いつもと同じ時間の
いつもの電車に乗り
いつものように立ったまま2駅
駅から少し歩き、僕は病院へ吸い込まれていく
18の時から目がアスファルトばかりを欲しがるようになった僕に、桜が上から呼びかけてくる
「早く見ないと、散っちゃうよ。今日が最後だよ」と
まだ桜は咲いていた
満開といってよかった
病院内は暗く沈んでいて
それでも、ぱっと電気はついたのだ
小さな子が手をいっぱいに広げて
ふわふわに膨らんだ空気を持ち運んで、母親にプレゼントする
その笑顔を見て、僕はいつものように缶コーヒーを飲みながら、少しだけ優しくなれた
帰り際、アスファルトはひらひらと淡く色づいていた
はっとして桜を見ると、変わらずに咲いていた
また来年、足元しか見ない僕には想像もつかない遥か未来
明日は花散らしの雨らしい
次にここに来る時はきっと葉桜
いつもの電車に乗り
いつものように立ったまま2駅
駅から少し歩き、僕は病院へ吸い込まれていく
18の時から目がアスファルトばかりを欲しがるようになった僕に、桜が上から呼びかけてくる
「早く見ないと、散っちゃうよ。今日が最後だよ」と
まだ桜は咲いていた
満開といってよかった
病院内は暗く沈んでいて
それでも、ぱっと電気はついたのだ
小さな子が手をいっぱいに広げて
ふわふわに膨らんだ空気を持ち運んで、母親にプレゼントする
その笑顔を見て、僕はいつものように缶コーヒーを飲みながら、少しだけ優しくなれた
帰り際、アスファルトはひらひらと淡く色づいていた
はっとして桜を見ると、変わらずに咲いていた
また来年、足元しか見ない僕には想像もつかない遥か未来
明日は花散らしの雨らしい
次にここに来る時はきっと葉桜