ひとり紫苑・プチプラ快適な日々を工夫

書籍「年金五万円が教えてくれたお金の向き合い方」「あるもので工夫する楽しい節約生活」は9万部。工夫の毎日は続く。

モノと癒しと記憶の物語ーすべての見えない光

2017-02-22 18:57:22 | きものの本&本

 

無人島に持っていくならどの本?」

なんて質問があったけど、今はもうないのかな?

スマホとか?ゲームとか?

 

今まで読んだ本のなかでベストかも、

という一冊!!

持っていくならこの一冊。

 

「すべての見えない光」(アンソニー・ドーア著・新潮社」

 

ナチスに占領されたフランス。

盲目の少女、孤児院育ちの少年、

戦争の後遺症からパニック障害の老人~~。

こう書くと重い題材、確かに重いのだけど、

一行一行味わい尽せる上等の重さ。


ブログ&きもの休みの間、

東京を離れている間に

3回読んだ。


マリー・ロール、ヴェルナー、エティエンヌ、

ユッタ、マネッタ夫人~~、

登場人物の名前全部覚えてしまった。

 500ページもあるのに

文章ダレる箇所がない。

一行一行が宝石のように美しい~~。




舞台となるのはサン・マロの街

 借り写真です。行きたい。



ぱっと開いたページには~~、

「色。彼女の想像のなか、夢のなかでは

すべてに色がある。

~~ラジオから流れるピアノの和音が投げかける

豊かな黒色や複雑な青色

その先の廊下に続いている。

~~記憶のなかの母親は白く輝き、

父親は千の色を放っている~~」

 

登場人物はモノを愛するマニアばかり。

少女は貝殻や石を集め、



その父親はミニチュアの家具を作り、

少年はゴミ捨て場からラジオの材料を拾ってくる。

世界中の鳥を愛する少年。

無線マニアの老人。

 

 

 

生死ぎりぎりの状況のなかで

それらのモノから癒しや生きる力を得ていく。

当然だけど、ナチス下のドイツ人にも

いい人はいる。

「あの時代、善人でいることは難しいことでした」

弱く、感受性が強く、優しい人間は

あの時代どう生きればいいのか?


悲惨な設定なのに、ものすごく豊かな世界、

 読後感を感じるのは

 これらのモノのお陰もあるかも。


モノが喚起する記憶を、

まるでいま体験しているかのように味わうことで

生き延びようとする人たち(涙、涙)。

 

自然描写も素晴らしいのよ。

 

数学的にいえば、すべての光は目に見えないのだそう。

この辺り難しいのだけど、

もう一つのテーマは光、

見えないけどそこにあるもう一つの世界。

 

失った子供時代、懐かしい思い出、

今はそこにない人々、

でも、それらはすぐそばにあると誰かが言う。

「~~子供時代、幸福だった時代、

誰かと一緒に歩いた夕暮れ、

それはあちこちにある、それらはその人が戻ってきて、

掘り起こしてくれるのを待っているんだよ」と。


目の前にある世界と重なっていく

記憶のなかの、想像のなかのもう一つの世界。

 

 

キビシイ時代でも、少ない食べ物を分け合って

食べる人たち。

感動して泣きながら、

スイーツを誰かが取ろうとしたら、

ダメ!という自分が情けない(汗)

まずはそこから始めなきゃね。

もう一回読もうっと。


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コメント (2)
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