ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

北風の雛へ

2025-02-13 12:29:20 | 
澄みわたる空は新しく
なのに地上は色褪せて
北風強く吹き荒れる
飛ばされながら歩く君よ
せめて心は青くあれ

世間の風が冷たいか
人は皆 自分がかわいいのだ
君も僕も同じだよ
体内に暖かさを取り込み
体外に冷たさを放出する
呼吸のようなもの

絶望することはない
北風の厳しさを知れば
小さな温もりに感謝できる
そこから優しさは生まれるんだ
飛ばされながら歩く君よ
せめて心は春であれ
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花束

2025-02-07 12:55:30 | 
お笑いのように生きるのか
マラソンのように生きるのか
結論は難しく
答えがあるのかすら
はっきりしない

確かなのは最後に死があることだけ
その時に満ち足りていれば
何を選ぼうが正解なのだろう

歓喜と悲劇のハイブリッド
愛情と憎悪のハイブリッド
戦火と贅沢三昧のハイブリッド

よく生まれてきたと誉めていい
よく生きてきたと誉めていい
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浅香唯「セシル」

2025-02-04 12:28:39 | 音楽
あなたの悲しみ変われるなら
私はこのままそばにいたい
踵を揃えた二人の影
こんなに背の高さ違うの


浅香唯11枚目のシングル。作詞 麻生圭子・作曲 NOBODY。1988年8月発売。オリコン最高位1位。

松田聖子、中森明菜、小泉今日子がアイドルとしての時期を過ぎた後、そのポジションを埋めたのが中山美穂らアイドル四天王でした。浅香唯もそのうちの一人です。
この曲が流行っていた頃、私は月並みな青春を過ごしていたのだと思います。しかし、やがてパニック障害(当時は原因不明)となり、地獄の日々が始まりました。虚しく残ったのは若さだけ。人生にリセットボタンがあれば、躊躇なく押していました。しかし、そんなものがないことも分かっていました。苦しみの中で遠くから小さく、この曲が聴こえていた記憶がうっすら残っています。
勿論、曲も良いのですが、麻生圭子さんの少し哲学的な歌詞も好きでした。
「人は大人になるたび弱くなるよね」「恋は楽しい時より悲しい時に、そっと始まった方が長く続くね」。こうした文章が象徴的です。

「セシル」発売の翌年には「ザ・ベストテン」が終了し、1970年代から続いたアイドル黄金期は終わりを告げました。
諸説あると思いますが「日本で最初のアイドルは南沙織」と聞いたことがあります。彼女の代表曲の「17才」の溌剌さが溢れている世界に比べると「セシル」は深みはありますが、切なさが滲み出ています。そうした意味では、アイドルの終焉にふさわしい名曲だったのかもしれません。


人は大人になるたび弱くなるよね
ふっと自信を失くして迷ってしまう
だから友達以上の愛を捜すの
今夜私がそれになれればいいのに
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旅人の影

2025-01-28 12:14:39 | 
馴染みの店がまたひとつ消え
跡地は住宅に占められている
小さな物語が終わりを告げ
またひとつ街は色褪せた

振り返れば細々とした道
妙に嫉妬深い日もあれば
なぜか感慨深い日もあった
支え合う喜びに満たされた日もあったろう
不意に訪問した悲しみに崩れ落ちた日もあったろう
この世に打ちひしがれながら
笑って生きる人間の曲芸

誰もが時の住人であるからには
確かに今日の自分は最も老いていて
しかし今日の自分は最も若い
どちらを選ぶかは心に吹いた風にまかせ

不安を抱えていた朝が遠くに見える
ともかく一日が終わろうとしている
優しい月がなだめるように旅人を照らす
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剛腕、冬に散る

2025-01-24 13:12:25 | 
西山朋佳の顔は晴れやかに映った
むしろ、相手の試験官の方がよほど殺伐としていた
普段通りの顔なのか
あるいは特別な対局に臨むからなのか
それは分からない

僕は仕事が休みで、メンタルクリニックの待合室にいた
運命の第5局が気になり、たまに小さな盤上を見ていた
序盤の駒組みの段階で、西山は差をつけられていく
40対60 30対70
彼女の最大の弱点が露呈していた

2勝2敗で迎えたプロ編入試験最終局
僕は西山は負けると思っていた
力が互角では勝てないだろうと
直接的な理由は第2局がコロナの後遺症が残る中で
力を出せず負けたこと

もう少しさかのぼれば5年前
奨励会三段リーグで西山を含め3人が14勝4敗で並び
順位が下位の彼女だけがプロになれなかった
これまで14勝した者で、プロ棋士になっていないのは西山だけ
才能や努力では埋まらない
運命に似たこぼれ落ちていく砂
それでも、少しの望みを抱き、自宅に帰った僕は西山の将棋を見た

人のために、こんなに力を入れて観戦したのはいつ以来だろうか?
この将棋に限れば試験官の出来が良すぎた
それでも終盤に差し掛かり、西山の類いまれなる攻撃力が敵陣を乱し始める
西山の長い腕が盤上に伸びた
角頭に歩を叩いた
その隣には敵玉がいる

次のAIの候補手を見た解説者は言った
「人間には無理ですね」と
それもそのはずである
角を逃げずに攻めることを推奨したのだ
しかし、その試験官は指した
西山の玉頭に歩を打ち捨てた
西山が金で払った後、王手にもなっていない7五桂打
この迫力不足に写る手が最善だったのだ
藤井聡太でも難しい手順を
公式戦で勝ったり負けたりの試験官が導き出したのだ

このやり取りを境に西山は劣勢になった
剛腕に似つかわしくない白く美しい指に生気がなくなった
135手で西山投了
すべてが終わった
外はとうに暮れていた
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傍観者の化石

