早いもので、こないだ芥川賞が発表されました。だからもう前回になるんですね。こないだ村田沙耶香さんのコンビニ人間を読みました。
読後の感想は一言で表すならば、読みやすい。大江健三郎的な、難解な文章とは正反対。比較的、最近の受賞作では田中慎弥の「共喰い」もすらすらは読めませんでした。しかし、こういったすらすら読ませない表現こそ文学的な、芥川賞にふさわしいのかなという気もします。ただ、優劣は別にして、「コンビニ人間」と「共喰い」どちらが売れるかといえば、おそらくコンビニ人間に軍配が上がると思われます。30年前ならわかりませんが。それだけ「コンビニ人間」は現代的です。難解な表現がないだけでなく、コンビニという分かりやすい軸があるから、さらに読みやすくなります。
主人公は、実際に長い間、コンビニで働いてきた作者と重なります。不器用ゆえに徹底的にマニュアル化されたコンビニでしか働けないのだけれど、ある意味、彼女はコンビニ店員としてはプロフェッショナルで、天職でもあると思うのです。しかし、周りはそうした変わり者たちを認めようとはしません。コンビニを綺麗な水槽に見立て、異物が入ると、すぐに排除される様は、現代社会を巧みに、やわらかく表現しています。そうした社会を静かに、また鋭利に指摘しつつ、読者にはさらりと読ませる、なかなか書けそうで書けない芸当なのだと思いますね。
読後の感想は一言で表すならば、読みやすい。大江健三郎的な、難解な文章とは正反対。比較的、最近の受賞作では田中慎弥の「共喰い」もすらすらは読めませんでした。しかし、こういったすらすら読ませない表現こそ文学的な、芥川賞にふさわしいのかなという気もします。ただ、優劣は別にして、「コンビニ人間」と「共喰い」どちらが売れるかといえば、おそらくコンビニ人間に軍配が上がると思われます。30年前ならわかりませんが。それだけ「コンビニ人間」は現代的です。難解な表現がないだけでなく、コンビニという分かりやすい軸があるから、さらに読みやすくなります。
主人公は、実際に長い間、コンビニで働いてきた作者と重なります。不器用ゆえに徹底的にマニュアル化されたコンビニでしか働けないのだけれど、ある意味、彼女はコンビニ店員としてはプロフェッショナルで、天職でもあると思うのです。しかし、周りはそうした変わり者たちを認めようとはしません。コンビニを綺麗な水槽に見立て、異物が入ると、すぐに排除される様は、現代社会を巧みに、やわらかく表現しています。そうした社会を静かに、また鋭利に指摘しつつ、読者にはさらりと読ませる、なかなか書けそうで書けない芸当なのだと思いますね。