今回の西への旅のもう1つの目的は世界遺産群の中にある軍艦島への訪問だ
貴重な時間の合間を縫って無理矢理ねじ込んだ
乗船した観光船のガイドさんの語りが文学的で且つ叙情的なので、ある意味冷静に話が聴けた
この島は韓国徴用工問題にもなっているので、外国人観光客に配慮した表現になっているのだろうと思っていた
軍艦島は正式には端島と言うが、実は島ではなく岩礁を埋め立てて採炭用に開発された場所である
古くは1810年頃に佐賀藩が採炭していたが、製鉄用として良質だったからだ
明治に入り三菱が採掘件を買い取り、日本国の製鉄増産による近代化に向け、「未来の島」という名前で最盛期は5000人を越える人が住んでいた
この島の建物が鉄筋コンクリート製の高層建築で、今でもその姿を保っている
部屋は一家が住むには十分な広さであり、学校や病院、食堂やマーケット、公衆浴場など生活に必要なインフラは勿論、神社や娯楽施設も充実していた
昭和初期、日本のテレビの普及率が未だ8%の頃に、この島の普及率は100%だった事をみても、労働者が高収入であった事が理解できる
日本の近代化に貢献するための増産は石炭だけではなく、製鉄、繊維、セメント等多岐にわたり、多くの産業で外国人労働者も働いている
この島に立って、「未来の島」と言われて、以前は活気があり、豊かな生活があった事実を感じた
その様な環境の中で、韓国が製作した徴用工の映画の奴隷の様に働かせた印象は微塵もなかった
ガイドさんの言葉に、かつてこの島で働いた、産まれ育った人達がこの島を訪れた時、廃墟になった建物と自分の姿を重ねて写真を決して撮らないという
この島は故郷ではないく、この島で生きたからだという
正確にいうと軍艦島そのものは世界遺産ではない
軍艦島は見た目が軍艦に似てるから付けられた愛称で、名前から戦争に結び付けられ易く、徴用工の悪いイメージが覆い被る
しかし、その実態は日本の近代化にとって、この島の歴史を除いては語れないからこそ世界遺産群の中に含まれていることが、ガイドさんの伝えたかった事だったのだろう
乗船前に暑さ対策用ので飲物を自販機で購入したとき、慌ててお釣りを忘れていると、わざわざ届けてくれた長崎住民の優しさに触れていた
このような素晴らしい住民の住む場所だから、余計にそう感じたのかもしれない