ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

とうの昔に捨てたんだ

2015-09-02 20:55:33 | Weblog
ここのところ涼しい日が続いたが、太陽が顔を出せばまだ十分に暑い

自転車にもまともに乗れなくなった僕は、歩いて買い物に出た


光の眩しさで目がつらい

久しぶりの暑さも堪えているのか、しだいに息が上がってくる

疲れ果てた僕は前のめりに大の字で倒れたくなった

しかし、実際には立ち止まることさえせずに、足を前に出した

帰り道、缶コーヒーがうまかったことだけは覚えている


重だるい腕で自宅の鍵を開け、ラジオをつける

とぼけたおじさんがいつになく真面目な話をしている

「確かに現実は大事だけど、理想を大切にすべきじゃないか」

おじさんは言った


崩れながら生きる現実に、とうの昔に理想を捨てた僕は

しばらく目を伏せ、立ち尽くし

薄笑いを浮かべて耳を傾けた



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