ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

柏原芳恵「春なのに」

2025-03-06 12:31:09 | 音楽
卒業だけが理由でしょうか
会えなくなるねと右手を出して
さみしくなるよ それだけですか
むこうで友達 呼んでますね


1983年1月発売。柏原芳恵12枚目のシングル。作詞・作曲 中島みゆき。オリコン最高位6位。

中島みゆきの卒業をテーマにした代表作と言えるでしょう。同世代のもう1人の歌姫である松任谷由実にも「卒業写真」という名曲がありますが、恋愛とは無関係ですし、「春なのに」に近い世界観は「まちぶせ」のような気がします。男性に対する女性の強い思いが共通しています。

「卒業だけが理由でしょうか」と疑問から入っています。舞台は高校で、主人公の女性は同級生の男性と付き合っていたのでしょう。
「さみしくなるよ、それだけですか」には彼女の不満が表れています。その男性の態度から卒業後は会うつもりはないと察した彼女が最後に
「記念にください、ボタンをひとつ」と彼に頼みます。そして私の推測ですが、ひとりになった帰り道で、近くを流れる川に、ボタンを思い切り投げ捨てたのではないかと想像します。しかし、それで吹っ切れたのかと言えば、そうではなく

「春なのにお別れですか、春なのに涙がこぼれます」と未練を滲ませています。メロディーも女性の内面をそのまま表現したようなものになっていますが、それと共に、どこか青春の匂いも漂います。柏原芳恵の10代とは思えぬ高い歌唱力が、より切なさ、淋しさを誘います。


記念にくださいボタンをひとつ
青い空に捨てます
春なのにお別れですか
春なのに涙がこぼれます
春なのに 春なのに
ため息またひとつ
コメント
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