

だがしかし、先に述べた「僕の人生の方向性云々」の話は、ここにはない。フォークダンスが人生を変えるわけないじゃんよ。

フォークダンスなんて、あくまでも余興だよ、余興。
本物は、いつだって、体育館にある。そう、体育館にあったのだ。

文化祭二日目。つまり最終日。

体育館のステージに、岡田先輩が立っていた。

ギュイーン、ガッガッガッガッガ。岡田先輩は肩からエレキギターをぶら下げていた。
ドラムとベースとギターのスリーピースバンド。

フォークダンスに夢中だと思っていた秀才で真面目な生徒会長は、ギターをかき鳴らしてビートルズを歌っていた。

僕は、フォークダンスに真面目に取り組みすぎる、不可解な大人の岡田先輩に憧れていたわけなんだけど・・・。

ステージを見つめる僕の目は、完全にハートになっていたことだろう。
そして、僕の頭の中はパニックに陥った。
僕の中で、僕の心の中で、何かが弾けた。完全に、何かが弾けた瞬間だった。

パニックを起こす12歳の少年の心。よくわかんないクソガキの心の中の模様。一つだけ、確かに思ったことがある。

「おれ、あの人みたいになるわ」

つづく。