ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

スピッツ「若葉」

2022-03-07 11:33:59 | 歌詞

別れの季節になりました。数ある卒業ソング。スピッツで言えば、「空も飛べるはず」の印象が強いですが、これはドラマ「白線流し」の主題歌に起用された影響が大きいのだと思います。むしろ歌詞そのもので卒業にふさわしいのは「若葉」だと思います。

 

優しい光に

照らされながら

当たり前のように歩いてた

 

扉の向こう

目を凝らしても

深い霧で何も見えなかった

 

ずっと続くんだと思っていたけれど

指の隙間からこぼれていった

 

思い出せるいろんなこと

花咲き誇る頃に

君の笑顔で晴れた街の空

 

涼しい風

鳥の歌声

並んで感じていた

繋ぐ糸の細さに気づかぬままに

 

若葉に限らず、草野さんの言葉は横文字や流行りものが少なく、普遍的なものが多いですね。だから古くなりません。

「優しい光に照らされながら当たり前のように歩いてた」

これが大人になってみると当たり前ではないんですね。

「深い霧で何も見えなかった」のは遥か未来でしょうか。

「ずっと続くんだと思っていたけれど」

確かに思ってました。特に小学生の頃は。

「君の笑顔で晴れた街の空」

美しい。正確に言えば、雨上がりの光に君の笑顔があったということなんでしょうけど、才能のある人はこのように表現するんですね。

「繋ぐ糸の細さに気づかぬままに」

それはどこかで分かってるんですが、友情が卒業した後も続くと信じたい気持ちが勝って、糸の細さを考えないようにしていたような気がします。

 

「若葉」は少年期の別れを見事に捉えた名曲だと思います。実際の若葉と人としての若葉の頃をさりげなく重ねているのも、草野さん、さすがです。

 

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中村雅俊「ただお前がいい」

2021-12-08 14:37:53 | 歌詞

土曜の朝の文化放送で、あのスピッツの草野マサムネや爆笑問題の太田光も聴いているという菊池桃子の音楽番組があるのですが、その番組内で中村雅俊の聞き覚えのない曲が流れていました。タイトルは「ただお前がいい」。人気ドラマのエンディング曲で、「俺たちの旅」のB面だったそうです。その世代の方にとっては超有名な曲でしょうが、私は物心がついてない頃で知りませんでした。まだまだ知らない名曲がありますね。曲は中村雅俊、作詞作曲は小椋佳。雅俊さんといえば、小椋佳というイメージはあります。小椋さんは「シクラメンのかほり」など作詞能力が非常に高いイメージがあります。

 

ただお前がいい

わずらわしさに投げた小石の

放物線の軌跡の上で

通りすぎてきた

青春のかけらが飛び跳ねて見えた

そのてり返しを

そのほほに写したおまえ

また会う約束などすることもなく

それじゃまたなと別れるときの

お前がいい

 

友情の歌ですね。前半の部分は青春の美しさを小椋さん独特の表現で語っています。「その照り返しをそのほほに写したおまえ」この辺は単純な言葉のようであって深いです。小椋マジック。

でもこの歌詞で私が最も好きな表現はラストの「また会う約束などすることもなく、それじゃまたなと別れるときのお前がいい」

ここです。昭和の、もしかしたら今も本質的にはそうなのかも知れませんが、理想の友情をロマンチックにさりげなく表現しています。素晴らしい。さすが小椋佳。

この歌詞を、曲を朴訥とした何の飾り気もなく歌っている雅俊さんも格好いい。この曲を知れてよかった。

 

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村下孝蔵「踊り子」

2021-10-12 12:04:26 | 歌詞

遠い昔、友人の家のレコードで村下孝蔵の「初恋」を聴いていた。いい曲と思う反面、随分渋いと感じた記憶があります。

村下さんは、例えば沢田研二や西城秀樹、郷ひろみなどのスターとは対極にありました。公務員がギターを抱えて歌っている印象です。しかし、後々になって、あの人は本物のミュージシャンであり、詩人だったと気づかされる訳です。

中でも「踊り子」という曲の歌詞が好きです。

 

答えを出せずにいつまでも暮らせない

バス通り 裏の路地 行き止まりの恋だから

この出だしで情景がくっきり浮かびます。

 

林檎の花が咲いてる暖かい所なら何処へでも行く

現実逃避ですかね。それにしても村下さんの言葉は美しい。

 

つま先で立ったまま君を愛していた 

どこか無理していて、不安定さを感じます。

 

踊り出す くるくると 軽い目眩の後

写真をばらまいたように心が乱れる

「写真をばらまいたように心が乱れる」

この表現凄いなあ。カッコいい。村下さんはロマンチストですよね。

 

この美しく上質な言葉に哀愁のあるメロディ、確かな歌唱力が加わる訳ですから名曲になるのも頷けます。

 

YouTubeを見ると、木村文乃や長澤まさみら綺麗な女優さんの映像が花を添えています。

 

それにしても若くして亡くなられたのは残念です。それでも村下さんの曲は、今もなお力強く生き続けています。

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天才・草野マサムネの世界

2017-11-16 22:03:25 | 歌詞
自分で詩を書いていて、「ヘタクソだな」とか「これはまあまあ」とか漠然とは感じるけれども、結局、自分で書いたものは、よくわかりません。アクセス数とかで判断しています(笑)なかなか自分を客観的にみるのは難しいことです。あの太宰治でさえ「自分の作品はよくわからないけど、人の作品ははっきりわかる」と記しています。

作詞の世界にも、何人も才能を感じさせる人はいます。その中でも、僕が真っ先に思いつくのはスピッツの草野マサムネです。「ロビンソン」の頃から、すでに独特の世界観は感じました。その後も次々と素晴らしい楽曲、歌声とともに、草野さんの洗練された歌詞が耳に残りました。

大きな力で空に浮かべたら、ルララ宇宙の風に乗る「ロビンソン」

幼い微熱を下げられないまま 神様の影を恐れて 隠したナイフが似合わない僕を おどけた歌でなぐさめた 色褪せながら ひび割れながら 輝くすべを求めて「空も飛べるはず」

草野さんには、よく使われる表現ですが、歌詞が空から降りてくるようにも思われます。もしかしたら、もがいて書いているのかもしれませんが。

倒れるように寝て 泣きながら目覚めて 人混みの中でボソボソ歌う 君は何してる? 笑顔が見たいぞ 振りかぶって わがまま空に投げた「魔法のコトバ」草野さん凄い!


優しい光に 照らされながら あたり前のように歩いてた 扉の向こう目を凝らしても 深い霧で何も見えなかった ずっと続くんだと思い込んでいたけど 指のすき間からこぼれていった「若葉」。この曲、スピッツの中でも好きですね。

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