「無人島に持っていくならどの本?」
なんて質問があったけど、今はもうないのかな?
スマホとか?ゲームとか?
今まで読んだ本のなかでベストかも、
という一冊!!
持っていくならこの一冊。
「すべての見えない光」(アンソニー・ドーア著・新潮社」
ナチスに占領されたフランス。
盲目の少女、孤児院育ちの少年、
戦争の後遺症からパニック障害の老人~~。
こう書くと重い題材、確かに重いのだけど、
一行一行味わい尽せる上等の重さ。
ブログ&きもの休みの間、
東京を離れている間に
3回読んだ。
マリー・ロール、ヴェルナー、エティエンヌ、
ユッタ、マネッタ夫人~~、
登場人物の名前全部覚えてしまった。
500ページもあるのに
文章ダレる箇所がない。
一行一行が宝石のように美しい~~。
舞台となるのはサン・マロの街
借り写真です。行きたい。
ぱっと開いたページには~~、
「色。彼女の想像のなか、夢のなかでは
すべてに色がある。
~~ラジオから流れるピアノの和音が投げかける
豊かな黒色や複雑な青色は
その先の廊下に続いている。
~~記憶のなかの母親は白く輝き、
父親は千の色を放っている~~」
登場人物はモノを愛するマニアばかり。
少女は貝殻や石を集め、
その父親はミニチュアの家具を作り、
少年はゴミ捨て場からラジオの材料を拾ってくる。
世界中の鳥を愛する少年。
無線マニアの老人。
生死ぎりぎりの状況のなかで
それらのモノから癒しや生きる力を得ていく。
当然だけど、ナチス下のドイツ人にも
いい人はいる。
「あの時代、善人でいることは難しいことでした」
弱く、感受性が強く、優しい人間は
あの時代どう生きればいいのか?
悲惨な設定なのに、ものすごく豊かな世界、
読後感を感じるのは
これらのモノのお陰もあるかも。
モノが喚起する記憶を、
まるでいま体験しているかのように味わうことで、
生き延びようとする人たち(涙、涙)。
自然描写も素晴らしいのよ。
数学的にいえば、すべての光は目に見えないのだそう。
この辺り難しいのだけど、
もう一つのテーマは光、
見えないけどそこにあるもう一つの世界。
失った子供時代、懐かしい思い出、
今はそこにない人々、
でも、それらはすぐそばにあると誰かが言う。
「~~子供時代、幸福だった時代、
誰かと一緒に歩いた夕暮れ、
それはあちこちにある、それらはその人が戻ってきて、
掘り起こしてくれるのを待っているんだよ」と。
目の前にある世界と重なっていく
記憶のなかの、想像のなかのもう一つの世界。
キビシイ時代でも、少ない食べ物を分け合って
食べる人たち。
感動して泣きながら、
スイーツを誰かが取ろうとしたら、
ダメ!という自分が情けない(汗)
まずはそこから始めなきゃね。
もう一回読もうっと。
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