2025-01-20 12:35:16 | 
エベレスト、マッキンリー
そこまでいかなくとも
身近にある数百メートルの山々

登頂できたか、断念したかの結果は残る
しかし、その裏にもうひとつの真実がある
登ろうとしたか、しなかったか
頂上に届かなかった事実は同じだが
自分に嘘はつけない
挑戦者には悔いとささやかな充実が残り
傍観者には部外の虚しさが残る

「ならば挑戦者でありたい」
そう言い切りたいのだが
成功したい思いが邪魔をする
年を重ねるほどに、その難しさが身に沁みるから

そして人は傍観者の化石になっていくのかもしれない
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性悪説辞典

2025-01-17 15:06:52 | 
優しい声は悪魔の影
笑みに混じった凍りつく牙

君ならできるは黒い虹
引きずり引きずり倒れるまで

諦めるなの大概は
諦めた方が正解だ

良いことがあるから急いでは
その声の主に良いことが起こるのみ

お前のために心を鬼にするは
偽りの恩人の常套句
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いつからいつまで

2025-01-14 11:35:20 | 
50を過ぎてもう何年?
50を過ぎてあと何年?
阪神の震災から何年たった?
あの赤黒い震災から

桜が咲くまであとどれだけ?
見るたびにぼんやりとしていく
あの橋が渡れなくなったのはいつから?
あの川を渡るのはいつ?

街角に響く子らの声
いつの時代も彼らは
大きな力で包まれている
それが家族なのか、社会なのか
あるいは神様なのかは知らないが
いつからかいつかまでは包まれているのだ
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婆さん

2025-01-10 12:54:18 | 
正月、僕は母方の婆さんを思い出した
婆さんは1キロほど離れたところに暮らしていた
僕が2才のある日、ポットを誤って動かしたらしく
熱湯を手にこぼし、大泣きしたそうだ
婆さんは大慌てで、1キロの道を走ってきたらしい

今では右手の甲にあるアザは
目を凝らさないとわからない程だが
子供の頃はもっとくっきりしていた
婆さんがアザを見るたびに
「あんなところまで走れたんだから、若かったんだよな」
と笑いながら言った

少し成長した僕が婆さんにかけられた言葉がある
「人に悪いことをされても、悪いことはするなよ」
その抑揚まではっきりと覚えている
学がない哲学者のようだった

今でもたまに思い出すが
なかなか理解が出来ない
優しくも厳しい明治女の言葉だった
数十年経っても結論の出ない言葉を置き去りにして
婆さんは旅立った
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いつもと違う自分、そしてこれから

2024-12-30 13:02:32 | Weblog
自宅で寝転がりながら書き始めました。今日はいつもと違った自分でいきたいと思います。勿論、今まで暗さを漂わせる言葉も事実です。メンタルの病気と長い間付き合っていますから、それは記してた通りです。しかし、それが全てではありません。ここでは冗談ひとつ言わない人間と思われているかもしれせん。それはそれで良いのですが、大概の人間には二面性があります。

あの中居くんだって多額の寄付をライフワークにしている反面、今回のような事態も起こりうるということです。まだ事実関係がはっきり分かりませんけどね。もしフジテレビが絡んでいるとしたら、消滅の危機じゃないか?
少し話はずれましたが、僕にも二面性、多面性があります。ここではふざけた自分というのを封印てきた気がします。冗談が通じないタイプを演じてきたところもあるのですが、実は結構、通じます。かといって、ここで笑いを取ろうとしている訳ではありません。まずいな。引き返すか。文章が太宰的になってきた。まあ、実生活では人に笑ってもらうことは嫌いじゃありません。

これからのブログのあり方とすれば、出来れば詩を中心にしたいと思っています。詩は今後も出来れば続けたいことですし、もうひとつの理由として、「これをブログに書こう」と思い立ってもどうも面倒という気持ちが勝ってしまうことが多くなりました。うつの影響もあると思いますが、昔に比べると、全体的に文章は短くなってきているような気がします。その点。詩は思い付けば比較的、時間や労力を使わすに書けるのです。何も思い付かないこと多々あるのですが。

あとは将棋ですね。本音を言えば西山朋佳さんのプロ編入試験が気になっています。しかし、僕は
悲観的に見ています。現在2勝2敗で運命の第5局となりますが、やはりコロナの後遺症が色濃く残っている状態で戦い、負けてしまった第2局が引っ掛かります。西山さんの合格を願っているんですけどね。実は私、将棋を教える仕事をしてるんです。これ鍵垢になってますよね。多分なってるだろうな。始めたきっかけはなんと言っても藤井君です。前の仕事も限界が近づいていましたし。しかし、その直後にコロナが来てしまいました。今も細々とその仕事を続けているので、ま
あ、西山さんが好きなのもありますが、将棋を始めたい女性が増えると思うんですよ。勝ってくれ
れば良いけれど、厳しいと見ています。

将棋の仕事は自分一人を食べさせていくためと、人との関わりを持っていたいと思いやっているの
ですが、出来れば人生でもうひと勝負かけたい気持ちもあるんです。それにはお金が必要です。将
棋ではお金を貯めるところまで全くいかないので、コロナ渦で始めた株で資金を増やすしかないと
考えています。まあ、私が持っている株は低位株・ボロ株と言われる類いの安い株なのですが。こ
れ本当に鍵垢になってますよね。そう信じておきます。

今年も多くの方に訪問して頂きありがとうございました。物価高や少子化などこの国も厳しい局面
を迎えていますが、来年は皆様にとって良いことがあればと願っています。「お前がだろう」と突
っ込まれそうですが。
良いお年をお迎えください。
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