閃き

変化も気付く事も無い平凡な毎日の中にきっと閃きがあるはず。閃きを求めた記憶

水増し

2018-12-10 08:16:18 | 閃き
日曜日の朝、父と慕う方から電話が入った

急遽台湾から義兄弟が夫婦で来日するので一緒に夕食でもいかがか?という内容

夕方合流して宿泊するホテル近くの和食レストランで食事をすることになった


我々夫婦もいれて三夫婦とその方の次女も加わって7名の会食である

気兼ねしない会話でする食事はこんなにも楽しいものなのであろうかと再認識する

女性も含めてお酒を楽しみ、会話を楽しんだ


私と義兄弟は河豚のヒレ酒を注文した

呑んべえの私は瞬く間に飲み干して継ぎ酒を注文した

継ぎ酒とは未だヒレから十分に出汁がでるので、再利用するための熱燗を指す

義兄弟はゆっくり飲んでいるので、取り合えず1合を注文した

日曜の夕食時は混雑するので、注文してから時間がかかるのだが、会話が中心なので気にならない

暫くして女中さんがお銚子を持ってきた

私はヒレを器に戻して勢いよく酒を注いだので酒が器から溢れてしまった

しくじったと思ったが同時に不思議な感覚があった

それは酒好きならではの感覚かもしれない

その感覚とはこぼれた酒がべたついていないのである


継ぎ酒をした後は、蓋をしてしばし出汁が出るのを待ってから飲む

少し脱線するが、ヒレ酒は飲むときに蓋にヒレを取り出して飲む

そうしないとどんどん出汁が濃くなって飲めなくなるのである

頃合いを見て蓋を取り、ヒレを取り出したが、いつもと違って色が薄い

まるで出汁が出ていない色であるが、こんなこともあるのかと一口すすった

あれ?なんだ?味がしない!

そしてもうひとすすりしてきたが同じである

いくら酔っていると言っても判る

これは白湯だ


義兄弟や妻に飲ませてみたがやはりお酒ではないというので店長にそのことを伝えた

店長はそんなことはあり得ないという顔をしていたが、実際に白湯に違いないのである

何故白湯が運ばれてきたのかを知りたいと考えたが、せっかくの楽しい雰囲気を壊したくなかったのでツッコむのはやめた

それまで元気がなかった義兄弟は大笑いして、目が覚めたと言って元気になった

父は店長に水増しすると言ってもこれは水増しではないと詰め寄っていた

店側はどう判断したのか判らないが、代わりにヒレ酒の新品を持ってくるといったので、おそらく出汁が出ていないので白湯と言っていると考えていたのではないだろうか

しかし、絶対に白湯に間違いはない

もし、議論を進めていたら、とんでもない状況の白湯を飲まされていたことに気付かされる方が恐ろしかったと思う


長く酒を飲んでいるがこんなことは初めての経験であった